第17話 探し人
戻った場所は保健室だった。
そこには私と守君以外は誰も居なかった。
「戻ってきましたね」
「せやな」
「・・・今日はもう帰ります?」
「・・・うん、そうする」
今日はいままでより一番疲れた気がする、体も精神的にも。
二人で、職員室を出て寮の入口に行くと、そこに夢食先生とそして羽音さんが居た。
「お疲れ様です。」
「帰ってきてたんですね」
「ええ、あなた達より少し前に」
「そうですか・・」
「ゆまさん、すみませんでした」
「え?どれについてです?」
色々、私としては謝ってほしいな事沢山あったのでどれの事なのだろうと思った。
「・・・すこし、やりすぎました、貴方に向かって、使うべきではなかったの」
「それってあの棒ですか?」
「・・・そうですね」
「・・まあ、いいです・・・状況が状況だったし、私も先生に使ってしまったので
お互い様です」
「・・・そうですね・・・あの棒、ゆまさんまだ持っておりますか?」
「はい」
「預けようという気はありますか?」
「ないです」
「そうですか・・・分かりました。それではお疲れ様です。
言い忘れましたが、授業・・・でますか?」
「「今日は休みます」」
私たちは同時に言っていた。
「・・・本当は駄目ですが、二人ともその感じですと頭にも入ってこないでしょうね。
分かりました。後日補修をします。今日は休んでください。それでは」
そういって夢食先生は去っていった。
本当、悪い人なのかいい人なのか(人ではないけど)どっちなのやら。
まあ、お言葉に甘えさせてもらって今日は休むけど。
そして、もう一人羽音さん。
「おはなしおわった??終わったよね??」
「うん」
「二人ともおかえりなさい!なんでかね!私、保健室で寝てたみたい!ゆまちゃんを守ろうとして・・・その後は覚えてないんだよねー・・・・!!!ごめんね!
・・・じゃあ!!私授業あるしいくね!」
「うん、今日は色々ありがとう、あっ!そうだ!透子ちゃんに今日休むの言っておいて!!」
「え????あーーーーー!!!!わかった!!」
もう、半分くらい離れていたので叫びながら伝える、今回来た用事を忘れてたみたいだったけど思い出してもらえたようで、いっておくよーーー!!と叫びながら走りながら手を振りながら去っていく。
そこには私と守君だけになった。
「パワフルな子やな、ほんと」
「ほんとに」
「そういえば、夢食センセー俺には謝る気ゼロやったな」
「あー・・・そうだね。」
「まあ、ええけど!もう、今日は怒る気力もないわ、ぐっすり寝たいわ」
「そうだね・・・」
お腹すくとか喉乾くとかそういうなんはいまだにないけど
疲れはたまるようで、本当にぐったりだ。
「あ、ゆまちゃん。思たけど、寮のこのドアまだ時間的にあかへんで」
「あ」
「しゃーない。保健室で休憩やな」
「色々あったところで休憩ってのも複雑ですけどね」
「他の場所、この時間は授業してるか、開いてないかのどっちかやからな」
その後、私たちは保健室にもどり先生も誰もいないので、休憩したくて
開いてるベッドを借りて睡眠することにした。
『ありがとう、でもゆまちゃんは大丈夫?』
『うん!私強いもん!』
『そっか・・・私はそんなに強くないから・・・すごいな』
・・・・んー・・・いつも通り、悲しいような懐かしいようなそんな夢を見て、微妙な所で目が覚める。
「・・・・ここでどこだ・・・・」
ぼんやりとした頭で天井をみあげて、寝ながら周りを見渡すと。
そういえば保健室で寝ていたことを思い出す。
起き上がり、ベッドから降りる。
左右見渡しても、一緒に居ていた守君が見当たらないので、ベッドから離れて探してみると、
窓際で外を見ていた。
「おはよう、守君」
「ん?おー!起きたんやな。おはよう、ゆまちゃん」
「何してたの?」
「ちょっと外みながら、ぼんやりしてた」
「そっか・・今、何時間目だろうね」
「それなら、わかるで」
「なんで?」
「さっき教えに来てくれたねん。あの、パワフルな子が」
「ああ、羽音さんが」
「そうそう、その子が」
「なんだかんだ色々協力してもらいましたね。」
「せやなー・・・あの子には色々言われたけど、言われなきゃ動けんかったわ、また
お礼いうとこ」
「そうしてあげたら、喜ぶとおもうよ」
「せやな!さて、ゆまちゃんも起きたし、そろそろ寮に行こか」
「もう、開いてるの?」
「もう、授業も終わって放課後になってるって」
「そんなに寝てたんだね」
「まあ、俺はもう少し早めに起きてたけど」
「お寝坊でごめんんさーい!」
寝て、お互いに冗談を言い合えるくらいに元気になったような気がする。
寮の入口まできて、もう開いていたので入った。
男女で分かれているため、途中で分かれる。
守君は見えなくなるまで、少しぎこちない笑顔で手をふってくれていた。
その後、私は部屋に向かう。
透子ちゃんいるかな。
戻ってくるっていったと思うけど、そのまま帰ってこなかったし・・・怒ってるかなとおもいつつ部屋の前まで着いた。
部屋の前に居るかなと思ったけど、そこにはいなかったので部屋の中かなと思って
手に入れていたボールを使って、初めて(気持ち的に)二人の部屋にはいる。
ただ、入りたいと念じたら。急に周りの風景がかわった。
いや、これは部屋の中にはいったのかな?
なんか本当に、すごいなぁとおもいつつ、部屋の中を見ると、基本的に羽音さんと似たように二段ベッドと個人個人の机ととシャワールーム、トイレなど、元々設置してあったのが置いてある。机は真ん中に引っ付けておいてある。机は昔懐かしのあの引き出しが沢山ある机だ。羽音さんのもそうだったなとと思いつつ、他にあるかなと探してみるが
あったのはそれくらいで他には何もない。
正直、どちらが私の机かわからん。
にしても、まだかえって来てないんだな・・透子ちゃん。
待っててもいいけど、それも落ち着かないので、学校の方に向かう。
そこから、前と同じように透子ちゃんを探していた時と同じく、探しまくった。
それでも見当たらない、職員室にも言って、聞きにいってきてもみていないって言うし。
思い当たる所はすべて見た。前は保健室にいたので保健室にも戻ってみたけど誰も居ない。
透子ちゃん、どこいったんだろう。
ドアがしまる寸前まで、ある生徒に、そろそろ戻らないと閉じ込められるよといわれるぎりぎりまで探していたけど、見つからない。
結局寮にもどり、寮の方でも、部屋ひとつひとつや奥の広い食堂(のような場所)でも
透子ちゃんの所在をきくが、知らないらしく、たまに
見かけたけど、どこに向かったのか分からないという人もいた。
どこにいったんだろ・・・透子ちゃん。
晩御飯が運ばれる時間になりつつあったのか、本を読んでいたり、雑談を廊下でしていた人たちは部屋に戻ろうとしていた。
とぼとぼと部屋に戻ろうとするところを守君にはなしかけられた。
「ゆまちゃん、見つかったか?」
「ん?守君どうしてここに?」
「なんかポニーテールの女の子が、おかっぱの子探しているってのを、クラスメイトから聞いて、もしかしたらそうかなーと思って探してた」
「・・違った可能性もあったのでは?それ」
「せやな、でも違うん?」
「いえ、あってますよ」
「ならいいやん、てかそれより、透子ちゃん見つかったんか?」
私は左右に首を振る。
「そうかぁ、ゆまちゃんはこの後どうするんや?」
「もう一度部屋に戻ってかえってきてないか確かめて、それでもかえって来なかったら、
女子寮の一つ一つ聞いて回りまわります。一応さっき半分くらいの部屋は聞いてきたんですけど、半分は聞けてないので」
「でも、それもう終わり頃とか皆寝てると思うで」
「・・・ですね・・」
「明日にした方がええと思うで。気持ちは分かるけどな」
「・・・分かりました・・・」
確かに、もうすぐご飯で、その寝るまでの間全員に聞きにいく事してたら最後らへんはもう皆寝てるよね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます