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「誓くん、いらっしゃい」

ドアを開けてくれたのは、叔父だった。

「お世話になります」

挨拶しようと思ったら、家の中からドタバタという音が聞こえ、茶髪のボブをふわふわさせた女の子が走ってきた。

「パパ、だから違うって!さっき言ったじゃん!いらっしゃいじゃなくて、おかえりだって!」

悪い悪いと頭を掻く叔父の後ろから顔をのぞかせ、彼女は

「チカ、おかえり!」と言った。

白い肌に赤い唇。白いTシャツとショートパンツからは惜しげもなく肌が晒されている。そしてなによりキラキラとした笑顔が眩しくて、ドキドキする。僕の記憶より、数倍綺麗になった“ひなちゃん”だった。

「チカくん、おかえり。」

すぐ後ろから、叔母さんもやって来た。

「……た、ただいま…です…?」

あははと3人に笑われる。つられて僕も少し笑った。

「叔父さん、叔母さん、…ひなのさん、しばらくの間、お世話になります。」

「ひなのさんだって!前まではひなちゃんって呼んでたのに改まっちゃって!」

僕だってそう思ったけど、ひなちゃんが想像以上にオトナになっていたから緊張してしまった、なんて言えっこない。

「ひなでいいから」と言って彼女は笑う。

ひな、と口のなかでつぶやいてみて一気に気恥ずかしくなる。赤面していたらどうしようと思うと、余計顔が熱くなった気がした。


「でも久しぶりねえ、チカくん。前会ったときは2人はまだ小学生だったもの」


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朱の町 森いぶき @mementomori

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