第113話 修業編⑤ そして夜は更けていく
■
「紗々芽、正直に言いなさい」
「紗々芽ちゃん、黙ってたらわからないよ」
――いったいどうしてこうなったのだろうかと、
今自分と、そして自分の前で仁王立ちしている仲間の
そして三つの布団を並べ、その上に紗々芽は座っている。
――正座で
これではまるで自分がお説教されているようではないかと思う。
いや、事実お説教なのだろう。
「あ、あのね……だからあれは事故で、歌丸くんが私の近くにあったコントローラーを手に取ろうとして、手を滑らせて、たまたまああなっただけで……」
「それは見たらわかるわよ」
「え?」
あっけらかんと言い放たれた詩織の言葉に、紗々芽は一瞬放心した。
ならばなぜ自分は正座させられているのだろうか、と。
だが次に出てきた英里佳からの言葉に頭が真っ白になった。
「そのとき、どうして紗々芽ちゃん歌丸くんを抱きしめるみたいに背中に手を回してたの?」
「……………………………………手?」
英里佳の言葉の意味がわからず、紗々芽はぼんやりと自分の手を見た。
「……もしかして、自覚なかったの?」
「巻き込んで倒れてっていうよりは、受け止めてたみたいに見えたんだけど……」
二人の言葉に、紗々芽は深呼吸をして心を落ち着かせて、つい先ほどのことをよく思い出す。
「あ、いや、その……偶然、偶然だよ!
突然だったからそう見えただけで、全然そんな意図はないよ!」
「というか、そもそも普段の紗々芽ならそんな近くに男近づけないわよね?」
「……え」
「うん、日暮くんとかいつもある程度の距離取って話してたよね」
「あっ……」
そう言われて、自覚した。
確かに、一緒に肩を並べてゲームをした時などそれこそすぐに触れ合えるだけの近くに彼はいた。
そして、コントローラーを探すときにそれこそすぐに触れ触れ合えるくらいの距離まで接近していたのだ。
だけど、紗々芽はその時に歌丸に対して嫌悪感みたいなものを一切感じていなかった。
他の男子のことを考えればこれはありえないことだ。
「え……あ、あれ? あれ?」
酷く困惑し、顔を抑える。
手がひんやりと感じるほどに、自分の顔が熱くなっていると紗々芽は自覚した。
それがより一層、紗々芽を混乱させて顔を熱くさせる。
「ち、違くて、別にそんなつもりなくて、あれ、その、本当に事故だったの!」
「そこに至る過程について言ってるんだけど」
「だ、だから偶然なの!」
「偶然だけでああなるくらい、紗々芽のパーソナルスペース狭くないでしょ」
「え、あ、えっと……!」
そんな二人のやり取りを見て英里佳は思う。
「…………なんか、前にもこんなやり取りをした気がする。立場逆だけど」
いつだったかのカフェでの一幕が再現されていて不思議な気分になる英里佳だが、紗々芽はさらに顔を赤くして首を激しく横に振る。
「だ、だから違うのっ!」
「ああ、はいはい……もういいわよ」
「な、なにが!」
「――ある意味では、これも当初の予定通りなんじゃないのかしらねぇ~」
投げやり気味にそんなことを言う詩織
「よ、予定通りってなに!」
「紗々芽が言い出したんでしょ。
連理をラブコメの主人公に仕立てるって」
「え――あ……いや、でもそれは二人が……」
「あの時誰もそんなこと言ってないわよ。
言う前に連理がモンスターパーティに出場してたから結局そこで話は中断したじゃない」
「そ、それは……そうだったけど」
「英里佳も英里佳で、連理の部屋に押しかけたのにあっさり引き下がったし」
「うっ」
詩織に指摘されて英里佳も顔を引きつらせる。
「はぁ……ちょっと一旦みんな落ち着きましょう。
そして、冷静に話し合いましょう。
これは私たちがパーティとして活動していく上で大事なことよ」
リーダーとして、このまま現状を放置してしまうのは良くないとわかっているのだろう。
三人とも布団の上で座り、真剣に向き合う。
「「「…………」」」
そして三人の間に沈黙が流れる。
「えっと……とりあえずその、二人は連理とその……恋人とかになりたいとか考えてるわけ?」
そして、すかさず詩織が開幕でぶっこんだ。
「なっ――なんでそうなるのっ!?」
「ち、違うから、本当に違うから!」
あまりの驚きに英里佳も紗々芽も声を荒げてしまう。
特に紗々芽など、普段ならこういうまでまとめ役となるはずなのに混乱のせいで全く持って落ち着いていない。
「だって、英里佳は元々そうだとして、紗々芽の反応みたらまさにそれでしょ」
((どの口がっ!!))
真っ当な指摘としてるつもりなのだろうが、言ってる本人はそれがブーメランであることを自覚していない。
なお、すでに分かってないのは本人ばかりで、すでに英里佳や戒斗にも気取られている模様。
「だ、だから本当に私はそうじゃなくて……詩織ちゃんこそ、歌丸くんのこと他の男子と違う目で見てるんじゃないの?」
「んなっ――」
やられたらやり返す。
至って当たり前のことではあるが、それが泥沼を引き起こすことになることを紗々芽は混乱の余りに見落としている。
事此処に至り、一番現状を冷静に分析できるのは一番最初に自分の気持ちに素直になった……いや、正確には紗々芽の指摘によって素直にさせられた英里佳だけだった。
「二人とも、一回冷静になろう」
「「え」」
「え、って何? 私おかしいこと言った?」
「…………い、いえ、おかしくないわね」
「う、うん。そうだね。
ちょっと英里佳からそんなこと言われるとは思わなかったから驚いただけ」
一体、普段の自分をこの二人はどう見ているのだろうかと半眼で睨むが、二人とも目線を分かりやすく逸らす。
そして話を切り替えようとわざとらしい咳払いをする紗々芽
「そう、まずは落ち着いて……そもそも事の本題は、もとを正せば歌丸くんの無茶をいかに
「……そ、そうね。
そこが一番のことよね」
自分たちの気持ちについての建前にしているが、確かに一番大事なことでもある。
「それで……今日までの修行でわかったけど、歌丸くん痛みに対して鈍くなってきてると思うの」
その言葉に、歌丸の危うさをある意味その手で一番体感している英里佳は訊ねた。
「
「ううん、痛みはちゃんと感じてるんだけど、それを感じたら大小問わずに“危ないかも”って普通考えるんだけど……歌丸くんの場合は“まだ大丈夫”っていうか……数値的に捉えてる節があるの」
電流を大げさに痛がったと本人は言っていたが、そもそも痛みとはこらえるべきものではないはずなのだ。
にもかかわらず、歌丸は痛みを冷静に分析し、その度合いを示そうとした。
それが正確かどうかは別にして、もうその考え方が危ういものなのだ。
「本人に行ったら失礼だけど、やっぱり歌丸くんの自分の身体への考え方は破綻してるよ。
痛みについては数値的に捉えてるのに、自分の肉体については大雑把に捉えすぎてる。
私たちが強くなって怪我をすることは減ったけど、また何かあったとき無茶をしない理由にはならない」
「精神的なストッパーが足りないのよね……連理の方も、私たちが守ってくれるって信頼してくれているのもその一端なんでしょうけど……」
「でも……その逆の役割をする者が今の歌丸くんには無い……」
二人とも歌丸を守り、共に前を進むと言ったことで歌丸の無茶を加速させているのだなと思い、深刻そうな顔をする。
「いざってときは私のスキルで歌丸くんを押しとどめられるけど…………いや、最悪それで
「「………………」」
さらっと物騒なことを言う紗々芽をドン引きした目でみる二人
それに気づいて慌てて紗々芽が首を横に振る。
「じ、冗談だよ冗談。本当にそんなことしないってば!
で、それで私が言ったそのラブコメだけど……やっぱり男の子って女の子にチヤホヤされて嬉しくないわけが無いと思うの」
「……まぁ、確かにそうだよね」
「あいつ、人畜無害そうに見えてむっつりだもんね」
「結構オープンだと思うけど……」
「「え」」
「あ、なんでもないよ。
とにかく歌丸くんを迷宮攻略以外に興味を向ければ無茶をする度合いは減ると思うの。
で、何度も言うけどそこで一番手っ取り早いのが……」
「らぶこめ?」
「そう。で、一番効果的なのがこの間の英里佳みたいな押しかけ女房みたいなアプローチだったはずなんだけど……」
「お、押しかけ……!」
今さらながら自分のやったことを冷静に指摘されて顔を赤くする英里佳は顔を真っ赤にする。
「……まぁ、ラブコメの鉄板ネタというか……男子ってああいうの本当に好きよね」
「せめてアレで一線を――……」
超えれば……そう言おうとした時、紗々芽の脳裏にある光景が浮かんだ。
――――
――――――
――――――――
『英里佳……』
『歌丸、くん……』
『ノンノン。
ベッドでは、名前で……』
『れ、連理きゅん……!』
――――
――――――
――――――――
「ごめんやっぱ無し。うん、無い、絶対に駄目だねこれは」
「ど、どうしたのよ紗々芽?」
「やっぱり不健全過ぎて駄目だと思うの」
「自分で言ったんじゃない」
「私が間違ってた、英里佳だってそこまで踏み込みたいわけじゃないよね?」
「え、あ、あの、その」
「そうだよね?」
「は、はいっ……」
英里佳からの確認(強制)を受け、紗々芽は思案する。
「そもそも学生としての本文を超えることは危ないと思うの。
歌丸くんは学長にマークされてるわけだし、もし度が過ぎて歌丸くんが攻略することをやめたら何か良くないことを引き起こす気がするの」
「それは……否定できないわね」
「あいつなら絶対に何かする」
あのドラゴンはルールは守るが、それはあくまでも自分が楽しいかどうかが判断基準であり、自分が楽しくないと思ったらそれまでのことなどすべて棚上げして自分の都合をぶっこんで来る。
神話で言うところの“トリックスター”と言える存在があのドラゴンなのだ。
何より面倒なのは、そのトリックスターの抑止力となる人類の味方がこの世界に存在しないことだが……
「加減が難しいよね……
学生の本分を損なわない形で、尚且つ歌丸くんが攻略に手を抜かず無茶しない程度に日常生活に興味を持たせる……となると……ここはやっぱり少年誌形式のラブコメが一番なのかな」
「ごめん、紗々芽が何を言ってるかよくわからないんだけど……」
「えっと、少し前に私も色々と調べて、こういう少し前に大人気だったラブコメの漫画読んでみたの」
学生証を操作し、その掲示板の一つで記載されている漫画を読めるページを見せる。
そこには少しのお金を払えば一定期間漫画が読めるというシステムが採用されていて、紗々芽はそこで一昔前に少年誌で過激すぎでは、という物議を醸しだしたラブコメ漫画を見せる。
「基本的に優柔不断な主人公を、可愛い女の子たちがあの手この手で誘惑して、主人子の一番になろうとするものなんだけど……」
「へぇ……」
「こういうのあるんだ……」
手渡された学生証から表示されている漫画を見て感心した顔をする二人
どちらも漫画の類をあまり読んだことが無いのだろう。
「これを参考にすれば、まぁ条件は満たせると思うの」
「あまり参考にはしたくないけど…………とりあえず続けて」
「うん、まずこの状況を満たす最低条件として、一人以上の女の子が主人公に対してアプローチしていること」
「「…………」」
紗々芽の言葉に、何となしに無言で目配せをする英里佳と詩織。
「……まぁ、これの条件はおいておくとして……」
下手に藪を
「次の条件は、主人公……つまり歌丸くんが優柔不断であることなんだけど……」
「優柔不断……なのかしら?」
普段から割と何事もさばさばと行動している気がする。
さばさば過ぎてやり過ぎることもないとは言わないが。
「たぶんヘタレだから大丈夫だよ」
サラッと酷いことを言われたが、特に誰も文句は言わない。
「というわけで、まぁ……条件は仮で、あくまでも仮として満たしてるわけで……ほかに人がいないから、仕方なくね、仕方なく、私たちでその相手役を務めることにしよう」
なんとも妙に強調するが、それだけ大事なことなのだろうと二人とも突っ込まない。
「みんな色々と言いたいこともあるだろうけど……うん、そう、ここはね、ここは煮え湯を飲むような覚悟で、お互いの気持ちはとりあえず抑えて、何も言わず、尚且つ三人で協力して、歌丸くんを日常生活に対して興味を向けていくようにアプローチをしていくことが大事だと思うの。
思うよね、そうだよね?」
「う、うん、そうだね、歌丸くんのためにも、ね?」
「そ、そそそうね! みんな思うところは色々あるけど、今はまぁ、うん、色々抑えて、ね」
――こうして、歌丸連理を中心に据えた乙女たちの思惑は本格的に始まるのだが……現時点ですでに非常にこんがらがっている。
あと一人でも素直になるか、もしくは英里佳が後少しでも積極性があれば、状況は変わったのだろうが……所詮は後の祭りなのであった。
■
「――――あれ」
ふと目が覚めた。
しかし、目を開けたのに目の前は真っ暗で、電気が消えているのかと思った。
だが、すぐに頭に掛けたゴーグルがスリープモードになったのだなと思い出し、横にあるスイッチを押すとすぐにカメラが起動した。
まず最初に電気がついている天井が目に入り、すぐ後にこちらを覗き込んでくる少年の顔が見えた。
「起きたッスか、連理」
「……え、僕……寝てたの?」
「覚えてないんスか?」
「え、えっと……」
お、おかしいな……スキルの効果があるから僕は眠らないはずなのに……
「……なんかよくわからないけど、とても幸せな夢を見ていた気がする」
「そりゃそうだろうッス」
「え?」
「なんでもないッス……えっと、お前はとりあえず目の疲れを訴えて仮眠を取って今まで寝てたんスよ」
「そうなんだ……ところでその手の紙は何?」
「なんでもないッス」
そう言って紙を破ってゴミ箱に捨てたのだが……おかしいな、今戒斗がその紙の内容を読んでいたかのように見えたのだが……
「目の疲れか……
「そうなんじゃないッスかねぇ……」
なぜ遠い目をする。
「あ、そういえば夕飯まだ準備してなかったかな……」
「今日はもうたぶん出ないッス。
ハムでも
「え、ちょっとどうしたの?」
なんかよたよたとした足取りで部屋の方に戻っていく戒斗
いったいどうしたのかと呼び止めると、彼は僕を蔑み切った眼でこちらを見て……
「リア充爆発しろ」
「なんでっ!?」
そのまま階段を上って部屋へと戻っていく戒斗
その片手間で自分のアイテムストレージに入れていたであろう携帯食を食べていく。
「えぇ~……」
自分が何で寝ていたのかよく覚えておらず、なんで戒斗にあんな風に言われるのかまったく心当たりが無く非常に困惑していた僕だが、あの様子を見るに本当に晩御飯は抜きのようだ。
「はぁ……仕方ないか。
出てこいお前ら」
「きゅ」
「ぎゅ」
「きゅう」
アドバンスカードから召喚した三匹のエンペラビットたちに、夕食の野菜をアイテムストレージから出して与える。
三匹とも大好きな黄金パセリや虹色大根があるからすぐさま飛びつく。
「ふむ、それじゃあ僕も寝て……」
ふと、視線の中にコントローラーが出しっぱなしのゲームが見えた。
「…………まぁ、ちょっとだけ遊ぶくらいいいよね」
学園に来る前までは生粋のゲーマーだった僕としては、このVRゲームというものは非常に興味深い。
「まぁ、ちょっとだけ……ちょっと遊ぶだけ」
そう言いながら電源を入れて、紗々芽さんがやっているモードでプレイしてみた。
「へぇ……自分で動かしてみると感覚違うんだな」
そう思いながら操作していき、そして……
『――You Win!』
既に動きのパターンを知っている最初の敵は楽に倒せた。
次に出てきたのは短刀らしきものを持っている敵だ。
シーフとか、そういう類のものなのだろうが……
「うわっ……っと、っとと!」
刃物を振り回してくる相手というのはそれだけで威圧感がある。
思わず驚いてしまうが、それでもどうにかかいくぐり敵を倒そうとして――
「きゅきゅう!」
「え、なにを――うぉお!?」
急にシャチホコが僕の袖を引っ張ってきたかと思うと、敵キャラが僕の目の前で突進してきた。
や、やばっ、どうしたら――
「――あ、危ない」
「っ!」
声が聞こえた途端、頭がクリアとなって指が動く。
避けられないと思ったような攻撃が、即座に対応できた。
そしてそのままカウンターで敵を叩き込み、距離を取ってから一端ポーズを取る。
「えっと……もしかしてそこにいるの紗々芽さん?」
「あ、う、うん、ごめん邪魔しちゃった?」
「あ、いや、大丈夫。
寧ろ助かったというか……いやぁ、シャチホコがいきなり袖引っ張ってきて驚いちゃったよ。
で、なんだ、追加の餌か?」
「きゅきゅう」
どうやらその通りらしい。
僕は今ゲームの画面しか見えないので、学生証を紗々芽さんに渡して代わりに出してもらった。
「これでよし。
でも、今すごく早く指動いてたね」
「え、そう?」
「うん、私じゃ絶対にあんな風に動かせなかったかも」
そう言われて、つい先ほどのことを想いだす。
「あー……確かに今のは僕でも動かすのは無理だったかな」
「じゃあ、どうして?」
「どうしてっていうと……やっぱり今の言葉で
「え……私、そんなつもりなかったんだけど?
スキルは……たぶん発動させたのかもしれないけど、ただ“危ない”って言っただけで、ゲームのキャラを避けさせて、とは言ってないし言う暇もなかったよ?」
「うーん……このスキル、まだわからないこと多いし、大雑把だからねぇ…………ん?」
ふと、あることを思いついた。
というか、もしかしてこれって……噛み合うんじゃないか?
「紗々芽さんちょっと、ちょっとだけさ、試したいことあるんだけどいい?」
「え? 別にいいけど……何?」
「えっと、ちょっと待ってね」
僕は一度ポーズ画面の中にあるコマンドリストを選択した。
「えっと……この一番上のリスト、これの技名をスキルを発動させた状態で試しに言ってもらえる?」
「え、う、うん……いいけど……危なくない?」
「多分大丈夫。でも念のため少し離れてて」
「わかった……………えっと――“アッパーカット”」
その言葉を聞いた。
また思考がクリアになり、指が勝手に動く。
「――やっぱり」
「どうしたの?」
「この画面では何にも起きないけど、今、紗々芽が言った技名のコマンドを僕は入力したんだよ」
「……えっと、それで?」
「つまり指示の内容は、僕たちが思っているより緩くて良かったんだ。
紗々芽さんの指示を聞いて、僕が知っている通りに動く。
逆を言えば、別に紗々芽さんが知らないことでも僕が知っていればスキルは発動してくれるってことだったんだよ。
ちょっと逆を試してみよう」
「え、あ、うん」
どうにも要領を得てないなようだが、ひとまず僕は一通り検証をしてみて、試しに中庭に出て動いてみて、そして一通りやってわかった。
「そうだよ……紗々芽さんが覚えるべきなのはゲームのやり方じゃなくて、格闘ゲームにおけるタイミング、“間合い”のとり方だったんだ!」
「あの……つまり、どういうことなの?」
首を傾げる紗々芽さんに、僕が至った結論を告げる。
「つまり、僕たちがすべきことはマニュアルじゃなくてセミオートだったんだよ!」
その新事実を受け、紗々芽さんは……
「うん、ごめん……全然意味がわからない」
その後、僕は思いついた訓練方法を説明していくと、紗々芽さんもようやく納得してくれた。
そして僕たちの訓練も、みんなとは少し遅れながらだが、前進を見せたのであった。
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