第343話 スヴァローグ攻略 ⑧討伐完了

鬼たちのいる里


その入り口であり、死の入り口とも言われてきた溶岩エリアの59層へとつながる階段の前


そこには多くの武装した者たちが待機しており、騒然とした空気に包まれていた。


誰もが緊張、困惑、恐怖、そして怒りの感情をとある対象へと向けている。


角はなく、四肢を切り落とされ地面に転がされる巨体の雄牛


かつてこの里にいる者たちや、そして里に迷い込んだ学生だった者たちに圧倒的な恐怖を刻んだ炎の化身が今、レージングの鎖によって階段を引きずられながら降りてきて、その姿をさらしている。


今も毛皮が燃えて地面の草花を地面ごと焦がしているが、その目には覇気もない。



「里の皆さん、この牛こそ、あなたたちをこの地下に閉じ込め続けた元凶!


かつてあなたたちの多くの仲間を奪った、スヴァローグだ!!」



そしてそんなスヴァローグを前に立ち、多くの集まった者たちに向けてそう叫ぶ鬼龍院蓮山


そしてその傍らにはスヴァローグを拘束しているレージングをもってここまで引きずってきた谷川大樹も従者のように傍らに立つ。



「……ね、ねぇ……」


「はい、どうしました?」



恐る恐るといった様子で少し離れた場所で蓮山の妹である麗奈に話しかけたのは、スヴァローグをテイムし、強制的におとなしくさせている稲生薺いなせなずなである。



「なんか、蓮山くんの雰囲気……おかしくない?」


「そうですか……いつも通りだと思いますが……どのあたりが?」


「なんか、こう……殺気立っているというか……」


「まぁ、スヴァローグがいるのだからそれは仕方ないのでは?」


「そう、なの……?」



いまいち嚙み合っているような噛み合ってないような、奥歯に物が挟まるような違和感を覚えるナズナ



「今、この牛は完全に力を奪われている!


しかし、いまだに地上に出られないのはこの牛がいるからだ!


この牛が生きている限りは、あなたたちはここから出られない。


かつて、この里に迷い込んだ先輩たちは、家族が待つ地上へと変えられない!


この里で生まれ育った鬼たちは、一生太陽を見ることができない!


だからこそ、俺は、あなたたちにこいつを裁く権利を預けようと思う!」



そう言いながら蓮山が手を軽く振ると、コブシ大くらいの石がいくつか出来上がって山のように積み上がる。



「ムラオサ」


「……あ、ああ」



急に指名され驚いた様子だった鬼たちの代表であるムラオサは蓮山に呼ばれ一歩前に出る。



「剛さん」


「なん、だ……?」



同じく名を呼ばれ、この階層に一行が来た時に案内してくれた遭難者である剛も戸惑いながら返事をする。



「あなたたちはどうしたい?」



蓮山のその問に、二人ともすぐには答えられなかった。


なぜなら、状況が理解を遠く離れたものだったからだ。


スヴァローグに敗北してから今までずっと、ただただその存在を忘却していたのに、つい先日に急にこちらに攻めてきて里を焼き尽くすとまで言われていたはずだったのだ。


それが今、ダルマのような状態で力なく拘束されて地面に横たわっている。


があのスヴァローグなのかと、かつて挑んだ時の姿とは似ても似つかないその様子に、ただただ戸惑いの気持ちしか浮かばない。



「少し待つ。それで何もしないというのなら、俺たちの手ですぐに処理する」



そう言いながら蓮山が横によけ、合わせて大樹も拘束を緩めないまま、スヴァローグから離れた位置に移動した。


二人はただ黙ってスヴァローグを見据え、多くの者たちがそれを見守っていた。



「…………――」



その時、誰かが何かをつぶやいた。


普通なら聞こえないような、そんな声。


だが、静まり返った今、その声は多くの耳に届く。



「……ああ……そうだ……返せ」

「……返せ、返せ」

「返せよ……俺たちの時間を……!」

「お兄ちゃんを……!」

「あの人を……!!」



学生たちが、鬼たちが、スヴァローグに奪われた怨嗟を徐々に言葉にし始める。



「――返せ」



誰かが、石を投げる。



『――BUO』



それがスヴァローグに当たると反射的に小さく鳴く。


そしてそれが切っ掛けだったのか、今まで溜まっていた感情が、火薬のように爆発した。



「――ふざけんなよ、この野郎!!」

「――お前のせいで、お前なんかのせいで!!」

「――死ね、死ね、死ね!! 死ねよほんとによぉ!!!!」

「――父ちゃんを返せ、返せってば!!!!」



我先にと石を握り、それが叶わなかったものも構うものかとその場の地面の土を掴んでスヴァローグに投げるつける。



『BO――……GU――……!』



スヴァローグにとって、いくら弱っているといっても、単なる石を投げられた程度ではダメージになどはなりはしない。


しかし、今スヴァローグの体内には溶けて混ざった鬼形・丑裂の怨念が今もあり、それが今、周囲の怨嗟の声に反応して強まっている。



『――や、め』



その苦しみから、人の言葉を発しようとする。


だが、もほやそんなものは聞こえない怒号の渦の中にその声は消えていく。


ただひたすらに石を、罵声を、その場にいる多くの者たちがスヴァローグに向けてぶつけ続けていくのだ。



「さぁ、石ならいくらでもある。


思う存分、その怒りをぶつけろ」



そしてその事態を作り出した蓮山は場を諫めるどころか、火に油を注ぐがごとくに石を作り続ける。



「ちょっと……これ、止めた方がいいんじゃ……」



あまりにも凄惨な光景にナズナが再び麗奈に尋ねる。



「なぜですか?」


「え、だって……これ……」


「今までさんざんこの里の人たちを苦しめた存在なのですから、これくらいは当然のことじゃないですか」



そう言って、さも当然のように麗奈も近くに転がってきた石を拾い上げ、投げる。



「麗奈……?」


「どうしました? ほら、早くナズナさんも」



石を差し出してくる麗奈に、明確な違和感を覚え、思わず恐怖から首を横に振ると「そうですか」と麗奈は興味を無くしたかのようにスヴァローグに石を投げる輪の中混ざってしまう。



明らかに普段よりも様子のおかしい麗奈の様子に戸惑いながら周囲を見回すと、この状況の中で戸惑いを見せている者たちがほかにいた。


榎並英里佳、三上枝織、日暮戒斗、そして萩原渉


共通点は……現時点で歌丸との特性共有ジョイントを発動している者たちだった。



「あ、あのこれってもしかしてなんだけど……!」


「……たぶん、考えてる通りだと思うわ……萩原はどう思う?」



詩織からの問いに、渉は頭を掻きながら顔をしかめる。



「……あー……間違いない、スヴァローグに対する精神汚染の余波が漏れて周囲にも影響を与えてるんだ。


俺も鬼形を使ってた時はあっち側だったからな……鬼形が手元を離れた今は歌丸のスキルのおかげで正気を保っているわけだし……その保護がないなら、なぁ……」


「というか前の鬼形の時点で萩原は歌丸のスキルを突破されて精神汚染受けてたわけっスからねぇ……その影響力は俺らの想像を超えてたわけっスか」


「……どうする? 正直止めるメリットよりデメリットの方が大きいけど」



鬼形の影響力を再確認してドン引きする渉と戒斗をよそに、英里佳は淡々と険しい形相で石を投げ続ける鬼たちと、それを一身に受けて身をよじらせるスヴァローグを見る。



「そう、よね……今さら無理に止められないというか……スヴァローグへの恨みの深さは私たちが推し量れる訳じゃないし……」


「でも……これ、その……あまり良くないと思うんだけ、ど……」


「そりゃわかるわよ……けど、実際問題、これを止めるのってどうするの?


言葉で止まる段階なんて過ぎてるし……かといって力づくで止めたら反感を買うわ。


まさか、スヴァローグなんかのためにこの里の人たちを敵に回してもいいってわけでもないでしょ、ナズナも」


「それは、そうなんだけど……」



そう、スヴァローグが今までこの里の者たちにやってきた所業を考えれば、自業自得というか……これは当然の報いという認識の域を出ない。


蓮山がこの状況を作るように仕向けた節はあるものの、何もしなかったとしてもこれに近い状況になっていた可能性はあるし……なんだったら、その時のスヴァローグが監視下にない状況で暴走したほうが被害が出る危険もある。


そういう広い視野で見た場合、この場で早期に恨みつらみを発散させる場を作る方が後々のことを考慮すれば合理的ともいえるのだ。


だがそれでも……



「こういうのは……あんまり、良くないって……思う」



そう思いながら、スヴァローグに石を投げる者たちを見た時だ。


その中の輪に、小さな影が混ざろうとしているのに気づいた。


まだ善悪の分別もついていないような幼い鬼や人間の子供だ。


どちらもちょっとくたびれたボロの着流しを来た幼い子供。この里で生まれ育ったのだとすぐにわかる。


そんな子供たちが、誰に言われるでもなく近くにあった石を拾った。


この子供たちはスヴァローグの所業を理解していない。


ただ、周りの大人たちが、父が、母が、兄が、姉が、ただそうしているから。


この子たちも、ただそれだけでスヴァローグに石を投げようとしているのだ。



「――待っ」



それは良くない。


そう思ってナズナは止めようとしたが、明らかに間に合わない。


小さな手で石を振りかぶり、投げようとする。



「――はい、ストップ」



そんな二つの小さな手を、後ろからやさしく、しかししっかりと掴んで止める者がいた。



範囲共有ワンフォーオール 意識覚醒アウェアー



その場にいた多くの者たちが、その瞬間に我に返って動きを止めた。



「あの、なんか騒いでるみたいですけどこれだけ言わせてください」



子供たちの手からやさしく石を取り除き、人のいない場所に投げてから、ポンポンと頭を軽く撫でてやる。


そして彼――歌丸連理は、周囲にいる大人たちを睨む。



「子供の教育に悪いでしょうが」






寝起きから時間が経って頭も回ってきたけど、いまいち状況がつかめない歌丸連理です。


なんかスヴァローグが倒されるから全員集合とかいう伝令が聞こえ、ちょっと無理を承知で日下部姉妹に肩を貸してもらいながらやってきたら、見る影もない瀕死のスヴァローグに石を投げる人たちが見えた。


ちなみに最初は千早妃が肩を貸してくれたが、すぐにばてたのである。



「おい鬼龍院、これどういうことだよ?」



僕がそう訊ねると、なんか額に手を当てつつ、苦虫を嚙み潰したような表情をする鬼龍院



「……どうもこうも、この牛に対する正当な刑罰の執行中だ」


「そうは見えなかったし……お前もそうは思ってないように見えるぞ」


「お陰様でな……クソが」



なんかすげー舌打ちするじゃん……でもなんか僕に対してって感じじゃない気がするな……



「……で、お前はどうなんだ?


わざわざ起きてここまで来て、この牛に仕返しでもするのか?」



「あー……」



縛られ、土や泥にまみれたみすぼらしいスヴァローグ


最初に見た神々しさなど、もうそこには何にもない。



「……正直、いろいろと思うところはあったんだけど、そいつの今の姿を見たらやる気が無くなった。


というか、もうどうでもいいよ」



僕はちょっとふらつく足を引きずって、鬼龍院から視線を外して周囲の大人たちを見る。



「僕は結局、そいつとの戦いに間に合わなかったわけなので、偉そうなことを言える立場なんかじゃまったくありません。


それに、あなたたち全員が、この牛に苦しめられたことは知ってます。


だから、あなたたちがやったを咎める権利はないし、何より僕も正当なものだとは思う。


けど……それって、この子たちが見てる前でやらなきゃいけないことだとは僕には思えません」



明らかにまだ善悪の分別もついてない子供だ。


よく知りもしない僕なんかに頭を撫でられてうれしそうにしてる、そんな無垢な子供たちだ。



「何も知らない子供たちの前で、そうやって石を投げつけることが正しいって思うなら、それがこの里の教育だっていうなら、僕はもう止めません。


でも……ほんの少しでも皆さんが僕と同じようにこの子たちにそういう姿を見てほしくないって思うなら、やめてほしいです」



僕はもう一度改めて大人たちを見回してから、頭を下げる。



「親が、家族がこんな弱いものイジメする姿を、子たちには見せないでください。お願いします」





歌丸連理の言葉を受け、憎悪の炎は一気に鎮火した。


涙を流すもの、表情を消したもの、反応は様々だったが……どこか付き物が落ちているように見える。


子供を連れている大人たちは里の方へと帰っていき、この場にいるのは大人のみとなった。



「……なんな不完全燃焼っぽい空気になっちゃったけど……僕、余計な事した……?」



不安げに詩織にそんなことを尋ねる連理


顔色が悪いのは、きっとずっと寝たきりだったこもあるが、それだけではないのだろう。



「いえ、問題ないわ。


あのまま放置し続ける方が問題起きたでしょうし……」



何ともしまらないなと思いつつ、詩織は歌丸がこの場に来てくれたことに安堵を覚える。


今回、歌丸連理という存在は直接的にスヴァローグ討伐に関わらなかったかもしれないがやはり彼がいるといないとでは状況の安定感は違うのだと肌で実感したのだ。


もっとも、当の本人はそんなことまったく理解していないのだろうが。


まぁ、それと同じかそれ以上にトラブルの原因ともなっていることには今は目をつぶる詩織なのである。



「で、改めてどうすんの、こいつ」



毛皮の火も消え、単なる汚れた牛となったスヴァローグを見て対処に迷う歌丸



「さっきは子供の手前止めたけど……今はもういないし、続きをするのなら別に止めないよ」


「今更そんな空気になるかよ阿呆が」



精神汚染を受けていたと自覚し、先ほどまでの自分のことを思い出して顔をしかめる鬼龍院


他の者たちも全員が似たような表情である。


今更、また石を投げようとする意気込みの者はこの場にいなかった。



『…………――コ、ロせ』



「え……」



沈黙が流れる場の空気を換えたのは、なんとスヴァローグであった。


その口から、人語を発したのだ。



『コロセ……』



その目には覇気はなく、そしてまるで懇願するように言葉を発する。


誰がどう見ても、心の折れた様子である。



「……鬼龍院、お前よくここまでスヴァローグの心を折ったな……」


「…………いや、たぶんだが、最後のひと押しは俺じゃないぞ」



スヴァローグの目は、虚ろながらも一点――歌丸連理に向けられているのを鬼龍院は察した。


この他者への見下しのプライドで満ちた存在がこうなる要因


まぁ、この状況――見下していた弱者から石や泥を投げつけられたのは確かに精神的に強大なダメージを与えたのは間違いない。


しかし、最大のひと押しは、おそらく歌丸連理の無自覚な言葉



――家族がこんな弱いものイジメする姿を、子たちには見せないでください。


――こんな弱いものイジメする姿を


――弱いものイジメ


――弱い イジメ



これは、スヴァローグに向けたものではない、スヴァローグに対しての善悪なく発せられたその言葉


歌丸連理の客観的な認識を言葉で受け、その上で自身の状態を客観的に分析した結果、否定できないと判断してスヴァローグは心が折れたのだ。


今まで自分が弱者と呼んでいた存在にも、弱者と断定されるような存在に、自身が陥ってしまったのだという事実を認識して。



「よし、殺そう」

「ステイだ紅羽」



そしていつの間にか上空で待機していた天童紅羽はやる気満々で武器を構え、同じ待機していた黒鵜に止められた。



「邪魔しないで、そいつ殺せない」


「気持ちはわかるがまだだ、まだ情報を引き出せるだけ引き出してから首を引きちぎる」



冷静に見えるだけで、来道もスヴァローグに対しては並々ならない鬱憤が溜まっていたのだろう。



『コロセ……コロセ……コロセ……』



虚ろな目で同じ言葉を呟くスヴァローグ


もはや正常な意識があるのか怪しい。



「会長、こいつが情報らしい情報を持ってるとは僕も到底思えないので、殺すのは賛成ですけど……手を下すべきなのは、たぶん僕らじゃないと思います」



そう言って歌丸がある方向を見ると、釣られてその場にいたほとんどの者がそちらを見る。



そこにいたのは、担当を折れた刀――破損した鬼形・子跨咬を手に持っているシャムスがいた。


このスヴァローグを倒すのに、必要不可欠だった鬼形を仕上げたものであり、その始まりとなる鬼形を鍛えた刀匠テツの孫娘


彼女以上に、今、スヴァローグを裁く権利を持ったものは他にいないだろう。



「……歌丸さん、先ほど皆さんを落ち着かせた力って、私にも使っているんですか?」


「え……まぁ、範囲内だから影響は受けてるけど……シャムスさんは石投げてなかったよね?」


「はい……私には、別の声が聞こえていたので……ただ、今は聞こえないんです。


その、一度私に対してその力をいったん解除していただけないでしょうか?」


「……あーっと……いい、の…………かな、うん。わかった」



歌丸が念のために周囲にいる者たちを見回して確認するが誰も反対しなかったのでスキルを解除することにした。



「…………」



シャムスはスヴァローグを見てからその場で目をつむる。


範囲共有の対象からシャムスのみを外したので、ほかの者たちには何が起きているのかは聞こえない。


ただ、もともと鬼形の精神汚染は適正が低すぎてスキルも持っていた歌丸を除けば、シャムスにだけは頑ななまでに干渉してこなかった。


それが今、鬼形の中に込められてきたテツの怨念が何かを伝えようとしているのだろう。



そして数秒……沈黙の果て……シャムスは目を開く。


その目には涙が浮かび、しかし、その目には強い決意も宿っていた。



「……渉さん、手伝って……もらえますか?」


「ああ、分かった」


「ありがとうございます……あと……これ以上無用に苦しめたくはないので、どなたかある程度は渡りのある刃物を貸してもらえますか」


「それならこれどうぞ。


最後は結局あんまり使わなかったから」



シャムスの言葉にすぐに頷く渉


そして、天童から借りてまだ無事であるドラゴンメイデン時に自切して作る尻尾の剣を英里佳が手渡す。



『……コロセ……』


「……ええ、言われずとも」



虚ろな目で同じ言葉を繰り返すスヴァローグ


その首に、シャムスは刃を添えるが、手がかすかに震えている。


その手を渉が上からかぶせるように握り、震えを柔らかく止める。


そして音もなく、スッと刃がスヴァローグの首に入っていく。


スヴァローグの身体が一瞬だけ痙攣したかと思えばすぐに脱力


先ほどまで消えていた毛皮に再び炎がともったかと思えば、まるで火のついた薄紙のようにボロボロに燃えて欠片が舞い上がる。



「……おじいちゃん、おやすみなさい」



スヴァローグの肉体はそのまま燃えカスのように崩れていく。


そして最後にそこに残るのは、溶けた金属が冷えて固まったものいわゆる玉鋼とも呼ばれる存在



そして今この瞬間、スヴァローグの存在が完全に消えたことにより、迷宮60層が安全地帯としての機能を完全に取り戻した。



そしてこの日、全世界の迷宮が実は一つにつながっていたという事実が全世界に知り渡るのである。

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