第4話 この世界のこと
通路を通り部屋に着いた。俺とホノカが椅子に腰掛け、住民は飲み物を入れに行ったのか知らないがどこかへ行った。テントは思ったより広く、ところどころから外も見えるため窮屈に思うことはない。住民は帰ってくると
「さ、これを飲みながらこの世界のことの説明でも聞いていきな」
と言った。本当に優しい人だ。俺の家の周りには好戦的な奴しかいなかったのに。ホノカも含めて。
「ありがとうございます」
ホノカは喋らないので俺が話を進める。渡された飲み物を飲むと、イチゴのような味がするジュースだった。ホノカは何もしていないのにどんどん飲んでいる。急な展開に驚いて、景色を堪能する時間が無かったけど、ここって本当に幻想的な場所だよな…。ホノカも一緒の量のジュースをもらっているのは気に入らないが景色の良い場所で飲む美味しいジュースは最高だ…!
「美味しいです。 ここまでしていただいて本当にありがとうございます」
「いやいや、礼には及ばんよ。それで何が聞きたいんだ? 最近寝てたらここに来たって人が多くてね。大体何が聞きたいのかはわかるけど」
あまりに感動していて聞く事を忘れていた。って、俺達以外にも飛ばされたやついるんだな。
「そうだった…。ここはどこなんですか? 何という場所なんですか?」
まずはこれを把握しないとな。地球だったりしたら面白いが…。
「ここはアヴィルスのニュアクル王国、ネイアリー野営地だよ」
住民がゲーム内の街の門番のようなことを言った。失礼だが本当にそのように聞こえた。
「そうなんですか…。やっぱり知らない場所です。そういえばあなたはここに一人で住んでいるんですか?」
ここは広いのにこの人だけしかいない。ちょっと気になったので聞いてみた。
「違うよ、ここにずっと住んでいるわけじゃないんだ。私たちは各地を転々としているんだ。今皆はは狩りに行っているよ。モンスターは危険だが狩ると毛皮や肉、爪などが手に入るからね」
まさか…。ゴブスターハンター的な感じなのか!?
「それって剣や魔法とか使うんですか!?」
俺は日々異世界転生を夢に見ていたのでこれは今までで1番気になることだ。思わず顔を近づけて聞いてしまう。
「顔が近いって…。勿論剣や斧はあるけど良く使うのは魂技(こんぎ)かな。魔法というのは多分君達の国の魂技だろうね」
魂技? これは大切な単語の予感がしますなぁ。異世界に影響されたのか俺はちょっとおかしな感じになっていた。ん? 魔法と一緒?
「魂技って、俺でも使えますか!?」
と俺が聞くのと同時に、喋っていなかったホノカが
「魂技って、私でも使えますか!?」
と聞いていた。何なんだ、こいつ…。
「いきなり話に入ってくるなよ…」
「何よ! 魔法なんて一度は使ってみたいじゃない!」
本当に可愛くねぇな…。
「まあまあ、落ち着いて…。魂技は魂と感情の結び付きが強くないと使えないんだ。
魂技に詳しいやつが仲間にいるから帰ってきたら素質を見てもらえばいい」
俺達は二人揃って
『わかりました!』
と言い行儀良く座った。
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