揺らぐ想いー2ー


「透子ちゃーん!藤宮くん!」


あ・・・


「愛未!」


愛未が私達に声をかけてきた。


立夏いないんだ。


安心している私がいる。


「今日も仲良しだね、二人」


「たまたま会ったんだって!てか、立夏は?」


「生徒会の仕事で早く行ったんだ、学校。愛未は寝てたいからさぁ。先行かせちゃった」


「そ、そう」


「でも、立夏くんなんかおかしいんだよね」


「へ?」


「なんか、愛未といてもどこか上の空で。土曜にデートの途中からテンション低くて。昨日のLINEも素っ気なかったんだ」


「マジ?それ、ありえない!ちゃんと怒りな?愛未」


「でも、元気ない感じだからね。どうしたの?と聞いても大丈夫って返すだけで」


「愛未は甘いの。もっときつく言わなきゃ。仕方ない!私が言っておくよ、色々と」


「ありがとう!透子ちゃん」


二人が付き合ったのはきつかった。


だけど


やっぱり愛未は親友だから、立夏が傷つけてるって聞いたらほっとけない。


親友として親友の恋は応援しなきゃ。


例え自分が辛くても。


「おはー!」


「あ、ユキちゃん!おひさー!」


「おひさ!透子と愛未に会うのめっちゃ久々」


学校に着き、上履きに履き替えているとユキちゃんに会った。


藤宮くんとは一年生の昇降口の前で別れた。


「A組寄っていい?めっちゃ話聞いて欲しくてさぁ!」


「良いよ!」


どうしたんだろ?ユキちゃん。


「あたし、彼氏と別れた」


えっ?


教室に入るなり、しゅんとした表情で言ったユキちゃんの言葉に私と愛未は驚いた。


「あんな仲良かったのに!?合コンでもずっとイチャイチャしてたじゃん。ユキちゃん」


「うちの彼氏、モテるからね。浮気ですよ、浮気!」


「うわぁ、無いわー」


「浮気とかひどいね」


「一年生の女と。なんかね、あたしといると疲れるみたい。やっぱり一個とはいえ、年上だから気使うみたいで。自分がリードしなきゃとか気負いすぎてやんなったって。同級生のがやっぱり楽みたいだね、あいつ」


「最低!殴ってやりたい!」


「大丈夫だよ、透子。あたしがめっちゃボコってやったから」


「ユキちゃん強いねぇ!」


一個しか変わらなくてもやっぱり年上なんだよね、一年生から見たら。


「だから、透子も気をつけな?藤宮くんもモテるし」


「うっ・・・」


だけど


藤宮くんは初めて出会った時からずっと私が好きだと言っていた。


もし、藤宮くんの気持ちが変わったら?


きっと今迄みたいには話せなくなる。


嫌・・・だな。


「大丈夫かな・・・」


「愛未?」


愛未がいきなり泣き出す。


「り、立夏くんの気持ちが・・・変わってたらどうしよう。愛未、立夏くんに甘えてばっかでうざかったもん。嫌われたのかも」


ユキちゃんの話を聞いて愛未は不安になったらしい。


「大丈夫。大丈夫だよ!愛未!」


私は愛未を抱きしめる。


「透子・・・ちゃん」


「愛未みたいな可愛くて優しい子を嫌うはずないよ!私がちゃんと立夏に注意しとくよ。あいつ、女の扱いが下手なんだよ、きっと。私にもひどいし」


「ありがとう・・・透子ちゃん」


なんてお人好しなんだろうと思った。


でも


自分より大事な人が傷つく方が私は嫌なんだ。


例え愛未が立夏の彼女でも関係ない。


「透子は本当お人好しだね」


愛未がトイレに行っている間、ユキちゃんが私に言った。


「愛未は大事な友達だから。それに・・・」


「ん?」


「私、立夏の事は完全にもう良いの。私、藤宮くんをちゃんと好きになりたいんだ」


「え?」


「だから、全然立夏と愛未に別れろとかも思わないよ」


「そっか。透子、好きになってきてるんだ?藤宮くんの事」


「え?」


「前よりすっきりした顔してる」


少しずつ変われてきてるのかな?私。



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