第1羽 たまご
夢見るたまごは転がっていく。
たまごには手足がない。ばたばたとばたつかせることもできずに転がり転がされ割れそうになりながら、割られそうになりながら必死に守っていく。薄い人も厚い人も足が出かけている人も、いびつな人も、殻にこもる人も様々。
看護師になりたい、そう思っている人には理由がある。理由のない人でもある程度漠然とお金が欲しいからとか、社会に貢献したいからとか親戚がやっているからといった理由がある。
明確な理由がある人、ずっと将来の夢だった人もけっこういる。または社会人を経験してから看護師を目指す人。子どももいれば結婚している、家族の介護をしている人もいる。年齢も性別もバラバラ。男女比はもちろん女子が多いけれど男子もいる。そんな人たちが集まって勉強する学校。大学、短期大学、看護学校、准看護学校、とあるがわたしの知っている3年の看護学校は悪魔を作る地獄の工場だ。
夢見るたまご
ゴロゴロと転がるしかできないのに、乱暴に殻を叩かれる。早くでてきなさい。腹を決めなさい。急かされながらいろんなことを学んでいく。詰め込まれてパンパンになった頃についに地獄の実習が始まるのだ。
夢見るたまごはたいていこの辺りで一度夢をやめる。
実習、記録、指導者、リーダー、カンファレンス、先生、などなど、いろんな単語に怯える日々が始まる。
今日の言葉
物の気持ちになって扱いなさい
具体的に説明しないことは不親切です
あなたが遅いだけです
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます