第3話 少年の名前

私が生まれた頃からずっと身につけている鮮やかな赤いドレスがとても目立ってしまって落ち着かない。


部屋を見渡すと置いてあったのは

もうボロボロになった毛布、サイズの合っていない女の子用の綺麗なワンピースやスカートの山。それから一つの写真立て。


「レン!レン!いるんでしょ?!」


私の上に服が飛んでくる。

服に包まれて視界が閉ざされる。


ダンッ

乱暴にドアが開く音が聞こえる


「は、母上...!」


“母上”?レンの呼び方に違和感を憶える。


「なんで返事しないの?!何回呼んだと思ってるのよ!」


「ごめ、なさ...」


バシッ


「母親に対して何なの?その口の聞き方は!貴方をここまで大きく育ててあげたのは誰だと思ってるの?!」


「も申し、訳...ございません」


「これから私とセトラの友達が来るから、静かにしてるのよ?」


「はい」


「あなたがいることは教えてないんだから。あ!それとも使用人奴隷として参加する?」


「い、いえ...」


「なに?」


「そうさせていただきます」


ってどう?」


「使用人として、参加させていただきます…」


「あ、でもダメね。こんな薄汚いのがいるなんて知れたら、私の格が下がるわ。でも、用意だけなら参加させてあげてもいいのよ?」


「はい...」


「もっとハッキリしゃべってちょうだい!何言ってるか聞こえなくてイライラするのよ!はぁ...もうなんで」


ブツブツ言いながらレンのが出ていく。


キィ


バタン


「ごめんね」


私の上にかかった服を退かしながら謝るレンの瞳は5歳とは思えない程、光がなかった

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