第5話はじまりの始まり

もう、わかってた。また寝てしまったのだろうと。

理由はいまいちわからないけど、目が覚めたら倒れてるし。

ただ、また運ばれて保健室かなと思って起きてみたら


まさにこれこそSFといったような世界観。

初めこの世界に来た時も不思議ではあったけど。

今度は電脳世界って感じ。ゲーセンの音楽ゲームの譜面のようなデジダル世界。青と緑と黒くらいしかないそんな世界。

空もマトリックスのような緑文字列が上に流れていってる。

語彙力がないよなと、ぼーと周りを見渡す。

誰か、助けてくれる人いないかな、最初の頃は助けてくれるってより無理やり来させられたけど、あのままだと迷ってたかなと思うと助かってた気がする。多分。


数分は待ってみたけど、来る気配もないので諦めて進むことにした。

まっすぐしか道はないようで、その周りは全部ビルに囲まれているみたい。

人がいる気配はないし外面は真っ暗で窓はあるけど青い光しか見えないからそれはそれで

少し怖い。人がいるのって安心するよなー。

ひとりでいたいけど、いないのって本当に寂しい。


と、数分一人で歩いていると、さっき教室に居た子が、しゃがんで体育座りをしていた。

また下を向いていて寝てるようにも見える。


あ、さっきの男の子だと思って近寄った瞬間に私は後悔した。

だって急に地面が崩れて落ちるなんて思ってもいないから!!!


「ええええええええええ!?なんで!?」


ものすごい速さで落ちていく。

「ちょっ!これどこに落ちてるのよー!!!!」

落ちてるだけならよかったものの、下から青い矢みたいのがこっちに向かってくるし!!

「いやあ!死ぬ!!」

こんな意味の分からない世界で死にたくない!!


・・・・へ?

相変わらず落ちてはいるみたいだけど、生きてるし怪我もしてない。

「いい 生きてる・・・・・!!でもなんで?」


「夢見の本を使わないのですか?」

そう聞いてきたのは肩の所に居たのはあの黒イノシシ。

「え、先生?・・・どうしてここに」

「次は死にますよ」

「どういうことですか!?」

「こういう世界の物は夢見の本がないとどうにもできないのを教えたはずでしょう?」


私は朝からの一部始終を説明をした。


「はぁああああ・・・・それで此処に来たと・・・本当めんどくさい事になりましたね。


顔の表情はいまいちわからないけど、嫌そうな雰因気は伝わる。


「ごめんなさい・・・正直私もめんどくさい事になったなと途中から思ってます」


この夢みたいな世界に来るまでは、少し面白い事あるかな期待してたけど、巻き込まれてくうちに、めんどい事になったと思う。

「あなたの今の状態は、簡単に言うと武器無しで怪しい森にに行くみたいな状態です。

どうします?ここから抜け出したいですか?」

「当り前じゃないですか!このまま落ちてまま危険な目に合うとか勘弁して欲しいです。」


「なら貴方の夢をもらっていいですか」


「どういう事ですか?夢って・・あげるにあげられませんが」

「確かにそうです。意味が分からないとは思いますが、そしたら助けてあげられますよ」


ものすごく怪しい。でも助けは今はこの黒イノシシ先生しかいない。

ずっとこのまま落ちていくのも、怪しい矢が向かってきて死ぬ思いをするのも、

怖い。

「・・・・お願いします。私の夢、あげます。でも本当に助けてくれなかったら恨みますから」

「わかりました。あなたの夢を予約させてもらいます。後日もらい受けにいきます、

さて、このままでは食べられないし、まだまだ飛んでくるだろうから。大きくなりますね。

下まで猛スピードでおりますから振り落とされないようにしてください」


「え」


ぬいぐるみサイズの黒イノシシ先生像位にでかくなり、二本足で歩いていたのに四本足で

下へ落ちてる時も早い猛スピードで駆けていく。


「きゃああああああ!!!落ちるっ!振り落とされれるるうううう!!!」


「落ちたら今度こそ助けられないので」


早すぎて息すら怪しくなってきた。

落ちてく中、うっすらさっきの矢のような物や、それになんだか穴のようなのを見たような

気がした。

「そろそろ着きますよ」

「やっっと・・・・」

もうそろそろ、本当に死ぬかそれとも気絶にまでなるかと思った。

どすん!!!!!!

と大きな音を鳴らして降りたみたい。

着いた所はさっきとは違いほぼ真っ暗だ。ただ、私と黒イノシシ先生だけはなぜか見える。

「お疲れ様です、さ、降りてもらっても大丈夫ですよ・・・多分」

「え、多分って怖い事いうのやめてもらえます?てかこんな暗い場所降りますか?」

「冗談ですよ、さあ降りてみてください。貴方なら降りれますよ」

そういうと鼻で私を持っておろしてくれた。

「うわ!おお・・ありがとうございます」

そっと降ろしてくれたので、安心。ちゃんと下があったのでさらに一安心。

「貴方にして貰い事もあるので、とりあえず小さくなりますね」

「あ、はい。別に初めに会ったときの大きさでも大丈夫な気がしますが」

「あの大きさはあの場所でしかやりにくいので」

「どういう事ですか?」

「それよりもそろそろ、あの子が現れますよ」

「あの子?」

「ええ、この世界、いえ、この場所を作り上げている人物です」

「・・・誰か全然わかりませんよ」

「あなたと同じクラスの男子に居ませんでしたか、おとなしそうな」

「皆とあまり会話してないし、そんなに覚えてないですよ!」

「そうですか、なら貴方の隣にいた子といえばわかりますか?」

「え」

「覚えてますか?あの子の世界ですよ」

「意味が分かりませんっ!あの子の世界と言われても」

「質問する前に考える力もつけましょうね、さ、あの子に近づいてくれませんか

私は、この小ささでは時間かかるので」


意味が分からない事がさらに増えていってる気がした。

でもわかるのはこの子がこの世界を作りあげたという事ともしかしてと思ってはいたけど

此処に来る前に本を触ったのと関係ありそう。

てか、大きくなればいいだけでしょうと思う。

「大きくしないんですか?」

「小さいほうがここではやりやすいんですよ。ばれると困るので」

「ますますわかりません。」


そう話してると数メートルくらい離れた場所で光が出てきた。

「なにあれ」

その方向に目をやると黒イノシシ先生がこう言いだした。


「あっ出てきましたね!さ!はやくしないとまた、上に戻されますよ」

そういうと体がふわりと浮き出した。


「なっなんで!?」


「色々気になるのはわかりますが早く上に戻される前に

走ってあの子の元に行ってくれないとまた振り出しに戻るしなにより、もう戻れませんよ」


「あーもう!!!!!わかりましたよ!!!!」

半ばやけくそになりつつ私は一メートルくらい先に居る横にいた男の子の所に走る。

段々、体が浮き始めて正直、走れてるのわからないまま走っていた。

もう、数センチくらいは浮きかけて、浮きながらじたばたしてる感じである。

「そろそろやばいですね」

「わかってるよ!

もう体が浮きかけてきて今度はほぼ泳いでる状況。

息も切れ切れになりつつも、男の子が触れそうなぎりぎりまでつくことが出来そうな

いや、もう手を伸ばせば届きそう。

手を伸ばそうとするとその男の子がこちらを振り向いた。

「貴方はだれですか?」

「え、いや、それよりもこの浮いてる状況なんとかできませんか!?」

その時私の肩に乗っていた先生が急に降りた。

「いままでお疲れ様、さあ、以前に渡してもらったからそろそろ貰いにきてあげたよ」

先生が何か言っている。

先生が話している間、さっきまで浮きそうだったけど

今度は、時が止まっている感覚だ。息がつまりそうな、周りの空気が静止しているような。

先生がその子に近寄って、先生がその男の子を吸い込んでしまった。

吸い込んだ瞬間、周りに映像がいろんな場所人現れた。

ほぼ数秒単位で消えたから、わからなかったけど。ほぼ全部あの男の子が泣いていた。

その後、急に浮力がなくなって、息がつまるような

空気がなくなった。

「うわっ!いた!」

いててて、急に落ちるとか、これも言っておいてほしかったよ!

「大丈夫ですか?」

小さい姿でもなく、大きい姿でもなく、少し高い、スーツ姿の

黒イノシシ先生だ。

「・・・一応。終わったんですか?」

「はい。上の方から映像も消えて、周りの物も徐々に暗くなって消えていきますので、そこの扉から帰りましょうか」

周りはさっきの映像も出ては消えて、もう上の方は黒くなっていた。

「いつのまに、扉でてたんですか?」

「ゆまさんが、あの子の悪夢を見ていた時ですかね」

「どういう・・って言っても答えてくれないですよね」

「よくお分かりで。ゆまさんが本見つけたら大体わかりますからね」

「白先生もそういいますけど、気になります。ただそれより気になる事が

あります。」

「なんでしょう」

「あの男の子はどうなったんですか」

「・・・吸い込んだのでもう、この世界にはいませんね。

というか存在自体といってもいいかもしれませんが。さ、あの扉も言ってるうちに消えてしまいますよ。行きましょう。」

先生は私が何か言う前に扉の方に行ってしまった。


存在自体・・・改めて、私はこの世界もそしてこの先生も怖く感じた。

だって、この世界が現実だとしたら、もう本人はいないって。

そんな存在を消してしまった先生は本当に何者なのだろう。

「ゆまさん、本当に早く来ないと消えますよ」

扉を半分開けて先生が待っていた。

信用していいかもいまだ分からないけど、このまま此処にいたら消えるってのは

後ろをみるかぎり、もう、あの男の子が居た所まで黒く染まってきているので

、扉に向かった。

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