第48話 光レーザー
『魔族の不死体性というのは、人間の不死とは異なります。この世界での「聖属性魔法」は基本的に自然の光を別のアプローチから放っているにすぎません。同種の光をレーザーで再現できるのならば、支配で不死体性を付与された魔族たちも不死を無効化して殲滅することが可能です』
確かに、不死ってのは光に弱い気がする。この世界の知識の塊みたいな子が言うんだから間違いないだろう。
これで不死を倒す算段がついた。
『わかった。やってみる』
俺は鉱石を動かして索敵をするのをやめる。
目の前に移動させた16もの鉱石たち。
これを操作して、光を中央の一点へと集めていく。
ミュースの話によると、この鉱石ならば、レーザーの余波熱に耐えられるそうだ。
光が凝縮して、中央に光の塊が生み出される。
その出る先を絞っていくように光の放出量を能力で制御する。
さあ、現代兵器最強の技で魔族を殲滅だ。
「見ろ、これがレーザーだ!!」
一瞬、光の閃光が空中を走ると、空間を引き裂くように莫大な光の閃光が魔族たちを襲った。
その姿を灰のように消滅させていく魔族を見て、男は叫んだ。
「やめろ~~~~~~~~~~~~~~!」
そういって殴りかかってくるのだが、妖刀がそれを防ぐ。
2発3発と魔族がいなくなるまで撃(う)ち続けた。
目の前の視界から、魔族たちは跡形もなく消えた。
「お掃除完了だな」
魔王はゆっくりと地面に降り立った。
魔法によって高速移動、身体能力強化、飛行能力補助をしていたのだ。
そこにいるのは、ただ黒くてデカイだけのおっさん。
もう飛ぶこともできないらしい。、
「ちっ、予想外だ。やられたぜ……」
魔王は諦めたように地面にたたずんでいた。
俺もそばまで下りていく。
この事態に魔王はどこか諦めたような表情をしていた。
「さて、魔王……だったか? まだ王クラスの力は残っているのか?」
一応確認でそう聞いた。
「くっ、もうねえよ」
「そうか、じゃあ、死んでくれ……」
俺は刀を振り上げた状態で魔王の言葉を聞く。
「いいのか? 俺が死んだら、本当に竜種の王……竜王に勝てる奴がいなくなるぞ?」
「どういう意味だ?」
「竜王は俺たち魔族や人間とは在り方が違う。魔法を使わないお前の攻撃はたぶん……一切効かないだろう」
「最後に残したい言葉はそれだけか? 俺はお前をどんな方法で倒した?」
俺はいやらしく笑いかけた。
「おい……まさか竜種が支配している中央大陸の領土を奪うつもりか? どれだけの種族と種族の王がいると思っている? 王クラスと長レベルの竜種が各地区を支配しているんだぞ。そんなことができるとして、それじゃあ、お前こそ本当の……」
俺は妖刀で魔王の身体を切り裂いた。
その後、水爆で塵(ちり)に変えて、念のため時空の彼方へと消えてもらった。もちろん、空間転移で。
魔王の男が最後に言いかけた言葉。
お前こそ本当の『魔王』じゃないかと。
だな、それだけ聞けば俺もそう思う。
中央大陸にはたくさんの種とその王がいる。
その上に竜種の長たちが大陸を分割支配しているらしい。
なんか、人類滅ぼすとかあほなことぬかしているらしいからな。
いい加減、その竜王とやらにはご退場願いたい。
竜王を葬(ほうむ)るためには、無敵状態を解くための支配領土を奪うプロセスが必要だ。
つまり……
これから地域ごとに竜種と各種族がおさめる中央大陸へ向かって、竜王の分割支配された土地を奪うのだ。
これが唯一無二の竜王を倒す方法なのだとしたら、やるしかあるまい。
これ以上受け身に回って、事件に振りまわされるのは御免だからな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます