第110話 修業編② これが主人公必須スキルの特訓だ!

一限目の数学



「あ……その、だから……ここでxはだな……」

――チラッ



二限目の英語




「だからここは助動詞が……その……」

――チラチラッ



三時限目の歴史



「だから平安時代は貴族社会中心だが、ここから武家社会へと変わっていく……わけで、だな」

――チラチラッ



そして四時限目の国語


今さらながら、僕たちの担任の武中先生の受け持つ授業である。



「………………とりあえず歌丸」


「はい」


「授業中くらいそのゴーグル外せないか?


他の先生から授業に集中できないってクレームが入ったんだが」


「西学区の堀江先輩に言ってください」



そう、今の僕はあの後もゴーグルをつけたまま登校させられたのだ。


このゴーグル、一回の充電で10日は稼働するというアホスペックなバッテリーを搭載しており、しかも防水性で耐ショック性も高い。


そしてゴーブルに専用のカメラを接続することで普通に外部の映像が見えるわけで、私生活にも支障はないが……いや、すでに支障をきたしてるんだけど!



『あー、三十人抜きできなかったねぇ~……じゃあ、それ達成しないとその施錠は外れないんだけどなぁ……』



と、昨日そんなことを言い出した堀江先輩。


本当にそのまま僕はゴーグルを外すことはできず、ヘトヘトで帰ってきた英里佳たちに力づくで外してもらおうとしたのだが……



『別に壊してもいいけど、その場合ちゃんと請求書出すからね』



と、割と冗談抜きで笑えない額の請求をされて思いとどまった。


授業もあるのでどうにかして欲しいと言ったら、カメラを使えばゴーグル越しでも外が見えると言われたので、仕方なく今はそれを使っているわけだ。



「はぁ……まぁ、特別訓練を受けているのは知っているが、できれば明日はそれ抜きで来てくれよ」


「……はい、頑張ってもらいます」


「? まぁ、頼むぞ」



先生、残念だけど僕のゴーグルの着脱は僕の努力ではどうにもできないんです。



そして昼休み


登校前にもみんなでそれぞれランニングと軽い筋トレとかしたので、ようやくまともに休める時間


普段はお弁当なのだが、流石に作る元気もなかったため学食を食べるため食堂に集まったのだが……



「死ぬ……死ぬッス……いや、殺される……ッス」



伸びに伸びたうどんに手も付けず、机に突っ伏してぶつぶつとつぶやく戒斗


一体どんな訓練を受けたんだ?


訓練中の怪我はご丁寧にフロントライナーで貯蔵している消費期限ギリギリのポーションがから使っているので問題ない。


肉体的な疲労も、僕のスキルの枠も増えたことでチーム天守閣全員が万全筋肉パーフェクトマッスルの恩恵を受けられるので疲れていない。


だとすれば、今戒斗が疲弊しているのは精神から来るものなのだろう。



「みんなの訓練ってそんなに厳しいの?」


「……ぷっ……そうね、まぁ、今までのやり方が通じないわね」


「ちょっと、詩織さん今笑ったよね?」


「気のせいよ…………ふっ」



絶対笑ったよ。顔背けてもバレバレだよ。



「英里佳、どんな訓練なの?」


「…………」


「……英里佳?」


「――ぷふっ!」



なんか黙ってたと思ったら、突如僕を見て吹き出した英里佳


そして僕から顔をそむけたまま、肩を震わせる。



「ご、ごめんなさい……な、なんか、おかしくて……!」


「…………いや、いいんだ、うん、そもそもこんなもの着けてることがおかしいんだも。僕もわかってるから」



さっきから食堂に入ってくる他のせいともチラチラと僕を変人を見る目で見てくる。


このゴーグルのカメラ、顔認証のシステムがあるのか此方を向いた顔の人を一部アップで表示してくる。なんて嬉しくない仕様だ。



「はぁ……クラス替えも終わって、新しいクラスメイトができたところにこれって、完全に僕クラスで浮いちゃったよ」


「お前もともと着地すらできてないッスよ」



突っ伏した状態でいらんツッコミをする戒斗



「どういう意味だよそれ、僕大規模戦闘レイド終わった辺りから結構クラスに溶け込めてたじゃん」


「…………」


「なんで黙るの?」


「うん、まぁ、お前がそう思うならそうなんスね。お前の中では」


「何そのリアクションっ!? え、違ったの、僕浮いてたの!?」



僕の問いに誰も答えてくれない。


再び目を背ける三人


誰か否定してくれと思うと、ふとぼんやりとうつむいている紗々芽さんがいた。



「さ、紗々芽さん、違うよね、僕クラスで浮いてたりしないよね?」


「……え、あ……ごめん、聞いてなかった」


「えぇ……」



僕に味方はいないのか……!



「今朝から元気なかったけど……そんなにきつい訓練なの、そっち?」



肉体的な疲労は僕たちにはほとんどないから詩織さんが心配そうに紗々芽さんを見る。


対し、紗々芽さんはすぐに首を横に振る。



「う、ううん、そんなこと全然ないよ。


むしろ……私が、一番楽してるようなものだよ…………歌丸くんと違ってペナルティみたいなものもないし」



そうは言うが、紗々芽さんの表情は暗い。


このゴーグルのおかげで、それが普段よりもよくわかる。


……っていうか、なんか表示される。


紗々芽さんの方を見たらなんか急に他の人たちと違って妙な数字が増えた。



――好感度48『友達』

――信頼度32『頼りない』

――機嫌度14『がっくり』



これなんてギャルゲー?



『彼女のご機嫌を取る行動をしよう!』



そしてなんかアドバイスも表示された。本当になにこれ?


なんかよくわからないけど、紗々芽さんのことはやっぱり幼馴染の詩織さんに任せておくのが一番だし僕がわざわざなんか言わなくても――



――ブブーッ!



「「「「え?」」」」

「え――あばばばばばばばっ!?」



妙な音が鳴ったかと思えば格ゲーの時よりも強めの電量が流れてきた。


あまりの痛さに絶叫してしまう。人目も気にならないほどに、とにかく電流が痛い!



『無視するなんて男としてサイテー!』



そんな表示が見えてきた。



「な、なんだこのゴーグル……!」



今朝はこんなことなかった。


いったいどういうことかと思うと、学生証に着信が入った。



「! ……もしもし、堀江先輩、このゴーグルなんなんですか!」


『お、第一声がそれってことは遠隔起動も上手くいったみたいだね』


「やっぱりあんたか……!」


『んー、こらこら、先輩にはちゃんとした言葉遣いをしなさい、これ社会に出ても大事な常識だよ』


「先輩なら何でもしていいってわけでもないでしょ。


で、とにかくなんなんですかこれ!」


『教えてもいいけど、音量下げて他の人には聞こえないようにしてね』


「え?」



見ると、英里佳たち四人が僕の方を見ていた。



『ほら、一応開発段階のゲームだから、あんまり知られたくないの。アンダスタン?』


「……わかりました。ってことで、ちょっと音量下げるね」



確認を取るとみんな頷いてくれた。



『音量下げて他の人には聞こえない?』


「はい」


『じゃあこれから歌丸くん、君には特別個人訓練だ』


「は? こじ」『シャラップ』



威圧的な口調が学生証越しに聞こえてきて、言いかけていた言葉を途中で僕は飲み込んだ。



『これは内緒。


他の人に知られちゃ駄目なの。アンダスタン?』


「……わかりました」


『まぁ、ぶっちゃけそのゴーグルには顔認証機能と、その表情と行動パターン、言動などを読み取って装着者と観察対象との関係性を測定する機能があるの』


「プライバシーって言葉知ってますか?」


『家庭の内情や夫婦の寝室などのように純然たる私生活・私事に属する事項。他人の干渉やのぞき見からこれを保護することが個人の尊厳を尊重する思想の下では要請される。個人が他人に煩わされずに幸福を追求する権利は憲法上の権利であり〔憲法13条〕、この種の権利はプライバシーの権利と呼ばれ、人格権の一つであるとされる――――……だよね、イージーイージー』


「まさかの回答に脱帽です。というか脱帽していいですか?」


『尊敬なら受け入れるけど、実際にはしなくていいよ。


まぁとにかくね、そっちの機能のテストも兼ねて、君にはもっと苅澤さんとの仲を深めて欲しいの、というかぶっちゃけ落として』


「崖から?」


『ゆーきゃん』


「フライ?」


『よし、まかせた!』


「ちょっと待って、悪ノリしたのは謝りますから、悪ノリで説明省かないで!」


『え~……なんかもう飽きた』


「殴りたいこの先輩」


『きゃーこわーい、えんがちょ』


「子供か」


『いつでもハートはチャイルド。それがゲーム開発を楽しむベーシックだよ』


「知らんがな」




「……あいつ何の話してるんスか」


「少なくとも今は内緒でするようなことではないと思う内容なのは確かね」


「紗々芽ちゃん、その堀江先輩と歌丸くん仲いいの?」


「悪くはないけど……そんなに仲良しでもなかったと思うけど」



みんなが呆れた目で僕を見ている。


そ、そうだこんな無駄話してる場合じゃなかった。



「で、その……つまりあれですよね、よくあるシミュレーションの……あの、フラグですよね」


『わかってるなら話が早いね。その通り。


君にはリアル恋愛シミュレーションをやってもらうよ』


「だから、なんでですか? 必要ありませんよね」


『必要だよ、絶対に』


「はぁ?」


『詳しく説明するから、ここから先は余計なことを言わないで。


言っても相槌か、肯定否定の意思表示だけにして、いい?』



英単語ではなく、日本語での確認に堀江先輩の真剣さが見えた気がした。



「わかりました」


『まず君はもう少し、人の機微を理解したほうがいい。


今までの君の行動を検めさせてもらったけど、少なくとも私から見て君自身の実力で達成できたことはほとんどない』


「……そうですね」


『君は人に助けられること、そして君を助けてくれる人を助けることでこそ真骨頂を発揮する。


そこには大前提に人と人とのつながり、きずなが存在する。


陳腐な言い方になるが、君の実力とは人との絆の力だ』


「は、はぁ……」


『実感が持てない?』


「まぁ、そうですね」


『でも事実よ。


だから君が北学区でより迷宮の先を目指すなら、君が鍛えるべきは肉体的な強さじゃない。


どれだけ人をたらし込むか、口八丁の№1ホスト並のトークスキルよ』


「あ、すいません、先に約束破ることを謝ります。


――ふざけんな馬鹿野郎」


『こっちは大真面目よ。


それに、もともと君の同意なんてリクエストしてないしね。


まぁとにかく今は電流が嫌なら苅澤さんの好感度を上げること頑張ってね』


「え、ちょっと、まだ話が…………切れた」



学生証は通常状態に戻っており、もう堀江先輩とはつながっていない。



「で、結局なんだったんスか?」


「あー……とりあえずゴーグルの追加機能の説明だった」



もう僕は色々と諦めて学生証をしまう。


正直色々と不満があるが……電流を流されるのは勘弁してもらいたい。


まぁ何か起きたとしても、紗々芽さんだったら良くも悪くも察しがいいから気付いて僕に調子を合わせてくれるはずだ。


ひとまず今は、不本意でも堀江先輩の指示に従っておこう。



「ところで紗々芽さん」


「え……な、なに?」


「あ、いや、今更だけどゲームとかって普段やったりしないんだよね?」


「う、うん…………ごめん」



なんで謝るのかと不思議に思っていると、ゴーグルの画面に変な表示が……



『機嫌度が下がった。元気付けよう!』


「い、いや別に紗々芽さんが謝ること何もないでしょ。


まぁそうじゃなくてさ、えっと、あの、そのっ」



げ、元気づけるって具体的にどうするんだ?


パッと言われても何も思いつかん。


しかしこのままでは電流が……! ええい、こうなれば!



「――カモン、ラビッツ!」


「唐突にどうしたんスか?」

「……あれ、デジャブ」

「食堂で召喚するんじゃないわよ」



困ったときは心強い味方であるシャチホコたちに任せよう!



「きゅ?」「ぎゅ?」「きゅる?」



「なんで呼ばれたん?」って感じでテーブルの上で首を傾げる三匹


うん、ごめん、正直僕もよくわかってない。



「………………」


「「「………………」」」



「なんか言いなさいよ」



沈黙しながら見つめ合う僕とシャチホコたちにツッコミを入れる詩織さん



「いや、なんかどうしたらいいのかよくわからなくて……」


「じゃあなんで呼んだのよ」


「呼びたくて呼んだわけじゃないんだ」

「きゅ?!」「ぎゅ?!」「きゅる?!」



あ、言い方を間違えてしまって地味にショックを受けている。



「あ、すまん、お前たちが悪いわけじゃないんだ……うん、とりあえずほら、たくあん食べるか?」


「きゅう!」

「ぎゅう!」

「きゅる!」



注文した定食セットに付属していたたくあんを一切れずつ分けてかじりつく三匹


ああ、なんか癒される。



「……ふふっ」



そして紗々芽さんもテーブルの上でたくあんをリスみたいにかじる三匹の姿を見て笑っていた。



『GOOD』



と、ゴーグルにそう表示される。どうやらこれで問題ないらしい。ひとまず安心。



「はぁ……」



とはいえ、これがしばらく続くのかと思うと気が重い。


どうにか今日中にでも、紗々芽さんには三十人抜きをしてもらってこのゴーグルとおさらばしたいものだ。





「ふふふふっ……」



歌丸のカメラの映像は、何もゴーグルだけにつながっているのではない。


その映像は、西学区にいる堀江来夏ほりえらいかの元まで届いていた。


彼女は歌丸視点ではあるが、彼の困った様子を楽しんでいた。



「――ずいぶんと趣味が悪いですね」



そしてその様子を同じ部屋にいた西学区生徒会の副会長の一人である小橋努こばしつとむが見ていた。



「あら、歌姫様のお守はいいの?」


「一応ちゃんと監視を着けてますから。


溜まった仕事を片付けないといけませし」


「そこで護衛と言わないあたりがもう、あのお姫様の困ったところよね」



そう言いながらパソコンに何やらタイピングを始める来夏


するとその画面に何やら新たな表示が追加された。



『え、あ、え、っと……!


――今日はいい天気ですね』


『何言ってんスか?』



そして数秒後、また来夏が何やらマウスで画面にある電気マークのアイコンをクリックすると歌丸の声が聞こえてきた。



『あばばばばばばばっ!!』



「……やばい、これ想像以上にエキサイトできる」


「かなり悪趣味ですよ、それ。


はぁ……歌丸も不憫だな」



歌丸のゴーグルに搭載されたという人の顔からデータを取るという話、実はすべて真っ赤な嘘なのだ。


あの数字も、結局来夏が手打ち入力して作ったデタラメなものに過ぎない。



「小橋くん、他者を見下して自分が支配できるという欲求は生物的な本能であり、人間として自然な欲求よ」


「否定はしませんが、悪趣味であることに変わりはありませんよ。


頼みますから、絶対にそれ人のいるところではやらないでくださいよ



西学区生徒会長・堀江来夏


電子機器のプログラミングにおいて本職も顔負けの技量を持つ。


そして職業ジョブ“算術士”のスキルの効果もあって常人をはるかにしのぐ計算領域をその頭脳に獲得した人工的な天才……いや、鬼才である。


もともとの技量もあったが、そこに加わったスキルの後押しもあり、現在の彼女と同等のプログラマーは世界を探しても片手で足りる程度しかいない。



「他の人にはやらわないわよ、彼くらいよここまで非人道的なことができるのは」


「自覚あったんですか……では、なぜ歌丸なら大丈夫なんですか?」


「なんか彼って人間って感じがしなくて。


どっちかというと…………ゾンビ?」


「それは酷過ぎるでしょ……」


「そう? 今までの彼の戦歴みたらそんな感じじゃない。とっくに死んでるくらいの実力差があるのに、何故か生き残ってる」



渡された歌丸の資料


それに改めて目を通す来夏



「何より、心臓が動いてない人間は人間と言えないでしょ」


「…………会長、それは」


「まぁ、別にこれ位は調べればそこまでんだけどね……


だけどやっぱり、そんな状態で迷宮攻略を続けようと思うのも実行できるのも本当に稀だし」


「…………」



その言葉に、小橋は何も言わずに黙ってしまう。



「まぁとにかく、歌丸くんをいじめ続けるのが苅澤さんへの大きな負荷となるんだからこれでいいのよ」


「……すいません、話が見えないのですが……その苅澤というと歌丸たちと同じパーティのエンチャンターでしたか?」


「今はドルイドらしいわよ。


今回の訓練、一番に鍛えるべきだと判断したのは苅澤さんのほうなのよ」


「……とてもそうには見えませんが?」



先ほどから被害を被っているのは歌丸だけ。


小橋も訓練内容については把握しているが、苅澤紗々芽が苦労しているようには思えなかったのだ。



「これは私の持論だけど、人間には二種類あると思うの。


他人の不幸で飯がうまいって言う人と、他人の不幸で自分も不幸な気分になってしまう人」



「……つまり、苅澤は後者だと?」



「悪い意味でそうね」



「悪い意味?」



来夏は顔をあげ、椅子の背もたれに体重を乗せる。



「あの人は不幸で可哀そう。


だけど自分はそうじゃないからまだ安心だ、よかったなぁ…………って感じかしら?」



「なるほど、前者寄りの後者ってところですか」



「その通り。


だからこの手のタイプは自分が不幸でも周りが苦労してるなら大して不満を抱かない。


質が悪いのは自分の劣っていることを自分で受け入れてしまうことよ。


ハッキリ言って彼女は北学区に向いてない。そういう向上心の無い人間は迷宮の攻略なんてできるはずないの。


でも彼女は不幸にも周りがそうさせてしまう集団の中に溶け込んでしまっている」



「自分には彼女がちゃんと役目を果たしてるように見えますが……」



「追いつめられたら、ね。資料で見た相田和也の一件で彼女にそういう一面があることは理解してるわ。


でもそうでないときは彼女は基本周りに合わせるだけにとどまっている。


周りも、彼女という人間はそうであると認識しているからそれを咎めもしない。


今は目立ってないけど、時間が経てば経つほどその差は大きくなる。


天藤はそこ危惧して私に頼んできたのよ。


――北から、迷宮から逃げ出した私にね」



「…………彼女に過去の自分を重ねてるんですか?」



「さぁ、どうかしら。


まぁとにかく、苅澤紗々芽の精神を鍛えるには本人を追いつめるだけじゃ駄目。


それすらも彼女は受け入れてしまう。本当にギリギリにならないと動かない。


だからこそ、彼女を責めたいなら本人を責めちゃ駄目なの」



そう言って再びマウスを操作する来夏


聞こえてきた歌丸の面白な悲鳴の中で、カメラ越しに酷く落ち込んだ表情を見せる苅澤紗々芽が映る。


どうみても、歌丸が苦しんでいる原因を理解している。


他の者たちも気づいているのだろうが、訓練の一環と理解して敢えて触れていないのだろう。



「自分のゲーム操作が下手なせいで歌丸くんのゴーグルが外せず電撃を流されてる。自分のせいで他人が苦しんでいる。


みんなが辛い思いをしているのに自分だけ楽している。


彼女にとっては、こういう形が一番キツイのよ」

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