ホワイトデビル
新吉
プロローグ 白衣の天使を探せ
悪魔だって袖を通せる白衣。
もちろん白衣の天使だっている。
きっとどこかに。
「今日の夜誰なの?」
こっそり聞いてくる患者さんもいる。
「声大きすぎるんだよね、あと足音うるさくって」
不満たらたらで師長に訴える人もいる。
「痩せろって言われたの」
涙ながらに打ち明ける人もいる。
確かにはっきりした物言いの方で嫌われることも多いけど、好きな人もいる。いつも面白いことを言っては笑わせてくれる、そんな人でも時と場合とところによってはこんなに非難が集中してしまう。もちろん最後のはひどいけど。
今は白衣といっても白だけだなく薄いピンクや水色もある。ラインの入ったものや医療ドラマなんかでよく見るかっこいいデザインのものもある。病院によってはカーディガンの色の指定もある。ピアスは片方だけのシンプルなもの、ソックスは白のみなどのルールがある。
髪色もある程度定められている。長さもところによってポニーテールはダメだったりする。お団子や派手ではない髪飾りでまとめる。編み込む人もいるし、ベリーショートにボブの人、真っ黒からマックスの明るさの人まで。
看護雑誌や看護サイト、または普通の雑貨屋で自分のお気に入りの文房具やペンライトを購入する。仕事の機能効率化、やる気アップの方法でもある。持ち物も様々で色を統一する人もいる。わたしはもっぱら100均かコンビニだけど。
みんな個性があふれてる。白衣の下や上に色を重ねて表現している。私服やメイクも人それぞれ、バッチリしてくる人もいればラフな感じの人もいる。夜勤明けや連休前の人は仕事終わりにソワソワと旅行の出発の準備を整えていることもある。
今では白衣の悪魔はカラフルな悪魔となってひそんでいる。中には天使がいるかもしれない。水色かもしれないし、ピンクかもしれない。または黒い天使もいるかもしれないのだ。
今日の言葉
容姿の乱れは心の乱れ
見た目で判断してはいけません
先入観を捨てなさい
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