第8話三人仲良く

玄関にたどり着いたので、各自玄関付近を探すことにした。

といってもそんなに広くないし、落ちてたら普通わかる。

もう、入るときは無理やり入れられて、その後も引っ張られたのもあってしっかり見れて

なかったけど、下駄箱あったのか。

保知さんは落ちてないかお、気にしてみてくれてるけど、遠野さんは下駄箱を軽く探しているだけのようだ。もう少し気持ち込めて探して欲しい所。

私もそうやってチラ見しながら、見てはいるのだけれど、相変わらず。

そもそも、手持ちが何もなかったよな。

あるわけがないと思うけど、これを言ったらまたびっくりされだし、信じてもらえる気がしない。


「そもそも、此処でなくなってたら誰か拾ってくれてるじゃないか?」


「そうですよね・・・でも、そうなると誰が持ってるか全然分からないですよね」


「聞いて回るしかないやろーな」


「そうですけど・・・探している間に時間過ぎますよね」


「せやけど・・・なら先生らに相談してみるのはどや?」


「白イノシシ先生には聞いたけど、詳しい事は見つけてからしか言えないと言われました」


「白イノシシ先生って誰や?」


「あの、私ほぼ覚えてなくて、先生の名前もわかっていないんです・・・」


「・・・・あんさん、ほんま大丈夫か?物忘れってレベルちゃうで」


「本当にそうですよね・・・詳しく説明してもいいんですけど、信じてもらえるかはわからないです」


「言うてみんと分からんし、教えて欲しいな、俺は」


覚えていないというより、初めて此処にきたという事を話そうとしたが、保知さんがそれを私の口を後ろから軽くふさいだ。


「まだ、言わないで。私も聞きたいけど聞くのが怖い」


「保知さん・・・」


「でも、聞かんと埒があかんと思うねんけど」


「わかってますよ!でも・・・今は、今は駄目なんです!」


少し、泣きそうな顔をして、保知さんが叫んだ。


「ちょっ分かった!分かったから、泣かんといてや」


ワタワタと慌てふためきつつ、持っていたハンカチを渡しているのをみると

口は悪いが性格は良いタイプかもしれないと一人私は微笑んでいた。


「おい、当事者が何笑っとるねん」


「顔赤らめながら言わなくてもいいですよ」


「よし、ちょっと校舎裏までこいやー!」


「なんでですか!ってこんな事してる場合じゃないんですよ、保知さんが言って欲しくないのなら、まだ言わない。でも、手がかりがほぼないし、聞いても答えてくれそうにないけども、先生の所行こう」


「それ、俺の提案なんやけどな。その意見には賛成や」

「私も、それには賛成」


仲良く意見も一致したことで、玄関を後にして、職員室に向かうことにした。

気のせいかもしれないけれど、去る間際玄関を見たときに、だれかが私達をみていた気がする。


話をしながら二人の後をついていく。

職員室に着くと、これまた静かな場所。人の出入りが皆無なのかと思える程、音がしないし、

人気を感じない。


「ねえ、二人とも・・職員室ってこんなに静かなの?いつも」


「せやで、先生が少ないし、職員室にくる生徒とかほぼおらんで」


「なんでなんですか?」


「聞くことがないからや、大体授業で習うし、教えてもらう事は時期が来ないとできひん事やし」


「そこのお二人さん、とくにゆま!貴方の事なんだから、話してないで聞きに行こう」


「「はい、へいへい」」


職員室に入ると、先生は一人も居なかった。


「誰もいない・・・せっかく聞きたかったのに」


「残念やな、先生らもう教室に向かったんちゃう?」


「それ、すごく今更だと思うんですが」


「ねえ、ゆま、大丈夫みたいだよ、先生が来たよ」


「ほんとに?」


少し待ってると現れたのは黒イノシシ先生だった。


「何をしているのですか?君達」


「先生に聞きたい事がありまして、来ました。」


「ああ、君か」


「一応、探しては居たんですが見つからないので、先生に聞きに来ました」


「そうでしたか、でも私も本の場所は知らないですね。」


「そんな・・・でも探している時間ないんです、早く見つけないと消えてしまうんです」


「そうですね、それは私も今は困りますので、場所は分かりませんがいい方法ありますよ、

見つかるかはほぼ賭けでのようなものですが」



「どういう方法ですか?」


「前、私と一緒に行ったあいだ場所に行ってる間は、この場所の時間は止まっているんですよ、こちらはね。だから、貴方が行っている間に、お二人に探してもらえればいいのはどうでしょうか?」


「え・・・・いやいや、私の本ですし、自分で探したいです。

それに・・・」

あの世界というか場所はもうあまり行きたくないです・・・怖いです」


「まあ、貴方がそういうなら私はそれ以上言えませんね」


怖いのと切ない気持ちが入り混じった気持ちではあった。

本当に、矢が飛んできたときは死ぬかと思ったし、最後の男の子の最後はいたたまれない

気持ちになった。


「おいおい、えっと、ゆまちゃんやったけ?どの場所の事を言っているのか分からんけども、

可能性あるなら試してみるべきちゃうか?」


「本当に怖かったんですよ・・あの場所。」


「なら、多数でいけば怖くないんちゃう?」


「は?どういう事?」


「俺ら三人で行ったら、怖いのもマシちゃうかって」


「でもそんな事したら、探す人いないですよ」


「あ、せやなぁ・・」


「なら、私が一人で行ってこようか?」


「保知さん?」


「私、ゆまよりかは精神的にも体力的にも強いはずだから」


「いやいや、あそこ本当に危ないよ、そんな場所に一人でとか危ないし、思ったんですが、

先生はついてきてくれないんですか?」


「行きましょうか?」


思ったより素直についてきてくれると答えてくれた。


「・・・あれ?いいんですか・・・?」


「いいですよ、ですが結局誰が行くつもりでいるんですか?」


「それは・・・」


あんな危ない場所に保知さんや、遠野さんに行かせるのはどうかと思うし。。

やっぱり私しかないのか。


「あの、私が行きます・・・本については頼みます・・」


「わかりました。あと一人は誰かきますか?」


「私一人だけですよ!二人に行かせるの危ないじゃないですか」


「ん~・・・そうなんですが・・・まあ、後でなんとかしますので、ついてきて貰っていいですかね」


そういうと黒イノシシ先生は手荷物を職員室に持っていき、数分後に戻ってきた。

その後、黒イノシシ先生に私たちはついていく事になった。

着いた先は、教室。私達の居た教室みたい。


「先生、此処ですか?」


「いえいえ、違います。さ、ついてきてください」


黒イノシシ先生はすたすたと歩いて行ったので、私たちもついていく。


「お待たせしました」


私は当たり前だがその子が誰なのか分からないけど、見た感じおとなしそうな子の前に、黒イノシシ先生は近づいて、話しかけていた。

その子は黒イノシシ先生が来て、なんだかほっとしたような顔をしていた。


「さ、ゆまさん、その子の本を触ってみてください」


「どうしてですか?」


ポンッと誰かが押されて、本を触ってしまった。

ちょっ!誰って先生!あんたかい!あれ、先生、私以外に片方の手誰か掴んでる?

誰?・・・あ・・眠たく・・・・。

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