第5話 魂技
俺とホノカ、それに住民は帰ってくるまで話そうという事で、和気あいあいと話していた。そして20分ほどたった頃、ただいまー、という声がテントに響いた。俺は待ってました!とばかりに立ち上がり、出口の方へ急ぐ。
「おはようございます! お邪魔してます! 僕の魂技の適正を見てもらえないでしょうか!?」
いきなりこんなことを言うのは失礼だと思うが、そんなことは考えられないくらい気分が高ぶっていた。楽しみだ…!
「あ、ああ。わかった。君は誰なんだ? 一体何故そんな服を着ているんだ?」
そうか、パジャマも珍しいのか。俺は自己紹介をし始める。
「俺はコダマです! なぜだか分かりませんがここにいました! さあ、魂技の適正を見てください!」
「わ、わかった。じゃあそこに立ってくれ」
俺は言われたとおりの場所に立つ。住民の仲間は
「それじゃあ、今から言う俺の質問に答えてくれ」
と言った。どんな質問が来るのだろうか。特技? 年齢? 何でもバッチコイだ!
「はい、わかりました」
「君の好きな色はなんだ? 嘘はダメだ。本当に好きな色を教えてくれ」
好きな色か…。好きな色といえば思い浮かぶ色は1つだけだ。
「緑です」
テント内が静寂に包まれた…。俺は緑色が小さい頃から大好きだった。今来ているパジャマも緑だ。ランドセルも緑だったなぁ…。俺は色々思い出していると、住民の仲間は検査を終えたようで
「君は魂との結び付きが強そうだ。多分この術をかければ上手く使いこなせるようになるだろう」
住民の仲間はそう言って、手の上に虹色の光を出した。そして手を俺の顔の前に突き出してくる。これで俺も魂技デビューか…! 楽しみすぎる…! 体の中に力が満ちたと思うと住民の仲間は手を戻していた。
「これで君も魂技を使えるようになった。使うにはちょっと想像力が必要だがね」
「想像力ですか! 自信あります!」
そう言い俺は魔法を使う想像をし始めた。中学の時に散々魔法を使う特訓をしていたからな。行けるだろう。俺は厨二病が再発しそうになるが抑え、そして…。
「ハァッ!」
そう言った瞬間、手から緑色の風が出てきた。
「す、凄い…!」
緑だから風なのか。ゲームでも風属性は緑なイメージあるからなぁ。
「ありがとうございます!」
「君の想像力と魂が良かっただけさ。その魂技、役立ててくれよ」
「はい! 無駄にはしません!」
せっかく魔法が使えるようになったんだ、有効活用させてもらうさ!
「魂技は体内の魂を消費する技だ。魂が全て無くなると死にはしないが、倒れて1歩も動けなくなる。それにこの世界で魂技が使えるやつは人口の3割程度しかいない。街の中で使ってしまうと、魂技を使えない奴らが妬みで襲い掛かってくる。注意するんだな」
そうなのか…。魂技も万能じゃないんだなぁ…。その後、ホノカにも魂技が使えるようになったり、住民達が色々な物を恵んでくれたりした。住民達はとりあえずニュアクル王都に行け、と言っていたので俺達はそこに向かうことにした。
「よし、行くか!」
こうして、俺達はネイアリー野営地を後にした。
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