第13話 踏み込めない領域
泊めて貰った人は同じ学年だったようで、頼んだ時は寝起きだったみたいで機嫌が悪かったみたいだったらしく、その後シャワーを浴びたら、キャラ変したの?って思わせるくらい明るい人だった。かなり。守君タイプに近いけど、失礼だけど、さらに馴れ馴れしい位。
見た目はボーイッシュな女性って感じの子で髪の毛も短い。綺麗な茶色髪だ。
外見はともかく、シャワーから戻ってきてから自己紹介をしたのだ自己紹介した時点でもう、呼び捨てため口だったのでびっくりした。
話をしているとそんなに悪い人ではないのは分かる。
まあ、寝る所を貸してもらう身の奴がなにいってんだって感じなので自重しておこう。
どの部屋もそうなのか分からないけど、大体部屋のつくりはほぼ皆変わらないらしい。
見た事はないみたいだが、教えてもらった時はそうだったとか。
風呂はないみたいで、シャワーとトイレとベットと自分の机と私物。
さすがに初対面でその私物はどこから持ってきたのかは聞けないけど、見た目ギターらしきものや楽譜やらおいていた。
シャワーも借りて、服も借りて、ついでにギターを弾いてくれた。弾きながら、話をしているとお互いに眠くなってきたという事で就寝。
『なんで?いつも一緒だっていってたよね?』『・・・知らない』
『あんたさー!察しなよ?それすらわかんないとかほんと〇〇だよね!』
『どうしてっどうして!』
『・・・・だって・・ゆまちゃんって・・』
はっ・・・。
なんだか、悲しい夢を見てた気がする・・・。うっすら涙もでてるし。
最近、この世界に来てから、たまに悲しい夢をみるな。
変な夢を見た後に寝れるはずもなく、体を起こす。
気になる所で目が覚めるのも本当気分的に良くはないなぁ・・。
テンション低めで二段ベッドの上で寝ているこの部屋の先住民をおこさないようにひっそりベットから降りる。
降りてもすることはないのだけれど、とりあえず顔を洗ってスッキリしたかったので
シャワーの横にある洗面台で洗う。
すっきりして戻ると、水の音で起きたのか、この部屋の住人が起きていたみたいで、あくびをしながら着替えていた。
「おはよう・・・・ねむい・・・ねむい・・・眠い・・・ねむい・・・ううう」
もう一度ねたらいいのにと思わせる程、イライラしながら着替えている、
この人寝起き本当悪いな・・・低血圧かも。
機嫌悪い人にあいさつするの少し怖いけど、さすがに泊まらせてもらってる身としては
挨拶もいわないのもどうかとおもいおはようとだけ伝えると、軽くうなづいて、立ち上がり、私がさっき使っていた洗面台に向かう。
勢いよく水が流れる音がして、パーンとドアをあけると
「おーはーよーーーー!!!!!!!!!!!!!!!」
・・・・この人、二重人格なのかな?と思うほどである。
昨日会ったばかりの人に失礼かなとおもうけど、まあ口にはだしてないからセーフかな?挨拶もすまして、当たり前の事を聞き忘れてたけど、
ご飯は当番の人が部屋に持ってきてくれるらみたいだ。
さすがに一人ではむりなので何人かで手分けしてだけど。
私は昨日来ていた制服をまた着て、この部屋の主はまたギターを弾いていた。
外にはでれないのかも聞いたけど、出れるけど、ご飯持ってきてくれる時間に居てないと置いといてくれた食事が覚めるという事なので、いつも部屋にいるらしい。
私もじゃあ、まあ焦る事もないかぁと思って、座ろうとすると
ドアがノックされる。
部屋の主がドアをあけると、透子ちゃんがいた。
「おはようございます、羽音さん。あ、ゆまも起きてるみたいだね」
ドアの隙間から見えていたようで、手を振っていた。
「おはー!!お迎え??早いね!まだ朝ご飯前なのに!!」
「なんか目が覚めたので、起きてるかは分からないけど起きてたら、ご飯一緒にたべたいなと思ったので」
「なるほど!なら、アタシの部屋で三人で食べようよ!!アタシは全然OKだから!!」
「え、でもそれはわる」
「いいのいいの!ちょっと二人で部屋で待ってて!私の部屋に運んでほしいって頼んでくるし!」
そういって走っていってしまった。ドアを半開きのまま。
透子ちゃんも私も苦笑いのまま、顔を合わせていたが、そこにたってるのもどうかと思ったので透子ちゃんも中に入らせてもらったら?と促す。家主でもないけど。
なんか悪いなぁと迷っていたが、部屋で待っといた方が、あっちもきにしないのではというと、ちょっと困惑顔だけど部屋に入ってきた。
「失礼します」といって少しきょろきょろしながらおそるおそる入ってくる。
私の横に座って部屋の主の待っていた。
「ゆまも早起きだね」話を切り出してきたのは透子ちゃんだった。
「なんか目がさめちゃって」
「私も、あ、そうだ。ご飯食べたら、ボールの申請書頼みに行かない?」
「先生の部屋知ってるの?」
「ううん。先生達は寮の扉が開く前に職員室に行ってるみたいだよ」
「そうなんだ、うん!しておかないと、また不便だしね」
ばーん!!!!!!!!とドアを開ける音がした。
玄関近くに行くと、羽音さんが三人分のトレーを持ってきていた。
両手にふたつ、片手にひとつ。
「危ないよ!その持ち方っ」
「だっいじょーぶ!!だよ!!」
「見てる方が心臓に悪いよっ!」
透子ちゃんも、あぶなかっしく思っていたのか、私と一緒に、羽音さんの所に来ていた。
自分の食べるトレーを各自もって、羽音さんはトレーを床に置きどこからかテーブルを出してきた。
その後、三人でご飯を談話しながらご飯を食べていたけど、ほぼ羽音さんと私が話していて、透子ちゃんは話を聞いているだけで、ほぼ話をしてはいなかった。
昨日もそうだったけど、透子ちゃん、一人ひとりの時は普通に話すけど、人数増えるとあまり話さなくなるなぁ。
人見知りなのかもしれないなぁ。
ご飯を食べ終わり、トレーを片付けがてら、学校に行ってボールの申請にをしに行くと言って、羽音さんにお礼を言って部屋を後にした。
また、泊まりに来てもいいからね!!!って元気いっぱいに行ってくれたので、また遊びにきてもいいかな?とは思ったりしながら、透子ちゃんトレーを持って、此処の入口まで向かう。透子ちゃんによるとトレーはその入り口で片付け当番の人がいてそこで回収しているみたいである。
トレーを渡して、ドアをあける。
「そういえば、このドアっていつから開いてるの?朝」
ふと、気になったので聞いてみると
「大体、先生が授業の準備をするらしいだけど、それが朝ご飯を運びにく当番の人が来るって聞いてる。時計あまり意味ないから、本当かどうかは分からないけど」
「なるほど・・じゃあ、いつしまるの?」
「そういえば、私もそれ知らないの。私基本的に食べたらすぐ学校に行ってたから、
いつまで開いてるかは知らないんだ」
「そっかぁ・・・」
どうなんだろ、確かめてみたい気はするけど、そこまで重要でもなさそうだし、先生から聞きたい事聞いてから、確かめてみよかな。
「それがどうかしたの?」不思議そうな顔で透子ちゃんが聞く。
なので、少し気になっただけと答えた。
??的な顔をしていたけど、まあ、いっかと思ってくれたのか。その話を終わった。
透子ちゃんと綿W氏は目的地である、職員室に向かう。
職員室には相変わらず、人気がない。なんかここらへん集まったら呪われる何かがあるのかと思うくらい人がいない。
通りやすいけどね。
職員室に入ってみると、今日は相変わらずの二人だけ。
この広さに二人だけというのも、どうかと思う。異様な光景でもあるなぁとおもいつつ
職員室にはいる。
「「失礼します」」
入って、ボールの申請書をもらい、時間もあったのでここで書いて提出した。
明日には渡せるとのことで、思ってたより早いなーと思った。
「あ、先生、昨日の続きなんですけど、いつ聞きに来たらいいです?」
二人とも居たので、二人を交互に見ながら言う。
すると二人とも、放課後がいいとの事。
休憩時間では説明していると時間が足りないし、いまは準備があるらしい。
続きはきになるけど、昨日透子ちゃんとも話していて思ったのだ。
どうせすぐに出られるわけでもないし、ゆっくりでもいいのではと。
透子ちゃんとの記憶もまだ戻ってないし、思い出してからでもとさえふと思ったりもしている。
なので、申請書をだして、そのまま教室に戻り、時間が来るまで透子ちゃんと話していた。
他の人とも話そうかなと思ったけど、もうすぐ朝の時間だからか皆椅子に座っているので、なんだか立ち上がって聞きに行きにくい。
話してるうちに朝の時間が来たようで、透子ちゃんも席に戻っていった。
私も、放課後までに聞きたい事まとめたいし、その為にこの黒い本読んでいかないととも思っていたので、前の続きを読むことにした。
昨日聞いていて、もう読んだところは年表とこの世界について、そもそもこの世界の年表もあるのかなと思ったけど、なかった。
ここでの生活について、契約の話、深層意識だったけ?その世界の話。
多分、今まで聞いていたのは、それぐらいだったと思う。
他に気になる事と言えば、食べてもらう為の方法・・・といっても昨日の説明と本を見る限りもう大体わかる・・・多分・・・私が契約したあれだろうな。
気になる事は大体、聞けたから、改めて考えてみるともう聞く事ないかな?と思いつつ
考えてみるとあった。
元の世界に戻る方法と・・・消えなくちゃいけない理由・・・かな。
それと、この世界に寝てる間につれてこられた人じゃない人、先生みたいな人が何人いるかって事と、
って事くらいかな
。
先生が来る間、黒い本を調べてみると、元の世界に戻る方法は載ってなかった。
まあ、そうですよねー。連れてこられたっていうなら戻る方法とか載せないよね。
でも、まだしっかりとなんで戻れないかを聞いていないし、聞くまでは希望をもっていたい。
と調べていると。
途中からの題名は(過去)と書いてある
ていうか半分以上それである。
下の解説に、見つめる覚悟ができたものが読むべし。
って書いてあるので、実はいうとそれが怖くていまだ手出しできない。
多分、その為の本だったのだろうなぁ・・・この量からすると。
ここはもう少しあとにしといて・・・それより前のページには消えなくちゃいけない理由とか先生の数とか載ってないから~・・・
ガラッ
「おはようございます。」
あ、今日は夢食先生なんだ。
皆が立ち上がり、おはようございますと言って着席する。
私もそれにならい、同じことをした。
「皆さん、この前の課題をサンタ先生から預かっております。名前を呼ぶので取りにきてください」
先生がそういうと、名前を呼ばれた人から、貰いに行く。
この前の課題って・・・ああ!あの初めのときの提出物!
そういえば、すっかり忘れていた。
といっても私出せてないけどね。そもそも何も持ってなかったし。
名前をよび終わるのを待っていると、
「有山ゆまさん」
なんでか呼ばれた。
「ふぇい!?」
呼ばれると思ってもみなかったので変な返事をしてしまった。
頭の中は????マークでいっぱいだったけど、とりあえず教壇に向かう。
「あの・・・・私、ノート提出してないです・・よ?」
「知っています、よんだのはその提出する用のノートを渡すためです」
「へ?」
「持ってないのでしょう?なので新しく渡します」
「ありがとうございます・・・あ、でも先生私書くものすら持ってないです」
「ああ、それは持ってくるの忘れましたね、だれか書くものを余分にもっている人はいませんか?」
後ろ振り向くと、二人手を挙げていた。
1人は透子ちゃん、そしてもう一人は羽音さんだった。
同じクラスだったんだ。
「では、どちらでも構わないので貸してあげてください」
そういうと、またひとりひとりを呼び始めた。
私はというと、どちらか一人にってのはなんだか悪い気がするので、片方に消しゴム、片方に書くものを借りた。
借りたものと先生から渡してもらったノートを持って席に着く。
普通のなにも書かれてないし、表紙もなにもかかれない茶色の表紙のノートだった。
なんだか、この世界っておかしい部分と現実世界っぽい部分がまじってるよなと思う。
夢食先生が全員、名前を呼び終えたようで、
「はい、皆さんいますね。そのノートはまた明日回収しますので、では授業はじめます」
と言って授業を始めた。
今回の授業の「契約について」だった。大体聞いた話もあったけど
初めて聞いたことも、諸々あった。
契約するのは夢食先生ではないって事。
予約をするには夢食先生でもサンタ先生からでも大丈夫なのだが、
その後、実際に頼む場合はサンタ先生がするという事。
その契約についてはサンタ先生から聞けという事。
そして、契約したらもう取り消すことはできないという事。
さらに、だからこそ過去を見つめて考えてからにしろという事。
大体は想像内の話だった。色々説明をしてもらったから、理解はできた。
でも過去を見つめるという事だけはよくわからない。思い出せばいいのかな?
私の過去かぁ・・・。
キーンコーンカーンコーン
チャイムがなり、先生が職員室に戻る。
授業中みんなカリカリ書いていたけど、本当、そんな難しい内容では多分・・・ないはずなのになんでそんなに一生懸命書いてるんだろ。
疑問には思ったがさほど気にすることでもないなと思って背伸びをする。
前は休憩時間、色々ドタバタと動いていたので、もう今回はゆっくりしておこう。
そこに透子ちゃんと、それと羽音さんが来た。
「あ、消しゴムありがとう。羽音さん同じクラスだったんだね」
「うん!!!アタシもびっくりした!!」
「前になんどか話をしてるところみたけど・・・」と小さい声で透子ちゃんが呟いていた。
私はそもそも覚えてないという前提があるけど、まさかこの人も・・・?
「そうだっけ??アタシ人の顔覚えるの苦手なんだよね!!だからかも!」
苦手・・・でも何度かって言ってたの聞くと、まさか話している時、私と分からず話してたりしてたのかなとちょっと失礼なことを考えてしまった。
「そっそうなんだ・・・あ、そういえばどうしたの二人とも私の所にきて」
「実は、名前も覚えるの苦手でさ!消しゴム貸したのはいいけど誰に貸したか忘れそうでもう一回名前を聞きに来たの!!」
昨日教えたはずなんだけど、物忘れ激しいのかな・・・?
「そ・・・そっか!!えと私は有山ゆまだよ」
「有山ゆま・・・有山ゆま・・OK!!!! 今度こそ手に書いたから忘れない!!」
「多分ないと思うけど、手洗ってまた忘れないようにね」
ちょっと嫌な予感がしたので先に先手を打っておく。
「それはさすがにしないよ!!!多分!」
多分ってそこは自身持ってほしいところである、で、羽音さんのは分かったけど、透子ちゃんはどうしたのかなと思って聞いてみるととくにはないらしい。
ただ「ゆまちゃんと居たくて」と可愛らしい事言ってくれた。
その後は、名前だけ確認出来て満足したのか羽音さんは席に戻っていった。
休憩時間はほぼ、透子ちゃんと話をしていて終わりかけようとしてた。
そして休憩時間もおわり、チャイムが鳴る。
透子ちゃんも席に戻り、今度はサンタ先生がくる。
さて、次の授業では気になる事聞けるかなーと思っていたら、英語の授業だった。
授業を普通に受けて、後から透子ちゃんに聞くと、特殊な(この世界に関しての)授業とは別に、普通に授業をしているって事らしい。
今日は中学校の英語らしくて、普通に勉強していた。ノートはこの為かな?と思って私も黒板に書き写していく。
その後のお昼までの授業も習ったことある教科がほぼ出てきた、特殊な授業はほぼなかった。あるとすれば、言語の授業というものがあるらしく、その授業も少し特殊だった。
というか何語かわからない。中学校レベルとかいってるけど、チンプンカンプンである。
なんだかんだで、いつのまにかお昼休みになった。
前はもう皆が食べ終わった後だったから、知らなかったけど
お昼は給食で、当番の人がよそってくれるので並ぶらしい。
私はいつもお弁当を食べていたので、あまり記憶にはないけど、こういうのをテレビでみて
うらやましかったので、少し嬉しい。
そんな微笑みを透子ちゃんに見られて、なんか楽しい事でもあったのと聞かれて少し恥ずかしかった。
食べる場所は、各自の席でとのこと。
食べて、トレーを片付けてからなら移動が良いみたいで、私はどちらかというとゆっくり食べる方なのでゆっくり食べていると、食べ終わった透子ちゃんと羽音さんと
そして守くん・・・・!??!??
「ぶはっ!!!!」びっくりして吹き出してしまった。
「ななな、えと、なんでいるの!?」
ついでに透子ちゃんも後ろに居るのに気づいてなくて、今びっくりしている。
羽音さんは私と透子ちゃんを見てキョトン顔だ。
「お昼休みやし、今ならいけるかなて、
でや、食べてからでええし、ちょっと相談に乗ってほしい事あるんやけど、あかんかな?」
ちょっと元気がなさそうな顔でそう言ってきた。
「い、いいですけど」
私のご飯待ちになり、周りの席のひともどいてくれたのか、透子ちゃん、羽音さん、守さんが左右と前に座って待っている。・・・なぜ羽音さんまで待ってるのか謎だけど。
食べ終わり、トレーを片付けて席に戻る。
「さて、食べ終わったし聞くけど、どうしたの?守君」
「それがなー・・・うーん・・・来たのはええけど学年が下の子に言うのもわるいな・・」
と、なんだが煮え切らない反応。
それに若干イラっときたのか透子ちゃんが「なら、帰ります?」
とすこし意地悪なことをいっていた。
ついでに羽音さんは何が始まるの??と興味津々に聞いていたけど、ちょっと待ってというと黙ってはくれた。
「どーすっかなぁ・・・あんなぁ・・・昨日会ったやん、信に・・」
話す気になったようで話をきく。
「実はなその信・・・契約やったけ?あれ、まだ本当には契約してなかったみたいでなぁ・・・
明後日には先生にいいにいくっていわはんねん・・・・俺さ、止めたいねんけど・・・どうしたらええやろ・・」
なんともいえない内容に此処にいるメンバー一同黙ってしまい、そこから羽音さんは、「あっあの!!私、聞いちゃダメっぽい流れかも!!!」
そういって去ってしまった。
数秒黙ってはいたが、沈黙を透子ちゃんが破る。
「止める事なんて、できる訳ないですよ」
「・・・これ、同じクラスや違うクラスの奴にも相談したんよ・・でも
皆同じ意見やったねん・・なんでやの?理由は皆教えてくれんくてさ」
「は?なんでわからないんですか?」
「止められる方法あるかもしれんのに、絶対にダメとかいうのが分からんから」
「・・・はあ?守さん、貴方は此処で色々学んでたのではないんですか!」
「学んではきたけども、それがどないしたん!?」
お互いにけんか腰な会話になってきて、立ち上がって叫んでいた。
止めようか止めないべきか悩んでたけど、そろそろ皆の目線も痛くなってきたので、二人を収める事にした。
「二人とも!!此処、教室で今はお昼休み中!皆楽しくお昼過ごしてるんだし、喧嘩はやめて!!」
そう叫ぶと二人とも、座って、黙る。
横で聞いていても二人の会話がなにかつながってないような感じがしたので、お互いの言いたいことを聞いてみると。
透子ちゃんは止められない、なんで止められないかというとこの世界に連れてこられた理由が関係しているから。
守君はそもそもそれを知らなかったらしく、それを聞いてびっくりしていた。
「それって授業で習ったん?」驚きながら、透子ちゃんに守君が聞いた。
「はい。・・・知らないですか?」
「知らんで・・・そんなん教えてもらってない・・」
私は知らない理由をなんとなくだけど察していた。
「守君、もしかして、前言ってた、出られない授業がそれらだったんじゃないかな」
「え?あー・・・あー!!!!」
どういう事?と透子ちゃんが不思議がっていたので、一応、守君に聞いて許可がでたので
あの世界で聞いた守君の話を透子ちゃんに説明をする。
説明を聞くなり、なんだか表情が暗くなり、守君に
「ごめんなさい」と謝っていた。
「ええって、俺も喧嘩腰になってもうてごめん。色んな奴に無理無理いわれてて少し気がたってたみたいで」
「いえ・・・守さん。そして多分ゆまも知らないことがある・・。それは私の口からは言いたくないから、言えないけど、でもそれが多分。どうしても止められない理由。
もし知りたいなら先生に聞いてみると良いと思う。でももしかしたら・・言ってくれない・・いえ、なんでもないわ」
「そうか!ありがとな!じゃあ放課後聞きに行くわ!」
「守君!!私も放課後行くから、職員室で待ってて」
去ろうとするので、叫んでおいた。
多分聞こえたのだろう、去りつつ「お~け~や~」って言ってたのを聞こえたし。
とんだ嵐がきた、一応去った感じだ。
と此処でお昼のチャイムがなる。
透子ちゃんも席に戻ると言って戻ろうとする、その前に透子ちゃんが
「ゆま、今度は私居なくても守さんが居るし必要ないだろうし、待ってるね教室で」
「え?一緒に来てくれないの?」
「うん・・・今回の話は聞きたくないから、ごめんね」
悲しそうな顔でいうので、「わかった!じゃあ、あまり長居せずに聞いたら教室にもどってくるね!」とだけ伝えたら笑顔でうん!と言ってくれた。
そして、授業も全部終わり、放課後になる。
荷物も持って、透子ちゃんにも行ってくるとだけ伝えて、職員室にむかう。
職員室に近くでちょうど守くんと出会ったので、そのまま職員室に向かうと誰もまだ帰ってきてないらしく誰も居ない。
仕方がないので、二人で職員室前で待機。
10分くらいして、サンタ先生が現れてきた。
「あれ~はやいですね~それに~遠野君でしたか~?どうしたんですか~?」
「俺も話を聞きたいねん!その話を!」
「そうなんですか~・・でもあなたには教えられません~」
「なんでや?」
「貴方は此処に来るべくして~来たわけでは~ないから~です」
「何回もそれ聞いてるけど、ほんまどういう事なんや?先生」
「もし~どうしても知りたければ~ゆまさんから~後で聞いてみたら~どうですか?」
「それはええの?」
「はい~。私達からは伝えられません~」
あまり、納得はしてない顔だったけど、それでもそれ以上は答えてくれないようだったので
「ゆまちゃん、後で詳しく教えてくれん?」と言って去っていった。
守くんが去ったあと、先生が荷物片付けるので少し待ってほしいといわれ、先生のちかくの誰も使っていない机の椅子に座っておいてとの事で、サンタ先生の片づけが終わるまで待っていた。
「ふ~。終わりました~さて~なにを~話しましょうか~?」
「大体は分かったんですが、何個か気になる事があります。
当たり前の事でしたが聞き忘れてました。
ひとつは元の世界に戻る方法。
それと頭痛くなるからあまり聞きたくはないけど
・・・消えなくちゃいけない理由・・・・。
それと、この世界に先生たちみたいな人達、この世界に寝てる間につれてこられた人じゃない人が何人いるか。そして
さっき守君が聞きたかった、約束してしまった夢を返してもらう方法と
返したくない人たちの理由です」
「な~るほど~では~ゆまさんの~気持ちがあまり~影響がないほう~から説明しますね~。まず、この世界にいるのは連れてこられた人以外だと~10人と聞いてます~
私達三人と~それと~遠野君とこの世界の先住民みたいな人たちが六人います~」
「え、他にいるんですか?」
「はい~その本には歴史はないと書いてますが~。会話はできないのでどうなのかは
もう一人三人目しかほぼ知りません~情報として不確かなものなので載せてません~」
「どこにいるんですか?その人達」
「それが、それも知らないです~でもこの学校を掃除してくれたり、ご飯はその人たちが作ってくれてる~と聞いています~」
「そうなんですか・・・」
おもったより居てびっくりしたけど、ほぼ姿をみせずに色々してくれてるとかなんだか小人か妖精みたいだ。
「それくらいですね~。では、次にですが~。もとに戻る方法は~以前に予約を取り消す方法といっていたでしょ~?それに関係してます~」
「え?」
「多分、約束してしまった夢を返してもらう方法~と~返したくない人たちの理由ですと消えなくちゃいけない理由や元に戻る方法は少し違いますが~、関係があるので~一緒に説明しますが~前みたいに~体調悪くなるかも~しれませんが~いいん~ですか~?」
「・・・・・はい」
多分、これこそ知らないと私はこのままこの世界から抜け出せないと思う。
大体、体が嫌がる情報って大事なこと多かったりする。
「一応、心の準備はしてきましたから」
昨日、羽音さんの所に寝させてもらった時に、一応してきたつもり。
「では~いいますね~」
「はい・・・・!」
「返したくない理由はですね~この世界に来た人たちは、過去に~」
ズキっ
「とてもつらい事を経験していて~」
ズキズキ
「もう~消えてしまいたい~」
ズキズキズキズキ
「と思った人たちなので~呼ばれた段階では~決めていなくても~」
やばい、本当に頭いたい・・・でも聞かないと・・・
「大丈夫ですが~様子をみて~聞かれます~」
本当倒れそう・・・
「その時に~あなたは~現実からもこの世界からも消えて自分という存在をけしたいかどうかを~というのを~もう一度聞きに行きます~」
先生の顔も見れなくなってきた・・・
「そして~見たくない現実を見つめて、そして~(本当の現実)に~戻ると決めた人が元に戻るやり方を教えてもらえます~」
「せ・・先生・・・ごめんなさい・・・そろそろ・・やばいかも・・・」
その後の記憶は覚えてない。
ただ、起きたときには保健室でねていた。
目を覚ますと、近くで守君とそして透子ちゃんが心配そうに見ていた。
「あ・・れ?どうしたの?二人とも?」
「どうしちゃうで!職員室から倒れたゆまちゃんを見てびっくりしたわ!」
「そ、そうなんだ、でも守くん教室にもどってたんじゃあ・・」
「気になってたから、職員室前で実は待ってたんや、そしたらゆまちゃんをだっこして先生が出てきたんや、その後、保健室に運んでくれはったねん。ついでに透子ちゃんは遅いから見に来た時に先生から聞いたって」
「そっか・・・二人とも心配してくれてありがとう」
「ほんまやで!何があったんや?」
「何がって言われる・・・少し説明しずらいけど・・先生の説明聞いてて、私ある内容を聞こうとすると頭痛くなるんだけど・・・いままで避けてたんだけど・・聞かないと始まらないと思って聞いてたら、頭痛がはげしくなって・・そこから覚えてないかな」
「そんな、無理して聞かんでも、聞ける内容だけ聞いたらよかったと思うで」
「でも、気になるし、それに守くんに伝えないといけないし・・」
「気持ちは嬉しいで、でもそんな無理されたら君に悪いわ・・・」
「ごめん・・・でも聞けたよ」
「・・・はあ・・こっちこそ無理させてしもたみたいでごめんな」
「いえいえ、私も聞きたかった事だったから気にしないで」
「ゆま・・お疲れ様、大丈夫?」静かに黙っていた透子ちゃんがそう聞いてきて
「うん・・今はもう大丈夫。」と答える。
気になってたことは倒れる前には聞けたはず。
だから、伝えないと。
「ね、守君に透子ちゃん、私聞いてきたの、なんで頭痛くなるのか、なんとなくわかってきたの、整理するためにも、これからどうするのかも決めたいの、もし、二人がよければ協力してほしいの、改めて。」
「あったりまえやん、俺も今回頑張ってもらえたし!全然ええで!」
と守君はOKしてくれた。
でも透子ちゃんは黙ったまま。下を向いていた。
ただ一言だけ「聞いたこと、話してみて、そこから考えるよ」とだけ答えてくれたので
聞いたことを、伝えた。
守君にいたってはポカーン顔した後・・・困惑顔。
そして透子ちゃんはただ下を向いてままだった。
沈黙の時間が続いていた。
二人が黙っている間私は考えていた。
実は大体は想像してた・・・いや考えないようにしてた内容。
私にもあるのだろうか・・・思い出したくない、消えたくなるような過去。
正直、普通に暮らしてきた記憶しかないはずだったと思うけど・・呼ばれたからには何かあるのだろうと思う。
そう考えている時に、沈黙をやぶったのは透子ちゃんだった。
「ゆま・・・・私はやっぱり協力できない。だって・・・ゆまちゃんが元の世界に戻ってほしくない・・・消えてほしくもないの・・・だから・・・ゆまの記憶を・・・ごめん!!」
透子ちゃんは走って行ってしまった。
走り出すと思ってなかったし、なにより病み上がりなのもあって私は追いかけようとしたけども、途中でついていけなくなった。
探すにしても、どこか分からないし、守くんに何も言わずに探しにいくのもどうかと思いとりあえず、保健室に戻ることにした。
といっても中にはいなくて、保健室の玄関らへんで待っていた。
「守君!ごめん・・・!おいていっちゃって」
「ええよ。多分・・・透子ちゃんにも何かあるんやろ。」
「だよね、そうだと思う。」
「ゆまちゃん、作戦会議するで」
「はい?」
「ほらほら!今、まだ部活の時間やし!時間はまだある!だから、3-Bで作戦会議や!!」
「でっでも透子ちゃんを追いかけないと!」
「今、追いかけても何を言うんや?」
「それは・・・その・・」
「それについても一緒に考えようや」
「・・・うん。」
私と守君は荷物を持って3ーBに行く。
教室には誰もいなかった。
「おー、もう皆かえったんか、部活やな、さて、俺の席らへんで作戦会議しよ!」
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