第6話保健室で

扉を通ってついた先は先ほど居てた教室。

にぎやかな教室だった。

「まゆさん。また、本が見つかったら詳しい話をしてあげます。それまでは

今日あったことは誰にも言わないでいただけますか?」

何故ですかと聞きたかったけど、答える気ゼロだな、このなんとも言えないほほえみは。

「・・・見つけたら、本当に一から教えてくださるなら。」

「ありがとうございます。ゆまさん、人を待たせているのではありませんか?」

あっそういえば、ほちさんを随分待たせてるいるのをすっかり忘れていた。

「行ってあげた方がいいですよ、私も忙しいのでこれにて失礼しますね」

そういうとさっさと教室をでてしまった。


色々とわかったようで、全然進んでない気が否めない、まあ、考えるのも大事だけど

動かないと分からないし、次こそは本探しをしに行こうと、私も動く事にした。

ふと、教室を出る前に、あの男の子がいた場所を見ると、いままで居なかったかのように

なにもなかった。

机すら消えていた。

会った事はないけど、ふと涙がでてきた。

【居なくていい存在なんてないはずなのに】

ふと、そんな言葉が頭をよぎる、だれかいってたかな、本で読んだわけではなく

誰かに言われたようなそんな気が・・・・

「ゆーま!いつまで待たせるの!」

と誰かに話しかけられ、はっと声の方を向く。

「あ、ごめん!ちょっと考え事してた」

「どうしたの?また何かあった?」

「え、ああ。なんでもない!さ、本探しにいこう!」

なんとなく、泣いてた事は聞かれたくなくて、笑顔を作って教室を早々と出た。

さて、泣いてる暇はないし、探しに行かないと、でもそういえば、どこ探しに行くんだっけ。

、ドタバタに巻き込まれて忘れたかも・・・・。

「何、立ち止まってるの、早く行こう」

「う、うん!」

とりあえず、ついていけばなんとかなるはず。

ほちさんが先々歩いて、くれているのでその後ろをついていくと、私が上ってきた

正面階段を下りて、右にまがり、途中で左に曲がって端っこに、そこには保健室があった。

ついてきて、わかったけど、ちゃんと曲がる所あったんだなと実感。

「さ、入ろう」

ほちさんは、保健室に入っていった。

私もそれに合わせて入っていく。


保健室は、まあ、一般的な保健室だった。

運んでもらった時はぼんやりしていたのもあってしつかり見れてなかったしね。

先生が座るような席とベッドが三つ位にベッドが見えないように隠してるカーテンがある。

先生は、そういえばあの白イノシシ先生以外居なかったけど、今も居ない。

本当にいるのかな、保健室の先生。


「ねえ、どこで寝てたか覚えてる?」


そういわれて思い出そうとする。


「多分、私から見て、右のベッドかな?」

「なら、そこ探してみよっ」


私の本を探しているはずなのだがどちらかというと、ほちさんが積極的に探してくれている、その本がかなり重要だからなのか、それとも私を心配してくれてるからなのか

どちらだろと、自分の本なのに、探してくれてるのをぼんやり見つめていた。

それにしても、なんでここまで探してくれるのか気にはなる。


「ねえ、ほちさん。なんで私の本をそこまで必死に探してくれるの」


「んー・・・・あの本は、見た目は一緒だけど、一人ひとり内容が違うらしいの。

アタシが教えて貰ったのは、本を持っていないと徐々に、自分の事を忘れていくって聞いた」


「は?」


そんなの聞いてない。基本聞かないと教えてくれないあのイノシシ先生コンビ。

だけど、そういう大事なことは本当に言えよ!!

此処に来てから後出し多すぎ!!


「だから・・・・ゆまがぼんやりしてるのも、本のせいかもしれない。

ゆまが、私の事を・・・覚えてないのも・・」


探しながら、話してくれていて、顔が分からないけど、声色は少し元気がなかった。

本当に、私はこの子を知らないはずなのに、とても悪い事をしてしまった気分。


「ごめん・・・やっぱり気にしてはいたんだね」


「・・・覚えてないのは仕方ないしね、ちょっと寂しかっただけだから!」


いくら、覚えてないとは言っても、あっちは覚えているなら、それは事実ではあるのかもしれない、そういえばそんなノベルゲー見た事あったな。グロかったけど。

休憩時間っていうからにはあまり、時間がないのは分かるけど、ほちさんにとって

私はどんな人間だったのだろうか。


「ほちさん、私ってほちさんからみてどんな人間だった?」


「どんな人間ってかなりアバウト(笑)」

「他に、良い聞き方が思いつかなくて」

「どんな人間ねえ・・・天然で好奇心旺盛で、遊ぶことが大好きな大切な友達かな。でも

前も言ったけど、ゆまは危なかっしい。

今日もまた、急に倒れたからびっくりしたよ。」

「大切な友達・・・ありがとうね。それにしても天然で好奇心旺盛ってどういうこと?」

確かに自分でも危なかっしいのは認める。

そんなに危険な事に自分から行っているつもりはないのだけれど、此処に来てから危険事によく巻き込まれて、九死に一生を経験してる気がする。

あれ、そういうば、またって此処にきてから、私、ほちさんの前で、一回だけしか倒れていないはずなのに、いつ倒れた事を言っているのだろう?(黒い点々つける)



「ゆまは、昔からそうだよ。私が止めても、危ないって事説明しても、すぐに先々行ってくるんだから」

「昔から・・・」

本当にほちさんの事なんで、私覚えてないのかな。

この世界は私にとって、全然知らない場所のはずなのに、懐かしそうに言われると

ほちさんに悪いなと気持ちになる。

それに、私が知らない事が色々ありすぎて、どこか他人目線な気持ちもあるからか、

昔からと言われても、どこか誰かの事のよう。


「昔から、私ってよく倒れていたの?」

「それはなかったけど、最近からよく倒れるようになった気がするね」

「最近?」

「そう、最近。」

「ほちさん、私さ。本当によく探してくれてるほちさんにこんな質問をするのも

どうかと思うけど、やっぱり、ちゃんと聞かないといけないと思うの。だから、教えて欲しい。」

「・・・何?」

お互いに真剣な表情で見つめっていた数秒、その空気を壊していくように


ガラッと人が入ってきた。


「失礼しまーす、あれ、先生いない?・・・どうすっかなー。

って、そこに居る二人は・・誰か居るん?」

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