川上和人『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』(技術評論社)

 最近のライトノベル並にタイトルで内容を説明している本。

 むしろタイトルで説明しきった本。


 鳥類学者の著者が、恐竜について語る本です。それだけ。


 雑に説明したけどそんな感じとしか言いようがない……。

 ……のだけど、これがもう、すっごく面白い!


 知ってます? 鳥の祖先って、恐竜らしいですよ。

 だから、「鳥類学者が恐竜を語ってもまあだいたい一緒でしょう」みたいな、そんな感じのノリではじまるこの本。とはいえ、学者さんが書いた本なので勿論トンデモ説は一切なし!

 あくまでも恐竜と、その子孫といわれている鳥についての「わかっていること」と「推測されていること」を丁寧に、わかりやすい文体で楽しく説明してくれます。


 最初の1Pを読みはじめると、そこから先は不思議な魅力でいつの間にかどんどんとページが進んでいきます。

 しかも3行に1回くらいどうでもいい話で脇道にそれるので、なんだか居酒屋で会った隣のおじさんがとんでもなく話が面白い人で思わず聞いちゃったような気分です。

 学者さんが書いた生物についてのうんちく本を読んでいたはずなのに、なぜか気がついたら大長編ドラえもんや著者が乗っているバイクの話になっている不思議。でもあまりにも自然に話が変わっているしまたその話も楽しいから「まあ、いっか……」ってなっちゃうんですよ。不思議ですね。これが文章力ってやつなのですかね?



 ちなみに、同じ著者がその後に出した本のタイトルは『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ』。

 ね、タイトルからして本の雰囲気がわかるでしょう?

(こちらもおもしろいのでオススメです)

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