第1章

中二病なんて俺には無関係


思い出すのはただ過去の記憶


テーブルの上に置かれたのは白い皿。


その上にビーフステーキが乗っている。


甘い醤油と大根おろしを混ぜたソースがかかっている。


彼女がそっとナイフとフォークでそれを口に運ぶ。




携帯電話が鳴る。


昔の友達から久しぶりにかかってきた電話だった。


俺はめんどくさくなったが、しぶしぶ電話にでる。


「久しぶり~」


どこか懐かしい声が聞こえた。


めんどくさいなぁと思いつつ、俺も


「おぉ、久しぶりだな~」と返事をする。


彼女が不思議そうに僕の瞳を眺めている。


二階建ての郊外の静かな街に建った家に二人で住んでいた。


電話で会話をしつつ、彼女の顔色を伺う。


二人で秘密を共有してこの街へと逃げてきた。


嗚呼


俺はあのころから過去を置き去りにしてきた英雄だった。


世界を一晩で豹変させた隕石のように、大地に涙の雨を降らせた。


i have still ruled the world.


電話越しにはもう忘れかけた友人が何やら無意味なことをつぶやいている。


俺はただ彼女と一緒にいたいと願うのに。


家族も、人も皆俺のことを放そうとしない。


俺は何ども、人間関係だって技術だと言いたかったのだ。


電話を切ったあと彼女の坐るテーブルに腰を下ろす。




静かな街の中に雪が降る。


窓の外から見るのは降り注ぐ大粒の雪


過去は僕を追いかけてくる。


結局は現実




どうやったって映画みたいに美しくはならない。


それでもいいのさ。


俺はね。




「自由な空が見たいの」と彼女はつぶやく。


「空?」


「そう。」


「空なら今見れるよ」


「美しい空はまだ夢の中」


「現実が夢のように?」


「そう。美しく神秘的で。」


「無理だよ。僕には自信がない。こうやってね、君としゃべってる時や小説を書いている時くらいしか」


「そうね。でもね……」


「何?」


 僕はそう言いながらワインを飲んだ。甘い苦いワインだ。時間が巻き戻る……




 心の底から好きだったのは彼女。


 中学生だった僕は、ただ周りの目を伺いながら、反抗心を抱きながら、周りのやつに否定されながら生きていた。


 なまずのようにな。


 泥にまみれた銀色の硬貨だった。


 恋をしていた。


 そしてそこから逃れようと。


 今でもまだ……



 スクールに通っていた。


 馬鹿バカしいという思いしかなかった。


 スクールだよ。


 そうさ。


 ただのスクールだ。




 宇宙


 星


 恐怖


 夢


 馬鹿ばかしい。


 所詮人間に合わせていきりゃあいいのさ。


 無理だろう。




 あらゆるものが


 統合される。


 という嘘をついたのは誰?




 昔の世界。


 子供の頃の憧れ。




 信じるのは不可能という想像


 俺は限りない希望を抱いた騎士だった。


 魔法の国からやってきた。


 空の流星のように


 黄金いろの光を降り注いだ。


 統合失調症……


 だ。


 


 

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