その後輩、小悪魔ですよ。ー16ー


だけど


「透子せんぱーいっ!」


あっ!


私は名前を呼ばれ、振り向いた。


そこには笑顔で手を振りながら走って来る藤宮くんが。


「透子先輩、おはようございます!朝からお会いできて嬉しいです!」


藤宮くんはわんこのような瞳で言った。


やっぱり犬みたい。


「おはよ、藤宮くん」


「わわっ!透子ちゃん、藤宮くんと友達になったんだ?」


「う、うん。昨日、合コンで・・・」


「はじめまして!藤宮和樹です!よろしくお願いします!」


「よろしくね!やっぱり近くで見ると可愛いね、藤宮くん」


愛未が言う。


確かに今の藤宮くんはわんこみたいだ。


昨日、ちょいちょいあざとい感じがあった気がしたけど。


「久しぶりだな。藤宮。まさかお前も合コンにいたなんてな」


「はい。昨日、俺!透子先輩持ち帰ったんですよ」


藤宮くんは笑顔で立夏に言う。


「も、も、持ち帰った!?透子ちゃん、そうなの!?」


「合コン途中で離脱してお茶して帰っただけよ!」


もう!藤宮くんってば!


「お前、透子に遊び目的で近付いたりしたんじゃないだろうな?」


「まさか。俺は本気です。今、俺・・・透子先輩狙いなんです」


藤宮くんは笑顔のまま言う。


えぇっ!?


「ふ、藤宮くんって本当冗談が好きだよねー!」


何考えてるの、藤宮くん!!


だけど


「透子、こんな怪しい奴と関わるな。何か気に食わん」


立夏が私に言う。


すると


「透子先輩、藤堂先輩ひどいです。俺、透子先輩と純粋に仲良くしたいだけなのに」


藤宮くんは涙目で私に言う。


「立夏!後輩にそんな言い方しちゃだめだよ!」


「透子、騙されてんだよ!お前は」


「あーあ、うざいな。藤堂先輩ってずるいな」


藤宮くん・・・?


今、黒い声が聞こえたような。


「立夏くん、藤宮くんかわいそうだよ!」


「ま、愛未まで!今、泣いたふりしてにやっと笑ってたぞ?このガキ」


「立夏、やめて。藤宮くんは立夏が怖いんだよ」


苦手って言ってたし。


「透子・・・。」


「い、行こ!藤宮くん」


「あ、透子ちゃん!」


「愛未、また後で!」


私は藤宮くんの手を引き歩き出した。


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