精霊界での4日目。

- チュン チュン -


朝が来た。鳥のさえずりが心地いい。

ベランダを見てみると、また小鳥達が遊びに来ている。

眠い目をこすりながら、再びベッドに横になった。

筋肉痛にはなっていないけど、今日もギールの所へ行かないといけないのか…。

そう考えると気が重い。

今日こそ、あの訓練をクリアーしたいと思うが、出来るかどうかがすごく不安だ。


- コンコン -


ドアをノックする音、レイが朝食を持ってきた。


レイ  「あれ? 今日はまだ、パジャマのままなんですね?」


私   「あぁ、ちょっと横になっていたから…。」


レイ  「そうですか…。 で、こちらが今日の朝食です。この容器に入って

     いる液体をかけて、食べてくださいね。」


私   「分かった。」


今日の朝食は、この液体をかけて食べるのか…。それにしても、液体って…。

液体って、何やねんっ! ちょっと、怖いわ! そう思いつつも液体をかけて

食べてみると、それは意外に美味しかった。

今のところ、精霊界での食事にはずれはなく、どれも美味しい。まずいものは、無いのか?食事を済ませた私は、服を着替えて、レイの待つ1階に向かった。

これが、私達の今の生活スタイルになりつつある。


私   「おまたせ! じゃあ、今日もギールさんの所へ行くか?」


レイ  「はい、行きましょう♪」


その後も、色々と話をしながら歩いているとギールの家についた。

いつもの兵士が顔を出す。


兵士  「はい、どうぞ中へお入りください。」


レイ  「ありがとう。」


私   「ありがとう。」


そして、ギールの居る所に案内される。


ギール 「流石だな。 もう来ないと思っていたが…。」


私   「そんな事はありませんよ。 今日もよろしくお願いします!」


ギール 「分かった。 それでは、レイは昨日と同じように訓練を…。」


レイ  「はい…。」


ギール 「お前さんは、私についてきなさい。今日の訓練は昨日の続きから

      行う。」


私   「はい、分かりました。」


訓練施設に入り、新しく的が2つと大きな的1つが用意されていた。


ギール 「昨日の事を忘れずに、思い出しながらやるのじゃ…。」


私   「はい、分かりました!」


1つ目の的は無事に撃ちぬいた。そして、2つ目の的。

昨日と同じように攻撃をしかけてくる、攻撃をよけながら強く思い武器を生み出す。

攻撃をよけ銃を出すところまで出来た。あとは、撃ちぬくだけ。

撃つ事は出来たが、外してしまった。昨日よりは進歩している。

銃も消えないまま、残っている。攻撃をよけながらもう一度、的を狙う。よし、当たった!

的は吹き飛んだ。残すは、大きな的1つ。的の左側は火、右側は水のように見える。

攻撃は、今のところない。銃を向けて撃つ。当たらない。

火を弾は貫通する、水も弾は貫通する。的を当てられない。思いが弱まり銃が消える。

すると、ギールが話しかけてきた。


ギール 「油断せず、その警戒態勢のままよく聞け。属性をよく考えろ。

      火には、水の攻撃が有効。水には、火の攻撃が有効だ。

      属性を考えながら、その属性に合う武器を作り出し的を狙え!」


ギールは、簡単そうに言うが…。今の私に、そんな高度な力はない。

考えていると早速、攻撃が飛んできた。炎の弾。よけるしかない、私はよけた。

水と火を同時に攻撃できる武器を考えないと。

私は、火と水の弾をよけながら、武器を考えだしその武器を出した。

そして、同時に火と水を狙った。すると、火と水は消え、ただの的になった。

そこに普通の銃を作り出し、狙いを定めて撃った。

が、的には傷一つついていない。そこへ、また、ギールが話しかけてくる。


ギール 「敵の強度は1種類とは限らない。

      どのような敵にも対処できるよう強い力の弾も用意しておけ!」


私   「分かりました!」


私は、強い弾を撃てる武器を考え、それを作り出して的を狙った。

的は撃ちぬかれ、粉々になった。


- パチパチパチパチ -


ギールは、拍手をした。


ギール 「素晴らしい。

      まだまだ、攻撃力などバランスは悪いが、この短期間で

      ここまで成長できる精霊は、ほとんど居ない。」


私   「それでは、戦いに行く許可をいただけますか?」


ギール 「調子にのるな! 私の言った事を忘れたか?

      最後は、私と勝負をしてもらう。それからだ。」


私   「・・・・・。」


ギール 「悪魔のような存在に近づいていくと、それを護る敵も現れるだろう。

      その敵を倒しながら、進んでいけばそれなりの能力も身にはつく。

      ただし、私と勝負をして私がお前さんを見極めなければ戦いには

      出せない。」


私   「分かりました。」


ギール 「そして、今のお前さんの能力では私と勝負すらできない。

      勝負は明後日、行う事にする。今からの時間、そして明日の

      時間はこの施設を自由に使い、訓練に励むが良い。

      それじゃあな…。」


そう言うと、ギールは行ってしまった。被害が出る前に、消し去ってやる。

私の中で、強い思いが渦巻いていた。

その後、私は昼からの時間も食事もとらず訓練に励んだ。そして、夕方前…。

最後の訓練をしていた時、左足を怪我してしまった。

私は、ギールの元へ行き、今日の訓練は終了で少し怪我をしてしまったことを打ち明けた。すると、ギールは言った。


ギール 「自分で行う訓練で負った怪我に関しては、私は責任をもたない。

      自然に治るのを待つか、傷を治せる精霊にお願いするんじゃな…。」


一瞬、冷たさを感じたが、これは指導なのかもしれない。

私は、左足の怪我をそのままにして、レイを呼びに行った。


私   「レイ、今日はそろそろ帰ろうか…。」


レイ  「はい。どうしたんですか? その足。」


私   「訓練中に怪我をしてしまった。ギールは、自分で行った訓練で

     怪我した怪我は、治さないと言っていて…。」


レイ  「私の知り合いに、傷を治せる精霊が居るのですが…。

      今、ちょっと旅行中だから声をかけられません。」


私   「いや、良いよ。 これくらい、大丈夫。」


左足は痛いが、そのまま宿に向かった。

これは、温泉に入ると痛い分だな。


私   「レイ、傷口にはるテープみたいなのは無いか?

     はったまま、お風呂に入れるやつ。」


レイ  「あぁ、ありますよ。夕飯を持っていく時にお持ちします。」


私   「助かるよ。」


それにしても、明日はこの傷をかばいつつ訓練をしないといけないな。

明後日までに痛さが軽くなれば良いけど…。

宿に着いたら、いつも通りレイとわかれて、私は自分の部屋に向かった。

夕飯の後にお風呂に入るから、服も着替えず、そのままファルルのテレビをつけた。

ニュースらしきものをしている。

人間界のように道を歩いていたら切りつけられたとか、殺されたとか、戦争のニュースとかは流れない。

農作物の話や楽しい出来事や珍しい出来事を放送している。こんな平和なニュースを見せられたら、ますます悪魔のような存在とやらを早く消し去らなければならないと思ってしまう。


- コンコン -


部屋をノックする音がした。レイが夕飯を持ってきてくれたのだろう。

ドアを開けると、小さい女の子がいた。髪はセミロング、少しおびえている。


私   「どうした?」


女の子 「部屋、間違えました。 ごめんなさい。」


私   「あぁ、気にしなくて良い…。」


そう言うと女の子は、歩いていった。おびえていると言うか、怖がっていた?

心が読めたのか? 私に対して、恐怖を感じていたような…。

これが、精霊の心が読めると言う事なのか…?


と、女の子を見ていたらレイが来た。


レイ  「どうかされましたか?」


私   「あの子、部屋を間違えたらしい。」


レイ  「あぁ、どんな人が住んでいるのか気になったんだと思いますよ。

     あの子は、この宿で預かっている子なので、気になったのでしょう。」


私   「私の事、怖がっていたみたいだけど…。」


レイ  「人間界の何かを感じ取られたのかもしれませんね。

     はい、一応、これが夕食と傷テープです。」


私   「ありがとう。」


私は、食事を受け取って机の上に置いた。

そう言えば、レイはどの部屋で暮らしているのだろうか?

まぁ、そんな事を考えるだけの余裕が出来てきたと言う事か…。

今日の夕飯も初めて見る食材だな。この包みの中には、何が入っているのだろう?

あぁ、ご飯みたいなもの…。と言う事は、この表面のは玉子なのか?

人間界で言うオムライスのような感じの夕飯だ。食べてみると、やっぱり美味しい。

やはり、精霊界の食事にはずれは、無いんじゃないか?

食事を終えると、傷テープをはり、お風呂に温泉を入れ始めた。

左足の傷は、思っていた以上にはれている。明日の訓練に支障が出なければ良いが…。ファルルのテレビを流していたら、すぐに湯船がいっぱいになった。服を脱いで入る。

今日は、温まるだけにしておこう。

不思議と髪の香りも良い香りが続いているし、頭皮がかゆい訳でもない。

それに、左足も痛いし…。色々と考えていたら、のぼせそうになったのでお風呂を出た。

パジャマに着替えて、ベッドにダイブは出来そうにないので、ベッドの横に立って、倒れこんだ。精霊界での、4日目の夜。

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