第5話 揺らぐ想い

揺らぐ想いー1ー


まだドキドキしている。


藤宮くんに告白されるとは思わなかったから。


だけど


ーー月曜日。


あ・・・


学校へ向かう途中の道で前を歩く藤宮くんを見つけた。



「ふ、藤宮くん!」


私が呼ぶと、藤宮くんは振り向いた。


「お、おはよう!」


「おはようございます。透子先輩」


藤宮くんは一瞬驚いた顔をした。


「藤宮くん?」


「透子先輩には避けられると思ってました。告っちゃったし」


「そんな事しないよ!藤宮くんの気持ち、嬉しかったし」


「本当先輩はずるいです」


「へ?」


「俺、もう遠慮しないよ?」


「ふ、藤宮くんっ!」


「ね、先輩。顔を赤らめるって事はちょっとは俺の事を男として意識してるって事ですよね?」


「意識・・・してる」


「ふーん?じゃあ、俺もっと頑張らないと」


合コンで会った時よりもずっと意識してる。


初めて会った時の藤宮くんは小6で幼くて、ずっと瞳が震えていて、見ていて辛かった。


だけど


今の藤宮くんはよく笑うし、私をよく振り回す。


あの時は私が藤宮くんを引っ張っていたのにな。



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