第14話作戦会議

そういって窓側の一番前に座ったのでその横の席に座らせてもらう。


「ゆまちゃん!どうしよか?」


「どうするって・・・私は・・・」


言い淀んでいると、きいた訳でもないけれど、話をしだした。


「俺はな、信もゆまちゃんも透子ちゃんも消えてほしくはない。でも信は消える気みたいや。

この前の世界でみたようにやろな。だから止めたい。」


「守君、でもそれは無理だよ。私だってそうしたい。でも、思い出したくない過去、忘れたい過去・・・それはとてもつらい過去なんだと思う。私ね、いままでずっと頭痛い理由がよくわからなかったの。でも、先生の話を聞いて、なんとなう分かったの。


私、忘れてるんだと思う、思い出したくない過去を。


それを思い出したくなくて身体的に危機的信号をだしていたんだと思う。


苦しい気持ちや境遇って人それぞれかもしれないけど・・・つらい過去から、消えさりたいと思った人を止めるのは難しい・・というか無理な気がする」


「なんでや!なにを悩んでるんか聞いてみたらええと思うで、自分ひとりでは解決できなくても、協力すれば解決できる方法もあるはずや」


「でも・・相談できる人が居たら、この世界に来てなかったんじゃあ」


「なら、この世界でその悩みを相談して、戻った時にもしかしたらその現実のままかもしれんけど、そこから行動すれば変わるかもしれん」


「そんな甘くはないと思うけど」


「そやとしても、変化はする。」


「守君は信くんの為に動いているけど、他のクラスメイトが無くなった時は何もできなかったでしょう?それでも言えるのそんなことを」

「・・・ああ。そうや俺はほぼ知らんかった。

それに不思議に思っていたけど、だれも教えてくれんか居たの?っていうだけや。どんだけ聞いても。知らん事は罪といったけど、俺はそう感じたわ。

図書館で調べようと思ってもその手の本はなかったわ。

ゆまちゃん、俺に色々教えて欲しい。


どうにかしたいねん。止めたいねん。知ったことでどうもできないかもしれんけど、知ってないと行動できん。」


「・・・分かった。」


守君に私はいままで知ったことを教えた。

守君は真剣な表情で聞いていた。

話を終えて、守君は私に改めて聞いてきた。


「ゆまちゃんはこれだけ知ってどうしたい思ってる?」


私の・・・気持ち・・・か・・。


思い出したくはない。頭痛くなるし。

でも、もし透子ちゃんが消えてしまう事なんて嫌だ。

いままで世話になったのに、何もせずになんて。

それに元に戻るという事はもしかしたら今の友達ともお別れなのかもと思う。


どうしよう・・・・うーん。知恵熱でそう。


てかさ、一番私大事なこと忘れてたけど、私この世界に来た記憶あるはず。

なら、もうそれ思い出してから考えればよくね?

そしたら、透子ちゃんがかなしい顔する理由、協力出来ない理由も隠されてるかもしれない。


この世界に居てるのも悪くないとは思うけど、家族の事、元の世界の友達の事もきになるし、

良くはないと思う。色々あるけど今はとりあえず、


「私、思い出したい。私自身の記憶を。それから考えたい」


「なら、それを目標に明日から行動やな!」

「え、でも守君は信くんのは」


「ああ、それもやる。俺、もう一度話をしてみるつもりでいる。もしそこで断られたらなぐってでもいいにいかせるの止める」


「殴ってってそれは駄目だよ」


「って言われてもなぁ。どうしても聞いてくれんかったら手だすしかなくない?」


「最終手段ならそうかもしれないけど・・まだそうなるか分からないでしょ?なら

今はやめておいてよ」


「まあ、せやなぁ・・・よし、俺、今日の夜、また話をするわ。

今日はもう、そろそろ寮のドアも締め始めるやろうし、今からゆまちゃんの過去を思い出すのを手助けしてあげたいとは思うけど、戻らんか?」


「それについては心配しないで、私。向き合わないといけない本。あの黒い本で読むのが怖くて読んでないページがあるの、だから、読んでみる」


「・・・一人で読むの大丈夫なんか?」


「・・・うん。さすがに守くんの部屋で見れないし、寮の食堂的なあそこで読むのもよみずらいしね。さ、早く行こ」


「無理はせんときや」


「それはお互い様だと思うけど」


「確かに」


その後、私と守君は寮にもどり、透子ちゃんと私の部屋に帰ってきたけど、ノックをしても何も反応はなかった。

仕方ないので、もう一度羽音さんに頼みに行って止めてもらう事にした。


そして、その夜。


読もうとしたけど、そういえば外は薄暗くでもまだ明るいからカーテンを引いていて、電気を消すと暗さが増すため、読めない。

あまり、羽音さんの前で読まない方がいいかなと思って控えていたけど、これじゃあ読めん。

仕方ない、朝早く起きて、その時に読もう。


そう、決めて私は寝た。


『やめえや!』


『あ、ありがとう・・』


『歯向かわんとあかんで?』


『でも。。私が悪いから・・・だって』


はっ・・・・うう。また変な夢見た。

泣いてはいなかったけど、気になる内容の夢だったんだけど・・・と思いつつ体を起こすと、

もう、羽音さんは起きていた。


ていうかご飯食べてた。


「おーーーー!!!おあよう!」


「お・・・はよう?」


朝ご飯・・・?あれ、もしかして私かなり寝てた?


「ご飯、そこにおいてあるよ!!!!」


指をさしてくれた場所にはご飯がおいてあった。


「あ・・・ありがとう。」


着替えと顔を洗い、ご飯を食べた後、また羽音さんはギターを弾いてくれた。


羽音さんのギターは聞いていてとても落ち着くなぁ。

そういえば、ボールの件忘れかけてたなと思って、羽音さんにそのことをいって私は、部屋を出た。


泊めてもらったお礼も含めて、トレーを二人分運んで、一応、透子ちゃんと会えないかなと思って部屋の前にいってみるけど、はちあう事もなく、学校の方に向かう。


トレーを渡して、職員室に向かうと、夢食先生とちょうどであった。


「おはようございます。ゆまさん」


「おはようございます。」


「昨日は大丈夫でしたか?」


「はい、寝たら元気になりましたのでって先生知ってたんですか?」


「昨日、サンタ先生とあなたが話してるのを自分の席で作業しつつ聞いてました」


居たのか・・・・!


「そうだったんですね。そうそう、夢食先生、ボールの申請書を昨日出したのですが、いつぐらいにもらえたりしますか?」


「それならもう出来てますよ。一緒に職員室に来てくだされば渡せますよ」


「わかりました」


職員室に行き、少し待っててくださいと言われ入口近くで待っていると、

夢食い先生が、見た事のある小さいボールのような石ころのようなものをもってきた。


「ちいさく、失くしやすいので気を付けてください、それと壊したらひっつけて使えないのでただのガラクタになります。なので割ったりしないように。

使い方はわかりますか?」


「念じたら大体は出来るって聞いてます」


「そうですね。でも限度もありますので、なんでもできると思って使わないように」


「はーい。」


「では、渡しましたし、失礼しますね」


「先生、待ってください。あの・・・私どうしたらいいでしょうか?」


相談するつもりがあった訳ではないけど、つい口にでてしまっていた。


「どうしたいですか?もしそれも決めかねているのなら、貴方は色々知るべきでしょう。

それは知識ではなく、もっと周り身近なものを、恐れず知る事でしょう」


「・・・知る事ですか?」


「はい、その後考えてみたらいいと思います」


「なんだか、後々に面倒事回しているだけのような気がします」


「ははっそうですね。それが嫌なら、私に相談するのはかど違いかもしれませんね」


「どうしてです?」


「私はあまり、そうやって悩む事をしたことがないので、実はこれも受け売りなので」


「えええー・・・」


ガラッ


ドアを開ける音が聞こえて、振り返るとそこにいたのは


守くんとそれと信君だった。

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