海底神殿②
トータスとの初戦が終わった。
――こいつが前のダンジョンでカワズに相当するモンスターだとすると手強いな。
川蝉は死んだ亀の甲羅を見る。ヤドクよりは下だがカワズよりは当然に上位の存在であることは間違いないだろう。
「それにしても透さん、さっきのは?」
「アルター機能と言うもので、黒業から専用のワンドを支給されたんだ」
「そうだったんすか」
七瀬はそれを見るのが初めてなのだ。八雲の蛇腹剣を知らないのであれば当然だろう。
「だがまだ扱いにうまく慣れていなくてな。八雲にもう少し使い方を聞いておくべきだった」
刀の形態にもトリガーはあった。普通の魔法も使えるのだろう。
アルター機能を発動すると、自動で魔法が風力を生み出して刀の周囲に溢れる。刀を振るうなどの動作をする際、それらの風が補助してくれるので刀からは重さをあまり感じず動かすにも不都合はなかった。
だが得物が長いので遠距離戦では正直やりにくいと感じてしまう。刀が下手をすれば近くの味方をも傷つけてしまう可能性があるからだ。
八雲がその辺をどう処理しているのか気になるところではある。
「……仲いいんすね、八雲さんと」
七瀬が面白くないと言ったメッセージのジト目をしてくる。
「そうでもないけど」
「でも映画デートしたんすよね。そんなこと聞いてなかったっす」
七瀬は川蝉の服の袖をぎゅっと握ってくる。
「あの、あんまり他の女の子と仲良くして欲しくないっす」
「え、何で?」
よく理解できず川蝉は理由を求めてしまった。
「な、何でもっすよ!」
顔を赤くした七瀬は「む~」と不服そうに頬を膨らませてしまうのだった。
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