Ⅳ
「夜月……これ、いらない」
花は目の前の皿を前に押し出した。
「お腹いっぱい」
「まだひとくちしか食べてないだろ」
「お腹いっぱい」
「花」
「お腹……いっぱい」
いつもは素直に夜月の言うことを聞く花が、強情に言いはる。
「花?」
花が座っていた椅子からずり落ちた。
「花!」
慌てて夜月が抱きすくめると、花は真っ青な顔で薄く唇を開いた。
「気持ち……悪い」
「吐きそうか?」
花は首を横に振った。
「花の中で……誰かが、叫んでる。助けて、助けてって……」
「………………」
夜月はハッとした。
(誰かが、叫んで……)
花の中で魂が暴れているのだ。まだ小さなこの身体に閉じ込められた消化しきれない魂が、花を侵そうとしている。
(所詮イレモノだ……いずれは収まる)
それはわかっていた。花はまだ成長途中で、イレモノとしてまだ不完全なのだ。これから時間をかければ魂の消化も追いつくだろう。
花は夜月の腕の中で気を失った。夜月は彼女を自分の部屋まで運んでベッドに寝かせた。
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