第8話 生まれながらにして持ったスキル。そう、ボーンスキル

「熱ッツ!!燃える、死ぬしn」

「うるさい」

「はい、すみません。」


 なんとこの火だるマトリョシカ、熱くないんです。


「かわいいもんだな」


 なんか、マスコットみたいでかわいい。


「あ、気を付けてください」

「ん?」


 俺が、とどめを刺そうとしたとき、


 ぼーーーーーーーーーーーーー


 なんと、分裂して灼熱の炎が……


「熱い熱い!!シャレにならんぞ」


 そう、このダルマ、ぱっかり割れて中から一回り小さいダルマが……



「マトリョシカってこういうことかよおおおおお」


 激熱だ。真夏の車のボンネットより熱い。


「輝?直してほしかったらお願いします涼花様っていうの。」


 存在感が薄くなりつつある涼花が……


「おい、マジでシャレにならん暗い熱いから、できもしないことを言うな。」

「はー?私、ヒーラーなんですけど」


 あ、そういえばそうだったっけな。


「あ、そうか、お前、ヒーラーだったっけな。頼むわ」

「はー?お願いします涼花様 は?」


 イラ。 おっと。紳士な俺はこのようなことでは怒らない。解決策はあるはずだ。

 やけどの痛みでひりひりするぜ


「じゃぁ、ヒールしてくれないと、アレをする」

「ごめんなさい。 ヒール!」


 アレとはアレなのだ。全年齢対象ではあるが、軽いトラウマなようだ。


「おお、治るもんなんだな」


 俺の指はきれいに治っていた。


「で、あいつどうする?」


 そこには大量の火だるマトリョシカが分裂していた。


「何を言ってるんだ?あいつらなら、輝の魔法で一撃だぞ?」

「え?」

「だから、ウォーターの魔法だ、「創造クリエイト・されるウォーター」と唱えてみろ」


 トミーさん博学ですね


創造クリエイト・されるウォーター


 じゅ。


「「「「「きゅーーー」」」」


 なんとかわいい断末魔。

 あれだけいた軍団は火が消えている。


「さて、回収して帰りましょう」


「モールスたん、何を言い出す。あれはモンスターだぞ?」

「気持ち悪いです。あれは火が消えると置物として売れるんですよ」


 気持ち悪いのは自覚していたが、面と向かって言われると傷つくな。


 みんな黙々と消化された火だるマトリョシカを集める。


「お?」


 俺はあることに気付いた。


「レベルが上がってる」

「当たり前だろ。パーティメンバー全員が上がるぞ。」


 なるほど、この世界では常識らしい。

 だが、俺の中では常識ではないからそんなに冷たくしないでくださいお願いします


「じゃぁ、これはなんだ?」


「ん?輝、お前、ボーンスキルなんて持ってたか?」

「なにそれ」


「生まれ持つスキルのことだよ。あれ、確か、モールスを仲間にするときに、生まれ持ったスキルが……」

「いや、知ってた。俺たちのところでは呼び方が違うだけだ」

「そ、そうか。スキルの名前は……」



Break an atom


「なんだこれ?強そう」

「え?」

「どした?」

「いや、なんでもないと思う……」


「どうしました?」

「いや、なんかトミーが俺のスキルを見て絶句してるんだが。」

「どれどれ……」



「は?」


「いや、おかしい」

「俺の頭は常におかしいぞ。」

「いや、それは知ってますけど……」


だから傷つくって

新しい喜びが見えてきそうで怖い

なんかそう考えたら言われてうれしいかも


「なぁ、モールス。これってやっぱり」

「ええ、おとぎ話の世界かと思ってましたよ」


「え、なに?いいことあった?」

「輝。今いいところ」


存在感がいよいよ皆無になったスズが静かにしろとか言ってくる。

いいじゃん。俺のスキルなんだし。


「これは人類が保持できる中では最上位のスキル。原子崩壊だ。」


「え、何それ、強いのか?」

「ああ、何を言うか。以前、東西南北すべての国を一人で統治していた国王が持っていたスキルだぞ!」


「そーなのかー」

「そーなかーではない!これはすごいことだ。これがもし国の人に知れたら……」

「その危険性から抹殺されるでしょう」


いたって真面目な顔でそんなことを


「よし。わかった。俺、日本に帰る」

「日本とやらは知らんが、今後、能力を使うのは控えたほうがいい」

「いや、使い方わからんし。」

「それは、やりたいことを思い浮かべるんだ。」


「なに?」


「何でもできるのか?」

「あ、ああ。その能力は万物を破壊でき、そこから想像することまでもを可能にするスキルだ。」


かえってパソコン作ろ


「みんなー、とりあえず口外禁止ってことにしといてー」





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