第8話 一万度のハートと魔法少女。
転送魔法で、草原からマリルの邸前に移動した。
守が乗らなければ、グレートマジンダムが動かないという事態に対して、改めて混沌の魔女の対策に付いて話し合おうということになったからである。
「リュウガ、三人はこの世界に着いているのかしら?」
「はい、到着していまして、この世界の知識と言語の習得も済んでおります」
「三人って誰だ?」
「私の残りの従僕達、会うのは数日振りね」
「そうか、四方だからリュウガを入れて後三人居るってわけだ」
「そういうこと」
マリルの返事に合わせるように扉が開いて、リュウガと同じデザインの礼服を来た三人の男が出てきた。
「ちゃんと着いていたようね」
三人の姿を見たマリルが、嬉しそうに声を弾ませる。
「マリル様~ご無事でござりましたか~! 拙者がもう一刻早く来ておれば、お一人で戦うなどという危険なことをさせずに済みましたものを~!」
三人の中でも一番大柄で真っ赤な髪の男が、涙を流しながら両手を広げて抱き付こうとしてきたが、マリルが間一髪でかわしたことによって、後ろに立っていた守が、筋肉隆々の太い腕に抱かれることになった。
「うぉあっ!」
男の強烈な腕力に締め付けられて、思わず死にそうな声を上げてしまう。
「ん? マリル様、随分お体が硬くなられましたな。よほどご苦労されたのでござろうな~」
男は、自分が抱き締めている相手が誰なのか確認しないまま、嘆きの言葉を口にしていく。
「・・・・いい加減に離せよ」
必死の思いで声を絞り出す。
「お声までお変わりになられるとは、なんとおいたわしいことでござりましょう」
声を聞いてもなお、別人であると気付かないらしい。
「・・・・だから違うって言ってんだろ・・・・」
今にも死んでしまいそうな声で、別人であることを再度訴える。
「違う?」
男が、ようやく腕の力を緩めたことで、筋肉による締め付けから解放され、ライオンのようなごっつい顔と正面から向き合うことになった。
「貴様は誰でござるか? さては屋敷に侵入した狼藉者でござるな~! 成敗してくれるわ~!」
守を突き放すなり、でっかい拳で殴りかかってきた。
「それ以上無礼な真似をするな。この方はマリル様の命の恩人なのだぞ」
リュウガが、間に入って男を制止した。その際の口調は、普段の丁寧なものではなく、上司が部下に命令するような感じだった。
「リュウガ殿、それは真でござるか?」
男は、リュウガを殿付けで呼んだ。
「本当よ」
マリルが、リュウガよりも先に返事をした。
「おお~これはマリル様~。そこにおいででござりましたか~!」
男は、初めの時と同じく涙目になって、マリルに抱き付こうとした。
「だあ~! 抱き付こうとするんじゃない!」
マリルは、飼い犬に待てを促すように左手を突き出しながら、声を張り上げて停止の指示を出した。
「承知したでござりまする」
男は、言われるまま動きを止めた。
「やれやれ、やっと落ち着いたか~」
守は、立ちながら大きく背伸びをして両肩を回すことで、筋肉によって締め付けられていた体を解していった。
「いきなり変な目に合わせてしまって、ごめんなさい」
そう言って謝るマリルは、飼い犬の不始末を詫びる飼い主そのものであった。
「別にいいさ。誰にでも間違いはあるからな」
怒ることなく、軽い調子で返事をする。
「おい、お主」
男が、呼び掛けながら詰め寄ってくる。
「今度はなんだ?」
髪だけでなく髭も赤いという見ているだけで、暑苦しい顔を目の当たりにして、自然と身を引いてしまう。
「お主、マリル様の命の恩人だそうだが、随分と横柄な口の聞き方をするではないか。いったいどういう関係でござるか?」
「命の恩人にして、クラスメイトにして、戦友だ」
食事の世話をしたことまでは、マリルの名誉の為に言わないでおいた。
「お主のような小わっぱがマリル様の戦友でござると? 真でございますか、マリル様?」
「本当よ。ねぇ、リュウガ」
「本当だ。それともマリル様が嘘を仰っているとでも言うつもりか?」
「いや、そのようなことは。して、どのような方法でマリル様と戦を共にしたのでござるかな?」
「これだ」
屋敷へ移動する際にリュウガに預けているマジンダムを指差す。
「これはまた珍妙な形の品でござるな。して、なんという名のカラクリでござるか?」
「グレートマジンダムの超○金玩具だ」
「ちょうごうきん?」
マリルやリュウガと同じ反応だった。
「こんなものでマリル様の命をお救いしたというのか?」
男が、マジンダムに疑わしそうな視線を向けながらじっくりと眺めていく。
「確かに強い魔力を感じるでござるが、にわかに信じられんでござる」
どうやら見ただけでは、疑念は晴れないらしい。
「まったく埒が明かねぇな。そんなに疑うんだったら俺が乗るマジンダムと勝負しようぜ」
マジンダムの不信を晴らす為の解決策を提案した。
「ほほ~拙者と勝負とはなかなか見上げた度胸でござるな。よかろう。その勝負受けて立とうではないか。マリル様、よろしゅうございますかな?」
男は、主であるマリルに承認を求めた。
「少し待っていて。ちょっといい?」
マリルは、男への返事を保留にした上で、守に手招きして呼び寄せた。
「なんだよ?」
「なんで、こういうことになるわけ?」
小声による質問だった。
「手っ取り早い方法を選んだだけだよ」
「あいつ、かなり強いのよ」
男を横目で見ながら言った。
「ブラックキングドラゴンにも勝てたんだから問題無い」
気楽な調子で返事をする。
「そこまで言ったんだから絶対に勝ちなさいよ」
「任せろ」
自信があることを示すように、胸を軽く叩いてみせる。
「マリル様、どうされるのでござるか?」
会話に割り込むように確認を求めてくる。
「勝負を認めるわ」
渋々といった苦い顔をして、承諾の言葉を口にした。
「お主達も相違ないな」
男が、同意を求めると、リュウガを含む三人は、ほぼ同時に頷いていった。
その後すぐ視界が暗転して、気付けば邸の敷地内に居た全員が、魔獣と戦った草原に立っていた。
「また、ここで闘うのか?」
側に居るマリルに質問する。
「敷地内で戦わせるわけにはいかないからよ。結界や邸を造るのも楽じゃないんだから」
「けど、三回も破壊と再生繰り返したら、さすがにこの辺の生態系に影響が出るんじゃないのか?」
「それはそれで考えておくわ」
「始める前に言っておくけど手加減抜きで頼むぜ。こういう勝負ってのは互いに本気じゃないと意味が無いからな」
男の方を向きながら、勝負の姿勢に対して提案した。
「ほほ~拙者の力を見もせずに威勢のいいことを言う小僧でござるな。マリル様、本気を出してよろしいのでござるか?」
「いいわ。好きなようにしなさい」
マリルは、好きにしろとばかりに、ため息を吐きながら了承の返事をした。
「そんじゃ、いっちょ頼むぜ」
「ほんとのほんとに勝ちなさいよ」
「任せとけって。そうそう今回は俺とあのおっさんの一対一の勝負だから林さんは乗らなくていいぞ」
「そう」
返事をするマリルは、ほっとした表情を浮かべていた。恥ずかしい乗り方をしないで済むからだろう。
「それと今回はこれもいらない」
言いながらリュウガが持っているマジンダムを手に取り、慣れた手付きで背中の翼パーツを外していった。
「リュウガ、これ預かってくれ」
「かしこまりました」
リュウガは、とても嬉しそうに翼パーツを受け取った。
「じゃあ、巨大化の方よろしく~」
マジンダム本体を地面に置いたところで、マリルに巨大化の合図を送った。
「我纏いし、鋼の巨人よ。我が魔力にて真の姿を示せ。汝、グレートマジンダム!」
マリルの詠唱に合わせて、背中パーツの無いマジンダムが、発光しながら巨大化していった。
「ほほ~これはまた見たことのないゴーレムでござるな」
男は、巨大ロボットになったマジンダムを恐れずに感嘆の言葉を送り、後の二人も同様の態度を取っていった。
「正に相手に取って不足無し。それでは拙者も真の姿を披露いたすとしよう」
男が、踏ん張るポーズを取ると体が猛烈な勢いで膨張し、全身が赤く焔の鬣を持つ、マジンダムとほぼ同じ大きさのライオンに似た生き物へと変化した。
「それがおっさんの本来の姿ってわけか、魔獣なんかよりもずっと格好いいじゃないか」
守は、男の真の姿を見ても怯えるどころか、称賛の言葉を送るという余裕の態度を取っていた。
「そのような世辞を言ったところでもう後戻りはできぬぞ」
「それで十分、マジンダムの相手に取って不足はないぜ!」
不敵な笑みを浮かべながら、搭乗するべくマジンダムへ向かった。
「乗ったらマジンダムに右手を上げさせて」
「分かった」
ちょっと怪訝な顔をしながら右足へ行き、側面にあるボタンを押して片肘を付かせ、地面に接している右手を操作して乗り込んだ。
「何回乗っても巨大ロボットはいいもんだな~。おっと右手を上げるんだっけ」
巨大ロボットの乗り心地に酔いしれつつ、マリルの指示を実行するべく、直立させたマジンダムに右手を上げさせた。
それを見たマリルが詠唱えると、右手が強い光を発し、それによって二体の周囲を赤い膜が覆い、ちょっとした闘技場に仕上げていった。
「なるほど、周囲に被害が出ないようにしたわけか。そういえば林さん抜きの戦闘はこれが初めてだけど、よく考えてみればこれが普通なんだよな」
マリルの居ないコックピットを見回しながら、一人で戦うことへの感想を呟いた。
「マリル様、こちらへ」
側に来たリュウガが、いつの間にか用意していた椅子に座るように勧められ、その通りにすると残りの二人が、手早くテーブルと食べ物を運んできて、闘技場で試合を観る観客のような体勢で、闘いを観戦することになった。
「来いよ。おっさん。最強無敵の力を見せてやるぜ」
守は、マジンダムに突き出した右手を上下させるという挑発行動を取らせた。
「わははははっ! どこまでも度胸のいい小わっぱでござるな。では、その申し出受けて立とうぞ!」
ライオンが、真っ正面から走ってきた。
守もまたマジンダムを直進させ、凄まじい土煙を上げながら距離を詰めていき、ほぼ同じタイミングで両腕を上げ、相撲のように正面からガッチリ取っ組み合った。
「拙者と力で張り合うとはなかなかやるではないか」
それからすぐマジンダムは力負けしたように後ろに倒れていって、背中を地面に付けたが、その次の瞬間には背負い投げの要領で、ライオンを放り投げた。
「ほう、あじなまねをするではござらぬか。度胸だけではないようでござるな。では、これはどうでござるかな?」
空中で体勢を変え、華麗な着地を決めたライオンは、口を大きく開け、中から紅蓮の炎を吐き出してきて、避ける間もなく炎を全身に浴びたマジンダムは、一瞬にして見えなくなった。
「どうだ。燃え尽きて灰も残っておるまい!」
その言葉を裏切るように炎の中から突き出された鋼の右足を、まともに顔面に受けたライオンは、おもいっきり蹴り飛ばされ、赤い膜に背中を叩き付けられたのだった。
「やり方次第では一つの城や町さえ焼き尽くす我が炎に耐えただと~? まさかそのゴーレム、オリハルコン製か?」
ライオンは、体勢を立て直す中、煙を上げながらも損傷どころか色落ちすらしていないマジンダムの頑丈さに仰天していた。
「こいつに使われているのはオリハルコンじゃなくて超○金だ!」
魔女との初戦と同じく両者の認識には、大きなズレが生じていた。
「こうなったら拙者の本気を見せるしかないようでござるな」
ライオンは、マジンダムの周囲を回り始め、回転数を重ねるごとにスピードを増し、それによって輪の炎が形作られ、さらに回転していくと炎の渦巻きとなっていった。
そうしてライオンが飛び上がるタイミングで、天にも届かんばかりの火柱と化したのだった。
「どうだ? 我が究極奥義ファイヤーストームの威力は? 熱いでは済まぬでござろ~?」
炎に巻き上げられたマジンダムは、幕の天井部に激突した後、回転しながら落下し、地面と大激突して大きな窪みを造った。
それを見ていたマリルは食事の手を止めて、側に控えているリュウガに視線を向けた。
主の不安そうな視線に対して、リュウガは黙って微笑み返すだけだった。
「わははははっ! どうだ、今度こそ参ったでござろう? 今降参するなら武士の情けで許してやっても良いぞ」
ライオンが、勝ち誇ったように言い放ってくる。
「はぁ~? おたく何言ってんだよ。この程度の炎で俺とマジンダムを倒せると本気で思ってんのか~?」
守の言葉を証明するように立ち上がったマジンダムには、機体表面から煙を上げながらも、これまでと同じように傷一つ付いていなかった。
「な~?! 我がファイヤーストームを受けても平気だというのか? いったい全体どうなっているのでござるか~?!」
ライオンの顔からは余裕が消え、焦りの様子を見せ始めていた。
「だから言ったろ。おたくの炎はマジンダムには効かないって、もう終わりか~?」
今までのお返しとばかりに、おもいっきり嫌味の込もった挑発の言葉を送る。
「くっそ~! コケにしおって~! ならば我が牙で直接噛み砕いてくれるわ~!」
ライオンは、マジンダムに飛び掛かって首に噛み付いたが、牙はまったく通らなかった。
「何故だ? 何故、我が牙が通らぬのだ~?!」
ライオンは、噛み続けながら己の力が通じないことの驚きを声に出して叫んだ。
「あんたは確かに熱くて強いのかもしれない。けどな、俺の巨大ロボットを愛するハートは一万度だぅぁぁぁあああ!~」
守の巨大ロボットへの愛がたっぷり込められたマジンダムの右アッパーは、ライオンの顎にヒットして、おもいっきり叩き上げた。
幕の天井に頭をぶつけたライオンは、回転しながら落下して地面と大激突した後、目を回しながら気絶するという無様な醜態を晒したのだった。
「貴殿の強さ、この身を持って確認いたした。これまでの数々のご無礼許されよ」
戦いが終わり、邸に帰還した後、人間態に戻った男は、口調を改めた上で、守に頭を下げながら自分の非を素直に詫びた。
「分かってくれればいいよ」
守は、二つ返事で男を許した。
「マジンダムの強さも分かったところで、あなた達自己紹介なさい」
マリルが、三人に自己紹介を命じた。
「拙者はホオガ。守殿、よろしくでござる」
真っ赤な頭髪の筋肉男が自己紹介した。侍口調で。
「わいはライガ、これからよろしゅう頼んますわ。まもはん」
金髪でつんつん頭の男が自己紹介した。関西弁で。
「あたしはフウガ、よろしくね~。まもちゃ~ん」
緑髪のロン毛の男が挨拶した。おねえであった。
「なんで三人揃って口調が違うんだ? リュウガみたいな丁寧語でいいだろ」
守は、やや引き気味な表情で、言葉遣いの違いについて尋ねた。。
「一人一人の個性を強調する為でございますよ。守様」
「そうでござる。全員が同じ口調ではなんの為に四人おるのか分からぬではござらぬか」
「そうやで、わいら全員種族が違うんやから。口調も違った方がええやん」
「個性はとっても大事でしょ~」
四人が、言葉遣いが違うことの必要性を述べていく。
「分かった。お前等の個性を尊重しよう」
言っても無駄だと思い、深く追及しなかった。
「さて、従僕全員が認めたところで、今後について話し合いをしましょ」
マリルが、まとめに入った。
「時にマリル様、一つお尋ねしたいことがあるのでござるが」
「ホオガ、どうかしたの?」
「あのマジンダムというゴーレムに乗っている時はどうされているのでござりますかな?」
興味津々といった様子で尋ねてくる。
「今度同じ質問したら永久封印するわよ」
マリルは、声と視線に強烈な殺意の籠った返事をした。
「もう聞かないでござる」
ホオガは、萎縮したまま屋敷に入った。
邸に入ると、この前と同じく暖炉のある部屋に案内され、テーブルを挟んでマリルと向かい合った。
マリルが座っている椅子の後ろには、リュウガが控え、右脇からホオガ、ライガ、フウガの順に並び、従僕四人が揃ったことで、今まで感じることのなかった四方の魔女としての威厳が備わったような気がした。
「あなたを混沌の魔女討伐の一員として認めることにするわ」
四方の魔女としての第一声だった。
「俺のこと認めるのか?」
「あなたが居ないとマジンダムが動かせないのだから不本意ながら認めるしかないじゃない。異世界の住人の力を借りることは少なくないけど、あなたの場合は例外中の例外」
釘を刺すような厳しい感じの言い方だった。
「どう例外なんだ?」
「あなた自身に強大な力が無いってこと。マジンダムに乗らなければ普通の人間でしょ」
「確かにそうだな」
マリルの言い分を聞いて、素直に納得した。
「その前に聞いておきいんだけど、討伐に加わる気はある?」
「もちろんだ。おじさんの店を壊した奴を許すことなんて絶対にできないぜ。それにしても今更な質問だな」
「念の為の確認よ。場合によっては命の危険に晒されるかもしれないし」
「もう何度も晒されているけど、最強無敵のグレートマジンダムがあれば問題無いぜ!」
テーブルの上に置いてあるマジンダムを指差しながら言った。
「それなら承諾ということでいいのね」
「もちろんだとも」
「それならまずは私と正式に契約して」
「契約? 口約束じゃダメなのか?」
「その方が色々と融通が利くのよ。特に今夜みたいな緊急の場合とかね」
「分かった。だからって林さんの従僕になる気はないぞ」
「そこまで要求しないわよ。あなたは今まで通りに接してくれればいいから。それじゃあ、初めに私の本名を明かすわ。マリル・アウグステゥス・ファウストよ」
「凄い名前だな」
注意しないで声に出すと、舌を噛みそうな名前だと思った。
「向こうの世界では名門だからちょっと仰々しいのよ」
「生まれながらの貴族ってやつか」
「そんなところ。それじゃあ、契約の証を授けるわ。左手を出して」
「こうか?」
言われた通りに手を出すと、マリル自身の左手に軽く握られ、その後右手の人差し指で手の甲をなぞられていくと、痛みや熱さを感じることなく紋章らしきものが浮び上がってきた。
「これは?」
マリルから手を離された後、左手に刻まれている紋章を見ながら聞いた。
「あなたと私を結ぶ契約の証で、アウグステゥス家の家紋でもあるの。これがあれば多少の使い魔が襲ってきても身を守れるし、紋章を通して私との会話も可能になるわよ」
「便利機能満載だな」
「魔法は万能だから」
「それとリュウガが持っている転送魔法用のブレスレットはもらえないのか?
「あれは魔力が無いと使えないのよ」
「なるほど」
「最後に見返りや報酬はどうする? もし必要なら多少のものは用立てるわよ」
「別にいいさ。金に困っているわけじゃないし。まあ、なんか困ったことがあった時には助けてくれよ」
「私にできることならね」
「話し合いも済んだことだし、今夜はもう帰ってもいいのか?」
「いいわよ。リュウガ、送ってあげて」
「かしこまりました」
守は、リュウガと共に部屋から出て行った。
その後マリルは、三人の従僕から会っていなかった間のことを聞かれまくり、守とリュウガは車中にて超○金について大いに語り合った。
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