毛ガニ
毛ガニが美味いことくらい苦手じゃない人ならだれでも知っている。
じゃあなんでわざわざ紹介するのかというと、今回はちょっと違う話をしたいからだ。
それは北海道……まあ毛ガニの話なんだから当たり前みたいなものなんだけど、その北海道にある雄武町という町で毎年この時期に行われる毛ガニ祭りを紹介したい。
これのためだけに北海道の人々はわざわざこの雄武町までやってくるのだ。なにせ毛ガニがとんでもなく安い値段で手に入る。料金は漁の取れ高で変動するが、大体1000~3000円くらい。今年は不漁だったせいかちょっと高かったが、大漁の年だと400gで3桁くらいのときもある。激安だ。
そんなに安いならと大量買いしようと思っても、さすがに購入限度数が決められている。転売屋はお呼びじゃない。
町の人口は4600ほど。そこへこの祭りのために3000人以上の人たちがやってくる。3分の2くらいだ。攻められたら負けるかもしれない。いや普通に町人も混じっているとは思うけどね。彼らは別に反乱軍などではない。
人々はカニを求め、戦う。チルドはお一人様5つまで。浜茹では2つだ。
3000かけることの5つ。1万5千ものカニはそこに存在するのか。きっと奪い合いだろう。行ったことないからわからないが、きっと凄いはずだ。
味噌汁も販売している。毛ガニの半身が入った汁だ。食いたい。食い散らかしたい。絶対うまいに決まってる。まずいなんてありえない。
行きたい。毛ガニ祭り、凄く行きたい。
そんな雄武町でのカニ祭りで購入された毛ガニ(チルド)が毎年我が家へ届くのだが、そりゃもう美味かった。
カニの解体はハサミと素手。特に素手、かなり重要。
足はハサミに任せるとして、問題はボディだ。あの中には思った以上の身がある。
体内は薄い殻で細かく仕切られており、半身でも10分割以上はあるのではないだろうか。1本の足に対して仕切りは2つ以上ある。足の延長の部分だけにしか身がないと思っている人は多いが、実はそれだけじゃない。ボディを細かく分解すると、えっ、こんなところにも身が隠れてるの? と思うこと請け合い。
ボディは薄い殻と身しかない。もしボディで薄い殻以外のところが残っているとしたら、そこには身が潜んでいる。気をつけよう。
余すところなくカニを食するボクは解体をいつも任される。しかし1匹に対してかかる時間は40分ほど。解体しながら食うなんていう、よそった米が冷めるようなことはしない。食事前にひとり解体ショーを行う。
そして実食時に取り出すのは、このためにピンポイントで開発された品、その名もカニ酢だ。凄いよな、カニを食うためだけに作られたものなんだぜ。もう世間がそれだけカニを求めていると言っても過言ではない商品だ。
カニ足が好きな人は多い。しかしボクはボディのほうが好きだ。ボディの身のほうが美味いと思っている。だからこそボディを細かく砕くように分解し、少しでも身を味わおうとする。
カニの身は3分の2ほどカニ酢でいただく。残りはもちろんミソと和える。
毛ガニはやっぱミソだ。いや、カニミソといえば毛ガニだ。反則級に美味い。これだけ食って生きたいと思えるほどである。
しかしこのカニミソは結構曲者で、プリン体やカドミウムが多いため、摂取し過ぎると体に悪影響を与える。注意せねば。
美味いものを食するのはやはり健康な体があってこそ。体を気遣うことでいつまでも美味いものを食べ続けられるようになる。世の中バランスが大事。
ちなみに毛ガニ祭りは北海道の数カ所で行われているらしい。なんて羨ましいんだ。いつかは行ってみたいものだ。カニラブ。
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