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数日後、回覧板によって、あの公園が正式に取り壊されることに決まったということを知った。跡地にはマンションが建つという。あの場所は前々からある建設会社が目をつけていたそうで、金にものを言わせ、市長と話をつけた上での決定だという噂だ。
市民の反対運動も、一時的なもので終わった。こちらもまた金で解決したという噂が回っていて、付近の住民の急によそよそしくなった態度を見れば、おそらくは事実であるのだろうと中学生の僕にすら察しがついた。
あれから帆淡とは、二週間会わなかった。僕は帆淡の真っ赤になった顔が忘れられなかった。あんなに激しい感情表現は、今まで見たことがなかった。帆淡は八年間、ああいった思いを全て溜め込んで、誰にも何処にも出さずにいたのだ。
正直、僕はひやひやしていた。帆淡に嫌われてもおかしくはないだろうと思って、ひやひやしていた。僕が帆淡の望む世界から遠ざかってしまったことに、帆淡は気づいていないわけがない。
帆淡が好きな果物はバナナでも、お見舞いに持っていくべきは桃なのだ。
ピーターパンは、一生をネバーランドで過ごしたのだろうか。そしてその一生に終わりは来たのだろうか。子供でいられる国は平和で、幸せに満ち溢れた場所なのだろうか。
帆淡は今、何を考えているだろうか。
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