第12話パーティー

保知さんに教えてもらっていくと三回にの右端っこに角があり、そこに体育館に入るような大きいドアがあった。


「あれ、ここって入れるの?」


守君と保知さんを探している時に、見つけてはいたが開けられないし、守君にも聞くと、そこはこの時間は開いてないとのことなのでスルーしていたけど。


「入れるよ。開く時間は授業終わってからなんだよ、最後に先生がカギしめるみたい」


「ふーん・・あ、授業って学年によって終わる時間変わるの?」


「ううん。みんな同じ」


なら、守君も終わってるのかも。

「ゆま?どうしたの?」


「いやっその、守君も終わってるかなぁと」


「終わってると思うよ、部活してたらわからないよけど・・・気になる?」


「えっあー・・・お礼とかもしてないし、また会わないとなと」


「そういえばそうだね。なら、お礼と本が見つかった祝いで、遠野さん誘いに行こ!」


「でも、お祝いって何するの?」


「ふっふっふっ実はね、ゆまと食べようと思ってお菓子が沢山あるから、それ食べよう!」


「お菓子とかどこで?しかもお金とかあるの?」


「寮で販売してるよー!先生のお手伝いに貰うチケットみたいのと交換するの」


「なんだかお小遣いみたいだね」


「確かにっ!それを貯めてこの間お菓子沢山買ったから、遠野さん誘ってお菓子パーティーしようよ。ゆま、色々頑張ったんだし、いいと思うよ!」


「守くん来てくれるかな?」


「わからないけど、ゆまが行ったら来てくれるんじゃない?なんだか仲良くなったみたいだし~ラブラブかな?」


保知さんがニヤニヤしながら言うので、多大な勘違いをされているような気がする。


「ラブラブって保知さん!何を言ってるの!もう!」


「ふふっ冗談よー!さ、迎えにいこ!」


私と保知さんは3-Bに向かう。

三年生の廊下は、授業が終わったのもあり、皆廊下に出て、部活や用事をするために移動していた。

教室について、ドアの近くにいる人に、守君が居るか聞いてみると、友達と仲良くしゃべっていた。呼ばれて、こっち向くと、笑顔で近寄ってきてくれた。


「お!早速きたんか!」


「うん、実はお誘いがありまして、お菓子パーティーに来ませんか?」


「お菓子パーティー?」


「今回のお礼に、お菓子パーティーどうかなと」


「ああ!ええで!パーティーなら俺の友達も一緒でええか?」


「友達?」


「せや、この前言ってたやつや。俺に色々教えてくれた友達や」


「ああ、言ってたね」


と、二人で話していると後ろから保知さんがひょこっと出てくる。


「さっきぶりです、遠野さん」


「透子ちゃんも来てたんか!見えてなかったから分からんかったわ」


「嫌味ですかね?」


「なにいうてんの!小さい女の子可愛い!可愛いは正義!やろ?」


「・・・遠野さん、なんかキャラ変わってません?初めに出会った頃はもう少しクールなイメージあったんですけど」


確かに、私も最初は保知さんと同様にクールで少し怖いイメージだったけど、話しているうちに茶目っ気のあって、とても優しい人だった。


「クールなのは、変わってないで?」


「・・・思ってたより自意識過剰ですね」


「ひどいっ!」


この二人の会話は近くで聞いていてコントのようだ。


「あの、それより、遠野さんの友達も参加されます?そんな話になってましたけど」


「ええんやったら、呼んでくるで」


私も保知さんも大丈夫と伝えると守君は一人の男の子を連れてきた。

遠野君より少し低いけど、がっつりした体格でラグビー部にいそうな感じ。

少し長めの髪で一つくくりをしているて、雰囲気はおとなしそうな感じの人だった。


「初めまして・・・稲井 信(いない まなぶ)っていいます。

えと、パーティーでしたっけ?いいんですか・・?僕が参加して」


「「いいですよ!」」私と保知さんがそう答えた。


「そう・・?でもなぁ」

どうしようかなぁみたいな感じでそわそわしたり、して守君の方に目配せしたりしていたが、「信、いくで!」との一言で納得したのか、行きますと言ったので、寮に四人で向かう事になった。

行く間に、信さんの話を守君が色々教えてくれた。

とても優しくていいやつであるけど、怒ると怖いとか、此処に来た時も困惑していた時に

この学校の説明をしてくれた事、逃げ足が速いことなどなど、話してる間、あることない事色々織り交ぜて説明をしていたようで、稲井さんは「それ違うよ」と突っ込みいれて守君が「冗談や」といって和気あいと話をしていた。


アは大きな洋館のドアみたいになっていて、放課後は自由に開いていて、守君と信君がオスと開いた。寮は、木造建築の学校と見た目変わらない


中もほぼ学校みたいになっていた。真ん中に階段があり、玄関に下駄箱いれがあって、気部屋の途中に階段が一個、端っこに一個ある。

この寮は3階まであるらしく、そこは学年順との事、男女も分かれている

此処は自分の部屋があるらしい。


今回、男女なので、誰かの部屋というのは無理なので、違う場所との事。


とりあえず、お互いに飲み物とお菓子を持って、その場所に集まろうという話になったので

保知さんと私は自分たちの部屋に向かう事になった。

階段も端っこにあるらしく、階段に向かう。

私たちの部屋は二回に真ん中らへんにあって、二人相部屋。

私は保知さんと一緒のらしい。


部屋の前で保知さんは立ち止まった。


「あれ?入らないの?」と聞くと、通り抜けていった。ドアを。


「えええええゅ!!!!!」


お菓子とってくるし、外で待っててほしいと言われて、中がきになるし入りたいと言って

入ろうとしてけど、普通にはいれない。

どうなってるんだろ、このドア。普通のドアなんだけど、ドアがかかっていて開かないし。

数分待つと保知さんが出てくる。

手にはたくさんのお菓子がつまった袋を持ってでてきた。


「かなり沢山あるね、でもそれより!!さっきのあれ!どうやって入ったの?」


「ふふん!貯めましたからね!あれ?あれはね、私の手見て。」


保知さんが手のひらを見せると、何か丸い石ロコサイズくらいの玉みたいのだった。


「これをつかって、したい事念じたら、大体この寮内はできるよ」


「すごっ!でもドアさ、普通に入った方がはやくない?」


「そうでしょ?でもこのドア壊れてて、開かないの。でもこのドアの鍵壊したのゆまだよ?」


「えっ私なにしたの?」


「鍵穴何かを突っ込んでたら抜けなくなったってその時言ってたね。夢食先生にも聞いてみたけど、直せないっていうし、そのボールで壊して開けられませんかとも聞いたけど、

このドアは特殊なのでって言われたから、通り抜けるしかないっていう事、覚えてない?」


「全然。過去の私なにやってんだって感じのエピソードだね・・それ。

ついでに私がなんでそんな事したか聞いた?」


「なんでそんな事したか聞いたら、なんとなくってあいまいな返事だったよ」


「うーん・・・謎すぎる、自分自身だけど謎だわ」


「このボール、また先生にいってもらったら?ボールくださいっていったら申請書くれるから」


「そうする・・・それなんで念じたらできるか原理はわかる?」


「ううん。全然。このボールの授業は三年生になったら教えてくれるらしいから教えてもらってないね」


「そうなんだ・・・あ、でもあの二人三年生だし知ってるかも」


「後で聞いてみてもいいかも、さ!その二人が待ってるだろうし、早くいこ!ゆま!」


階段を下りて、

先ほどあつまってた一番でかい真ん中の階段に集まる。

二人はもう来てたみたいだ。

手をふると、あっちも気づいてくれたみたいで手を振り返してくれる。

手元には飲み物らしきものと、それと、これまた大量のお菓子。


「二人ともおっそいで!なあ、信!」


「そんなには、待ってないと思うよ・・?」


「お前、女の子味方するんかっ!俺とお前の仲やったのに!」


本当に仲がいい二人だ。


「先輩方、そんな漫才は置いといて、早くいきましょう」


保知さんがそれを止めて、促す。


「ごめんごめん!なら行こか!」


と、皆が歩き出す、私はその場所を知らないので後ろについていくだけなんだけどね。


「透子ちゃん、今思ったけど、飛んだ方が早くないん?」


「ゆまは持ってないから、それは難しいですよ」


「ゆまちゃん持ってないんか!なら、ちょっとそれはむずいな・・」


「それに、ゆまにはそういうなんで行くより、ここの事思い出してもらいたいから、それなら歩く方がいいと思って」


飛べるの!?持ってないっていうのはさっきのボールの事かなと思う。

にしても、保知さん・・やっぱ私が覚えてないというか知らないことを気にしているんだなぁと思う。

私自身はこの世界の事が少しわかって安心はしている。

自分自身の過去は忘れてないはず・・・でもこの世界での生活は全然覚えてない。

保知さんから、したらいままで知ってた相手がすべて忘れるとか、嫌だよね。


「ごめんね、保知さん」


ついそう口がでてしまった。


「あ、ごめんね。せかしたみたいで。ゆっくりでいいよ。ゆっくりあたしの事も思い出してくれたら、それで十分」


「ありがとう」


と、その時保知さんと後ろから抱きかかえるように、守君が抱き着く。


「せやせや!急ぎ過ぎてもあかん!あんま二人とも気にしすぎんとき!」

ニカッとわらって私と保知さんを見る。

保知さんは「あの、ちょっと近すぎですよ」と腕をどけようとしていた。


「ごめんごめん!二人ともかわーいからつい」


「遠野さん、可愛いのはゆまだけですよ」


「いやいや、二人とも可愛いっ」


「はぁ・・・」


「そんな可愛い二人にお願いがあるんやけど、ええかな?お礼がてら!」


「お礼はお菓子のつもりですが」


「お菓子とジュース俺も持ってきたし、足りないかなー」


「・・・色々、協力してもらったのは貰ったので、聞くだけ聞きます」


「あんな、遠野さんじゃなくて、守って呼んで欲しいんや!透子ちゃん!

んで、ゆまちゃんは透子ちゃんって呼んであげてや」


「え、なんですか!それ、あたし、年上の人呼び捨てとか苦手なんですけど、それに、何ゆまに私の呼び方を頼んでるんですか!今日はそんな日だからいいんですよ!」


「俺な、やっぱ仲良くなるにはあだ名でもええし、さん付けより下の名前で呼び捨てとか軽くため口で話せる事やと思うで!二人とも仲良くなってきたやろ?ゆまちゃん、記憶ないかもしれんけど、この短い時間で透子ちゃんのええとこ見てきたんちゃう?もう少しくだけてもええと思う、透子ちゃんだって名前の呼び方、気にしてたって聞いたで」


「もう!余計な世話です!そ・し・て!いいかげん離してもらえます?」


二人が、ぎゃいぎゃいと言っている中、私はそうだなぁ、確かにとは思っていた。

この世界に来てから色々助けてくれた保知さん。

最初、名前の言い方を言われて今日だけと言ってたけど、あれは話の流れ上だもんね。

そう、言わしたようなものだし。

私にはない、仲が良かった記憶があるんだろう。

それなら、私の事を思ってくれてる保知さんはやっぱり言ってほしいのかもしれない。

ずっと保知さんと言ってたから、少し恥ずかしいけど・・・言ってみよう。


「・・・・透子ちゃん・・・!」


あまり大きい声では言えなかったけど、しかも何故だか気恥ずかしいから顔が熱い。

保知さん・・・ではなく透子ちゃんの方をみると


同じく顔が真っ赤だった。

この世界に来てから、初めてみた気がするこんな透子ちゃん。可愛い。


「・・・信・・・この二人マジで可愛いわ」


「・・・うん。ほほえましい・・・それに初々しい」


「二人の世界を邪魔してはいけないっそう思いつつ、この流れで透子ちゃん俺も、守と呼んでくれたらええんやで」


透子ちゃんは真っ赤にさせて下をうつむいていた。数秒後、嗚咽が聞こえてきた。


「えっ透子ちゃん!あの、ごっごめん?」この呼び方が嫌だったのかなと思って聞いてみると


「・・・ううん・・・嬉しいの。朝は冗談かなぁと思ってて・・・でも・・一緒に行動してて、ゆまが本当に覚えてない感じで・・・前の呼び方ではないけど、でも下の名前で

言ってくれて嬉しい」


名前を呼んだだけなのにこんなに喜んでもらえるとは思ってなかった。

こんだけ思われてて嬉しい反面、覚えてないことの罪悪感はあるけど。


「・・透子ちゃん。今度からはそう呼ぶよ!」


泣いていたが、その後にこっと笑ってくれた。

なんだか、意外な一面を見れて、私も嬉しかった。


「あのーお二人さん?俺も居る事忘れんとってや?そして俺のおかげだという事も忘れんとたってや?」


「・・・ありがとう・・とはいいませんよ。貴方に言われていってもらえたの悔しいですし」


「素直やないのぉ。なら、ありがとうはええから。ほら、俺も名前でよんでや!」


「まだあきらめてなかったんですか・・・はぁ・・守さん。これでいいですか?」


「呼び捨てでええのに~!まあ、それでええで!」


「「きゃあ」」


守君がぎゅっともう一度したので私も透子ちゃんもびっくりした。


「うんうん!やっぱ透子ちゃんもゆまちゃんもええこでかわええ!」


これはこれで恥ずかしくてさらに私は真っ赤になってきた。

透子ちゃんは、恥ずかしいのと怒ってるの両方で顔を真っ赤にして守君に文句を言っている。

そんな守君をとめずに静かに、ほほえみながら見ている稲井さん。

・・・なんだか見た目若そうなのに雰囲気は

おじいさんみたい。


「守。セクハラはそこらへんにしといて・・・そろそろ行かないと・・場所が・・

なくなるよ・・」


「はっせやな!ゆまちゃん!透子ちゃん、いくで!」


やっと離れてくれた。


「はあぁぁ、守君、心臓にわるいよ」と私がいうと続いて「ほんとに、稲井さんのいう通りですよ、場所とっとかないといけないんですからね!セクハラ先輩!」と透子ちゃんが怒りながら赤くしていた顔に手をパタパタしていた。


「セクハラちゃう!スキンシップや!」

守君がそういう前に透子ちゃんはもうすたすたと歩いていた。

うん、さすが透子ちゃんである。

切り替えはやすぎやん!って突っ込みを守君がいれていた。


さて、ちょっとしたコントか漫才かそんなこんなあって私たちはまた目的地まで歩く。といっても部屋が左右にある廊下をあるいているだけだけど。

進んでいくと行き止まりになる。

行き止まりだしどうするんだろと思ったら、鍵を透子ちゃんが持っていたらしく鍵穴は

見た感じは、見当たらないのに、ある場所に鍵を指すと、そのドアが開いた。


といって木造建築には変わりないところだった、違う所は壁は全部本で埋め尽くされている所、それと、食堂のように、あの有名な魔法学校が舞台の映画にでてくるような机が長―い机が三つ並んでいた。


ほぼ、色んな人が座っていて、座れる場所があるようにはみえないくらい埋まっていた。

この学校、こんなに人いたんだと少しびっくりした。


「ねえ、透子ちゃん。こんなに人いたんだね、学校」


「そうだねー。でも、常にこんなにいるわけじゃあないみたいだよ、私はほぼ多い時しか見た事ないけど、少ない時あったみたい」


「へえ・・・それっていつの話とか言ってた?」


「うーん・・・・・ごめん。覚えてないや、また思い出したら教えるね」


「そう・・にしてもある?場所?」


「そうだよねぇ。見た感じ、開いてる所見えないよね」


二人でう~んとうなっていると、「あの・・・僕・・探してくるよ.・・・皆は此処で・・待ってて」と稲井さんが言った。


「それなら、俺もいくで!」と二人で行ってしまった。


待ってる間、二人で和気あいあいと話をしたり、こっそり先にお菓子を食べたりしていると数十分後(体感的に)に男子組が戻ってきた。


「おまたせ・・・やっと・・見つけてきたよ」


「ふー・・ほんま開いてるところなくてなー!かなり探したわ」


「「ありがとう」」と二人で礼を言って、とられないようにお菓子置いてきたから早く行こうと言われ見つけた席に着く。その席は壁側左側の方にある机の奥の方にあった。

ちょうど、四人開いてる席だった。


「さてさて、やっとパーティーが始められるやん!席は自由やけど、どうする?」

と守君が言う。


「ゆまの隣がいいです」透子ちゃんが言ってなんだか嬉しくあり、恥ずかしいね!


「透子ちゃん、ゆまちゃん大好きすぎるやろ!ええけど!」


壁側に守君と信くんが座り、私と透子ちゃん人が通る側に座る。

座ると、透子ちゃんと守君が持ってきたお菓子を取り出す。


「透子ちゃんお菓子多すぎやん!おいしそうやけど、食べれんやろっ晩御飯まだやのに」


「四人で食べれば食べれますよ、きっと」


確かに多い。袋にもパンパンだとは思っていたけど、数個ではなく20個以上ありそうな勢だった、横で話しているひとたちの机の範囲内を超えそうなくらいに。

でも、守君も大概、な量を持ってきていた。


さすがに20個以上とかではないけど12個くらいはある。

つい私は


「どっちもどっちな量だと思うよ」と突っ込みいれてしまい、でもそれに稲井さんも


「有山さんの言うとおりかも・・・」と小さくつぶやくように同意してくれた。


「まあ、ええやん!とりあえず、のみものも出したし!コップもあるで!」

「ありがとう、私なにも持ってきてないし、飲み物入れるよ」


私の本が見つかったお祝いのはずでもあるのに、部屋にも入れないので、出すものがないので、せめて飲み物だけでも入れないと。


「そんな気にしなくてもいいのに」と透子ちゃんが言うがやっぱなんだか悪い気もするので、四人分の飲み物を入れる。

皆、ありがとうと言って飲み物を手にする。


そして、飲み物を持って、皆飲まず、何故か誰か言い出すのを待つ。

皆、多分最初の誰かを待っているみたいで、ふー・・・と透子ちゃんが息を吐くと

話し出す。


「えと、じゃあ、今回、守さんが色々助けてもらってありがとうございました。そのお祝いと、ゆまの本が見つかったお祝いもかねて、パーティーを思いつきました。

お菓子しかないけど、楽しもう!」


「うん!」「おう!」「・・・そうだね」皆、その言葉に各々返事をして、パーティーを始める。


透子ちゃんが持ってきたお菓子は、見た事あるお菓子もあれば見た事一回もないお菓子まであって、どれも美味しかった、守君のも同じく見たことないのと見た事あるけどおいしい!


「おいしいよ、透子ちゃん!守君!」


二人ともにそういうとにこっと笑ってくれた。

機嫌もよく、守君は稲井さんの事を色々話してくれた。

稲井さんとは一年の時から、仲が良かったみたい。稲井さんとは相部屋ではなかったけど、稲井さんが、守君を心配して一緒の部屋に頼み込んだらしい。

なんかお父さんみたいだなと思う。

喧嘩はほぼなく、喧嘩しても自分が怒るだけで、あまり稲井さんは怒らないみたい。

あまり怒らないけど、一回だけ怒られた事があるらしい。


ただそれを稲井さんが「・・・恥ずかしいから、その話はやめて」というので

守君が「ええやーん!」というが首を横に振るので、私も透子ちゃんもそこまで聞けなかった。


ほぼ守君が話す話を私たちが聞いていた。

守君の此処に来た当時の話をしてくれたり、色々面白い話をしてくれた。

透子ちゃんもそんなには言わないけど、此処に来た当時は心細かったことを話してくれた。

その時に話しかけてくれたのは私だったとか。

ただ、話しかけただけらしいけど、何も話さずただだまっていた時に、熱心に話しかけてくれて、とても嬉しかったとか。


こう、自分でした事なのに、他人ごとのような感覚だから、とても嬉しそうに話していて

その顔を見ていると、その思い出を本当に思い出したいと思った。


色々沢山話した・・いや、聞いたかな?10割のうち9割は守君の話だったし。

でも、ずっと本を探さなくてはと思っていたので、楽しいひと時は本当にストレス発散になれたかも!

周りの人が徐々に少なくなっていってくると、透子ちゃんが「そろそろ、晩御飯の時間になるし、おひらきにする?」と言う。


「せやな!げぷっ・・いや、これ晩御飯はいる気せんわ」


「確かに・・・うぷっ・・・多すぎたかも・・」


二人はもう満腹のみたい。私はというとまだ晩御飯入りそうだ。

もともと、そんなにお腹も喉もすいていないけど、それでもおいしいのはおいしいから

いっぱい食べちゃったな。それにしても、初めのころ、ここの食事を食べたら戻れなくなるとか考えてた割には沢山食べたな。

透子ちゃんも沢山食べていたようで、同じくそんな満腹そうには見えない。


「うう・・二人とも・・すごいな、あんなに食べたのにけろっとしてますやん」

お腹を押さえて、食べ過ぎたーと悶えている守君にそういわれた。


「楽しくてつい,、沢山食べちゃったっ!皆で食べるのってこんなに楽しいんだね!

前も思ったのだけれど、私は此処にきて数時間かな?しかたってないはずだけど友達と食べるという行為が久しぶりだなと思ったの。守君と食べたときに。

だから、みんなと食べられるの本当に楽しかった!」


「ゆま・・・私も楽しかったよ、またパーティーしようね」と透子ちゃんが言ってくれた。


「またするのは・・・げぷ・・賛成やで!でも今日は・・・無理やな・・部屋戻らんか?

・・寝ころびたいねん・・」

顔色もあまり、よくないようなので、片付けてお互いに自分たちの部屋に戻ることにした。

守君と稲井君は、例のボールを使って目の前で消えたけど。

改めてみると、瞬間移動とかありえんよね。現実感ない。


私たちは、私がまだ持っていないので、来た道を二人で歩く。

なんだかんだ、楽しかったが疲れたのもあり、帰り道はほぼ静かに帰っていた。

歩いて、数分、やっと部屋についた。

あれ、思ったんだけど、私どうやってこの部屋はいるんだろ。

ボールないじゃん。


「透子ちゃん、今更だけど私この部屋入れないよね?」


「あっ・・・そういえばそうだね・・」


透子ちゃんもすっかり忘れていたみたいだ。

他の部屋の人に入れてもらいないかなと思って透子ちゃんに聞いてみると、


「そうだね・・・なら、だれか入れてもらえるか聞いてみようか」

そういって一緒に一つ一つ部屋に確認してみる。

その中に一人部屋の人がいて、その人がさわがしくしないならという事なので

入れてもらえる事になった。


「じゃあ。ゆまちゃん、また明日ね」と透子ちゃんが去ろうとするので、「あれ、一緒に止めて貰わないの?と聞くと「さすがに、二人は多いし、私は入れるから、やめておくよ」とのこと。


「そう・・・?」


少し寂しくなったけど、まあ、それはそうだよなぁと思ったので、そこでお互いにまた明日と言って別れた。

この時は分からなかったけど、のちに私はこの時透子ちゃんが思っていたことを全然気づけなくて後悔することになると思っていなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る