壺焼き芋 紅はるか
壺で焼いてるだけでただの石焼き芋だろ? そんなことを考えていたときもありました。
だが諸君、壺焼き芋と石焼き芋は全く違う。
まずその違いを説明すると、石焼き芋とはその名の通り石で焼くわけだ。高温になった石によって遠赤外線とやらを浴び、中まで熱を通そうという魂胆だ。
しかしこいつには欠点がある。高温の石に直接芋が触れるため、焦げる。そして外側の水分は蒸発してしまうのだ。
壺焼き芋とはその欠点を補ったものだと思えばいい。
熱源は壺の底。そして芋は吊るして熱する。つまり熱源に触れることなく温めることができる。芋は蓋を閉じられ封じられた壺の中、水分も逃げ場がない。だから乾燥することもない。
つまり壺焼き芋とは今までの焼き芋の欠点を補い、更にねっとりしっとり感を上げているのだ。スバラシイ。
もちろん若干であるがお高い。焼き芋の販売車から買うのもなかなか高価だが、最近だとスーパーの入り口などで安い焼き芋が手に入るだろう。それを基準で考えると高いわけで、販売車の石焼き芋と比べると、決して高いわけではない。
そんな壺焼き芋に、そのへんのよくわからない芋を入れることはない。ジャンルとしては蜜芋と呼ばれるブランド芋だ。有名どころだと安納芋だろうか。
安納芋も甘くてねっとりしているのだが、ここはひとつ、紅はるかを推す。
なにせ甘い。果物の糖度なんか遥かに超えている。これ以上甘いものなんて角砂糖をシャリシャリ食うしかないんじゃないかと思えるほど甘い。芋史上最甘といわれるだけのことはある。
そしてねっとり。スイートポテトなんか目じゃないくらい甘くてねっとりしている。スイートなんて幻想だったんだ。本当の甘いはここにある。
ホクホク感はない。それを求めたいならよそ行きな。ここはねっとり好きのネットラーの巣窟だ。もちろん嘘だけど。
壺焼きされた紅はるかは、石焼き芋によくある外側しっとりの内側パサパサがない。芯まで全て蜜みたいな感じだ。透けるんじゃないかと思えるくらい半透明。
当然それだけ蜜があれば溢れてくる。皮のところにべったり付いていたりもする。
だがそれをもったいないと思ってはいけない。なにせ中は全て蜜だ。これしき出た程度で損なわれるほどやわじゃない。
それに何度も言うが、甘い。これ毎日食ってたら糖尿になるんじゃないかと心配になるくらい甘い。甘党大満足。
できればお茶が欲しい。苦目のやつ。口の中がさっぱりする。
そこでまた食べる。甘い! お茶! そして芋! 交互にエンドレス。
もうこれだけで腹いっぱいにしていいや。夕飯? そんなものあったっけ。
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