僕の中は”赤”

共産主義の赤旗は高揚。

群衆は集団で高揚する性質を持つ。-俺


テレビ画面には華やいだ闘牛が映し出される。

闘牛を数人で殺す。

勇気と高揚。

戦う剣士。

果たして僕はどこにいると思う。

僕の名は”赤”

スペインの国旗、ソビエト連邦の国旗、アメリカ合衆国の色だ。

テレビ局を僕は買収した。

一つで十分だった。

僕はそこで思う存分、人を刺激させるようなコンテンツを作り始めた。

ヒーローの姿だった。

毎度描かれるのは英雄の姿だ。

英雄には毎度美しい美女がカップルとして登場する。

たまに英雄の家なんかも放送された。

照りつける陽ざし、広大なバルコニー、高層マンション、豪華な料理の数々、部屋にちりばめられた宝石。

僕はずっとスターを作り続けていた。

大衆はいずれ飽きる。

その度に新たなスターを作り上げた。

様々な困難を乗り越えてきたものとして。

一度流れを産めば、他のテレビ局も政治家も経営者も僕の元へ仕事をお願いにやってくる。

女達を相変わらず僕は抱き続け、自分で作ったテレビを優越感に浸りながら眺めていた。

いつの間にか大衆は現実を忘れた。

下水、農業、工業、サービス業、ごみなどの仕事をしているやつ

工場、飲食店で働くやつ

そういうやつに娯楽を与える。

テレビによって

華々しく輝く人間を見せる。

するとどうだ?

大衆はテレビばかり求める。

稼いだ金をそいつらが作った娯楽に投じる。

でもスターにはなれない。

だからずっと働き続ける。

働かないとお金がなくなる。

そのうちテレビもやめようかと思ったとき一本の電話がなった。

長い電話だった。

僕は過去をいろいろと思い出した。

最後に相手が僕にこういった。

「あなたの名は”赤”」

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