第8話 王都に着く

仲間が1人増えた俺達は安全に王都についた。辺りは夕日に照らされオレンジ色に染まっていたため早く宿を探しに行こう、ということになり会議することになった。広場の一角にベンチを発見したため、俺達はそこに座る。シアンとホノカは離したほうがいいかな、と思ったので真ん中に俺が座ろうとするもシアンに邪魔されたのでどうでもよくなってやめた。危険なのは俺じゃないしいいや。


「よし、宿を探そう!」

「どんどんぱふぱふ〜♪」

「さて、宿は誰が探しに行くんだい?」

「あ、私が行きたい!」


宿のクオリティを1番気にするのはホノカっぽいし任せよう。


「じゃあ、ホノカいってらー」

「え!? か弱い少女一人で行かせて大丈夫なのかい?」

「大丈夫大丈夫! 行ってきます!」


そう言ってホノカは走っていき5分後には完全に姿が見えなくなった。…あいつ足遅すぎだろ。後で手鏡使って運動力見てみるか。試しにシアンの運動力でも見てみようとシアンの方を向くと


「大丈夫かな大丈夫かな大丈夫かな大丈夫かな」


うわっ、気持ち悪っ! 手鏡をシアンに渡すことも忘れて俺は心からそう思ってしまった。


しばらくしてホノカはパンフレットのような物を持って帰ってきた。


「ほら、こことかどう? 部屋から見える景色もいいし、朝食と夕食完備!」

「大丈夫かな大丈夫かな大丈夫か…、あ、戻ってきたんだね! ホノカちゃん! いいと思うよ!」


こいつまだそれ言ってたのかよ。まあ部屋については俺も賛成だ。あとは値段だが…。


「おい、ホノカ。その宿、一人で一泊いくらだ?」

「えーっと…。1人5000ラルドって書いてある」


らるど…? またわからない単語が…。とりあえずシアンに所持金を聞いておこう。


「シアン、今お前はいくら持ってるんだ??」

「ちょっと待ってね。財布を見るから」


そう言うとシアンはポーチから財布を取り出した。


「23880ラルドだったよー」

「おい、1日しか泊まれないぞ、どうしてくれるんだ」

「え、僕の扱い酷くない??」


シアンが何かを言っているが、俺はもっと気になることを発見してしまった。シアンの持っている財布は美少女のイラストがプリントされた物だったからだ。何でここにこんな物が…。それを愛用しているシアンもシアンだが、その事については触れないでおいてやるか。


「ま、まあまあ。二人共、1日泊まれればいいじゃない! 明日何か狩りに行こうよ! シアン君もいるんだし!」

「シアン君…!?」


シアンはまたニヤニヤしていた。どうせ心の中では(初めて名前で、しかも君付けで呼んでくれた…!)なんて思ってるんだろうな。


「初めて名前で、しかも君付けで呼んでくれた…!」


寸分違わず合ってたな。あと心の声丸聞こえだぞ。


「…何言ってんの?? 一旦宿屋へ行ってみようよ!」

「ああ、行くか」

「ま、待ってよ、ホノカちゃん!」


シアンが物凄いスピードでこっちに走ってきた…!


辺りはだんだん暗くなってきていた。俺達はまだ人通りの多い道を通っているとシアンが話しかけてきた。


「おや、見たまえコダマ。くじ引き屋があるぞ。やってみないかい?」


シアンが指を指した先には、どう見ても怪しいくじ屋があった。1回1000ラルド! 1等は50万ラルド! などと書いてある。俺はもとの世界でくじ屋に散々騙されてきたのでわかる。あれは10回やってもハズレとか、そんな感じだろう。


「まあ、奢ってくれるならやるよ。俺ら一文無しだから」

「え、奢ってくれるの!? やりたい!」


ホノカも食いついてきた。これは奢るしかないよな??


「あ、ああ。最初っから奢ってやるって言おうと思ってたんだ! さあ、みんなで引こう!」


シアンの目尻に涙が溜まっていたように見えたのは気のせいだろう。果たして当たるのか…?

俺はシアンがクジ屋へ走っていくのを見送った。

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あなたの魂は何色ですか? 〜アヴィルス冒険録〜 灰。 @haimaru8285

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