3.銀の彗星《シルバー・ザ・コメット》

 翌日。

 今日は霞の母の墓参りの予定だった。

 霞は朝からいつも以上に口数が少なく、ずっと神妙な顔をしていた。

 緊張してる、と天道は思った。

 エキシージでホテルを出た二人は、途中で花屋に寄ってから青山霊園へと向かった。

 天道はこのために買った黒のポロシャツにジーンズ。霞は黒のワンピースを着ている。

「結構広いんだな」

 霞の道案内ナビで駐車場までたどり着いた天道は、エキシージを降りると周りを見渡した。

 コクッと霞が頷く。

 ここまで来る間もやりとりしかしていなかった。顔も神妙から思い詰めるような表情に変わっている。

 天道としては、その理由を聞きたかったが、とっても聞けるような雰囲気ではなかった。

 とりあえず、霊園管理所で桶と杓を借り、桶に水を入れて花を刺す。それから天道と霞は霞の母の墓へと歩き出した。

 歩く事数分。

「こ……こ」

 霞は墓の前で立ち止まった。

 そこには立派な墓石が佇み、表面には【司馬家】と刻まれていた。

 花立てに花を挿し、桶から杓で水を注ぐ。そして、予め用意していた線香に、この時のために買った百円ライターで火をつけた。

 煙を出した線香を二つに分け、天道と霞はそれぞれ香炉に置く。続いて目を閉じ、墓石に向かって手を合わせた。

(お母さん……去年は来れなくてごめんなさい……それか……ら)

 霞の顔が苦渋に歪む。

(約束を守れなくて、ごんめなさ……い)

 瞼からスーッと涙が流れる。

「カスミ?」

 お祈りが終わって目を開けた天道は、そんな霞を見てギョッとした。

「約束……したの……お母さんと……会社を継ぐっ……て…………」

 それは母が死ぬ直前の事だった。床に伏した母、司馬しば幸恵さちえは会社の未来を案じていた。幸恵もまた夫である司馬しばはじめと共に会社の経営に関わる重要な位置にいたからだ。

 だから霞は約束した。自分が母の代わりに父を支えて、いずれは司馬ホールディングスを継ぐと。

 まだ小学校一年の時だ。

「でも……わたしは守れなく……て…………」

 だからこそ、霞は夢破れた時、あれだけ病んでしまったのだ。

「カスミ……」

 天道は言葉が出なかった。悪友の銀矢かねや澄生すみおなら、こんな時でも気の利いた一言でも言えただろうけど、自分はそこまで器用ではなかった。

 霞はしばらくさめざめと泣いていた。天道はそれを黙って見守っていた。

「クス……ッ」

 それからどれぐらい時間が経ったろう。霞はようやく目を開けると、自分の手の甲で涙を拭いた。

「ごめんね……タカ……君」

「いいや」

 謝る霞に、天道は首を横に振った。

「もう、平気か?」

 天道の問いに、霞はコクッと頷いた。

「なら、行くか」

「う……ん」

 それにも、霞はコクッと頷いた。

 来た道を帰り、駐車場まで来る。桶と杓を返して、エキシージに乗り込んだ。

「少し早いけど、飯にするか」

 ドライバーズシートに座った天道は明るく言った。

「どこかお勧めの店はあるか?」

 それがいつもの天道らしくなくて、霞は気を遣われていると感じた。同時に心配してくれているとも。

「今、調べ……る」

 なので霞も意識して元気よく答える。

「ここでい……い?」

 しばらく携帯電話スマホとにらめっこしてから、画面を天道に見せつけた。

「なんか高級そうな店だけど、この格好で大丈夫か?」

「ランチだから、大丈……夫」

 ドレスコードを気にする天道に、霞は普通に答えた。

「じゃあ、そこで」

 コクッと頷いた霞は再び携帯電話スマホを操作して、予約をする。

道案内ナビ頼むぜ」

「う……ん」

 天道はエキシージのエンジンに火を入れると、駐車場を出た。


 目的のレストランは、十分ほどで着いた。

 駐車場を完備しているのが地味にありがたい。

 エキシージを停めた天道は、右ドアを開けて外へと出た。霞も左ドアから外へと出る。

「本当に高級そうなレストランだな……」

 改めて現物の建屋を見て、天道はビビった。

 それに対して霞はいつも通りの様子でレストランへと入っていく。強いアウェイ感を感じながらも天道は後を追った。

「予約していた司馬です……が」

 フロントで霞が告げると、直ぐに定員ウエイターが席に案内してくれた。

「ランチで良……い?」

 霞の問いに天道は頷いた。

 定員ウエイターにメニューを注文する。

「タカ君、緊張して……る?」

 ソワソワと落ち着かない様子の天道に、霞は唇に笑みを浮かべて聞いた。

「こんな高級な店入るの、久々だからな」

 いつもなら強がるところだが、それも出てこない。かなり緊張してるようだ。

「でも、夕べはちゃんとコースを食べてたよ……ね?」

「アレだって、一杯一杯だったんだぜ」

 天道はバツの悪そうな顔をした。

「料理の味もほとんどわからなかった」

 それを聞いた霞はクスッと笑った。天道はムッとしたが、そんな仕草がおかしくて霞はさらに笑みを零した。

 そうしてるうちに料理が運ばれてきた。

「別にテーブルマナーとか、気にしなくて良い……よ」

「いいのか?」

「普段通りで良い……よ」

 天道はわかってないようだが、食べる時のマナーは一通り身についている霞は思っていた。恐らく両親の教育の賜だろう。

「わかった」

 その言葉でやっと肩の力が抜けた天道は、フォークを手に取った。


 無事、食事も終わり、会計になった。

 ここでも霞は当然のようにカードで支払いを済ませようとした。

「いや……ここは出すぜ」

 だが、それを天道が止めた。

「ホテル代まで出してもらっているからさ」

「いいけど……タカ君、お金持って……る?」

 言いながら霞は支払伝票を見せた。

「ゲッ」

 思わず、天道は声を出してしまった。店の雰囲気でわかってはいたが、ランチでもかなり高額だったからだ。

「大丈夫、大丈夫」

 引きつった笑みを浮かべながら、支払伝票を霞から受け取る。さすがにこれで手のひらを返すのは男としてのプライドが許さなかった。幸い、持ち合わせはあったので、それで支払いを済ませる。

 店を出ようとした時、天道は足を止めた。

「ちょっと、トイレ行ってくるから、先に行ってくれ」

 そう言って、霞にイモビライザーを渡した。

 店を出た霞は、駐車場へと向かった。

 そこで、シルバーの車の前に男性一人と女性二人がたむろっているのに気付いた。

 男性はチャラ男風の茶髪。女性は、一人は明るく染めた茶色の髪をウェーブさせて背中まで伸ばし、化粧で盛った目に紅色の唇をした派手な容姿で、もう一人は、赤く染めた髪をセミロングにして、黒目がちの瞳とポッチャリとした頬をしていた。

 すると、女性の方も霞に気付いた。

「司馬さん……?」

「え……っ?」

 不意に名字を呼ばれて、霞は立ち止まった。

「あたしよ、目留百もくるももすみれ

 派手目の女性が言った。

「覚えてない? 広大ひろおお香織かおりよ」

 赤毛の女性もそれに続く。

 それは霞が転校前に通っていた女子高でのクラスメイトだった。

「久しぶりー」

「本当、いつ以来だろうね?」

 菫と香織は懐かしそうに話し掛けたが、霞は顔を蒼ざめさせた。

「知り合い?」

 と、男性――直立なおたつ秀樹ひできが二人に聞いた。

「高校時代のクラスメイトよ」

 菫は答えてから、霞を見てクスッと笑った。

「高三の時に引きこもりになって、そのまま留年しちゃったんだよねー」

「噂だと、家を継げなくなったことがショックで引きこもったんだって」

 菫の言葉に香織が付け加える。

「それまで、クラス階級カーストの上位にいたのにねぇ」

 霞は顔面蒼白になり、呼吸が荒くなった。

「今、何やってるの?」

「まだ、引きこもってるの?」

「あっ、でも、こうして外に出てるって事は違うのかな?」

「もしかして、まだ高校生やってるの?」

 二人の言葉には明らかな悪意があった。

 過呼吸になった霞は苦しげに胸をかきむしる。

 そこへ、

「俺の彼女オンナに何やってるんだ!」

 戻ってきた天道が、一括した。

 直ぐに三人と霞の間に割って入る。

「誰だ? おまえは?」

 秀樹がイキる。

「カスミの彼氏だ!」

 まだ宣言するのは恥ずかしさがあるが、ここはキッパリと言った。

「こんなチビが彼氏なの?」

「誰がチビだ!」

 笑う香織を天道は鋭い目で睨みつけた。

「ヒッ!」

 ひるむ香織の前に秀樹は立った。

「チビだからチビって言ったんだ!」

 確かに天道の身長は百五十五センチしかない。だが、それを気にしている天道にその単語は完全に禁句だった。

「てめぇー!」

 天道は握りしめた拳を秀樹の顔面めがけて打ち込もうとした。

「タカ君、喧嘩は駄……目!」

「チッ!」

 霞の叫びに、ヒット寸前で拳を止める。しかし、収まりのつかない天道はさらに二、三発、寸止めで秀樹に拳を放った。

「ヒーッ!!」

 目にも留まらぬ速さで拳を喰らった秀樹は、悲鳴を上げてその場に尻餅をついた。

「カスミが止めなきゃ、今頃アンタはフルボッコだったぜ」

 そう言い放ってから、天道は霞の方を見た。

「行くぞ」

「う……ん」

 そして、機微を返すとエキシージの方へと向かった。

「大丈夫?」

 手を差し伸べて秀樹を起こしながら、菫は聞いた。

「クソッ!」

 立ち上がった秀樹は駐車場を出ていくエキシージを見ながら吐き捨てた。


「さっきの連中はなんなんだ?」

 一般道を走るエキシージのドライビングルームで、天道は聞いた。

「女子二人は、クラスメイト……男子は知らな……い」

「なにか、嫌な事、言われたか?」

 天道の気遣いに、霞は横に振った。

「言われたけど、もう大丈……夫」

 天道が守ってくれたから。

「そっか……」

 なので、天道はそれ以上は聞かなかった。

 そのまま六本木通りを西に走り、ホテルに戻ろうとした。

 だが……、

「ついてきている」

 不意に天道が言った。

 霞がサイドミラーをのぞき込むと、さっきのシルバーの車――メルセデスAMG・GT63S4MATIC+が確認できた。ドライビングルームには秀樹と菫、それに香織が乗っている。

「首都高に乗るぞ」

 このまま宿泊場所まで連れて行くのは危険と感じた天道は宣言した。

「大丈……夫?」

 霞は心配したが、天道は自信満々に言った。

なんかに負けるかよ」

 交差点でUターンして、高樹町の入り口を目指す。案の定、GT63Sもそれに続く。

 そのまま、二台は首都高速へと上がった。

「ロータス・エキシージだって」

 GT63Sのドライビングルームではサイドシートに座る菫が、携帯電話iphoneで検索した結果を秀樹に見せていた。

「馬力は……260しかないのかよ」

 秀樹はせせら笑った。

「こっちは640馬力ばりきもあるんだぜ。逃がすかよ」

 しかし、車線変更レーンチェンジを繰り返しながら、次々と一般車両をパスしていくエキシージに対して、GT63Sは上手く処理できない。

 そのまま、都心環状線C1内回りへと天道は向かった。

 谷町ジャンクションJCTのヘアピンをドリフトで駆け抜ける。

 それに対して、GT63Sはへっぽこなグリップ走行でクリアした。

 都心環状線C1内回りに入ると思いのほか、一般車両がいなかった。それを良い事に天道はコース幅を目一杯使って、一橋ジャンクションJCTの高速コーナーを高速ドリフトで走って行く。

「クッ……!」

 秀樹も自分の限界ギリギリまで我慢してコーナリングをするが、エキシージには遠く及ばなかった。

 二台の差がどんどん開いていく。

 そして、浜崎ジャンクションJCTを過ぎた頃には、GT63Sはサイドミラーから消えていた。

「まぁ、こんなもんだろう」

 余裕の笑顔で天道はアクセルを緩めた。

「ありがとう……タカ……君」

「気にするな」

 霞の感謝に、天道は少し照れたように答えた。


「見つけましたわ……」


「ん……?」

 一ノ橋ジャンクションJCTを過ぎた辺りで、天道はサイドシートの光に気付いた。

 後続車をよく見る。

「マクラーレン・セナ……?」

 それは昨日、清海から聞いた車種だった。

「上等!」

 舌舐めずりをした天道は、短くハザードを点灯させる。それからアクセルペダルを踏み込んだ。

 それに答えるようにセナも加速を始める。

 エキシージは高速ドリフトを駆使して、次々とコーナーをクリアしていく。

 一方、セナは強烈なダウンフォースで車体ボディを路面に押しつけ、グリップ走行でコーナーを抜けていった。

「速い!」

 思ったほど差がつかず、天道は驚嘆した。

 室町の上りの直線では、逆に詰め寄られる。

 なので、天道は江戸橋ジャンクションJCTで勝負に出る事にした。

 迫るコーナー。

 ここ、というタイミングで音が出るぐらいブレーキペダルを叩き踏む。

 続いてヒール&トゥで、シフトダウンする。

 それからステアリングを勢いよく、左に送る。

 だが、オーバースピード気味でコーナーの侵入したエキシージは、フロントをアウトに流し、上手くターンインしない。

 それをアクセルを開けて、荷重の抜けたリアを流して補正する。

 結果、エキシージは四輪を滑らせながら中速ヘアピンへと侵入していく。

 完璧なドリフト走行。

 ノーズがコーナーの出口を向いたタイミングで、細かなステアリングワークとアクセルワークでリアタイヤにトラクションを駆ける。

 加速しながらコーナーを脱出するエキシージ。

 続いてセナがコーナーをクリアする頃には、かなりの差が開いていた。

 その後、連続する高速コーナーでも高速ドリフトを決めて、二台の差は徐々に広がり始めた。

 それは千代田トンネル手前の中速コーナーで、決定的になっていた。

 それでも戦意を失わず、セナは追走を続けた。

 そんなセナのドライバーに天道は興味が沸いた。

 谷町ジャンクションJCT渋谷線高速3号へと入る。

 案の定、セナもついてくる。

 高樹町の出口でウインカーを出す。続いてセナもウインカーを出した。

 出口を降りた天道は、直ぐに路肩にエキシージを停めた。セナもそれに倣うように路肩に車体ボディを停める。

 エキシージから天道と霞が降りると、セナの左ドアが跳ね上がった。

「ん?」

 当然、ドライバーが降りてくるだろうと思っていたが、何故かタイヤがついた物体が降りてきた。

「なんだアレ?」

 天道は首を傾げたが、霞が言い当てた。

「車椅子……だと思……う」

「ハッ?」

 その単語ことば通り、物体は左右に大きく開き車椅子へとした。

 続いて、今度こそドライバーが中から出てきた。明るく染めた薄茶色の髪を肩まで伸ばし、前髪は眉の下で揃えて、クリッとした大きめな目にほっそりとした輪郭に小さな唇をした上品そうな顔の美女だった。

 彼女は滑るように車椅子に乗り移ると、タイヤを、天道達の方にやってきた。

「やっと見つけましたわ、白翼の天使ホワイトエンジェル

(また、その名……前)

 霞は思った。横目でチラッと天道を見ると、案の定、顔を顰めていた。

「アンタは?」

計画四かいがし沙織さおり。人はわたしくしの事を銀の彗星シルバー・ザ・コメットと呼びますわ」

 沙織は物腰の柔らかな口調で答えた。

「残念だけど、俺は白翼の天使ホワイトエンジェルじゃない」

 申し訳なさそうに天道は言った。

「俺は、コーナーの魔法使いウィザードだ」

「えっ?」

 沙織は驚いた様子で、エキシージを見た。

「でも、その車は……」

「これは……借り物だ」

 唖然とする沙織に、天道は言いにくそうに告げた。

「それでは、本物の白翼の天使ホワイトエンジェルは?」

 詰め寄るように聞く沙織に、天道はまた申し訳なさそうに言った。

「今は引退状態だ」

「そんな……」

 その言葉に沙織は肩を落とした。

「でも……」

 だが、直ぐに闘志を燃やした瞳で天道を見た。

「さっきの走りは、白翼の天使ホワイトエンジェルそのものでした」

 そして、宣言する。

「なので、これからはアナタを目標ターゲットにしますわ」

「それは構わないが……」

 強い相手との対戦バトルは大歓迎なので、天道はその挑戦を受けて立った。しかし……、

東京こっちに滞在するのは、あと一、二日だ」

 天道は、説明した。

主戦場ホームは、箱根だからな」

「なら、追いかけるまでですわ」

 天道を真っ直ぐ見詰めた沙織は、ニヤリと笑った。

「いいぜ」

 それに答えるように天道もニヤリと笑った。

「ところで……」

 会話が一区切りついたところで天道は最初から疑問に思っていた事を沙織に聞いた。

「その足で、どうやって運転してるんだ?」

「ご覧になります?」

 沙織は、車椅子のタイヤの左右を器用に漕いでUターンさせると、セナの方へ天道達を招いた。

「これは……!?」

 ドライビングルームをのぞき込んだ天道は驚いた。ステアリングホイールが三段重ねでついていたからだ。

「真ん中がステアリング。奥がアクセル、手前がブレーキですわ」

 その右横には、シフトレバーが取り付けられてある。セナの標準はパドルシフトだが、それはバッサリ取り払われたいた。無論、アクセルペダルとブレーキペダルも無い。

「手だけで運転できるようになってるのか……」

 初めて手動運転装置を見て、天道と霞は驚いたような顔をした。

「その足は、生まれつきか?」

 天道の問いに沙織は首を横に振った。

白翼の天使ホワイトエンジェルとの対戦バトル中に激突クラッシュして、両足の骨がバラバラになる重傷を負いましたの」

 それを聞いた天道は、済まなそうな顔をした。

「どうし……て」

 すると、それまで黙って話を聞いていた霞が沙織に尋ねた。

「そこまでしてまで、また走るんです……か?」

「走るのが好き、と言うのもありますが……」

 その質問に沙織は、アハッと笑った。

「やはり白翼の天使ホワイトエンジェルに負けっぱなしというのが悔しくて」

 天道は言葉が出なかった。

「そろそろ帰りましょうか」

 車椅子をセナの左側に着けた沙織は、器用に手だけでシートをと、車椅子を畳んだ。どうやらワンタッチで開閉ができるようになっているらしい。そして、車椅子を自分の上をと、サイドシートの上に置く。

「わたくしは、都心環状線C1内回りを毎晩走ってるので、また夜にお目に掛かりましょう」

 そう言い残して、沙織は左ドアを下げるとその場を後にした。

「俺達も戻るか」

 それを見送ってから、天道は霞に言った。

「う……ん」

 霞はコクッと頷く。

 二人はエキシージに乗り込むと、ホテルに向けて走り出した。

「タカ……君」

 その途中で霞は、天道に聞いた。

白翼の天使ホワイトエンジェルの正体っ……て?」

「…………姉キだ」

 その問いに天道は言いにくそうに答えた。それから憤慨した。

「姉キのヤツ、だけじゃ無く、こんなところでもやらかしてたのかよ!」

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