ハッカクの一夜干し
ハッカクは通称で、漢字で書くと八角。ぶつ切りにすると断面が八角形だからという理由でそう呼ばれている。その正体はトクビレという名の魚だ。
トクビレは漢字だと特鰭。その名の通りヒレがとてもでかい。こいつヒレだけで泳いでんなー感がある。まあ大抵の魚はそうなんだけど。
で、そんなハッカクのうんちくなんてどうでもいいわけだ。問題は食って美味いかどうかである。
ボクがいつも買いものに行く、とある百貨店に入っている北海道の魚介類を専門に扱っている店での出来ごと。
無冷凍でその日できたばかりのホッケの一夜干しが売られていたから速攻で入手し、今夜はホッケの干物だと喜んでいたところ、店長が店に並べていない商品を取り出してボクに薦めてきた。
なんでも常連客で干物とかが好きな人に、こういう商品もあるよと紹介しているとのこと。北海道ではお馴染みらしいが、東京などでは滅多に見ないこのハッカクという魚、ちょっと興味がある。
こっちは冷凍だから今日食べなくてもいいやと、とりあえず買ってみた。
それが1週間くらい前の話。そして今日……というかさっき食った。
うん、あれはやばい。美味いものばかりの北海道の商品を扱っている店長が薦めてくるだけはあった。
よく冬場の魚は脂が乗って美味いという。つまり魚の脂は美味いわけだ。
だったらハッカクは間違いなく美味い。だってあれ、魚の脂の塊だから。
どこに箸を入れても脂が出る。全身に魚の脂が巡っている。しかも白身魚なのに淡白ではなく、脂効果もあってか旨味がどこからも感じられる。
なかでも骨周りは凄い。思わず骨をしゃぶってしまいそうになるくらい魚の脂が集中している。焼き魚好きにはたまらないだろう。
大根おろし必須。口の中ぎとぎとになる。でもしつこい嫌な脂ではなく、いくらでも取り込みたくなる脂だ。
んで後悔する。足りない。あれだけのハッカクじゃ脳が満足してくれない。もっとでかいハッカクが欲しかった。今度また買おう。
あと悔しいことに、都内ではそう手に入るものではなく、あったとしても大抵干物とかになってしまう。だが北海道では刺し身などでも食されるらしい。
あれだけ脂の乗った魚の刺し身……。それだけで口の中が戦闘モードになってしまう。まるで梅干しを見たときの状態。パブロフ的な感じ。
今度北海道に行ったら絶対! ハッカクの刺し身! 食うぞ!
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