アナザーストーリー
a.01 魔王姉妹の恋愛事情
真夏の太陽が容赦なく照りつける。
連日最高気温を更新している色欲領は今日も茹だるような暑さだったので、私はノワエちゃんの家に避難してきた。ルルカちゃんに「またサボりに来たのか」と言われたけど、お金を援助している対価もいただきに来たから、これは立派な公務なの。
森に囲まれたノワエちゃんの家は、遮る物が何もない色欲領よりもはるかに涼しいとはいえ、これほどカンカン照りだと流石に暑い。机に乗せた胸の谷間に、大粒の汗が流れ落ちる。今晩の事を考えると、それだけでも気持ち良くなれるほど昂ぶっている私は、気を紛らわすように紅茶を飲む。
昼間から愛し合ってもいいんだけど、今日はノワエちゃんに限界まで我慢してもらうことにした。ノワエちゃんに刻み込んだ魔法陣を発動させて一時間。横に座るノワエちゃんはいつも通りに振舞っているが、隣にある甘美な果実に貪りつきたい欲求を必死に押さえているのを感じる。私の甘い術は毒のように、じわじわとノワエちゃんを昂ぶらせる。
この中では唯一まともな性癖のルルカちゃんに、暴走して私を襲う、淫らなノワエちゃんを見せてあげたい。
「ってかさ」
主の前で頬杖をついてダラダラとしている、メイドとしては不適切な態度のルルカちゃんが話しかけてくる。
「二人はいつからただれた関係なの?」
「ん? ノワエちゃんが物心を付いた時には、もう深く愛し合っていたわよ?」
「うわぁ……。流石に引くわ……」
ルルカちゃんが身を抱きながら背もたれに体を預ける。
性に対して貪欲な淫魔たちの世界でも、小さな子供に手を出すのは異常性癖として認識されているくらいだから、この反応は致し方ない。……ってこの言い方だと、私が平気で小さい子に手を出しているように聞こえるけど、私はノワエちゃんだからそういうことをしたのであって、決して普段から小さい子に手を出しているわけではない。
「ちょっと姉さん。そんな恥ずかしいこと言わなくてもいいでしょ」
「あら~。愛し合ってることは恥ずかしいことじゃないわよ」
「わ、私は別に、愛してなんか……」
私が熱い眼差しで見つめると、目を逸らして呟くノワエちゃん。
「あら、私とは遊びだったの?」
「……私以外に関係を持ちまくってる魔族に言われたくありません」
そう言ってそっぽを向くノワエちゃん。ノワエちゃんを苛めると、コロコロと態度が変わるのが可愛い。私はそんなノワエちゃんをさらに苛めたくなった。
「ルルカちゃん、せっかくだからノワエちゃんの小さい頃の話をしてあげましょうか」
「ちょっと姉さん!」
「大丈夫よ。恥ずかしくて濡れちゃう分、今晩い~っぱい可愛がってあげるから」
私がおへそを突くと、ノワエちゃんの体に埋め込まれた魔法陣が桜色に光る。淫魔にしか見えない特殊な魔方陣。魔法陣が発動した途端に息が上がり、顔がポッと赤くなる。うん、今日も調子が良い。
とはいっても、ノワエちゃんは私より魔力も多いし魔法にも長けている。魔力だけじゃなくて単純な力でも負けている。私が長年かけて仕込んだ魔法陣なんて、一秒も持たずに消し飛ばせるけどね。でもそれをしない、さらに抵抗もしないってことは、私、好かれてるってことよね?
ノワエちゃんが静かになったので、うんざりした顔のルルカちゃんに、ノワエちゃんとの甘い思い出、特に記憶に残ってる百個目の魔法陣の話を始める。
(今日も暑いわね……)
大きい窓から見える太陽に文句を言ってから、私は特注した真っ黒なカーテンを閉める。
太陽が一番高くて一番暑い時間。水と氷の複合魔法で部屋の温度を下げているというのに、今日も茹だるような暑さだった。
(相変わらず暇ね……)
魔王には玉座に座っていないといけない時間がある。なぜこんな無駄な時間があるのかはわからないけれども、古くから伝わる仕来りで、領土を納める魔王達は今も従っている。
座っているだけで汗が額から頬を伝い、顎から喉を通って鎖骨に流れる。道中にあった汗を吸いながら大きくなって、最後に胸の谷間に流れ落ちる。
(これだけ汗をかいたら、そのうち谷間に川が出来るかもしれないわね……)
そんなわけのわからないことをボーッとした頭で考えていると、水晶に通信が入る。ノワエちゃんからだ。
最近少しずつ大きくなってきたノワエちゃんは、まだまだ未成熟だけど、少し前に比べれば随分と女の子らしくなってきた。少しずつ恥じらいも覚えてきて、イヤイヤと首を振ることも多くなってきた。そして絶頂に導かれる寸前に見せる、恐怖と期待が混ざり合った顔が、日に日に艶っぽくなっていく。
体の色々なところが湿るのを感じながら、私は水晶をつなげる。
「どうしたの、ノワエちゃん?」
水晶をようやく使えるようになったノワエちゃん。でもまだまだ未熟なので、映し出された可愛い顔が少し掠れていて、時折ぐらぐらと揺れる。魔力が安定していない証拠だ。
「またディースに怒られたの!!」
「あらら。じゃあこっちに来る?」
「うん!!」
私は通信を切って、愛用している槍を構える。深呼吸してから、切っ先を何もない空間に向けて、スパッと切り裂く。
ノワエちゃんが、待ってましたといわんばかりに空間を通り抜ける。
「お姉ちゃん!!」
そう言って私に抱きつくノワエちゃん。最近、出会うたびに抱きつく位置が上がってきている。ノワエちゃんも順調に身長が伸びているようだ。
「ノワエちゃん、私まだここで座ってないといけないから、遊ぶのはもうちょっと我慢できる?」
「うん! 我慢できるよ」
「はい、良い子良い子」
頭を撫でてあげると、ノワエちゃんは照れくさそうにはにかむ。
「お姉ちゃん、お膝の上に座ってもいい?」
「はいはい。ほら、おいで」
ノワエちゃんの可愛いお尻が私の膝の上に飛び乗ってくる。
「ノワエちゃん、大きくなったわね」
「それ、この間も聞いたよ?」
「この間からさらに大きくなっているのよ」
そう言って頭を撫でていると、ノワエちゃんが突然こっちを向いて、私の胸を突く。その後、自分の胸を触る。
「お姉ちゃん、胸ってどうやったら大きくなるの?」
「……エッチなことをたくさんすれば大きくなるわよ」
「本当?」
「ええ本当よ」
嘘を吐いたつもりはなかったんだけど、結果的にこれは大嘘になった。たぶんエッチなことをしすぎたのと、戦闘訓練をしすぎた結果でしょうね。
「今晩も、ちゃ~んと教えてあげるから」
「……うん」
真っ赤な顔をして頷くノワエちゃん。そのお腹に、薄紫色の魔方陣が浮かび上がった。
「ノワエちゃん、準備は良いかしら?」
「うん……」
ベッドの上に一糸纏わぬ状況で寝ているノワエちゃんの表情は少し強張っている。今も小さくて可愛いけれども、当時はもっと小さかった身体はわずかに震えている。今まで自分が経験したことのないような快楽へ導かれる恐怖と、それに勝る期待。
私はそっと手を伸ばし、胸に付いたとても小さなグミを親指と人差し指で転がす。高めに高めたノワエちゃんの感度は淫魔に負けないほどで、これだけでも小さな体を大きく震わせる。
ノワエちゃんに覆い被さり、反対側を甘噛みしながらノワエちゃんを堪能する。
体を動かせなくなったノワエちゃんは、首を振って頭を支配する快感を追い出そうとする。その顔を楽しみながらさらに責め立てると、顔が空を見つめてピタリと止まり、そのまま意識を失う。
私はゆっくりと体を起こし、淫魔の王である私も嫉妬してしまうほど綺麗で細い黒髪を撫でる。右手をゆっくりと耳の後ろに持って行き、耳たぶに魔方陣を刻み込む。魔方陣は小さければ小さいほど仕込むのが難しい。でもこれでノワエちゃんは耳を甘噛みされただけでも、悶え苦しむような快感を手に入れられるようになる。
未成熟なノワエちゃんの体を眺めていると、ノワエちゃんが目を覚ます。うっすらと開いた目が私を捉えた。私は優しく微笑む。
「ノワエちゃんも大きくなるかしら?」
「絶対になるもん! 私、お姉ちゃんみたいになるもん!!」
そう言って私の乳白色の感度体を思いっきりつねりあげるノワエちゃん。子供だから力が弱くて、でもそれが絶妙な力加減で、本気で相手を求める真っ白な体液がお腹に溜まる。漏らしてしまいそうなその蜜を、お腹にキュッと力を込めて耐える。我慢すれば我慢するほど気持ちよくなれる。
「ダメよノワエちゃん。女の子の体はデリケートなんだから、優しく触ってあげないと」
そう言って細い息が当たるような加減で、ノワエちゃんの硬いしこりを撫でる。ノワエちゃんは子供とは思えない甘い声を上げて体を痙攣させる。
荒い息をつき、目に涙を溜めてこちらを見つめるノワエちゃん。その姿を見て加虐心が疼く。むちゃくちゃに壊してしまいたい欲望を押さえて、私はまた笑顔を作る。
「ノワエちゃん、自分の体も労わるのよ」
「ふぇ?」
「あなたも女の子なんだから。もし労わらないのなら、気持ちいいこと教えるの止めちゃうから」
「や、やだ」
そう言って私にしがみついてくる。しっとりと汗ばんだ肌が隙間なく張り付き、私たちが一つになったように感じる。
「うふふっ。本当にいい子ね。ほら、舌を出して」
言われた通りに大きく口を開けて、舌を出すノワエちゃん。指先二本分しかない小さくて赤い舌を唇で甘噛みしてから、私の舌をゆっくりと差し込んでいく。ジャヒーちゃんの時のような荒いキスではなく、ルサールカの時のような快楽を求めるキスでもない。本当に愛する人とする、熱くてねっとりとしたキス。
ノワエちゃんの顔を盗み見ると、今にも昇天してしまいそうなほど恍惚とした顔で、私の愛撫を堪能している。それを見て私も昂ぶってくる。
溜まった真っ白な液体が溢れ出してきて、太ももを濡らす。でも私がしたいことを今してしまうと、ノワエちゃんが壊れてしまう。私は緩んだお腹に力を込める。
「……ノワエちゃん、大きくなったら、私をいっぱい気持ち良くしてね」
「うん……」
もう一度おねだりしてきた舌を親指と人差し指で摘み、魔方陣を刻み付ける。これでちょうど百個目。小さな体にこれだけ仕込むのは苦労したけど、彼女は私なしでは生きられない。ノワエちゃんが強く育てば、その分だけ魔法陣も強く育っていく。そうなればさらに耐え難い快楽と幸福が彼女を包み込み、彼女だけでなく、私も一緒に最果てへと飛ばしてくれる。
「ふふっ。ノワエちゃん」
軽い体を持ち上げて、胸の近くに頭を持っていく。ノワエちゃんは先ほど教えた通り、とても優しく私の感度体をしゃぶる。思わず艶めかしい声を上げてしまう。ノワエちゃんはそれが歓喜の声だと知っていて、私を気持ちよくさせるために硬いしこりを貪り続ける。本当に可愛い子だ。私は彼女の綺麗な黒髪を撫でた。
「って話よ」
「うわぁ……」
ルルカちゃんの露骨すぎる引きに、私は新鮮さを感じる。私の周りって淫魔ばっかりだから、この話をしても、みんな「流石はアスデモウス様」としか言わない。こんな反応を見るのは何万年ぶりだろう。
「ちょっと姉さん! いらない話をルルカに吹き込まないでよ」
「あら~。本当にあった話じゃない? 嘘ではないわよ」
「いや、まぁそれはそうなんだけど……」
聞かれたくなければ力尽くで止めれば良いのに、ノワエちゃんは痴態を晒されると自分が高まることを知っているから、決して私を止めない。
「っていうかさ、ディースはなんで止めなかったの?」
「あの時はノワエ様を叱った後すぐに、アスデモウス様を呼んで色欲領に行ってしまいましたから」
「ノワエ様は何して怒られたの?」
「………………………」
ノワエちゃんもディースも何も言わない。
「え、聞かない方が良いの、これ?」
いつもと違う空気にルルカちゃんが慌てる。
「……姉さんの部屋から盗んだ玩具を使おうとしたら、ディースに怒られたのよ」
私がノワエちゃんを小突くと、ノワエちゃんがぽつりと呟いた。それとは別に、粘っこい水音がしたのを私は聞き逃さなかった。
「……子供のころからド変態じゃん」
「………………………」
ノワエちゃんは何も言い返さない。実際、ノワエちゃんの性欲の強さには私も驚いた。
「そうなのよねぇ~。ノワエちゃん、いつの間にか私の部屋から盗んだみたいで。あの時はディース、ありがとうね」
「いえ……」
行動が怪しいノワエちゃんを監視していたディースが止めてくれなければ、大切な初めてがおもちゃにとられるところだった。……ってまぁ、ノワエちゃんの入り口は魔法で塞いであったから、そう簡単におもちゃが入ることはなかったんだけど。
ディースから報告を聞いた私が怒ったこともあって、ノワエちゃんはそれからおもちゃを自分に使おうとはしなくなった。その代わりに私を使って遊ぶようになった。本当に小さい頃から過激な子だった。
「ってかディース、それは止めるけどイレアナは止めないんだ……」
「出資者ですし、恋愛の形はそれぞれかと……」
「いや、まぁそうだけどさ……」
ルルカちゃんは何か言おうと口を開いたけど、ここに味方がいないことを悟って口を閉ざした。
「……でもディースってさ、よくノワエ様を襲わなかったよね」
ディースもノワエちゃんを溺愛しているし、私も舌を巻くほどの女の子好きだ。
「私、見たり聞いたりしてから、一人でするのが好きなのよ」
「……ガチ勢じゃん」
そこで目を伏せて誇らしい笑みを浮かべるディース。色にまみれた淫魔の中でもなかなかお目にかかれない特殊な性癖だ。
ディースのように人の痴態を見るのが好きって魔族は多いけれども、自分は絶対にしないって魔族は珍しい。天使どもはそういう性癖が多いのか、コンサンシュに聞いてみたことがあるけど、きっぱりと否定された。
「変態しかいないじゃん。ここの館」
「ニートの魔王に仕えるあんたも十分変態よ」
「そうね、変態仲間なんだから、ルルカちゃんも私に身体を預けなさい」
「却下。物好きなのは認めるけど、私は変態じゃないから」
近くにあった台ふきを投げつけてくるルルカちゃん。それを見てディースが顔をしかめるけど、私は全然気にしない。
「や~ん。ノワエちゃん、ルルカちゃんを口説いてよ」
「嫌よ。それに姉さん、相手が望まないプレイは邪道だ。とか言ってたでしょう?」
「だってだって、腹違いの妹とその従者を孕ませるっていうのやってみたいんだもん」
「魔王族に当たったら、ディースとルルカ、死んじゃうでしょ」
大魔王以外の魔王族でも、子供を作れば魔王族が生まれてくる可能性はある。
魔王族の隠し子が一人いれば戦況は簡単にひっくり返る。だから昔から、魔王達は作れるだけの子供を作ろうとする。
今の魔王たちの中で、子供を作ったことがないのって私とノワエちゃんくらいだ。男連中は当然として、嫉妬領を治めるインヴィディアも少ないながら作っているし、面倒くさいが口癖の怠惰領を治めるフェルパはそこそこの数を作ってる。
今のところ魔王族が出来たって話は聞いていないけど、アザゼルやウィルのところに出来たら厄介ね。あの二人は喜んで戦争を仕掛けてくるだろう。
「大丈夫よ。魔王族なんて滅多に生まれないから」
親指と人差し指で作った円に、左の指三本を入れて出してを繰り返すと、ノワエちゃんがため息を吐く。
「たぶんじゃだめよ。ディースもルルカも私に一生仕えるって約束してるんだから」
それを聞いて二人が恥ずかしそうな、でも誇らしそうな顔をする。
「ところでノワエ様って、他にどんなプレイが好きなの?」
「どんなもこんなもないわ。私は至って普通よ」
「いや、それはない」
ルルカちゃんがきっぱりと否定する。私が言えた義理じゃないけど、ノワエちゃんは普通とはほど遠い。
「ノワエちゃん、うちのルサールカ貸してあげましょうか? ぬるぬるねばねばの二十四本足で蹂躙されるのも病み付きになるわよ?」
「いらないわよ。私は愛がなければ邪道だと思っているから」
「あら、ルサールカもあなたの事を愛してくれるわよ」
「それは性的な意味だけでしょう」
「もちろん」
にっこりとほほ笑むと、ノワエちゃんが溜め息を吐く。そのため息は熱を帯びていて、少し甘い。
「さて、ノワエちゃん。今晩はどんな風にしてほしいの?」
「どうしてそんなことをここで言わないといけないのよ」
「言わないなら帰っちゃうぞ?」
「それならそれでいいわよ。お金だけ置いて帰って」
「強がっちゃって。今にもお漏らししそうになってるのに」
「なっ……そんなことないわよ」
そう言ってスカートを押さえるノワエちゃん。
私は口を耳に近づけて、甘い声で囁く。
「淫魔の王に、嘘はつけないわよ」
それだけでノワエちゃんの顔は真っ赤になる。
私は実らなかった可愛い胸に手を近づけて、一番強力な魔法陣も発動させる。ノワエちゃんに仕込んだ魔法陣はおよそ百五十個。そのどれもが動作良好で、今日もノワエちゃんを深い快楽へと誘う。
ボソッとノワエちゃんが何かつぶやく。顔を近づけていたので何と言ったかは聞こえたけど、ルルカちゃんとディースにも聞こえるように、大きな声で言って欲しい。私はノワエちゃんのほっぺを突いて、「大きな声で」と囁く。「聞こえてるくせに」と呟いてから、ノワエちゃんが大きな声を上げる。
「抱きしめて、キスして、中までたっぷりと愛してほしいです!」
「は~い、よく言えました~」
私はおつかいが出来た子供にするように頭を撫でる。高まったノワエちゃんはそれだけで体を跳ね上げる。
「健全なルルカちゃんに見られてるけど、興奮する?」
ノワエちゃんはルルカちゃんの方を見てから、ゆっくりと目を閉じて、荒い息を吐く。言葉にはしないけど、それだけでも十分に伝わる。
いつか嫌われるんじゃないかって思うこともある。でもそのドキドキが堪らない。ジャヒーちゃんやルサールカとは違う、姉妹のイケナイ恋愛。
「私、辞めようかな?」
「あら、あなたに行くところなんてあるの?」
「……ないね」
敬語を使わないメイドが世の中に必要ないことを、ルルカちゃんはちゃんと理解している。なら直せばいいじゃない。と思うけれども、なかなか直せない気持ちは私にもよくわかる。何回かノワエちゃんとの関係はマズイかな。と思って直そうとしたことはあるけど、五分後にはノワエちゃんで遊んでる自分がいる。
トロンとした目をしているノワエちゃん。ちょっと魔法陣の力を強くし過ぎた。でもまぁノワエちゃんは強いから大丈夫だろう。そう思い、私は彼女を見つめる。茹蛸のように真っ赤になった顔。息も荒い。今ここで愛してあげたいけど、部屋に行くまでは我慢しないと。それはノワエちゃんのとの約束だ。
「ご夕飯はどうなさいますか?」
「いらないわ。いまからた~っぷり栄養補給するから」
そう言ってノワエちゃんのほっぺたに軽くキスをして立ち上がる。それだけでも体を伸ばして反応するノワエちゃんが可愛くて仕方がない。
「イレアナ、壁をドンドンするのだけはやめてね。寝られなくなるから」
「は~い。じゃあ行きましょう、ノワエちゃん」
抵抗もしなくなったノワエちゃんは、私が出した手を素直に握る。ノワエちゃんの部屋に入り、しっかり抱きしめて口づけを交わす。
賢明に舌を伸ばして私の口を隅々まで愛撫してくれるノワエちゃん。
お返しに唾液をしっかり絡ませて、ノワエちゃんの口の中を掃除してあげる。一息吐くにつれてノワエちゃんの鼻息が荒くなり、どんどん力が抜けていく。
私はノワエちゃんを抱きしめながら、プレゼントした大きなベッドに倒れ込んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます