『護衛隊長さん』の憂鬱

 リンダバーグ氏のもとへ向かう道すがら、ふいに上の弟の言葉を思い出した。


『なんか、あのおっさん。童話に出てくる間抜けな王様、そっくりだよなあ』


 おかげで、屋敷の応接間にかかっているリンダバーグ氏の肖像画を見るたび、笑いをこらえる兄の腹筋が激しく痙攣していることを、あいつは知っているのだろうか。


「――ふふふ」


 思い出したら、また笑いがこみあげてきた。

 隣を歩く馬にはリンダバーグ氏の護衛隊長さんが乗っている。「何か?」と不思議そうに尋ねてきた隊長さんに、ロッディは首を横に振り「いえ、別に」と急いで澄ました顔を作った。一方、のんきなロッディと違い、『リンダバーグ氏の護衛隊長さん』は、これから起きるであろうことを前に、心中穏やかではない。

 今朝の、主とのやりとりを思い出す。


「あの男を連れて来い」


 一瞬返事が遅れたのは、主の言う『あの男』が、わからなかったからではない。それは「ああ……」という、やっぱりなという詠嘆と、到底実用的とは思えない悪趣味な金メッキの鎧の感想を主に求められたときどう答えたものかという、決して快いとは言えない二つの感情のカクテルに少し悪酔いしたからであった。しかし、これに足をふらつかせている場合ではない。彼はすばやく言った。


「あの男とは?」


 彼としては、比較的不快がましな方の追及をしただけの話である。――だが。

「決まっているだろう! ロッディ・バーロウとかいう、若造のことだ!」

 アーサーにとって幸運なことに、今の主には、『よくお似合いです』という、決まり文句を期待しての『どう思う?』を投げかける余裕もないらしい。それをいいことに、アーサーはちょっと別のことを考えることにした。

 アーサー・テナーは、退役して十年になる。アーサーという名は、両親がつけてくれた。建国王ローシレイ一世をモデルにした『きしアーサーのだいぼうけん』は、田舎の少年たち必読のバイブルだ。特にアーサーが生まれたころには、文字の習得にも最適との観点から爆発的人気を博したこともあって、三歩歩けばアーサーに会うというくらい、その頃はたくさんの『アーサー』がいた。大衆的な名前に込められた意味は、これまた大衆的で、ずばり、『アーサーのような立派な騎士になれますように』。当時はまだガルディアン侵攻戦争の記憶がまだ新しかったこともあり、小さなアーサー坊やも、『おれたちの国の敵は、全部おれが片付けてやる』などと息巻いたものだ。両親の期待と彼の希望どおり、彼は騎士になった。が、そのじつは騎士などという華々しい肩書からは想像もできない地味なものだった。幼年士官学校に入学するまでまぬけにも気付かなかったが、平民が出世を夢見られる時代はすでに終わりを告げており、すでに、平民出身の兵の八割が一生僻地のどさ回りで終わるという夢の無い習慣が定着しつつあったのだ。だから兵は毎年辞め、毎年アーサーのような夢見るおばかさんたちの補充が必要というわけだ。一度、国境警備団に配属されたが最後、二、三年は故郷に帰れない。ようやく任期を終えると、国境線という名の次の辺境が待っている。アーサー・テナーはこれを五度ほど繰り返し、到底うだつがあがりそうにない、自身のキャリアに終止符を打った。が、彼はここで幸運に恵まれた。彼の故郷のこの村には、この成金が出現していて、彼はその成金の護衛隊長の職を得ることができたのである。騎士時代と同じく、生活は代わり映えのない味気のないものではあったが、定時になれば家に帰れるということは、何にも変え難い魅力であった。おかげで、結婚してから十年以上ほったらかしだった妻に愛想をつかされず、誕生を手紙でしか知らず、帰ってきたときは「おじちゃん、だあれ?」と首を傾げられた娘に、「お父さん」と呼んでもらえるようにもなったのだから。欲を言えば、もう少し給金が良いとと助かるのだが、それはそれ。アーサーは結構いまの平穏な生活に満足していた。

 

 が、アーサーの平穏は、思わぬ形で乱されようとしているようだ。

 

 金(多分メッキだろう)の甲冑に赤いマントという、いまどき童話でしかお目にかかれないような滑稽な格好の主は、まことに憎々しげに口の中でぶつぶつと呟いている。

「あの若造、あの若造、よりにもよって、このわしの妻に色目を使いおって……!」

(色目を使ったのは、あんたの奥方であって、あいつじゃないだろうに)

 アーサーの洩らしたため息を聞き咎める余裕もないらしい。それをいいことに、アーサーは普段は向けぬ軽蔑の混じった目を主に向けた。


 まったく、金で手に入れた奥方なら、割り切っておけばよいものを。


 主であるリンダバーグ氏は、わかりやすい成金だ。使用人たちの前で、山ほどの料理を積み上げ、それを全てこれ見よがしに平らげてみせる。(その割に痩せているのは、食べ過ぎでしょっちゅう腹を下しているからだと、アーサーは見ている)お出かけとなれば、ごっつい金の指輪やらネックレスやらをじゃらじゃら身に着け、服は絹。こんなど田舎で引きずるほど長いマントを身につけていれば、牛糞や馬糞で汚れるうえ、臭いが染みつくだろうにとみんなが思っていても、ふんぞり返りながらあぜ道を歩いてみせる。『やあ、リンダバーグさん! 御機嫌よう!』などと気安い挨拶をされたいわけではない。彼はただ、自分が持っている金という名の権力を見せびらかしたいだけなのだ。そして、そんな彼が成金になった経緯も、これまたわかりやすいものだった。リンダバーグ氏は、現在チビ・ヤセ・ハゲと、いわゆる『貧相なオヤジ』の要素がわかりやすく体現されている人物なのだが、幼いころの彼は、やっぱりチビで、ひょろひょろだった。男の子とは残酷なもので、小さいころは弱い者いじめが大好きときている。そして、男の子たちの気持ちを汲み取ったかのように、女の子たちはいじめられている男の子を冷たくあしらうときている。わかりやすく不遇な幼少期を過ごしたリンダバーグ氏は、わかりやすく惨めな青春時代を送り、そして、わかりやすく失われた青春時代を金で買い戻すということを行った。大人になったリンダバーグ氏がいじめられることはなくなったが、その代わりにわかりやすくみんなにバカにされるようになった。

 そして、その急先鋒が目下自分の奥方というわけである。

 村で一番綺麗だと評判だったあの娘が、主にプロポーズされたとき、彼女は心の中で舌を出しながら、こう思っていたに違いない。


 財布は手に入ったし、あとは思う存分、あーそぼっと。


 が、残念ながら彼女の思うように事は運ばなかった。わかりやすい成金の性で、主は他人に使う金はひどく惜しむ性質だった。無論、それは奥方という他人に対しても例外ではない。大体、こんな田舎に金をつぎ込むような娯楽施設はない。金を湯水のように使えるバラ色の生活は、みるみる彼女の中で色褪せていったことだろうが、リンダバーグ氏にとって甚だ遺憾なことに、二十も年下の彼女には、リンダバーグ氏が失ってしまった若さがまだあった。というわけで次の楽しみ、つまり男に走っても無理からぬ話だろう。大体、痩せているくせに餓鬼のように膨れてたるんだご自分の腹より、きゅっとしまったあの若者の尻の方が、遥かに魅力的なことくらい、考えなくてもわかるだろうに。

 要するに、主の最大の失敗は、見せびらかすための妻を買ってしまったことなのだ。


(しかし)


 アーサーは思う。

 奥方の『お遊び』は今に始まったことではない。現に、アーサーの部下の若いのも、何人か手がついているはずだし、畑に出ればこれ見よがしに奥方に視線を送り、手まで振ってくる男だっている。大体、彼のいる何とかいう傭兵団。あの傭兵団でいわゆる不細工な男など、一人も見たことがない。団長からして、十七の輝くような若者だし、あと、酒場に入り浸っているあの燃えるような赤毛のスナイパー。確か、名はクレイグと言ったか。彼が傭兵団の中では最年長だろうが、その彼だって三十に届くかどうか。無論、奥方ご執心の若造が、飛び抜けた美貌の持ち主であることは確かだが、何だって彼相手には、いっちょまえに嫉妬心を燃やすのか。


(まあ、確かに。俺だって女なら、あんないい男に夢中になるわな)

 

 その瞬間、アーサーは主の異常な執着の理由にようやく合点がいったような気がした。

 彼は、若い頃の主が欲しくてたまらなかった美貌、逞しい体、優雅な物腰、知性。そして、何よりモテ。これらすべてを持っている。数々のコンプレックスを金の力で跳ね返してきた(と思っていた)主だが、これっばかりはいくら金を積んでも手に入れることはできない。つまり、彼の存在、それ自体がこれまでの主の努力を悉く否定している(ように主には思える)のである。主にしてみれば、無下に扱われた過去の屈辱と、自覚のない否定による現在の屈辱を二重に食らったようなものだ。しかも、それを鼻にかけていればまだ可愛げがあるものを、彼はなんと、性格までいい。これでは、惨めになるなという方が無理だろう。

 

 そこまで考えて、アーサーは彼に纏わる不快な事実をさらに一点思い出した。

 

 なんと、あの美形。アーサーが入りたくても入れなかった王都警備隊、つまり、憲兵団に所属していたと言う。平民出身者で王都警備隊に入れるものは、ほんの二割程度。自分は平民の子だと言っていたが、あれだけの美形だ。当然貴族からのお声がかりや、御贔屓はあっただろう。色男、金と力はなかりけりとは言うが、まったく、色男には金も力も他人が運んできてくれるものらしい。


「わしのこの手で、この手で、ずたずたに引き裂いてくれる……!」

 

 まだ続いていた主の怨嗟の呟きに、アーサーは我に返った。

(なるほど。それで、この鎧か)

 よく見れば、腰に剣もちゃんと携えている。これまた実用的にはどうかと思う、金ぴかだが。

 実際人を手にかけることができるのかどうかはとにかくとして、自らの手で彼を処断したいという主の決意だけは本物らしい。

 アーサーはため息をつき、半ば仕方なく言った。


「かしこまりました。ロッディ・バーロウ殿を連れて参りましょう」


 嫉妬に目が眩んでいようが、自分の実力も計れぬ愚か者であろうが、何と言っても、この人は雇い主なのだ。彼の希望を極力叶え、なおかつ、できるだけその生命を守る義務が、アーサーにはある。

 というわけで、アーサーは早速準備に取りかかることにした。

 彼は先ほどまで台所にいたそうなので、そのまま留め置いてくれれば話が早かったのだがまぬけにも主が奥方を町に出す話をするために、一旦追い返してしまったそうなので仕方ない。一から殺害計画を立てることにする。

 計画はこうだ。まず、帰って行った彼を火急の用があると言って、呼び戻す。このとき馬に乗ってきてもらい、中庭にある厩舎へ導く。そして、そのまま殺す。

 殺害場所に中庭を選んだのは、兵が配置しやすいことと、外に悲鳴が届かないこと。死体がそのまま埋められること。そして最大の理由は、ここなら主が部屋から彼の殺害を見届けられて、溜飲が下がるだろうとの配慮からだった。

 殺害場所と、よってたかって彼を斬り殺すという殺害方法までは主も気に入ったが、自分が部屋に留め置かれるという点には難色を示した。というわけで、アーサーの一番骨の折れる仕事は、自ら赴くと気炎を吐く主に、大将というものは先陣を切るものではないとかなんとかもっともらしい理屈を吐いて、事が済むまではこの部屋から出ないようにと釘を刺すことだった。彼の殺害が目的なら、主はただの邪魔でしかないし、大体、主の細腕では剣など、まず振り上げられない。よしんば振り上げられたとしても、後ろにすっ転ぶこと請け負いだ。大体、主の仕事は、彼を殺した後にこそ、始まるのである。

 例えば、いつまでも戻らない団員を捜しに来るだろう傭兵団への対応とか。

 猫なで声で町に遊びに出した奥方が戻り、中庭の異変に気づいたらどういいわけするつもりなのかとか。


 だがまあ、さし当り。


(そこまで心配してやる必要はないか)

 

 ――である。

 自分の仕事は、彼の殺害まで。後は主が勝手にやればよい。

 割り切ったアーサーは、主の説得という難事業を見事やり遂げた。そして、愛馬に跨ったアーサーは、残す部下たちに、主を、屋敷はおろか部屋からもくれぐれも出さないようにと強く言いつけ、次の仕事、つまり彼を迎えに行くという仕事に取り掛かることにした。

 以上が、アーサー・テナーの今朝の顛末である。


 ――というわけで、この任務におけるアーサーの心情は誠に微妙なものとなった。


 主人ははっきり言って、尊敬できる人間ではない。

 かたや、片方は自分でも嫉妬を覚える美青年。


 どちらに肩入れするのも、どうかな、と感じる人選ではある。それに、いくら個人的に気に食わないからと言って、この美青年が殺されて然るべき人間だとも思わない。

(かわいそうに。こいつも、あの奥さまに目をつけられたりしなけりゃあな)

 仕事を引き受けておいて何だが、今さらながらに彼に対して申し訳ないような気持ちが湧いてきた。この美青年の命もあとあとわずかだと思うと、何だか忍びなくなってくる。

 ――と。


「あの」


 遠慮がちな声に何かと思って振り向くと、すでに彼の白馬は歩みを止めている。


「あれは……」


 彼の指の先を見る。屋敷に並ぶそれを見た瞬間、アーサーの目が点になった。

 二人の目的地、リンダバーグ氏の屋敷の門前には、武装した兵士たち。そして、その中央にいるのは、本人としては憤怒の表情のつもりの、それこそどう見たってピエロにしか見えない主。黄金の剣を鞘から抜き、大地に突き刺した主は(多分、重すぎて振り上げられなかったのだとアーサーは見た)、大声でこう呼ばわった。


「ロッディ・バーロウ!」


 見ずとも、彼の表情の変化は手に取るようにわかる。最初はきょとんとした顔になり、次いで説明を求めるため、彼はいま、ひたすら自分の背中を見つめている。

「……」

 彼が声を出さないのをいいことに、アーサーはこれを黙止することに決めた。正直、頭をどうひねっても、よい言い訳が思いつかない。

「グラモーレス侯爵夫人の御為、国家安寧の御為! 大罪人の貴様を、この手で処罰してくれる!」

(グラモーレス侯爵夫人? 国家安寧? そんな大義、この任務にあったのか?)


 少なくとも、俺は聞いてない。


 周りを見渡したアーサーは、とりあえず自分の記憶がまちがってなかったことだけは確信した。部下たちは一様に、『なにあれ』と狐につままれたような顔をしている。

 ほっとしたのも束の間、自分たちが囲んでいる美形と、とうとう目があってしまった。

「……」

 その目には同情を通り越して、「あなたたちも大変ですね」という憐れみすら浮かんでいる。冗談ではない。さっきまで殺すつもり満々だった相手に、何が悲しゅうて同情などされねばならんのか。


(あいつらは、止めなかったのか?)


 アーサーは殺気走った目を、屋敷に向ける。

 誓って言うが、罠を張って待ちかまえているくせに、その罠の前に出てくるなどというこんなバカげた失態を、アーサーは長い軍事生活の中でも一度も聞いたこともなければ、見たこともないし、無論、やったこともない。主の左右に並んでいる連中は、シムチエール軍の旗を掲げている。言うなれば、アーサーの後輩たちだ。主はともかく、軍事のプロたる後輩どもが、なぜこんなまぬけな行動を止めもせず、むしろ参加しているのか。よく見れば、その中には屋敷の中で配置についているはずの部下たちの姿もあるではないか。

 自分が屋敷を離れて、わずか一時間。その間に何が起こったのか。いや、それより、お前らは犬でもできる『待て』もできぬのか。何があっても、ご主人を部屋に留めおけという俺の命令はどうした……。恥をかかされたという気持ちも相俟って、アーサーはしつめらしい顔をして整列している連中に今すぐ駆け寄り、どいつもこいつも殴り倒したい気分になった。


「――あ」


 青年がぽんと手を叩く。

「わたし、用事を思い出しました。というわけで、ここで失礼してもよろしいですか?」


 ――ですよね。


 アーサーは思った。そして悟った。どのみち、作戦は失敗したのだ。もうやるしかない!


「殺せ!」


 素早く叫んだアーサーが、致命的ミスに気づいたのは一瞬後だった。

 剣を抜いた部下の体が、馬からゆっくりと滑り落ちていく。

「せめて、武器は預かるとおっしゃっておけばよかったのに」

 中庭に誘い込むまでは不信を抱かせぬようにとの配慮が仇になった。

 穂先を血で濡らした彼は、いつもと変わらず笑顔だった。白馬を取り囲んでいた馬たちの背に、すでに乗り手たちの姿はない。

「ご心配なく。殺しはしませんから」

 言われた次の瞬間、右腕に激痛が走り、アーサーは落馬した。


「――任務失敗には、理由が必要でしょう?」


 見上げた彼は笑顔だった。涼しいと言えるほどの。

 背中を、冷たい汗が滑り落ちた。

 仲良く落馬した部下の中に、まだ元気のいいのがいた。剣を握り直し、「この……っ」と立ち上がろうとする。

「よせ!」

 制止したのは、アーサーだった。

 どうしてという顔の部下には答えず、指示のみを与える。


「黙って行かせろ」


 馬上の美青年を睨みつける。彼は軽く会釈すると、馬首を返し、もときた道を焦るふうでもなく帰って行った。


「……ふー」


 完全に距離が空いたのを確認して、あごを伝う汗をぬぐう。

 右手を動かしてみる。

 やはり、折れてはいないし、神経も傷ついてはいない。彼の槍の切っ先は、皮膚だけを綺麗に貫いたのだ。

「隊長! なぜ行かせるのですか!」

 さっきの元気のいいのが、非難まじりに叫んだ。その声がアーサーの体から、彼に対する恐怖と畏怖を追い払ってくれた。体の強ばりが解けたおかげで、顔と口が滑らかになった。アーサーは困った顔で、親切にこの元気のいい部下に教えてやった。

「俺たちが束になっても、彼には勝てんからさ」

 このとき、アーサーは、この若いのに一つ嘘をついた。彼に勝つ方法はあった。そして、現時点でもそれは実行可能だった。当初の予定通り、数に任せて、とにかく彼を囲んでしまうのである。いくら彼が強くとも、数十人すべてを切り殺すことは不可能だ。しかし、彼が死ぬまでに出る被害は相当なものだろうし、その中に自分や、この若いの。そして、アーサーに前代未聞の失敗をさせてくれたあの主が含まれる危険性は十分あった。退役して十年、この商売について十年になるアーサー・テナーは知っていた。命令も忠節も大事だが、命を失うより、バカに怒鳴られる方が百倍マシな戦もあるのだと。

 それに、じつを言うと、アーサーは少しばかり爽快な気分だったのである。少なくとも、平民のうちの幸運な二割に入るには、やはり、多少の実力も必要だったのだとわかって。

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