幕間
斑鳩藍
「こちら斑鳩、無事に賀上涼汰に接触したよ」
深夜のホテル。彼女、斑鳩藍は自室のベッドに腰かけて電話をしていた。
「ああ、問題はない。無事に協力を仰ぐこともできた。彼の方も思うとところがあったようでね、すんなり了承してくれたよ。もっと感情的になっているかと思ったら、存外彼は精神的に強いみたいだ。あるいは、今時の子ってやつはみんなあんなもんなのかね? 歳をとったつもりは勿論ないが」
シャワーでも浴びたのだろう、彼女はバスローブに身を包み、タオルでその長い髪の毛を纏めていた。乾いていないその髪の毛からは、ポタポタと水滴が落ちる。
「ああわかっているさ。今回の事件、これで済むとは思えない。私の予測では、もっと大勢の人間が死ぬだろう。何人か、おそらく三人前後の人間が死ぬ可能性が高い。勿論それは、私が事件を解決しなければの話だが」
死。その言葉は本来ならばとても重いはずなのだが、彼女が言ったその言葉はとても軽く響く。彼女にとって、死とは何気ないもので、身の回りに存在してしかるべきものなのだ。
「それに、賀上君の事もある。彼には注意を払わなければならないだろう」
電話越しの相手は、そこで疑問を彼女に投げかける。当然だ、賀上涼汰は彼女の協力者で、疑う理由が存在しないはずだからだ。
そして電話越しの相手は、その事を直接彼女にぶつける。
「なんで疑うのかって? しいて言うなら探偵の勘…………と言いたい所だが、理由はしっかりある。賀上涼汰、彼は嘘をついている」
そこで彼女は、声のトーンを一段階下げる。
「正直いって、彼が犯人という可能性も捨てきれないんだよ」
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