エピローグ 彼女の企画

 そのバーは新宿の片隅にあった。

 薄暗い店内には静かな音楽が流れ、大人の雰囲気を醸し出していた。

 そんなカウンターで司馬しば麗華れいかは一人カクテルを飲んでいた。

「待たせたな」

 と、そこへ馬淵まぶち清海きよみが声をかけた。

 カウンターに座った清海は、バーテンダーにカクテルを注文する。

「珍しいな、麗華から呼び出しなんて」

 麗華と清海は顔なじみだ。だが、それは上流階級セレブのパーティーなどでの話で、個人的に会う事は滅多に無かった。

「見てもらいたいモノがあるの」

 すると麗華は、カウンターの上に置いてあったタブレットiPadを清海に渡した。

 清海が画面を見ると、こう表示されていた。

 【最速屋ケレリタスグランプリGP開催企画書】と。

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