第4話本を探して

目が覚めたら、見覚えのない場所にいた。

・・・自分の部屋かな・・・本当変な夢みたなぁ・・・・。

目を開けて、体を起き上がらせるて、周りを見ると居たのは夢で見たイノシシでした。


・・・・?イノシシ?


「うええええ!?」


「お~は~よ~ございます」


「おおお、おはようございます・・・じゃなくて!なんでそこにいるんですか!?てかここどこなんですか!?なんで名前を知ってるんですか!夢の世界だし、そんなこと気にしてもとは思うのですが・・・なんだか夢にしては痛みもあるし・・・」


「ん~?ゆまさん~もしかして、あの本を忘れてきたん~ですか?それとも落とした~?」


「へ?本?」


「みたいですね~。ゆまさん、僕からは説明はできないんですよ~。僕には此処では

できる事が限られまして~ゆまさんがその本を探してきてもらってからでしかあまり手助けはできないんですよね~。教えられるのは少しだけですね~。

多分ですが~当分戻れないと思います~貴方の居た世界にはとか~」


「はあ?」


「えっと・・・はああ!?いや、なんでですか?夢の中なら数時間後には目が覚めるし、なによりなんで場所も言えないのになんで、戻れないとか言えるんですか!?」


「本を手に入れたら~大体その本に載ってます~。此処がどこなのか~そしてなんで戻れないかとか~夢の中とかどうかは。」


「だからその上で聞きに来てください~。あ~でもあともうひとつ忠告~

本を読んでる子には~話しかけない方がいいよ~連れてかれるから~」


「なんて適当な・・・てか先生も言ってたけど連れてかれるってどこにですか?」


「それは~また~本を読んでから教えてあげる~。」


「気になるんですが。てか皆、本読んでた場合、話しかけられないじゃないですか。」

「皆~読んでる時間は~朝の時だけだよ~だからそれ以外なら~読んでない子も居るから~大丈夫だよ~。」


「話しかけてはダメな理由はなんですか。」


「話しかけていけない理由ですか・・連れてかれるですよ~?」


「どこにっ・・・ていっても答えてくれないですよね・・きっと」

「見つけてからの~お楽しみ~ということで」


「お楽しみには思えませんが。話してて奇妙な事態に巻き込まれたのか、やはり夢かなと思ってもいます。でも、逃げようもなさそうなのは此処に来てから、わかりました。


「それはそうと、先生は何者なんですか?」


「ふふ~それもお楽しみで~。さ、ゆまさん~もうすぐお昼ですし、元気になったなら~戻りましょうか?保知さんも心配されてますし~」


「ほちさん?え、それって」


と私が聞き返す前に座っていた椅子から立ち上がり、ドアをあけて待っててくれた。

相変わらず話をスルーするけど、待っててはくれるみたいだ。


「ありがとうございます」


「いえいえ~。教室までの道のりは覚えてないでしょうから~ついてきてください~」


確かに・・覚えてないし、そもそも知らない。ここがどこかもわからない。

でもこのカバ先生の口ぶりだと、私は忘れているような口ぶりだ。

意味がわからないなと思いながら先生の後ろをついていく。


ん?あれ?


保健室を出ると、学校に入ったときは人気すら感じなかったのに。

廊下はとてもにぎやかで普通の学校のお昼休みのようにおしゃべりしている子達など

人が沢山いた。


「なんで・・・?先生、私が教室に入るまでは人がひとりもいないくらい静かだったのですが皆どこに居たのですか?」


「いましたよ~。ゆまさん、ぼ~っと、していたのかもしれませんね~」


「どんだけ、鈍感なんですか、それ。さすがにそれはないですよ!」


「そうかな~、ゆまさんは少し鈍感~というかにぶ~い所ありそうですよ~」


「少しで済む問題ではなくて!」


のらりくらり話題を交わされて、聞きたいことはあまり聞けず、いつのまにか

教室についたのか、急にイノシシ(らしき)先生が振り返ってきた。


「きゃ!あの!急に振りかえらないでください!びっくりしたじゃないですか!

「ゆまさん~僕は職員室でご飯食べるので~がんばってください~」


「あ、え?はい・・?」

白イノシシ先生はそう言うと去っていってしまった。



ついて行きながら、思ったけどカバ先生思ったより足早い、もう見えなくなったし。

なんで教室で食べないのかも言わせる暇もなくいってしまった。


入る前に整理しよう。


起きたら急に変な所に居てたとか本当にワロタ。

場所不明、夢のなかのはず(と信じたいだけかも)

体感的には数時間経ってるはずなのに起きない。

あ、そういえば此処で時計探してなかったな、確かめよう。

手がかりは本・・そういえばイノシシ先生にどんな大きさや色とか聞いてないじゃん!

カバ先生がいってた、ぼけてたのも案外まちがってないかも。


「なあ、そこ入りたいんだけど」


「ごめんなさい。」


こんな所で立ち止まっていたら、邪魔になるな。

私は男の子が通ると、その後に入っていった。


入ってみるとさっきとは大違い、本当に静かだったのに、普通ににぎやか。

とりあえず、自分の席はさっき分かったし、そこに戻ろう。

あの時はいろいろ混乱してたから自分の席の引き出しを見てないし、見てみないとな。


自分の席に戻ろうとしていると、最初に話かけてきたはずの女の子が後ろから話しかけてきた。


「ゆま、大丈夫?急に倒れてびっくりしたよ」


最初に話かけてくれた子のはずではある。声は似てるし。

外見はしっかり見たのは今回初めてだ。

教室でもさっさといってしまうから見れなかったし。

おかっぱ頭にブレザーの制服。目も大きくてなんだか日本人形みたいだなー。


「ゆま?聞こえてる?」


「あ、ごめんね・・ちょっと最近寝不足で体調よくなかったみたいで」


「無理しちゃだめだよ!そういう時は休んでもいいと思うよ」


「心配ありがとう。あのさ・・・ちょっと質問あるんだけどいい?」


「ん?何?」

「私の本知らない?・・・ほちさん」


聞きたいことと、名前の確認を試す感じで聞いてみよう。


名前なのか自身はなかったけど、あのイノシシ先生が心配してたと言ってたしこの子の事だろうと思う。

間違えたら訂正してくれるだろうと、最悪怒られたら寝ぼけていたといえば

大丈夫・・なはず!


「本?教科書?てか保知さんって!いつものあだ名で呼んでよ!

 変な感じするよ?」


「ちょっと変えてみるのも楽しそうじゃない?」


「いや~変だって~!」


「ね、それはともかく、私の本もそうなんだけど・・・ほちさんの本はどんなのか見せてくれない?」


「はあ・・・まあ、今日だけだからね。変な感じするし。

で、あたしの本はね、えーと、鞄にしまってたかな。ちょっと待ってて」


「うん、わかった。あ、自分の席で待ってていいかな?」


「いいよ~」


自分の席に戻ると一番初めに、気にはなってた引き出しの中を調べると、何もない。

まあ、此処に来たのは初めてだから当たり前だけど、一応居たことにはなってるなら

プリントか教科書くらいあるだろと思ったのにな。

横に鞄はある。何が入ってるのかな。


「おっまたせ~。持ってきたよ!」


「ふえ!あっありがと!」


「びっくりしすぎ!変な声出てるし」


「えと、その手に持っている黒い本?」


「うん、これだよ」


まっくろだ。表紙もタイトルすら書いてない。


「あの、ちょっと貸して欲しいんだけど・・・」


そういった途端、ほちさんは目をぱちくりしてとてもびっくりしていた。


「・・・え?何をいってるの?これを貸すの?」


これはやばい事聞いた感じがする。


「あははは・・・冗談だよ!」


「だよね~!でもその冗談は私だけにしときなよ?他の子の前ではやめておきなよ」


とぱちくりした目から一転、真剣な目で言われてしまった。


「ごめん・・・ね、ほちさん。その本って皆持ってる?」


貸してはもらえないのはわかったし、他に聞けそうな事をできるかぎり聞いておこう。

「当たり前でしょ。てかなんでそんな当たり前の事聞くの?」


「実はさ・・・無くしたんだよね、多分、その本」



「えっ、ええええええええええええええええええええ!?まじ??」


「うっうん・・・・」


大声で叫ぶ程やばいことみたいだね・・・これは・・・。

クラスの皆も何事かと思って近寄ってくる。


「ちょっと来て!」


集まったクラスの皆の隙間をすり抜けてほちさんと私は教室を抜ける。

朝、ひっぱられた方の手もあってかひっぱられると痛い。

「ちょっ痛いって!」


「ね、どこで失くしたの?ひっぱったのはごめん」


「それが覚えてないの」


「覚えてない?失くしたの気づいたのはいつ?」


「え・・・あー・・失くしたの気づいたのは、先生が本を持ってるかを保健室で聞かれて、気づいた」

覚えてないというより知らないが正しいから、なんとも説明しずらい。


「なら保健室にあるかもしれない。取りにいこう。」

あるかな、確かに探してはいないけども。

キーンコーンカーンコーンとチャイムが聞こえる。

「チャイムなったね、まあ、少しさぼって取りにいけなくもないか」

そう私が言うと

「それは駄目、授業はじまる、参加はしないと浮いてしまうのよ、戻ろう」

私としては探しに行きたいけど、基本的に私も真面目な性格ではあるため、ここから

抜け出すのもなぁと思ってしまう。

てか、次の授業がカバ先生なら探しにいけるかもしれないよね・・・・

とまた、悩んでると手首をひっぱられる。

「いたっ!ほちさん!あの、引っ張らないでそっちの手痛いから」

「でも、急がないと間に合わない」

「ちゃんと急いでついてくから離してほしい」

まださっきの痛いのでひっぱられるのは勘弁してほしくてつい、いってしまった。

「・・・わかった。ちゃんとついてきてね、まゆは危なっかしいのよ」

「はーい・・」

気になるけど、そういえば時計も確認してないし、その確認もかねて戻るか。



教室に戻ると皆座っていて、ギリギリではあるけど先生は着てなかったので各自自分の席に座った。

あ、そうそう。先生来る前に学校なら大体黒板の上とかに時計があるよね。

と上を向くと学校にありそうな丸い時計はあった。

だが長身しかない、あれ?普通は長針と短針があるはずなのに。

うーん・・・壊れているのかな。

じっと時計を見ていると、なんとなく寒気がする。


なんだかわからないけど、見るのが怖くてそらしてしまった。

あ、先生が来てる。

下に視線を戻すと先生が来ていた。


あれイノシシ先生・・・・かな?見た目はさっきのイノシシ先生そっくり。

ただ・・・まっくろ!墨でもかぶってきたのですか?そんな感じに全身、黒い。

「せっせんせい、あの黒くありませんか?」


「〇〇〇だからです」


ん?あれ聞き取れない。


「はい、質問ある人はもういませんね!では教科書の~」


いう前に先手を打たれてしまった。

多分違う先生だろうな。朝の普通のカバ先生に比べて話すの早いし。

相変わらず、話をさせないのは同じだけどね。

皆がもう教科書らしきもの。ほちさんが見せてくれた黒い本ではないみたい。

周り見渡すと皆もってる。

朝のカバ先生みたいに、聞かれるのもめんどくさいし、探さないと。


教科書って言われても引き出しは何もない・・・鞄にはあるかもしれない。

調べきれてなかったし、開けてみるか。


見覚えのないリュックの中にちゃんと今日の教科書と、


それと、棒。50センチくらいの小さい棒。


これ、こういう変な状況でなければ捨ててる。

今は、何使うか、わからない代物って捨てにくいのよね。

教科書は、見つかったし出しておこう。

この怪しい棒は鞄に入れておくか。


鞄に棒をいれて、いっていた教科書を出してどんなのやってるのかなと教科書を見てみるとかいてはあるけど、習ったことないような漢字みたいのが羅列しているけど、

全然読めない。

スマホとかあれば、これ読める人いるかきけそうだけど、棒とこの本しか入ってない。

どうしよう。


「はい、次のページを有村さん、読んで」

「えっ!えーと先生・・・忘れました教科書」

「そうですか、今度は持ってきてくださいね。」

「はい」


ふ~・・・セーフ!


正直、忘れた事に対しても何か言われるかなと思ってはいたけどそんな事もなかったな。

読めないとか言ったらやばそうだしねー・・・面倒事になりそう。

さっきもほちさんも、本がない事にすごいびっくりしてたし、本ない事はあまり公言しない方がいいのかも。


当てられなかったのは助かったけど

正直ノートもなく、授業も何を言ってるのかわからなくて、暇。


暇だし、教室をぐるっと先生にばれないように見るか。

時計は相変わらず長針だけで動かない。外も、来た時と変わらず、明るいような暗いような感じで二階から見ると地面も原っぱが学校を囲んでいるように見えるけどはっきりとは見えない。


後ろにはロッカーあるだけ。

黒板も先生の書いてる字も教科書と一緒で読めないし、ただ横の男の子が何かを一生懸命書いていたからちらっと見てみると、見た事あるような字で


【食べてもらうには】と書いていた。


そこだけ見ても全然わからなくて顔をちょっと近づいて見てみるけど、こちらに気づいたのか、隠してしまった。

いっその事なんて書いてるか聞いてみようかな。


「ねえ、あの・・・ちょっといいかな?」

「・・・・・授業に集中したいから後にしてほしい」

「どうしても?」

「うん」


はい、終了。

まあ、ですよねーって感じだ。

後で探しに行く前に聞いてみよう。

手がかりもすくないしね。



うだうだしながら体感時間としては1時間後くらいの後、当てられる事もなく、

無事、授業が終わった!

はー長かったなと思いつつ、授業も終わったし!さっきの内容を聞いてみようと横をみると居たのは、ほちさんだった。


「わっ、ほちさん、そこに居たの?」

「さ、授業終わったし探しにいこうか」

「ごめんね、あ、でも少し待って。ちょっと横の席の子に聞きたいことあるんだ」

「聞きたい事?」

「そう、気になる事があるから、それを聞いてからでも遅くはないかなって」

「でも、休憩時間ってあんまりないから、気をつけてね」

「うん!簡単に聞いてくるし、廊下で待ってて」


わかったと言って廊下に行ってくれた。

さて、聞こうと隣を見ると、うつぶせになって寝ていた。

ありゃ、寝てるのか。

「あの~・・・すみません」と聞いてみるけど反応は無し。

時計はないから時間はわからないし、此処であまり時間とるのはなと思って

揺り起こしてから行こうと、肩を揺さぶってみた。


すると顔を上げてくれたが、寝ていたのは寝ていたようだけど

あの、黒い本をもって本に突っ伏して寝ていたみたいだ。


「お、おこしてごめんね。実は・・あれ・・・・なんか・・目が落ちて・・」


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