3話 高校一年生 8月 所帯じみた姉恋人神と爛れたイチャラブ妄想な日常

「遥、今から出かけない?」

 海沙みさお姉ちゃんが話しかけてきた。

「夏休みももう終わりだし、恋人姉の私とデートしよう。」

 デート? どこ行くの?

「遥の足の向くままぶらぶらしようよ。ただ一緒に歩くだけでもデートはデートでしょ?」

 いつも一緒にいるじゃない。

「いいの! 一緒にお出かけしたい気分なの!

 もう夕方だからこれ以上暑くならないし、別に構わないでしょ?」


 海沙お姉ちゃんに言われるままふらりと外に出ると、何となく清海神社の方へ足が向く。


 そうか、今日は8月27日。お祭りの日だ。

 海沙お姉ちゃん、清海神社の例祭が今日なのは何か理由あるの?

「街の名物として海水浴場で花火大会をやりたい、と言い出した人がいたので、適当な理由をでっちあげて例祭を動かしたんだ。確かサブの祭神を増やしたんだっけ? ちょうどここが花火大会の特等席になるんで、主祭神は二つ返事で承諾したらしいよ。」

 そうなんだ。

「例祭と花火大会をセットにしたほうが神社に人も来るし、悪い話じゃないからね。」

 海沙お姉ちゃんは神社にいなくていいの?

「私は遥の係だからいいの。他にもいっぱい神使はいるからね。」

 係って言い方がなんとも言えない響き。

 神様も花火大会好きなの?

「厳密にいうと、花火大会を楽しんでいる人間を見るのが好き、かな。さあ、お祭りの雰囲気だけでも味わおうよ。」

 海沙お姉ちゃんも花火大会見たいんじゃないの?

「私は遥と一緒にいたいの。遥も花火大会見るんだろうから同じこと。

 さあ、行こうか。」


 暗くなると人通りが少なくなるこの辺りだけど、今日はさすがに人が多い。

 そうだ、去年のお祭りの時に清海神社でお願いをしたんだ。

「もっといい家族がほしい。」

 そしたら、海沙お姉ちゃんが俺の家族になってくれた。

 あの時の俺の選択、間違ってなかったよな。


「いい、遥? 今だからできるというか、今しかできない経験ってあるの。こうやって誰にも邪魔されずに一人でぶらぶらお祭りを楽しむこともそう。そして、今のうちに女の子を見る目も養っておかないとダメ。」

 女の子を見る目?

「そう。きれいな格好してるけど実は性格ブスな子とか、一見地味だけどきちんと躾られてる子とか。」

 女性は見た目じゃないっていうよね。

「うーん、それは半分正解。見た目はどうとでもなるよ、今の子はメイクも上手いしね。ネットで自撮りなんか見ると、まるで別人だったりすることあるでしょ?」

 うん。ビフォーとアフターを比べるとびっくりする。女って化け物だって。

「でも、隠せないのは目の表情。口元は笑ってても目が笑ってない子とかいるから、そういうのを見分けられるようにならないとね。それからファッションセンスと仕草の観察も大事。今日だと、浴衣の柄のチョイスや着こなし、歩き方。観察しないとわからないことはたくさんあるんだよ?」

 不審者っぽくならないかな。

「こういうときだから堂々と観察できるの。それに、他に人がいると遠慮してやりたいことができなくなるでしょ? クラスの男子とまわってたら黙って女の子の観察なんて無理だろうし、遥に彼女ができたら他の女ばっかり見てたら怒られるよ? せっかくのチャンスなんだから、しっかり観察して、あとでお姉ちゃんに感想文提出な。」

 えーーー。

「最近は浴衣にもいろんなスタイルがある。いろんな飾りが付いてたり、ミニスカートみたいになってたり、好みのもの、そうでないものはあるでしょ? 遥の好みがどんなスタイルなのか、どういう仕草に色っぽさとか魅力を感じるのか。どうせ暇で他にやることもないんだし、いろいろ勉強することでお姉ちゃんを喜ばせてみるよう努力してみてもいいと思うんだけどな。」

 わかった、海沙お姉ちゃん。


 ◆ ◆ ◆


 あてもなくお祭りの会場をふらつく俺。

 当たり前だが、俺の頭の中に話しかけてくる海沙お姉ちゃんは周囲の誰も認識することができない。もちろん、会話は脳内で行うから、一人でぶつぶつ何か言ってる不審者には見えない。

「浴衣姿の女の子がいっぱいで目の保養になるでしょ?」

 う、うん。

「たまには外に出るのもいいでしょ?」

 うん。

「でも、浴衣着てる子の中でも、あまり魅力的じゃない子っているでしょ?」

 うん。

「どんな子だった?」

 歩き方が汚い子。

「どんなふうに?」

 どすどす歩いてて、裾がばさばさになってるの。下着が見えるかと思った。下品だった。

「他には?」

 襟元がぐずぐずになってても気にしない子とか、脇から素肌が見えちゃってる子。

 あと、変だったのは、えりをこれでもかって肩まで開けて鎖骨まで見せてる子。

 帯も何でか前で結んであって、すごくだらしなく見えた。化粧も好みじゃなかったな。

 顔はきれいにしてるのに仕草やセンスに現れるって、海沙お姉ちゃんが言ってたことの意味が分かったよ。

「よく気づいたわね、偉いぞ。たくさん見た甲斐があったね。

 浴衣姿の似合うかわいらしい女の子を見て、どこが印象的だった?」

 お尻。

「どうして?」

 パ、パンツの輪郭がわかる子が多いよね。

「パンツの輪郭がわかる子と、わからない子、どっちがいい?」

 わからない子。

「どうして?」

 下着、はいてないんでしょ?

「さすが遥。私の予想の上を行く変態っぷりね。

 で、どんな柄が良かった?」

 うーん。

「もちろん、パンツの柄じゃなくて浴衣の話だからね。

 どんな色がよかった?」

 あれが印象的だった。青の浴衣に、花火の柄。

 海沙お姉ちゃんを連想させるような青に、きれいな花火。

 海沙お姉ちゃんみたいな浴衣だった。

「遥は最高の弟だな。

 他には?」

 薄い水色に金魚柄。真っ赤な金魚がたくさん泳いでて印象的だった。

 金魚のひれが大きく広がってて、水色の浴衣が涼しげだった。

 着るものにも季節感って大事なんだね。


「さて、そろそろ花火大会の時間だけど、大好きな彼女と花火を見る時、どうしたい?」

 どうって言われても……。

「私が遥の大好きな浴衣姿で隣にいたとするよ?

 まさか、花火見てる途中、私に何もしない、なんて言わないよね?」

 手をつなぐとか?

「遥。あんた、本気でそれ言ってるの?

 手をつなぐ、なんて生ぬるいことしかしないつもり?」

 腕を絡める、とか?

「さっきよりはマシかな。」

 じゃあ、抱きつくとか?

「前から抱きつくと二人で花火見るとき大変だよね。」

 俺が後ろから海沙お姉ちゃんに抱きつく?

「浴衣だと後ろで帯を結んでいるから、帯の結び目が変になっちゃうでしょ? 帯がダメな女の子は、女の子失格なんだから。」

 逆から?

「そう。彼女に後ろから抱きしめてもらうのが正解。お姉ちゃんはそう思うんです。

 小柄な彼女だったら、階段で上の段に上ってもらって、おんぶみたいな格好になってもいいかもね。

 花火を見ている途中ずっと彼女が後ろから抱いてくる。えっちな子だと、首筋や耳に息を吹きかけたり、なめたり、キスしたりするんだよね。もしかしたら、花火が上がっている数十分の間、ずっと遥の胸をもみもみしちゃったり。

 親指と人差指で遥の乳首をいじりながら、手のひら全体で遥の胸を味わう。そして口と舌でやることをやる。もちろん、周囲の人は花火に集中してるし、花火がうるさいから、だれも遥たちのことなんか気にも留めない。遥がちょっと声を出しても誰も気づかないよ? 彼女だけが遥の喘ぎ声を聞いて優しく微笑むの。

 変態な遥は想像するだけで興奮してきたでしょ?」

 このあとの花火の間、海沙お姉ちゃんの今の言葉が頭をぐるぐる回りそう。

「デートってそういうものでしょ?

 それとももしかして逆がいい?

 浴衣じゃ無理だけど、ゆったりしたワンピースを彼女に着せて、花火の間、ずっと後ろから攻めるの。髪とか、胸とか、脇腹とか、太ももとか、足の付根を撫でるのもありかもしれないね。当然、うなじもキスしちゃうよね。ブラのレースをワンピースの上から両手の手のひらで楽しむのも忘れてはいけない。ブラとパンツのラインに指を這わせるのも大切だよね。」

 エロ本でよく見るような女の子の下着の感覚をリアルで味わってみたい。

 もちろん、誰でも足を踏み入れることが出来る、下着も売っている大型の服屋に行ったら女性用の下着を見ることは可能だが、着用していると一気に雰囲気が変わるんだろうな。それに、俺にとっては真顔で女性用の下着コーナーに入るのは無理だ。顔が真っ赤になっちゃいそうだから遠目で見るのが限界だ。

「ゆったりしたワンピースを着てるって、下着の上にシーツ一枚着て外を歩いているようなものだから、露出が低いものでも意外といやらしいんだよね。彼に触られることでワンピースの布が皮膚を滑るのも興奮するよね。肌触りがいい布ならなおさらだ。

 彼女も少しは抵抗して、こっちを振り向いたり、遥の手の上に自分の手を乗せてくるだろうけど、ちゃんと受け入れてあげるんだよ? 振り向いたら頬でいいからキスをする。

 すごくえっちな感じがして興奮するでしょ?」

 悪くない。むしろすごくいい。

「遥の中で陵辱しているワンピース姿の彼女って、誰?」

 海沙お姉ちゃん。

「偉いぞ、遥。

 どんなワンピースがいい? 夏っぽく肩は紐。丈の長さは膝ぐらいと足首まで、どっちがいい?」

 どっち、って言われても。

「太ももを直接触りやすい膝丈と、浴衣っぽくて清楚な感じのする足首丈。」

 膝丈かな。

「私は下品じゃないからブラの紐が見えないように何か羽織ってるけど、色はどんなのがいい?」

 ワンピースは夏っぽく、海色の碧。羽織ものは白、だとあわないし、砂色、ベージュかな。これだと海沙お姉ちゃんらしい配色だ。

「遥も女の子の服についてよくわかってきたようだね。

 花火大会中ずっと触られていた女の子は、ちゃんと立てないくらい意識が飛びかけていて発情しているから、ちゃんと腰に手を回して、歩きやすいように助けてあげないとね。

 そして家に帰ったら思う存分襲わせてあげるんだよ?」

 そうなの?

「当然でしょ? 人目を気にする必要がなくなった彼女は、今まで我慢していた鬱憤を晴らすように、遥を荒々しくベッドに押し倒して、近くにある服を使って手をバンザイの格好にして縛る。頭を抱え、唇を乱暴に犯し、脇の下を撫でて、強く抱きしめ、股間に手をやる。もちろん、上半身のいろいろなところに指を這わせる。痛くても抵抗しちゃダメだよ?」

 うん。

「いっぱい酷いことをしちゃったんだから彼女の気が済むまでちゃんと体を差し出さないとね。どうせ激しく犯されるのは大好きでしょ?

 おっと、そろそろ花火始まるよ?

 えっちなことを考えるのは家に帰ってからでも遅くないから。

 花火が終わった後は、他の女の子を観察しながら、花火デートの時に恋人姉の海沙お姉ちゃんとどういう変態的なことができるのかを考えながら帰りなさいよね? あと、お風呂でもじっくり考えること。」


 ◆ ◆ ◆


 今日は刺激あふれる一日だった。

 疲れたので布団の中で転がるのが限界。

 海沙お姉ちゃんは例の花火柄の浴衣を着て俺の隣に寝転がっている。

 花火は楽しかったけど、花火そのものが楽しかったわけじゃない。

 海沙お姉ちゃんと一緒に花火を楽しめたことがよかったんだと思う。

 すごく充実した時間が過ごせた。好きな人と、えっちなことをする想像をするのって、やはり楽しい。

「帰り道にいたフリルいっぱいのミニ浴衣着てた子、気になってたでしょ?」

 そういえば、なぜか気になった。

「遥、ああいうのも好き?」

 好きかも。

「遥は女の子っぽい格好が好きなんだね。男の子として自然だと思うよ。

 ああいう浴衣の子と一緒にベンチに座る時、どうすればいいかな?」

 一緒に横に座る、なんてことは言わないよね?

「わかってるじゃない。

 お祭りの時に下を向いて歩いているのは負け組だから気にしちゃだめ。だから、ベンチに座ってる時点で、勝ち組の目には入らなくなるの。

 浴衣だと帯の結び目を乱すのと股を広げるような座り方はだめなんだよね。

 遥、消去法で考えてみたら?」

 横に座る=ダメ。

 そうすると膝の上だよね。

 向かい合わせに座ると股を広げるからダメ。

 後ろ向き、すなわち同じ方向を向くように座ると、結び目が乱れるからダメ。

 そうすると膝の上に横向きか斜め向きに座ってもらうしかなさそう。お姫様抱っこに近い感じかな。

「正解! そしてミニの浴衣じゃないとできないことがあるよね?」

 布が少ないから足を触れる。

「やるね、遥。

 露出している部分だけじゃなく、浴衣に隠れている太ももに手を伸ばさないとダメなんだからね?

 付き合っている男の子の前で彼女が露出するということは触って欲しいというアピールなんだから、ちゃんと対応してあげること。男女のお付き合いをするというのはそういうことなんだから。」

 そうなの?

「遥。私に抱きしめられ、えっちなことをする想像をしている間、ドキドキする?」

 する。

「嫌だと思ってる?」

 全然。むしろ嬉しい。

「お付き合いしていない相手だったら絶対に嫌だけど、好きな人からだったら、もっとドキドキしたいと思う。

 それは心を相手に任せているから。

 この子だったら何をされても問題ない。

 その安心感が気持ちよさになってるんだよね。

 遥が私を受け入れてくれるから、私は遥が大好き。

 だから遥をもっと、もっと喜ばせたくなっちゃうんだよね。

 遥は自分の心がこじ開けられていることに違和感を感じてるんだろうけど、その違和感が快感になってるでしょ?

 最初は抵抗しても、こらえきれずに自分の気持ちに素直になったら、心が持たなくなるまで甘い快感で脳をかき乱される。

 もっと私に心を犯されたい、そう強く思ってくれてるでしょ? 荒々しく心をレイプされたいでしょ? 求められるままに陵辱されたいでしょ?」

 うん。

「それが、好きになる、ということ。

 好きな相手に身も心も許して与えてくれる快感をすべて受け入れるのが、最高の喜びだと思うんだよね。

 遥は私が好きでしょ?」

 うん。

「私も遥が好き。

 学校始まって新しいエロ本が入荷されるまで、花火デートを何パターンも楽しんじゃおうね?」

 そうしよう。

 海沙お姉ちゃんとのデート、楽しいな。

 海沙お姉ちゃんが俺の心をどんどん占領していってる気がするけど、いいことだよね。


 ◆ ◆ ◆


「小郡、久しぶりだな。」

「遠藤、夏休みはどうだった?」

「おう、バイト頑張ったぜ。補習あるとバイトの時間が取れないからな。期末は必死に頑張ったから補習なしだったぜ。」

「バイトやって何買うの?」

「車だよ。頑張って金ためて免許とって車買うんだ。きれいなお姉さんと車でどこか行っていちゃつく。男の夢だよな。」

「遠藤先生、その意見には同意しかねますなあ。」

「ああ? 何だ、樺山?」

「車もいいけど、やはり鉄道ですよ、鉄道。」

 そういえば樺山は授業中に隠れて分厚い時刻表を見る趣味があったっけ。

「だって、車は面倒じゃないですか。金かかるし、運転も疲れそうだし。

 しかし、鉄道だと乗ってるだけでいいんですよ。長期休みなんて、遠征に最適ですぜ。」

「ほぉ。」

「もちろん、幼稚園児みたいに『特急かっこいい』なんてガキ臭いことは言いませんよ。

 新幹線や特急は早く移動するにはいいけど、旅情がないんですよ。自然豊かなローカル線をだらだらと乗るのがいいんじゃないですか。

 豊かな自然を見ていると森林浴をしているみたいに気分がいいんですよ。エアコンが効いた車内は実に快適ですぜ。」

「でも本数が少なかったら好きなところにいけないだろ?」

「だから周到な準備が必要なんですよ。どの路線を攻めるか、どの便に乗るか、どこで途中下車するか。際どい乗り換え時間もスリルがあっていいんですよ。

 その上、各地のB級グルメを楽しめるのも隠れたボーナスですなあ。もちろん、インターネットで事前準備は欠かせませんぞ。

 そうだ。小郡先輩は夏休みどうでしたか?」

「いや、特に別に……。」

「マジかよ小郡。おまえ、青春無駄遣いしてるぞ。」

「バイトちょっとやって、図書館で涼みながら雑学の本読んで、勉強ちょっとやって……。」

「小郡先輩、ネットのエロ画像ですか。言わなくても分かります。さすが小郡先輩、俺達とは格が違います!」

 エロ画像よりも女の子の服のほうが興味あるんだけど、それは黙っていよう。

「わかった。聞いた俺が悪かった。

 おっと、本題を忘れてた。小郡と樺山におすすめなものを探してきたぜ。薄いけど100円ずつくれ。」


 ◆ ◆ ◆


 家に帰ったらお約束のようにエロ本を読む。ブックカバーが遠藤の76点の期末テストなのが趣深い。返ってきた直後、休み時間の間に作ったのかな? タイトルは「スクールナース 深雪みゆき」か。


 体育の時間に熱中症で倒れた意識朦朧もうろうの男の子のヤスユキを養護教諭の深雪が治療するシーンから始まる。彼の体温を下げるため、深雪は彼の首の後、両脇、両足の付け根を冷やすことにする。股間を冷やすために深雪は彼の体育着のズボンとパンツを脱がす。脱がされ、股間が冷やされた刺激で大きくなった彼のアレを見て、どうにかしないと、と思う深雪は、つい手で彼を射精させる。

 体力が回復したヤスユキが起き上がろうとするものの、深雪は「ダメ! まだ本調子でないから!」と止める。そして深雪は自分の顔を彼の顔に寄せて、優しい声で「大丈夫だから」という。ヤスユキは深雪の胸が自分の体にあたってるのに気づき、再度アレを大きくする。ヤスユキは違和感を感じ、パンツを履いていないことに気づく。深雪はヤスユキに「治療のためにパンツを脱がしたんだ。すっきりした?」と聞いたところ、ヤスユキはアレを深雪に見られたことを恥ずかしく思い、そそくさとパンツとズボンを履き、赤面しながら保健室から退出する。


 こんなストーリーの、巨乳眼鏡の白衣姿の深雪が小学校高学年にしか見えないヤスユキを弄んでいる漫画が約三十ページにわたり展開されていた。


「なにこの生ぬるい話? 全然ダメよ、ダメ!」

 海沙お姉ちゃんがダメ出しした。

「遥、海沙お姉ちゃんの本気を見せてあげるから、リラックスできるように、布団に入りなさい。」


「私だったら、こんな話にするね。

 弟の健康管理ができていないなんて姉失格だけど、万が一ということもあるからね。弟を喜ばすために予め用意しておいたナース服に着替えるところから始めないと。

 白とピンク、どっちがいい?」

 じゃ、白で。

「まず服を脱がせて冷やすところは正しいよね。作者もちゃんと取材してるみたい。

 この状況だと遥は自分で服を脱げないだろうから、海沙お姉ちゃんが全部脱がせちゃうことになるけど、恋人きょうだいだとよくあることだよね。最初に服の締め付けを緩めないといけないから服は脱がしちゃうよ? 脱いだ服は汗で濡れているだろうから、洗濯ね。代わりに何を着せようか迷うけど、そうだね、余ってるピンクのナース服かな。」

 え? ええーーー??

「申し訳ないけどズボン履かせるわけにはいかないんだよね。首の後、両脇と股間を冷やすんだけど、太い血管を冷やすために、ちょっと股を開いてもらわないといけないんだ。漫画でも一応、描写されていたね。お股を簡単に冷やせるように、下はスカート状にしないといけないんだ。スカートに足を通すのと袖通すのがちょっと大変だけど、前をボタンで閉じるワンピースになってるナース服って、こういう時に便利なんだよ?

 もちろん嫌なら私が持ってる他の服でもいいんだけど、お揃いのナース服は嫌?」

 なんか恥ずかしいよ。

「いい? これは恥ずかしいことじゃないんだよ? 治療なんだから。

 玉が煮えちゃわないようにしっかり冷やさないといけないんだ。だって、赤ちゃんができない体になっちゃったら困るでしょ? お姉ちゃんのきれいな指で、袋をもみもみ、なでなで。大切なところをお姉ちゃんに預けると、最初は緊張するかもしれないけど、心が落ち着いてくるの。遥が海沙お姉ちゃんのモノになってる感がして、心がほんわりしてくるよね。」

 そこまでしないとだめ?。

「遥も心の中では嫌じゃないでしょ?

 それに、遥にはもうちょっとしたらお嫁さんをを孕ませてもらわないとね。元気で育てやすい子になるよう、私がお嫁さんと赤ちゃんを選んであげるからね。」

 え?

「そして、本当はお姉ちゃんスプレーやるといいのかもしれないけど、私みたいな乙女には絶対無理。遥も絶対に想像しちゃダメ。私のそんな恥ずかしい姿なんて遥の頭にあっちゃいけないの。」

 スプレーって、何?

「遥? さっきの一言は忘れなさい。海沙お姉ちゃんの命令です。

 ナース服で興奮した遥を落ち着けるためにスポーツドリンクを口移しで飲ませて脱水症状をなくす。保冷剤の場所が動くと困るから遥は体を動かしちゃダメだよ。動いたら動けないよう縛り上げないといけないけど、さすがの遥でも調子悪い時に縛られたくないでしょ?」

 縛られるのは嫌だな。

「そしたら、ちょっと目を閉じて休みたいだろうから、アイマスクの代わりに海沙お姉ちゃんのブラを目の上に置いて少し寝てもらうんだ。私が白のナース服を半分脱いで、ブラを外して、またナース服を着直すところを見て、遥はちょっと元気がでてくる。遥の目の上には、脱ぎたてほかほかの優しいピンク色のブラ。ピンク色のブラとピンク色のナース服に包まれた遥は美味しそうだけど、元気になるまで我慢しないと。」

 余計、興奮して休めないと思う……。だって、海沙お姉ちゃんはノーブラなんでしょ?

「私は寝息を立てている遥のすぐ近くで何かをしてるんだけど、やはり、保冷剤がずれてないか心配になるんだよね。だから何度かナース服の裾のボタンを外して確認しないといけないんだ。睡眠薬を盛られて無抵抗に寝ている子を陵辱している感じがして、お姉ちゃん興奮しちゃうけど、これは治療だからまじめにやらないと。

 そして保冷剤の位置をなおして、ついでに袋をもみもみして温度を下げる。ちょっと股を開いているから、簡単にもめるのよね。口で楽しむのは、ぐっと我慢。

 回復してきた遥が目を覚ますと、私はすぐ駆けつけるんだ。起き上がろうとする遥の後ろに私の体をいれて、海沙お姉ちゃんの形のいいおっぱいに、遥の横向きの頭が当たるようにするんだ。『お姉ちゃん、心配だったんだよ?』と言いながら、スポーツドリンクの入ったコップを渡すんだ。こぼさないように私は手を添える。遥の手の上に私の手が重なるんだよね。」

 海沙お姉ちゃんの割に普通すぎる?

「遥? 私を変態扱いしないでよね。

 そして、私が『お腹すいただろうから、簡単なもの用意するね』と台所にいくと、遥は調子に乗り出すんだよね。私のブラと置いてあったティッシュの箱を見た遥は男の子らしいことを始めちゃう。ナース服を着ている自分にも興奮しちゃうのかな? そして丁度終わったあたりに私が戻ってきて、『無理しちゃダメでしょ!』と遥を抱きしめながら叱るの。

 こっちのほうがいい話でしょ?」

 すごく興奮すると思う。海沙お姉ちゃんは変態ではない、には同意できないけど。

 でも、やっぱり俺はピンクのナース服を着ているの?

「姉の私が言うのもなんだけど、絶対に似合うって。頬を染めて恥じらう遥って、思わず抱きしめたくなるくらい可憐でかわいいんだから。清楚な感じのピンクのナース服と組み合わせるとすごい破壊力だよ。お姉ちゃん、よだれが止まらなくなっちゃう。

 遥の絵がうまかったらエロ漫画描かせてお金を少し稼がせてあげようと思うけど、遥は絵が下手だから残念。」

 悪かったな。


 ◆ ◆ ◆


「どうだった、小郡? 俺もこのクオリティの本探すのに苦労したんだぜ?」

「絵はいいんだけど話が無難すぎる気がする。」

 海沙お姉ちゃんバージョンを聞かされるとエロ本の設定が味気なく感じてしまう。ド変態な海沙お姉ちゃんのエロ妄想で興奮するようになった俺は真人間に戻れないだろう。

「うわぁーっ。小郡は手厳しいな。」

「マエストロ小郡を納得させるのは一苦労みたいですね。だけど! マエストロが認めた逸品は、確実に殿堂入りですよ。」

「そうか。万人受けしそうなものではなく、もっとガツンとした物を探してくるか。

 小郡、どこで鍛えられた? まさか年上の彼女が既にいるとか?」

「マエストロならありえますなあ。」

「夏の間に彼女といちゃいちゃべたべた。

 くぅーっ! 羨ましいぜ。」

「だから、彼女なんていないって。いつも言ってるだろ?」

 そう。俺には人間の彼女はいない。神様のお姉ちゃん彼女はいるけど他人にはわかってもらえない。海沙お姉ちゃんとの年齢差? 考えるだけで殺気を感じるので、考えないようにしている。あくまでも姉で恋人だ。それ以上深く考えてはいけない。


 ふと思ったけど、遠藤と樺山って、どうやってエロ漫画を楽しんでるんだろう?

 登場する男の子に自分を重ねるの? それとも、何か違う想像をするのかな?

 目を閉じて女性の姿と興奮するシチュエーションを瞼の裏に浮かべるの?

 それとも漫画の気に入ったページの女性を見てそれに欲情するだけ?


 普通の人の常識がわからないよ。ねえ、みんな、どうしてるの?

 少なくても海沙お姉ちゃんみたいな神様を相手にするわけじゃないよね。

 だからといって今更聞く訳にはいかない。こっちの事情は言えないし。


 まあ、わからなくてもいいか。

 俺には海沙お姉ちゃんがいる。

 それで別にいいじゃないか。


 ◆ ◆ ◆


 学校から帰る途中、スーパーに寄って、今日の夕飯の食材を買う。

「そろそろサンマの季節だね。」

 北海道産の新サンマが出てる。目が澄んでて口が黄色いほうがいいんだっけ。新鮮そうだから今日の夜はサンマにしよう。新鮮なサンマはやっぱり塩焼きが一番だ。

「ひとつ右! そっちのほうが大きそう!」

 これ?

「やっぱりそれかな? お腹もきれいだし、ふっくらしておいしそうでしょ。」

 スーパーで食料品を選ぶ時は海沙お姉ちゃんが一緒に選んでくれる。

 大根は半分に切ってあるほうがいいかな? 上と下だったら上だよね。

「何で上なんだっけ?」

 下はおろすと辛みがでるからだよね。

「正解。」

 所帯じみてる。この上なく所帯じみている。

「ティッシュペーパーはここで買っちゃだめ。あっちのドラッグストアのほうが断然安いから。」

 なぜか安売りの情報をばっちり把握しているみたいだ。俺より詳しいからには神様ルートで情報を仕入れているのだろうな。

「なにか言うことがあるんじゃない、遥?」

 ありがとう、海沙お姉ちゃん。安く済んで助かるよ。

「どういたしまして。」

 買い物が終わるとスーパーの袋……ではなくマイバッグに入れて持ち帰る。このマイバッグというのも所帯じみている。

「だって毎回レジ袋代払うのも馬鹿らしいじゃない。」

 もっともだ。

 帰り道にも海沙お姉ちゃんとの会話は弾む。

「私達二人だけで住んでるなら家の中ではリラックスした格好がしたいよね。」

 まあ、そうだね。くつろげる格好のほうが楽だね。

「さすがに全裸というのは白けるけど、下着が透けてるほうがドキドキしない?」

 家の中で全裸!?

「むしろ下着だけでもいいんだぞ? 遥が私を見るたびに興奮するんだろうな。お姉ちゃんは私を見てドキドキする遥を見るのが楽しみなんだから。

 透けて見えるくらいだったら遥にも想像できるかな。町中にもいるでしょ、そういう露出が多い子。それか、うーんと短いスカートで簡単に下着が見えちゃうとか。あとは、ちょっと裾が長めのシャツをワンピースみたいに着るの。裸ワイシャツとか、聞いたことあるでしょ? 裸エプロンには萌えないけど、超ミニスカにエプロンで洗い物をしている後姿に萌える人もいるらしいよ。隣を通るときにはスカートめくりするんだ。

 遥はどう思う? 家の中では外では無理な格好を見たいでしょ? それとも、恥ずかしくて無理! なんて一生彼女できなさそうな純情ボーイだったりする?」

 見たい。海沙お姉ちゃんは足がきれいだからドキドキする。

「遥が正直でお姉ちゃん嬉しいぞ。」


 ◆ ◆ ◆


「ねえ、遥? 遥はどういうデートに憧れる?」

 帰り道のバカ話はまだ続く。話している内容が内容なので周囲の人に変な顔を見られないようにするのが一苦労だ。

「いい? 私は遥のお姉ちゃんでもあり、彼女でもあるの。遥は彼女とどんなデートしたいか、考えておくべきです。」

 言われてみたらあまり思いつかない。

 むしろ、ずっと一緒にいるんだから、急にデートと言われても困ってしまうよ。

 花火デートはいろいろ考えたばかりだけど。

「遥はしっかりした女性にべたべたに愛されることで初めて幸せを感じるタイプだから、彼女のデートプランに従うだけでもいいのだろうけど、たまには自分でも希望を考えておくべきです。」

 やっぱり、いちゃつきたい。

「欲望に忠実なのは遥のいいところだね。

 激甘な感じでいちゃつけるデートがいいのね?」

 それって変?

「私的には甘ければ甘いほうがいいけどね。

 そうだね、せっかくだから人混みに紛れちゃおうか。」

 え?

「遥を知っている人が誰もいない場所なら後で噂になる心配はないからね。大勢の人がいる中だとわざわざ遥に注目する人もいないだろうし、人前でいちゃつくのは盛り上がるよね。」

 恥ずかしいよ。

「多くの人が、信号がいつ変わるのかな、と信号機に注目しているところで、いきなり遥の耳をペロってなめて、びっくりする遥を鑑賞する、なんていいよね。遥の首筋とかお尻とか撫でるのも楽しいだろうな。」

 えー。

「そして振り返る遥の唇に、お姉ちゃんは唇を重ねるの。

『海沙お姉ちゃん、やめてよ。』

 遥は形ばかりの抵抗をするだけど、遥がふらふらになるまでやめないんだからね。」

 海沙お姉ちゃんって何でそんなに意地悪なの?

「意地悪? 失礼ねえ。

 やろうと思ったらもっと酷いことできるけど、私は遥に嫌われたくない。だから、口では嫌がっていても、本当は喜んでるなら遠慮なくいかせてもらうから。前にも言ったと思うけど、私は神様なんだから、遥は私に隠し事をすることはできないんだからね。ごまかしても無駄。

 それに私にかわいがってもらっている間、遥は私のことしか頭に入らなくなるでしょ? そして身も心も私に委ねて甘えてくるでしょ? 私はそんな遥が大好きなの。」

 愛されたいからいっぱい甘えるね。

「そうね、遥と出歩くときはずっと遥に触れていたいんだよね。

 手を繋いでいれば満足、なんてことは当然だけどありえないよ?

 抱き寄せたり、腕を絡めたり、頭を撫でたり、愛情表現を欠かさないようにするんだ。

 遥もたまには私のお尻を撫でなさいよね?」

 いいの?

「撫でなさい。遥が私を求めていることをちゃんと態度で示しなさい。

 そして、私が遥をかわいがりすぎたせいで遥の頭がぼーっとしてきて一休みするときは、私はもっと遥にくっついて甘えさせてあげる。飲み物を飲むときは、もちろん飲み物は一つ、ストローも一つ。遥は私のものだから私と同じストローを使うのは当然だよね。同じストローで交代で飲むの。口移しでもいいんだよ?

 遥は抱かれたら抱かれるほど、愛されれば愛されるほど私のことが好きになっていくから、遠慮することはないよね。だから、いちゃいちゃするのを楽しむために、一人一つ注文しないといけない場所はできれば避けたい。」

 海沙お姉ちゃん?

「遥も私に言ってみて? 『海沙お姉ちゃんの恋人弟の遥は、身も心も海沙お姉ちゃんのモノです』、って。」

 遥は身も心も海沙お姉ちゃんのモノです。

「遥? わざとセリフ抜かしてるでしょ?

 じゃあ、これは言える? 『遥は海沙お姉ちゃんに抱かれるのが一番の幸せです。』」

 遥は海沙お姉ちゃんに抱かれるのが一番の幸せです。

「遥、やればできるじゃない。素直に自分の気持ちを海沙お姉ちゃんに伝えると、心が軽くなって、もっともっと私に愛されたくなるからね?」

 海沙お姉ちゃん、大好き。

「そうそう。素直な遥ってすごいかわいいんだから。お姉ちゃん大喜びだよ?」

 ありがとう、海沙お姉ちゃん。


 ◆ ◆ ◆


 今日は海沙お姉ちゃんといっぱい話ができた。

 さて、布団に入るか。


「今夜は仲良く家でいちゃつくカップルっぽいことを楽しみたいけど、いいよね?」

 もちろん。

 あれ? 今日は声だけ?

「いつもよりちょっと過激にいきたいから、遥は途中から目隠しをした設定でお願いね。

 私の姿を想像すると脳に少し負荷がかかるでしょ? その余裕がもったいないから。

 あと、ティッシュ箱の場所、頭に入ってる?」

 海沙お姉ちゃん、なんか言ってることが怖いよ?

「いいじゃない。遥に痛い思いをさせるわけじゃないんだし。

 遥が大好きな彼女、まあ、私かな? 一緒に家にいることを想像してね。

 夜ご飯を食べて、二人ともゆったりとした服を着てくつろいでる。

『おいで?』

 彼女の私が彼氏の遥に隣に座るよう呼び寄せるの。

 遥、当然、近寄るよね?」

 うん。もちろん。

「そうしたら私は遥に目隠しをする。

 遥は少しは抵抗するけど、

『海沙お姉ちゃんにかわいがってほしいんでしょ?』

 そう言われたら黙ってしまう。」

 だよね。

「そして私は遥のズボンの後ろからパンツの中に手を差し入れる。

 遥はびっくりしちゃうよね?」

 もちろん。

「大好きな海沙お姉ちゃんに触られてるから嬉しいでしょ?」

 うん。

「目隠しされてるから、この後どんなことされるのかわからなくて、ドキドキするよね。」

 うん。

「遥は自分を触っている女の子が大好きだからドキドキしてくるんだよ?」

 うん。

「えっちな彼女は、遥のおしりの割れ目のまんなかを、親指と中指で、くぱあっ、と広げちゃうんだ。

 ほら、遥? 自分のお尻を自分で広げて感触を確かめなさい。」


 ひゃっ。

 くぱあっ、とお尻を自分で広げると妙に涼しい感じがする。

「これだといまいちかな。片側を親指、もう片側は中指と薬指の二本で広げて。」

 くぱあっ。

 ひゃっ。

「そして、広げたお尻の間。お尻の穴のところを人差し指でトントンって軽く叩きなさい。」

 え、無理。

 恥ずかしいよ。

「遥? 寝る前にちゃんとお風呂入ったよね?

 汚くないからやりなさい。」


 汗でぬちょっとしたお尻の穴が変な感じ。

「いい? 女の子は大好きな男の子に抱かれる前は毎回こんな気持ちなの。

 すごく恥ずかしいけど好きな人を喜ばせたいから頑張るの。

 好きな人相手だったら、嫌じゃなくて、むしろ気持ちいいでしょ?

 この後お互いに気持ちよくなることを期待して嬉しくなっちゃう。

 こうやって体をこじあけられるのが心をこじあけられている感じと繋がって、もっといっぱい、好きな人を受け入れたい気持ちになるんだ。」

 すごいドキドキする。

「遥が大好きな女の子は、遥のお腹の前に枕かクッションを置いて、遥がその枕を抱えるように軽く自分のリボンで遥の両手首を結ぶんだ。

 もちろん、遥は簡単に抵抗できるけど、しないよね?」

 うん。

「何で?」

 海沙お姉ちゃんが好きだから。

「そう。その通り。

 そして、女の子は遥のシャツを上にめくりあげて、柔らかいものを背中に当てるんだ。

 何だと思う?」

 海沙お姉ちゃんのおっぱい。

「正解。最初はブラの上から押し当てるんだけど、いつのまにか、柔らかさは同じだけどブラの感覚がなくなっちゃうんだよ。」

 興奮が止まらなくなる。

「一緒に過ごしている彼女の下着を把握するのは彼氏の礼儀だからね。

 彼女が着替えるときは、横で見ていて必ず彼女の体を褒めること。

『かわいいね。』

『今日もきれいだね。』

『その下着、似合うよ。』

 そういうこと言われて嫌がる女の子は彼女失格だから。一緒に住んでいるなら下着を一緒に選ぶのもありだよね。

 あと、自分の部屋に彼女が来たら、キスするついでにでも彼女の下着、少なくてもブラをチェックすること。最初は難しくても彼女との関係が深まるとわざわざ見せてくれたりするからね。

 だって、外で一緒に歩いている時に、彼氏が自分の下着姿を想像して、自分に興奮して、求めてくれている。こんな嬉しいことなんてあまりないよね?」

 うん。

「女の子はデートのときにかわいらしい下着をつけてくれることが多いから、その努力を無駄にしちゃダメだよ?」

 うん。

「で、今は私に何色の下着をつけていて欲しい?

 白? ピンク? 青? 紫?」

 薄い青、水色が似合いそう。

「そうやって遥が大好きな水色のブラをつけた私が、遥の背中におっぱいを押しあてたり、頬をすりすりしながら、たまにお尻の割れ目を開いてお尻の穴を指で叩くの。

 気持ちいいでしょ?」

 うん。

「遥の息がさっきよりも荒くなってるよ。

 そして遥を気持よくしている海沙お姉ちゃんにお礼を言わなきゃね。

 やめて、とか、嫌だ、なんて心にもないこと言うような遥じゃないよね。」

 海沙お姉ちゃん、ありがとう。

「他にも、『好き』とか、『もっと抱いて』とか、『気持ちいい』といった、素直な気持ちを声に出すんだよ?」

 海沙お姉ちゃん、大好き。

「そんな感じ。

 そしたら我慢できなくなった彼女が遥を押し倒してくるだろうから、ちゃんと抱かれてあげなさい。」

 うん。

「かわいい彼女が遥のお尻の穴を求めてきたら、ちゃんと差し出すこと。」

 え?

「遥の体を味わいたいから求めてくるんだよ。」

 そうなの?

「興奮した彼女を喜ばせてあげるのが遥の役目。」

 うん。

「もちろん遥も気持ちよくなっていいんだけど、彼女が好き、抱かれて気持ちいい、そういったことを口に出してアピールするんだよ?」

 うん。

「残念ながら私は肉体がないけど、枕を私だと思いながら抱いて、私への強い感情を頭いっぱいにしながら自分で処理して寝てね。

 海沙お姉ちゃん大好きだよ、って何回も、何回も考えながら。」

 うん。

「明日は下着のネット通販を見ながら私にどんな下着が似合うのかを考えようね?」

 うん。

「遥とお揃いでもいいんだよ?」

 うん。

「おやすみ、遥。」

 おやすみ、大好きな海沙お姉ちゃん。

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