Ⅱ
とうとう手に入れた。
影は満足そうに微笑んだ。
シニガミの娘。神の手によって作られた精巧な人形。美しく麗しい。
一目見たときからひどく心を惹かれた。彼女は美しい。
影は美しいものを求めていた。
どうしても手に入れたかった。どんな手を使ってでも。
美しさに執着するのは、自身が醜いせいかもしれない。
影は自分の醜さを知っている。醜いせいで捨てられた。醜いせいで誰も救いの手を差し伸べてはくれなかった。
だから顔を隠した。誰にも見せない。誰にも醜いとは言わせない。
影は彼女を支配したかった。彼女を自分のものにすることで、その美しさまでも支配しようとしたのだ。
彼女が別の誰かのものであったとしても関係ない。
奪えばいい。ただそれだけだ。
彼女は美しく、そして興味深い。
影は彼女の安らかな寝顔を見ながら、自分の顔を隠すものを剥いだ。
赤い瞳と
彼は取り返しに来るだろうか。
影は唇を吊り上げて笑う。
来たとしても無駄だ。既に彼女は自分のもの。
そうやすやすと手放してなるものか。
さて、楽しみがひとつ増えた。
彼がやって来るのをのんびりと待つとしよう。
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