精霊界での5日目。

- ピピピピピ -


あの独特な音。一応、鳥のさえずりだ。窓から光がさしこむ。

ベランダには大きな鳥がとまっていた。

この鳥の鳴き声、目覚まし時計的な何かを感じてしまう。

左足は、昨日より少し痛みを増している気がする。

訓練に、行きたくない気持ちが強い。


- コンコン -


ドアをノックする音。レイが朝食を持ってきたのだろう。


私   「おはよう。」


レイ  「おはようございます。 朝食をお持ちしましたよ~♪」


私   「あぁ、ありがとう。」


レイ  「足の調子は、どうですか?」


私   「少し痛むが、まぁ、なんとかなるだろう…。」


レイ  「そうですか、それなら良かったです。」


そう言って、レイは行ってしまった。私は、服を着替えて食事をする事にした。

今日は、1日ずっと自分で行う訓練。しっかり訓練して、明日はギールとの勝負。

負けられない。なんとしても、最初の被害が出る前に食い止めないと…。

考え事をしていたら、味を楽しむ前に食べ終わってしまった。少し残念だ。

そして、いつも通り、レイの待っている一階へ急ぐ。


私   「お待たせ。 じゃあ、行こうか?」


レイ  「はい、行きましょう。

     今日の訓練は、ギールさんは一緒じゃないんですか?」


私   「今日は、私一人で訓練をするみたいだな。」


レイ  「それでは、早ければ明日にはギールさんと勝負を?」


私   「一応、明日の予定にはなっている。」


レイ  「ギールさんは強いから、頑張ってくださいね。

     私は今日、ギールさんと勝負する事になっています。」


私   「レイも勝負しないとダメなのか?」


レイ  「はい、私はシールドの勝負ですけどね。」


私   「頑張れよ?」


レイ  「はい、ありがとうございます。」


どうやら、レイも勝負をしないといけないらしい。ギールは、勝負が好きなのか?

色々な事を考えていたら、ギールの家にすぐに着いてしまった。

そして、いつも通り兵士が顔を出す。もう、顔パスで中に入れるようになった。

挨拶だけは、礼儀としてしなければならないが…。


ギール 「よし、それじゃあレイは勝負を…。

      お前さんは、訓練をしてきなさい。」


私   「はい、分かりました。」


そして、私は訓練施設へ向かった。訓練内容としては、ほぼ同じ内容。

あとはいかにスムーズに、攻撃をするか…。そして、回避をするかにかかっている。

私は、訓練装置を作動させ、訓練に入った。1つ目の的は軽く撃ちぬける、2つ目の的も攻撃を回避して、すぐに撃ちぬける。そして、最後の大きな的。火と水。攻撃を回避しつつ、今までの武器とは違う新しい武器の構想を練りながら動く。そして、新しい武器を思いついた。それを思い、実際に作り出す。そして、撃つ!が、この新しい装備は、的には効かなかった。そう簡単なものでは無いらしい。攻撃を回避しつつ試行錯誤で色々な武器を作り出しては、的に当てての繰り返し。それでも、ついに納得のいく武器を作り出す事が出来た。繰り返し繰り返し、基本を覚えるのは大事な事。午前中は、その訓練を絶え間なく続けた。

足の痛みも忘れて…。だが、流石に同じ訓練ばかりでは、応用が利かない。訓練装置を見てみると、今の訓練のレベルは、7段階中の3をしめしていた。そこで、私は7段階中の7にセットしてみた。新しい的が現れる、小さな的が2つ、普通の的が2つ、大きな的が1つ出てきた。これを、クリアーすれば、ギールに勝てる確率も高くなるに違いない。

午後からは、この設定で訓練することにしよう。時刻は昼前、食事がしたい。

すると、そこへ兵士が現れた。


兵士  「お食事は、どうされるのですか?」


私   「どうしようか考えていたところです。」


兵士  「それでは、食事を用意していますので召し上がりますか?」


私   「用意してくれているのなら、いただきます。」


兵士  「分かりました。 こちらにお持ちします。」


そう言うと兵士は、行ってしまった。それにしても、かなり汗をかいたな。

これは、宿に戻ったらすぐにお風呂に入らないと汗臭いな…。

しばらく、現実逃避をしていたら兵士が食事を持ってきた。


兵士  「どうぞ、お召し上がりください。食べ終わった後は、その辺りにでも

      置いておいてください。訓練が終了したら、持っていきますので…。」


私   「あぁ、ありがとう。 あの、ギールさんは強いのですか?」


兵士  「強いです。でも、勝負と言っても1回でもギールさんに攻撃が入れば

      あなたの勝ちになります。でも、油断はしないでください。

      あなたがボロボロになるまで勝負をしても、1回も攻撃が入らない

      可能性は大いにありますから。」


私   「あぁ、ありがとう。」


どうやら、ギールは強いらしい。どれほど、強いのか…。気になって仕方がない。

でも、今は訓練あるのみ…。私は、食事をささっと済ませ、再び訓練に戻った。

難しいレベルの訓練。これをクリアーしなければ、ギールには勝てない気がする。

私は、訓練装置を起動させた。目標、小さな的2つ、普通の的2つ、大きな的1つ。

私は武器を作り出し、そのまま的めがけて入って行った。

手始めに、小さな的と普通の的を1つずつ撃ちぬいた。

攻撃も回避し、すぐに大きな的1つが残る状態になった。

私の能力もある程度は、使えるようになったらしい。しかし、大きな的。火と水だけじゃない。頑丈なブロックみたいになっている。試行錯誤して、色々な武器で撃ってみるが全く効かない。その間にも、攻撃は増す。攻撃をよけながら必死で考える。火、水、ブロック。火も私の思いの水では消えない強力なもの。水も消えない。

ブロックは、弾を弾き返している。全く、的にダメージがない。もっと、強力な武器が必要だ。いったい、どんな武器が…。いや、思いで物を動かしたり作ったりする事が出来るんだ。そしたら、あの的に思いの力を送れば火は消せるのか?攻撃をよけつつ、それを試みたが全く何も起こらない。そう言う簡単なものでも無いのか…。一つずつ確実にやるしかないみたいだな。まずは、火からだ。私は、火だけに意識を集中して火に対応できる武器を作り出し撃った。すると、火は消え去った。

これだ、この方法だ!水は、氷らせて破壊した。あとは、ブロック。相当の威力のある弾でなければ、破壊できない。私は、弾が大きな銃を作り出しブロックめがけて撃った。ブロックは、粉々に砕け散り。的も消えてなくなってしまった。かなり、手こずったが最大のレベルをクリアーした。体力は、かなり消耗している。思いの力で精神的にもダメージが大きい。これなら、少しはギールとまともに勝負が出来るかもしれない。かなり、汗をかいた。周囲を見てみると暗くなってきている。このレベルにかなりの時間を費やしたようだ。レイの方は、もう終わっているだろうか?

レイを迎えに行こうとしたら、レイの方から私を呼びに来た。


レイ  「お疲れ様~。 もう、帰れますか?」


私   「あぁ、もう帰れるよ。 かなり、疲れたけどね。」


レイ  「汗びっしょりじゃないですかっ!?」


レイが驚いて言う。確かに、汗びっしょりだ。今日は、洗濯機をまわさないといけないなぁ…。


私   「で、ギールさんとの勝負はどうだった?」


レイ  「互角でした。私は、戦いに行く事を普通に許可されました。」


私   「互角って、そんなに力があったのか?」


レイ  「人間界でシールドを作って、自然と力がついていたみたいです。」


私   「それは、良かった。 おめでとう。」


レイ  「ありがとうございます。 明日は、頑張ってくださいね?」


私   「自信はないが、全力でいかせてもらうよ。」


レイと会話をするも正直、早く宿に帰ってお風呂に入って汗を洗い流したい。

私は、汗をかくのは良いが、そのあとはすぐに洗いたい。

汗に風があたって少し寒く感じる。


レイ  「早くお風呂に入りたいでしょ?」


私   「ぇ? 心を読んだのか?」


レイ  「まさか、私がそこまで汗をかいたら絶対にお風呂入りたいから☆」


私   「そうだな。宿に戻ったらすぐにお風呂に入る。」


レイ  「明日は、ギールさんとの勝負なんですから、長風呂はダメですよ。」


私   「分かったよ。」


そして、宿に到着した。私は、レイとわかれて自分の部屋に急いだ。

部屋に入って電気をつけるなり、湯船に温泉を入れ始めた。

服もすぐ脱いで、洗濯機へ…。おそらく、洗濯機の隣に置いてあるこれは洗剤だろう。

1個投入して、洗濯機を回し始めた。服を脱いでも汗臭い。

かなり、汗をかいたから仕方がないけど…。少し左足の痛みもひいてきた。

明日は、ギールとの勝負か…。そんな事を考えていたら、湯船が温泉でいっぱいになった。私は、身体をシャワーで流し湯船につかった。


私  「ふぅ~…。」


思わず、声が漏れてしまった。

この温泉のおかげで、明日も筋肉痛にならなければ良いなぁ。

少し長く湯船につかり、あとはシャンプーと身体を洗って、すぐにお風呂を出た。

さっぱりしたし、パジャマがさらさら、ベッドにダイブした。

ファルルを見てみると、充電してくださいの文字が…。

そう言えば、ファルルを購入してから一度も充電していない。

私は、ベッドに横になってファルルの説明書を読んだ。

なるほど、一回の充電で約一ヵ月、使えるのか…。

購入したばかりの時は、電池が長持ちしないのですぐに充電してください。

あぁ、充電していなかったな。

私は、線をつないでファルルを充電状態にした。

こう言うのは、充電中に操作はしないでください的なやつだろう。


- コンコン -


ドアをノックする音がした。

レイが夕飯を持ってきてくれたのだろう。ドアを開けると、そこにはレイが居た。


レイ  「はい、今夜の夕食です。 ギールさんとの勝負をひかえていますので

     お肉系の料理にしました。しっかり食べて、しっかり休んでください。」


私   「あぁ、ありがとう。 ちなみに、美味しそうなお肉だけど何の肉?」


レイ  「実物を見た事が無いと思いますが、人間界で言うと牛のお肉みたいな

     感じです。」


私   「なるほど、食材も覚えないといけないな。」


レイ  「焦らなくて良いですよ。(笑) ゆっくりで…。」


レイは、笑いながら言った。

私にとっては、何の食材か分からずに食べているのもちょっと気が引けてしまう。


レイ  「それじゃあ、まだ早いけど、お休みなさい。」


私   「あぁ、お休み。」


そう言うと、レイは行ってしまった。私は、夕飯を食べる事にした。

結構、美味しそうなお肉だけど、こんなに大きな肉、食べきれるだろうか?

ちょっと、今夜の料理は私には多いような…。

そう思いながらも美味しいので、食べきってしまった。

そう言えば、ファルルの充電にはどれくらいの時間がかかるのだろう…。

再び説明書に目を通す。約10時間か…。明日にならないと使えないな。

テレビも見ないで、ゆっくり過ごすか…。

そう言えば、お金を稼げるようになったら本とかも欲しいかも…。

そんな事を思いながら、暇だったのでベッドに横になった。

精霊界に来て、5日目の夜か…。

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