しほろ牛

 ブランド牛を人に尋ねると、大抵の人は松阪牛や神戸牛、飛騨牛や米沢牛などが出てくるだろう。しかし牛で連想される都道府県を尋ねると、やたらと出てくるのが北海道。だが北海道はホルスタインやジャージーが多く、どちらかと言えば肉というより乳製品のイメージである。

 それでも近年では食肉用北海道牛のブランド化が進み、例えば十勝和牛などはそれなりに名が知られつつある。

 そんなわけで今日は北海道の食用牛、しほろ牛について。


 北海道にある士幌町。ここはいわゆる十勝地方に位置する町だ。

 しほろ牛は種別だと和牛類ではなく、ホルスタインのオス。だから和牛だと思いサシの甘みを期待しているとがっかりする。

 だが赤身の牛肉としては、さすが日本の牛肉産業といえるほどのものだ。

 まず柔らかい。アメリカンなビーフと異なり、それなりに焼いても柔らかさが残っている。それでもオージービーフのような牛味が足りないわけではなく、ちゃんと牛々しい。

 ホルスタインって乳牛のイメージしかなかったのに、これほど食えるものなのかとちょっと驚く。美味い。


 脂身も美味い。豚肉と違い、牛の脂身はあまり体に良くないと言われている。

 それがどうした。そんなこと常に考えていたらいつまでたっても美味いものになんかありつけない。別に毎日食うものじゃないんだし、たまに食うものだったら多少健康に悪いくらい良いじゃないか。それが一生抜けない毒であり、どんどん蓄積していくものであるのなら考えものだが、しばし放っておけば消えるものであれば、たまの摂取もいいものだ。


 まあでも脂身に関しては苦手な人も少なくない。特に女性からは不評だ。

 しかし前もって述べたように、しほろ牛は赤身がメイン。脂身を取ったところでその戦闘力に疑問は抱かない。


 もちろんアメリカンなビーフだって悪くない。あれこそ牛というくらい牛味に満ちている。たまにコストコで買う。

 しかし食べやすさで比べたらやはりしほろ牛だ。さすがに箸で切れるというようなことはあり得ないが、噛み切りたいと思ったタイミングで噛み切れる。


 和牛でも赤身で勝負しているブランドもそれなりにあるが、たまには和牛ではなく国産ホルスタインもいいものだ。

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