クロワッサン食パン

 クロワッサンは生地の間にバターを塗り、何層にも重ねては伸ばしを繰り返して作るものだ。食感はご存知、パスパスである。

 なんだパスパスって。とはいえクロワッサンの食感を上手く表現できるオノマトペが見当たらないのだから仕方ない。そして内側はネチネチだ。

 外はパスパス中はネチネチ……なんか美味そうじゃないな。でも何故か美味い。


 そんなクロワッサンを食パンにしてしまおうと誰が考えたのか。

 いやそもそもこれ食パンなのか? 形状としては食パンなんだけど、なんか違う。

 だがこれは試す価値はあるものだ。


 必ずトーストして食べよう。外側はカリっとなり食感はサクサク。だが内側はふわふわ食パン。しかもクロワッサンベースだからバターをふんだんに使っており、熱が加わることでバターが溶けだしてくる。だからなにも塗る必要もない。


 初めて食べたときは感動した。打ち震えた。これだ、これがボクの求めていたものなんだとはっきりわかった。これ以上美味い食パンはあるのだろうか。いやない。

 ジャムだのなんだのは不要だ。これだけでも全然いける。他になにか欲しかったらベーコンと目玉焼き程度で充分。パンに乗せず、添え物として用意しよう。


 普通の食パンだと端──耳と呼ばれる部分は硬く除外されがちだ。しかしクロワッサン食パンの神髄はこの端の部分である。超うまい。一斤を4等分するときは普通の食パンのように切らず、十字に切ろう。不公平なく端を堪能できる。


 キャサリンはどうしたって? あれはあれでいいものだ。安いから普段使いにもってこい。クロワッサン食パンはキャサリンの何倍もの値段がするから、ボクのような庶民にそれは厳しい。



 最近はクロワッサン食パンの専門店ができるほど人気がある。食べてみればわかるが、できて当然といった味だ。個人的に湯ごね食パンよりずっと好き。

 店は教えない。ただでさえ売り切れ御免の奪い合いなのにこれ以上増えて欲しくない。


 週末のちょっと贅沢なランチとして用意すると休日が楽しくなるよ。

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