さあ、ネバーギブアップだ

私は今日という一日を生きてみて、如何にこの世に不幸が蔓延しているかを思い知った。


隣人の何気ない笑い声すら、殺意が湧く瞬間と言うのもあるのだ。

なら、私は何度殺されたことだろう。何度人の気持ちを無視したことだろう。

ツイッターにて無謀な試みを始め、如何に父母に心配をかけ、且つ怒られることをしているか自覚している。


が、もう大人なのだ。自分の体、自分でどうしようが構わないと思われている筈だ。

私は然らば、死んでしまうことすら検討しなくてはいけない立場になったのだ。

それもやむを得ないだろう。


家族を助けてくれるなら、山中にて孤独死だってして見せる。きっとして見せる。


しかし、そんなものでは人は救えない。隣人は笑わせられないのだ。


本当の笑いが必要だ。それには皆の協力がいる。

悲劇ばかり求めるな。しっかりしろ、元気を出せ。

私はこの通り、元気でいるから心配するな。いい加減、目を覚ませ。

たかが一人の精神疾患者のために、何故そうも時間も労力も割いているのだ。どうかしているぞ。


ちょいとそこのお兄さん、遊んでくれるわけでもないのに、何してんのさと私はジーパンでかっこつけた。

彼はぽりぽり頭掻いて、いやな、お前があんまり生意気だから、とのたまい、だからなんだってのさ、救急車まで持ってきちゃって、何がしたいのさ、帰った帰った!と私は手土産につまみを持たせてやった。

彼は、はあ、と言ってしばし袋を見つめ、酒でも買うかな、と言って救急車の寝台に寝転がり、あんたも好きにしろよ、と言ったので、私はそこに座って愛犬を撫で、日向の中ぽかぽかと昼寝した。

救急車の寝台というのもなかなか乙なものだ。


なあ、何故に、邪魔するんだい、と聞いてみたら、彼はさあ、なんでなんだろうなあ、なんで俺はこんなことしてるんだろう、と手の平をじっと眺めていた。

あんたは、自分がなんで邪魔されんのか、自覚して動いてんのか?と聞かれ、知ってるさ、金儲けの話だろう、と答え、私は金なんか、いらないんだけどね、と言ってぺろっと舌を出した。


ただ、お日様の下、生きていたいだけさぁ、と答え、なんで私達は上手くいかないんだろうなあ、なんでだろうねえ、と話し合った。しみじみ話し合い、じゃまた、と明日からも続くこの滑稽な日常を胸に、お互い別れた。


どうして私達、こうなっちゃったんだろうなあ。

それは誰にも、最早説明できない。


ただ、一日が無事に終わり、犬が元気なことを喜んでばかりいる。

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てんと居住まい正しまして。 夏みかん @hiropon8n

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