第29話 ビーチの魔球と男の団結

「えー、そんなわけで今日は一日皆さんには私が今朝2時間かけてつくりあげたこのリゾート区画で臨海学校をしてもらいます。


基本的に自由に遊んでもらっても構いませんが、課題は出しますので必須項目だけは今日中にクリアしてくださいね」



学長のそんな言葉と共に突然僕たちの目の前に現れた一枚の紙。


手に取ってみるとチェックマークを入れるためのリストが表示されていたのだが……



「水棲生物を十種類見つける……」

「目隠しをして十回転以上その場で回ってからスイカを割る……」

「砂の城を完成させる」

「夕日の海で異性と二人っきりでらぶちゅ…………なにこれ?」



なんだこのリスト。


しかもよく見るとこれ、リストの横に先着人数とかも記載奴がいくつかある。


そして各リストの下にはクリアボーナスとかいう欄もある。


基本的に少額のお金がもらえるものがほとんどであるが、先着人数が記載されているものは……



「スキルポイントの特典ッ!?」

「げ、激レア武器や防具だと!」

「こ、これって致命傷でも即座に回復するって言う霊薬じゃ……!」



そう、破格のボーナスが記載されているのだ。


これには水着で慌てふためいていた生徒たち全員が目の色を変えた。



「時刻は夕方、監督役として教師のみなさんも待機していますが、それまではここから出られませんので皆さん頑張ってくださいねー」



バサッと翼を広げて空へと飛んでいく学長


それを見上げていた生徒たちだが、数秒で誰かが声をあげた。



「おい、砂の城を作る手伝いを頼む!


先着十名までだ、力を合わせてゲットするぞ!」



男子の誰かがそう声を張り上げ、いつの間にか取り出した盾をスコップのように使って砂を掘り出した。


それに先導されるように、多くの生徒たちも砂を掘り始める。



「急いでスイカを探せ!」

「どこにあるの!」

「森だ、森! 海の反対側にあるだろ! きっとそこにスイカがあるはずだ!」



またある一団が背後にあった森へと全力疾走していく。



「とりあえず貝とか魚とか探しまくれ!」

「獲ったどー!!」

「ちょっと、それ私が見つけたのよ!!」



あるものは海に入り、目の色を変えて貝やらカニやらを奪い合う。



「えっと……どうしよう」



もう水着とかみんな忘れて行動している。


先ほどまでの困惑も吹っ飛び、みんな血の気の多い殺伐とした空気が漂っていた。



「呆けてる暇はないわよ歌丸」


「え、あ、はいっ!」



三上さんは先ほど渡された紙を睨み、その欄をすべて確認する。



「レアアイテムも魅力的だけど、私たちはこれを狙うわよ!」



そういって三上さんが指し示したのは“ビーチバレーで五回連続で勝利する”というものだった。


細かい制約はないようだが、指定された先生が審判をしてもらって勝たないといけないらしい。


クリアした場合のボーナスはスキルポイントの獲得。これだけのポイントがあれば僕のスキルでも三つは取得できる。



「歌丸は兎も角、私と榎並がいれば優勝は決まったようなものね」


「自覚はあるけどひどくない?」


「それじゃ早速審判してくれる先生のところに行くわよ」


「無視ですか」



いや、いいんだけどね。


そして僕たち動揺に、ビーチバレーの心配をしてくれる先生のもとに何人かの生徒の集団も集まっていた。


しかし……男子の割合が結構多い気がする。


というか今更だけど、女子の多くは森の方へと行ったようだ。


報酬目的もあるのだろうが、羞恥から身を隠せるものが多い森へと避難した女子も多いようだ。



「よし……それじゃあとりあえずビーチバレーを始めるぞー。


まぁ五連勝するチームが出るまでだから、どんどん進めようか」



審判役をしてくれるのは別クラスの担任をしている馬場弘明ばばひろあき先生だった。


確か担当は古文で、何度ももう姿を見ている。


馬場先生は軽く手を振ると、何もなかった砂浜にビーチバレー用のネットが出現し

てボールまで出てきた。



「それじゃ私たちとやり合うのはどのチーム?」


「よし、俺たちが相手だ!」



三上さんの前でかなり強気に前へ出た強気な生徒。


見覚えがないから別クラスの生徒なのだろうが、かなりの筋肉だ。


これは強そうだ。



――ピピィー!



「ゲームセット、2-0で三上チームの勝ち」



楽勝でした。


特にスキルとか使ってないんだけど、学生証によって既に能力値を強化されている三上さんと英里佳は男女関係なく身体能力で相手を圧倒していた。


スパイクをスパイクで打ち返されてもう途中からかわいそうなくらい相手チームは何もできていなかった。



「ナイスよ榎並」


「そっちも、ナイスカバー」



互いにハイタッチを交わす三上さんと英里佳。


その一方で僕と苅澤さんは終始棒立ち状態だった。



「二人とも凄いね……」


「詩織ちゃん昔から運動得意だったけど……榎並さん凄いね。ボールを全部完全に捉えてるというか……プロみたい」


「うん。僕もあれくらい強くなりたいな」



正直羨ましい。


僕ももっと戦えるくらいの力が欲しいな。



「つ、次は俺たちの番だ!」


「いいわよ、かかってきなさい」



別のチームとの対戦。


先ほどのえげつない圧倒的な攻撃力を前に果敢に挑んでくる。



「おらぁ!」

「どわっとぉ!?」



先ほどまったく活躍していなかった僕に攻撃が集中してきた。


何回かボールをこぼしてしまったが、以前やり合ったラプトルと比べればまだまだ遅いし迫力もない。


そのうち目が慣れて、英里佳みたいに打ち返すことはできなかったが上にあげるだけならできるようになった。



「ナイスよ歌丸!」



僕のあげたボール目掛けて大きくジャンプする三上さん。



「「「うぉぉぉぉおおおおおおお!!」」」



その時、僕は声をあげなかったが相手チームやギャラリーの男子生徒、そして何も言わないが視線だけはガッツリ送っている馬場先生、その場にいた男たち全員と気持ちが一つになった。


ボールが三つ。


ワイシャツに隠れているが、それでも隠し切れないほど大きな胸部がジャンプの振動で弾むように触れているのが目に見えた。


僕はその時、全神経を眼に集中させ、その動きを見逃すまいと視神経にその光景を焼き付ける。


伸ばした手がボールに当たった瞬間、胸部のボールがさらに大きく揺れて――


ズドンっと大きな音と共にビーチボールが砂浜を弾んでいく。


相手チームは全員棒立ちで、何もできなかったが……



「よっし!」



着地してガッツポーズを取る三上さん。


その一方で……



「…………」

――ボール、三上に、上げまくれ



「…………」

――軽めになら、いける



「…………」

――苅澤は?



「…………」

――彼女たぶんスパイク打てない



ネット越しに相手の男子生徒と僕は目と目で語り合う。


凄いな、目線のやり取りだけで相手の言いたいことがすぐにわかるし、こちらの伝えたいこともちゃんと伝わってる気がする。



「よーっし、いっくぞー」



わざとらしい声と共に、こちらに帰ってきたボール。


僕の方に向かってきたそのボールを、僕は三上さんのいる方向に高めに上げた。



「ナイスレシーブ!」



そういって、再びスパイクを放つ苅澤さん。



「よっし!」ぶるんっ!



「「「(グッ!)」」」



相手チーム棒立ちでスパイクが決まってガッツポーズを取る三上さん。


その一方で僕たち男子も小さく拳を握る。


……そして



「たぁ!」ぶるんっ!


「ふんっ!」ぶるるんっ!


「てりゃ!!」ぶるんぶるんっ!



揺れ弾む魔球に相手の男子たちは誰もが目を奪われ、そして気が付いた時にはコートにボールが突き刺さっていた。


結果は当然……



「2-0、三上チームの勝利」



ストレート勝ちだ。



「ふぅ……流石に二連戦は疲れるわね。ちょっと休憩しましょ」



汗をぬぐいながらそういう三上さんと、それについていく二人。



「おい」



残った僕もそれに続こうとしたとき、相手チームの男子が声を掛けてきた。



「…………」

「…………」



互いに無言であるが、何が言いたのかはよく分かった。


どちらからとも言えない、ほぼ同じタイミングで出された手を、僕と彼は固く握りしめた。



「ありがとう」

「こちらこそ」


「ナイスレシーブ」

「そっちもナイスボールだったよ」


「お前最高だよ」

「君たちもね」


「良いものを見させてもらった」

「僕の方こそ」



名前も知らなかった男子生徒との友情が深まった。


そして僕は思う。


――男の友情は、こうしてはぐくまれるのだな、と。



「歌丸くん、相手チームの人たちと何話してたの?」


「ああ、いや、ちょっと世間話を」


「そうなんだ。


やっぱり歌丸くんってすぐに人と仲良くなれるね」


「うーん……ちょっと今回は特殊ケースというか……なんというか……」



男だったらあの状況は割と誰でも協力できる気がする。



「あ、歌丸くん、アドバンスカード。


上着に入れっぱなしだったよ」


「あ、そういえばそうだったね。ありがと」



苅澤さんからカードを受け取ってさっそくシャチホコを出現させた。



「――きゅう!」

「わわっ」



出て来て真っ先に苅澤さんの胸へと飛び込んでいきやがった。


このウサギ……うらまや――けしからんっ!



「前から思ってたけど随分懐かれてるわね」


「詩織ちゃんも撫でる?」


「……じゃあ、ちょっとだけ」



シャチホコの頭を恐る恐ると撫でる三上さん。


当のシャチホコは特に嫌がるそぶりはみせず、苅澤さんの胸の感触を楽しんでいる様子だった。



……っていうか、ヤバいなこれ。


上着の下があんな破廉恥水着で、それを僕が着ていた制服で隠しているというこのシチュエーション。


いろいろと、妄想を掻き立てられそうだ。



「――――」



というか、今更ながら自分が信じられない。


こんなかわいい子たちと一緒に行動していて、そしてこんなすんごい格好をしている女子の近くにいられるとか……



「――――ん」



中学もろくに通ってなかった頃には夢にも思わなかったようだよ。


本当に、迷宮学園に来て良かった。



「――くん、歌丸くん?」



「え、あ、はいはいっ、な、なんでしょうか!?」



名前を呼ばれてそちらに向くと、不思議そうに首を傾げる英里佳がいた



「ぼうっとして、どうしたの? 熱中症?」


「い、いや全然そんなことないよ。うん、まったく、これっぽっちも…………」



英里佳は前のめりに僕の顔を覗き込むように前に乗り出してきていた。


そのポーズ、所謂“雌豹のポーズ”というやつで、つつましいながらもTシャツの首元から見える胸元がかなりセクシーである。


そして、英里佳のか細くてヒンヤリした指が伸びて来て、僕の胸元に触れられる。


その瞬間ゾワリと背筋がむずがゆくなった。



「……ここの傷、どうしたの?」


「……え、あ……それは」



胸の傷痕、かなり小さくてなって気づかれないと思ったけど、流石にこの至近距離だとわかるようだ。



「ちょっと昔に、ね。


あはは、もう完治してるから問題はないよ」


「そう、なんだ」



言葉では納得しているようだが、僕の傷を注意深く観察してくる英里佳。


いや、別に深い意味はないんだろうけど、そうじっと見られると恥ずかしいような……というか、この角度だとTシャツの裾から見える臀部、もといお尻がさらされているようで…………



「榎並、その変態あんたの尻に釘付けよ」



「ちょ――ちがっ」

「えっ」



三上さんの言葉を受け、英里佳は自分がどんな態勢になっているのか気づいたようだ。


そしてすぐさま英里佳は僕から離れてシャツの裾を掴んで下へと引っ張った。



「あの、えっと……」



何か言わないといけないんだろうけど、咄嗟になんて言ったらいいのかわからずに舌が口の中でもつれる。


顔を真っ赤にした英里佳は少しばかり僕から距離を取った。



「……ご、ごめん」


「う、ううん……私も、ちょっと近すぎたというか……その、気にしないで」



英里佳はそういうが、明らかに距離が開かれた。


地味に傷つく。



「無防備過ぎよ榎並。


確かにそいつ頼りないけど一応男なのよ」


「一応は余計だよ」



三上さん、流石に失礼すぎない?



「まぁ、どうせあんたがなんかしたところで榎並には完封されて手も足も出ないでしょうしね」


「ぐぬぬぬぬぅ……」



まったく反論できねぇ!



「こ、こほんっ……で、バレーボールでスキルポイントゲットってのは大賛成なんだけど……」



僕はポケットに折りたたんでしまった紙をもう一度取り出して中身を確認する



「他になんか狙ったりとかしないの?」


「そうね……ポイント優先のために武器や防具は見逃したけど……できればいろんな特典は欲しいわね」



僕のワイシャツのポケットに入れていた紙を三上さんも取り出す。



「バレーボールのために四人参加は固定として……今からできそうなのは……」



「この“BBQをやる”っていうのは?


先着人数は合計で500人だし、まだお昼まで時間もあるよ」



苅澤さんが指さした内容は確かに先着の人数が多い。


特典内容は……ステータスアップポーションか。


効果はぶっちゃけ苅澤さんの付与魔法エンチャントみたいに一時的な能力値の上昇だ。



「まぁ、どうせお昼は取るつもりだし……やっといて損はないわね。


素材は……やっぱり魚とか貝よね、海なわけだし、そっちの課題と並行すれば……」


「水棲生物を見つけるっていうのはもう達成されてるね」



確かに、英里佳の言う通り、紙には“達成済み”と花丸マークがついており、特典であるレア武器“アクアスピアー”が獲得済みとなっている。


この紙、触った感じは普通だけどリアルタイムで課題の進捗状況がわかるとか便利だな。



「でもスイカ割はまだなんだ。ちょっと意外だね」



こちらはレア武器“打撃昆”という武器が入手できるようだ。


この紙に武器の情報は名前のみだが、なんとなく木刀のような気がする。



「スイカが見つからないのかな? シャチホコちゃん、スイカの場所ってわかる?」


「きゅう」


「わかるみたい」



苅澤さんの胸を堪能しながら頷くシャチホコ。変われ(迫真)



「便利だなお前……よし、ちょっと僕たちがバレーしてる間に取ってきてくれ」


「きゅうきゅ」



「ただじゃ動かねぇぜ旦那」って感じに小さな指をスリスリする動きをする。


こいつどこでそんな仕草覚えてくるんだろうか?



「ああ、取ってきてくれればお前に半分以上食わせてやるよ」


「きゅっきゅう!」



「任しときな!」というかのように苅澤さんの腕の中から飛び出して森の奥へと走っていくシャチホコ。


シャチホコって実は安いんじゃなくてお馬鹿なのではないだろうか?


自分で取ってきたのに食べるの半分とか、どう考えても損してるだろ。



「便利よね、シャチホコ。


テイムした迷宮生物モンスターってみんなああなのかしら?」



何となく羨ましそうな表情をしている苅澤さん。


そういえばアドバンスカードが欲しいとか前にも言ってたっけ。


今回の特典の中にはアドバンスカードの項目はないが、もし入手できる機会があったら協力したいところだ。



「後、他に達成できそうな課題は……」



僕は課題の内容を流し読みして、ひとつ目に留まる。



「霊薬エリクシル……」



課題の一番下。


課題内容は“夕日の海で異性と二人っきりでらぶちゅっちゅ”とふざけた内容だったが、このアイテムの名前は僕でも知っている。


迷宮学園でしか入手ができない上に、世界でもいまだ十本も出回っていない激レア中の激レア。


錬金術師の作り上げた秘薬として伝説や神話で語られており、飲めば不老不死となれるという万能薬だ。


まぁ、実際のところ不老不死にはならないのだが、飲めばどんな病気や怪我も即座に回復し、老衰で死にかけていた大富豪もこのアイテムによって十代後半くらいまで肉体が若返ったという実例があるほどのものだ。


故に若くなりたい、長生きしたいという金に糸目もかけない富豪たちがこの霊薬を求めて兆くらいの金を動かすオークションが開かれるという。


ここ数年は名前すら出てこなかったが、こんなところでお目にかかるとは……



「これって、迷宮学園の生徒が卒業までに入手しておきたいアイテムで第一位になってるやつだよね」


「異性といちゃつくだけで霊薬エリクシルが手に入るとか……なんだが胡散臭いわね」



苅澤さんと三上さんの言葉を聞きながらも、僕はその課題に意識を集中する。



「歌丸くん、エリクシル欲しいの?」


「え……あ、まぁ……欲しくない学生はいないと思うけど……」


「そうかもしれないけど……なんだかほかの課題より気にしてるみたいだから」


「いや、まぁ……なんというか……この課題のクリア条件が曖昧だなぁって思って」



そんな風に誤魔化しながらも、やっぱり僕は霊薬エリクシルという文字を何度も目で追ってしまう。



最初にこの文字を見たときは呼吸が止まるかと思った。



条件を見る限り夕方まで何もでき無さそうだが……これは……やってみる価値はありそうだ。





「ふふふっ……迷ってます迷ってますねぇ」



学長の他には誰もいない暗い空間。


その視線の先にはいろんな角度からリゾート区画にいる学生たちの様子が映し出されている窓がいくつもあった。


そして今見ているのはほかでもない、歌丸連理うたまるれんりだった。



「――趣味が悪いですよ、学長」



先ほどまで学長以外誰もいなかった空間に、武中幸人たけなかゆきとが姿を現す。



「おや、私は監督に励んでいるだけですよ?」


「それも趣味が悪いですが……エリクシルの件です。


こんなくだらない行事に出すようなアイテムではないでしょう。


それに今の状況でエリクシルなんて持つようなリスクを背負うことの意味がわからないはずがありません」



卒業間近ならまだしも、入学から一月も経っていない生徒がそんなアイテムを持てばどうなるか。


力づくで強奪され、最悪命を奪われる可能性がある。


もちろん売れれば莫大な富も手に入るが、同じように命を狙われるリスクだってある。


金のために目先のリスクも測れないような愚か者でもなければ、この課題は無視すると思ったのだが……



「それでも、彼はこの課題には挑む。


挑まずにはいられない」


「だから趣味が悪いと言っているんですよ」



絶対に挑む生徒が一人、今学長と武中の視線の先にある窓に映っていた。



「彼にはぜひとも榎並さんでも、他の誰でも良いので恋愛を楽しんでもらわないといけませんから、絶対に釣れる餌を用意しないといけませんよ」


「…………」



やはりこの学長は狂っていると、武中は思う。


彼にとって一時の悦楽と長年の執念は等価値なのだ。


いやむしろ、感情のふり幅で物事を測るのならば一時の悦楽の方が大事だとも言いかねない。


自分の生徒がそんな学長の娯楽のために利用されていると思うと腹立たしいが、これは彼にとっても間違いなく千載一遇の好機なのも事実だ。



「歌丸……うまくやれよ」



立場上、直接支援することはできないが、武中は心の中で彼の奮闘を応援するのであった。

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