第49話 予兆と新たな悲劇へのカウントダウン
魔王を倒し、竜王を倒す算段が付いた。
この時、その安堵感と裏腹に高揚した気分と合わさって、不思議な気分になっていた。
しかし、俺は大事なことを一つ見落としていた。
(人生を振り返った時の走馬灯より)
俺は魔王を撃破したことを伝えるために、一度アルカリス王国の城へと戻ることにした。
モニカやフィー、ディビナたちはモキュと一緒に空間転移で飛ばしたのだ。
「なんかあっさり帰るのもあれだな。ちょっと驚かせてやるか?」
ちょっと案を考えてみる。
その時、
『みんなを驚かしたいなら、僕にいい考えがあるよ?』
「お、妖刀か。なにかいい案があるのか?」
『うん、ちょっとね。お城には、いざという時のためのいくつもの抜け穴と通路があるんだ。そこからひょっこりと。床から戻ってみたらどうだろう?』
「ん~なるほど。それでいこうか。俺は道の通り方を知らないから案内してくれ。それと、さっきはありがとな」
『どうしたんだい急に? 主様の代わりに魔王を足止めしていたことかい?』
「それ以外ないだろう?」
『別にお礼を言われることじゃないよ。そうすべきだからそうしただけだよ。主様は僕を支配できないだろ? だからこそ、僕自身の意思で主様の身体を動かして魔王と戦うことができるんだから』
「そうだったな。じゃあ、床からサプライズでビックり仰天しもらいますか……」
こんなふうにお茶目なことができるのも、なんだかんだで、モニカやディビナが俺は気にいっているのだろう。
モニカはもう心配いらないくらい、俺にぴったりついてきてくれるようになった。
ディビナについてもそうだ。
いつの間にか俺に好意らしきものを向けてくれるようになっていた。
端田令未果(はなだれみか)だって、何かと俺に話しかけてくれていた。
もしかしたら『ごめん』とあのとき言ってくれたのは、『俺をいじめから助けられなくてごめん』ってことだったのかもしれない。
教室でずっと話しかけてくれていたのも、ちょっとくらいは好意があってのことかもしれない。都合いい考えかもしれないけど。
だとしたら、以外と悲観する人生でもなかったのかもしれない。
腐った日常とサヨナラ出来たのだ!
意外と人から好意を向けてもらうことは、俺にでもできるものなのかもしれない。
今の俺ならすんなりとそう信じることができた。
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