第18話 レッツゴークレイジー

ブラックハウンドの追跡のために歌丸から離れた英里佳だったが、そのことをすぐに後悔した。


そして驚愕した。


まさか、迷宮生物モンスターがここまで高い知能を有しているとは想定していなかったからだ。



「GURRRRRRR……」



通路を走り続け、広い空間に出た直後退路を一匹のラプトルリザードに塞がれた。



「っ、待ち伏せ!?」



よく見れば、前方にある他の通路にも一匹のラプトルが待ち構えており、さらにもう一匹がこの広い部屋ともいえる空間の真ん中で待ち構えていた。



「KYUUUUUN……」



追跡してきた……いや、自分を歌丸から引きはがすためにおびき寄せてきたブラックハウンドは情けない声をあげながら部屋の中央にいたラプトルの前で平伏する。


完全に従属している。


自分たちを囮にして逃げておきながら、結局捕まったのか、はたまた自分たちを見つけた時点ですでに隷属していたのかは不明だが……なんとも惨めな姿である。



「GAAAAAA!!」

「――GYANッ!?!?」



だが、何より哀れなのは利用され、最後には捕食されてしまうという結末だろう。


ここまで英里佳を誘導してくるという目的を果たしたというのに、ブラックハウンドは結局ラプトルに捕食されてしまう。


しかし、英里佳はそれ以上ブラックハウンドに感傷などすることなく周囲の状況を見回して冷静に判断する。



「私と歌丸くんを引き離すのが目的だったんだ……」



迂闊な行動だったと先ほどの自分を呪う。


迷宮生物という存在はとても強力なものであるとは思っていても、所詮は畜生だと侮っていた。


まさかここまで知能が高いとは……



そう考えつつ、この場に隻眼のラプトルがいないことに気づいた。



「――――退いてッ!!」



すぐさま振り返り、拳銃を三発発砲する。


だが後方をふさぐラプトルの堅い鱗と皮が弾丸を容易く弾き、その間に部屋の中央にいたラプトルが英里佳に襲い掛かる。



「ちぃっ!」



素早い身のこなしでその攻撃を回避しつつ、周囲を見回せば通路をふさぐ二頭のラプトルはその場から動こうとはしない。


ただ黙って、道をふさぐことに徹している。



「くそっ……!」



少女らしからぬ悪態をついてしまう。


これで三匹まとめて襲い掛かってくるのならまだ逃げるだけの隙を見いだせたのかもしれないが、ここまで完全に道をふさがれてしまっては歌丸を助けに行けない。



「このッ!!」



襲ってくるラプトルの牽制として、一発発砲する。



「――GAOOOO!!」



弾丸は弾かれても、炸裂の音と光にラプトルが怯む。


しかし今はその程度では駄目なのだ。


歌丸の実力では一秒単位で命の危機を迎えることは必至。


刻一刻と、歌丸生存の確立が減っていく事実に英里佳の内心に焦りが生じた。



「鱗が駄目でも――」



それによって彼女は足元を掬われる。



「目を狙えばッ!!」



引き金を引いた。



――カチッ



しかし、銃口からは弾丸が出てこない。



「――あ」



今込められている弾倉には球が四発しか残っていなかった。


普段なら即座に新しい弾倉に入れ替えていたはずなのに、急ぐあまりにそれを忘れてしまったのだ。


一秒にも満たない無防備。


そんな隙を見逃すのなら、目の前のラプトルはこの迷宮において捕食者の側には立っていない。



「GAAAAAAAAAAAAAAAA!!」



強靭な顎が開き、迫ってくる。



(――駄目、今はまだ駄目ッ!)



心の中で理性が叫ぶ。



(――不可能。このままでは確実に目の前の竜に殺される)



しかし体にしみ込んだ経験則と本能が冷徹に状況を判断する。



(駄目、絶対に駄目!


そんなことをしたら歌丸くんが――!)



(既に手遅れ。


彼の実力では現状で生き残っている可能性は限りなく低い。


私が彼と分断された時点で彼の死はほぼ確定している)



(でもまだ生きてる可能性が)



(それを検討している間に、私が死んでしまう)



(だけど、ここで使ってしまっては――!)



(死ぬのを認めてしまうの?)



(それは……だけど友達になってくれた彼を見捨てるのは、もう……)



(――仇も討てないまま終わるのは、私は嫌だよ)



(私だって嫌だよ、だけど――)



(歌丸くんの仇もとれず、助けてもらった命を無駄にしていいんだ)



(そんなのこと――!)



(そんなの)



((絶対に嫌だ))



狂狼変化ルー・ガルー



力がみなぎっていくのを、英里佳は感じた。


そして迫りくる強靭な顎が、スローモーションに見えた。



「あ、ぁ」



視界が赤く染まっていく。


どうやら、十秒も理性を維持できる時間は無かったらしい。


だが、それに英里佳は安堵した。


なぜなら少なくとも――



「歌丸くん……」





「ごめんなさい」



戦闘で視界が滲むことが無いのだから。





「ぷへぇ、ひへぇ……ちょっと……遠くね?」



どうも、歌丸連理うたまるれんりです。


つい先ほど奇跡的に隻眼のラプトルリザードを作戦とも言えないような大博打で撃破しました。


おかげで獲得できたポイントはウハウハだった。



「ひぃ、ひぃ……!」



可能なら回復力を高めてくれるパッシブスキルを獲得したかったが、生憎それは英里佳のために習得したスキルによって全部使ってしまった。


とても優良性の高い能力の反面、僕の習得できるスキルの中でもポイントの要求が高すぎるのが残念だ。



「はぁ……はぁ……」



自分が歩いてきた道のりを振り返り、ぞっとした。



「よく死なないな……僕」



僕が歩いた跡には夥しいほどの量の血が続いており、今も先ほど隻眼のラプトルによって噛まれた腕から出血が続いている。


普通に失血死していてもおかしくない量だ。



「取っててよかった血界突破オーバーブラッド……」



貧血にならないだけのスキルかと思ったら、まさか失血死を防ぐほどのものだとは嬉しい誤算だった。


ラプトルに噛みつかれたことでまともに動かないし、指をちょっと動かすだけでも激痛で気絶しそうになって何度も意識覚醒アウェアーが発動する始末。


できたら応急処置もしたいところだがそれも満足にできない。


だって止血しようにも左手の肩関節が外れていて動かせないのだ。道理で痛いはずだ。まぁ、右手の方がずっと痛いんだけどね。


もう仕方なく両手をゾンビみたいにダラダラと揺らしながら移動してきたのだ。


もう腕が動かなくなっただけで本当にしんどい。



「はぁ……ふぅ……」



本当に痛い。


痛すぎてもう……



「ふふ……はははは」



また口から笑いが零れてきた。


ああ、生きている。


全身の痛みが、腕から零れ落ちていく熱と、それを補填するかの如く胸の奥から湧き上がってくる熱の流れが僕という貧弱な人間の生存を認識させてくれる。



「ああ、やっぱり楽しいな、迷宮って」



歩くことも、息切れすることも、血を流すことも、痛みで涙が出ることも、どこからかわからないところから熱や血が湧き上がってくることも楽しくてしかたない。


誰もが知っていて、恐れていることを体感できることが、僕はたまらなく嬉しい。



「――がああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」



奥の方から聞こえてきた獣の雄叫びのような声。


しかしラプトルでもブラックハウンドのものでもない。



「まさか……!」



僕は遅いなりに歩くペースを速めて先へと進む。


そしてようやく通路の先の広い空間が見えてきて……



「……WOW」



思わず外国人風に驚いてしまう。



だって……



「GYAGOU!?」

「GURON!!」



「ああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」



二匹のラプトルの頭を掴んで強引に地面へ叩きつけるパワフルな獣耳少女の姿がそこにあったのだ。


あれ、なんかもう普通に勝ってません?



と思ったがよく見ると英里佳の肩から結構な出血がある。


無傷で戦っているわけではないようだが……



「っ……英里佳、それ以上は駄目だ!!」



僕は叫びながら前に進む。


その開けた空間の床には、結構な量の血が流れているのだ。


ラプトルの方には見たところ外傷と言えるようなものはない。


だったらあれは全部英里佳の血ということになる。


僕ほどではないとしても、英里佳は今かなりの出血量だ。


いつ失血死してもおかしくない。すぐに止めないと危険だ。



「GYAAAOOOOO!!」



「――ぐはぁ!?」



通路を抜けて部屋に踏み入った瞬間、後方からかなり強い衝撃を受けた。


前のめりに、というか顔面から地面に激突しつつ、僕はすぐに起き上がって振り返る。



「GAAA……!」



ああ、そういえば三匹いましたよね。



「くっ……すまんシャチホコ! そいつ引きつけてくれ!」


「きゅきゅぅ!?」



唐突にアドバンスカードから呼び出されたシャチホコは「そりゃないっスよ大将!?」的な悲鳴を上げていたが、もう今はなりふり構っていられない。



「おやつとしてミニキャロット束で買ってやるから!」


「きゅっきゅきゅう!」



「おら来いやトカゲ野郎!」と勇ましく鳴くシャチホコ。


ラプトルリザードの目を狙って蹴ろうとする。ギリギリで交わされるが、シャチホコは追撃を続ける。


ラプトルも流石に目を潰されてはたまらないと、シャチホコの方に意識が向いた。



「頼むぞシャチホコ」



腕が使えないので立ち上がることすら時間がかかるが、それでもどうにか立ち上がって前へと進む。



「英里佳ぁ!!」



精一杯声を張り上げ、叫んだ。



「がああっ!!」

「ひっ」



振り返ってもらったが、もう血走ったというか……眼、真っ赤になってません?


というか光ってません?



「け、獣耳は可愛いと思うけど、そこまで獣っぽいのはどうかと……僕、重度のケモナーでもないし……」


「がああああ!!」


「あひぃ、ごめんなさ――どろっぷぅ!?」



英里佳がこちらにやって来たかと思えば容赦ないドロップキックが腹部に叩き込まれる。



「――がはっ!?」



ちょっと今、シャレにならないくらい痛い。


さっきからずっと痛いけど、また吐いてしまった。


まぁ、もう腹の中空っぽで胃液しかでませんけどね。



「が、はっ……はぁ……!」



また意識覚醒が発動する。


今の一撃、普通に気絶させられるくらい強力ということだろう。


いやまぁ、死んでいないだけ運が良かったと思おう。



「えり、か……!」



芋虫みたいに身をよじらせながら立ち上がる。



「うがあああああああああああああああああ!!」



部屋の中央で雄叫びをあげる彼女の姿は、恐ろしく感じつつもどこか儚げだった。



「なんで……」



理性などない。


ベルセルクのスキルによって理性を失えばもうそこにあるのは動くものをすべて破壊する危険な獣だ。


そう聞いている。


だけど……



「なんでそんな……君は悲しそうに泣いてるんだよ?」



真っ赤な瞳から、とめどなく流れている涙。


どうして彼女が泣いているのかわからないが、放ってはおけないと心から思った。



「GURRRRROOOOOOO!!」



「っ!」



二匹のうちの片方が僕に向かってくる。


そうだ、いくら英里佳が相手にしてると言っても、こいつらが僕を襲ってこないわけじゃなかった。


そしてもう僕にはこいつを倒せるだけの力も手段も知恵もない。



「うわあああ!?」



こんなところで終わるのは嫌だと心底思いながらも、出るのは情けない悲鳴だけ。



「があああああああああああああ!!」



そんな時、英里佳がこちらに迫るラプトルの背後から押しかかり、頭を強引に踏みつけた。



「英里佳、ありが――どふぅ!?」



援けてもらったと思ってお礼を言おうと思ったらそのまま僕も殴られてまた地面を転がる。


ああ、これはあれですね、近くにいる奴まるごとぶっ殺す的なやつかな?



「GYAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

「あがうっ!?」



しかし、もう一匹が勢いよく尻尾を振るって英里佳の華奢な身体を吹っ飛ばす。



「えり――がはっ!?」



その姿に名前を呼ぼうと思った時、背中を思い切り地面に打ち付けて肺の中の空気を強制的に吐き出されて叫ぶこともできなくなった。



「うがぁああああああぁうぅううううう!!」



倒れ、そしてどうにか立ち上がろうと僕がもがく間にも英里佳は果敢にラプトルに攻撃を仕掛ける。


その獣のように変化した細腕に見合わない剛腕でラプトルを殴りつける。


その攻撃にラプトルはよろけはするが、すぐさま反撃を繰り出す。


爪や足、尻尾とその全身を使っての攻撃を英里佳に向けて放つ。


僕なら軽く五回は死んでいるような攻撃を、英里佳はすべて完全に回避しつつ、即座に攻撃に繰り出す。


だが、やはりというか狂狼変化によって身体能力が向上した英里佳をもってしてもラプトルの鱗を破れない。


ラプトルの鱗も硬すぎる、というのもあるんだろうが……やはり英里佳は本来単純な力で戦うタイプではないんだ。


その俊敏性と技術で敵を倒すタイプで、腕力は僕よりはあってもそれほど強力というわけでもないんだ。


だから身体能力を引き上げる狂狼変化のスキルを使ってもラプトルの鱗を突破しきれない。


それどころか、今みたいに力押しな戦法では彼女の持ち味を殺すことになる。


その証拠に、よく見ると毛皮に覆われた英里佳の手が紅く滲んでいる。


無理な攻撃を何度も行ったことでラプトルよりも先に英里佳の手の方が悲鳴を上げているんだ。



「――どうにか……しないと」



すぐにでも僕の新スキルを発動させなくてはいけない。


さっき殴られたときにでも我慢して発動させなかった自分の不甲斐なさを呪いたくなった。



「英里佳!」



名前を呼んでこちらに注意を引こうとするが、当の英里佳は目の前のラプトルとの戦闘に夢中でこちらに気づいていない様子だ。


迷宮生物と違い、英里佳は脅威のある方を優先的に攻撃するみたいで、先ほど二度の攻撃で僕は脅威じゃないと判断されたのだろう。


だから彼女は僕を無視しているんだ。



「やっぱり、近づかないと無理か……」



だが、英里佳は現在ラプトルと戦闘中だ。


あそこに迂闊に踏み込めば英里佳だけでなくラプトルからも攻撃され、最悪それで死ぬ。


受けるなら英里佳の攻撃だけで留めたいし、スキル発動直後だと英里佳の動きが止まる可能性もある。


そうなっては返って英里佳が危険な目に陥る。



「ラプトルから距離を取った状態で、英里佳とだけ接近しないと……」



口にして考えてみるとかなり難しい。


名前を呼んでも無視されるならいったいどうやって……



「っ――英里佳、危ない!!」


「GUOOOOOOOOOOOOOO!!」



英里佳の背後から、もう一匹のラプトルが接近しその鋭い口を開いて噛みつこうとしてきたのだ。


このままでは英里佳が殺されてしまう!



「がるあ!!」



かと思えば、英里佳は背後に目があるかのように完璧に回避した。


あれかな、野生の勘的なもので脅威とかにはかなり敏感反応するみたいなやつかな?



「よかった…………けど」



正直、あんな攻撃が何度も続くと英里佳も無事でいられるとは思えない。


どうにか英里佳の注意をこちらに向けさせないと……


そう思いながら何かないかと視線を彷徨わせる。


そんなとき、床に落ちている黒い物体を見つけた。



「あれは……!」



拳銃だ。


英里佳が持っていた拳銃が、そこに落ちていた。



「あれさえあれば……!」



脅威には敏感に反応する今の英里佳なら、おそらく銃口を向けただけでもこちらに意識を向けてくれるはずだ。


そうすればラプトルから距離を取った状態で僕もスキルを発動できる。


すぐに拳銃の元まで駆けつけ、右手で拾い上げた。



「ぐぎっ――――ぷはぁ!」



右手の指を動かしただけで激痛がして意識が遠くなったが、即座に意識覚醒が発動した。


できれば隻眼に噛みつかれていない左手を使いたかったところだが、こっちは肩が外れて腕をあげることもできないので仕方がない。


どれだけ痛くても、動くこの右手を使うしかない。



「あ――ぐっ――つ――う、ぅ――ぅうううおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」



意識が遠くなったりはっきりしたりと、まるで電灯のスイッチを頭の中で何度も切り替えているかのような不愉快な感覚に襲われつつ、僕は雄叫びをあげて自分を奮い立たせて拳銃を英里佳の方に向けた。



「英里佳ぁーーーーーーーーーーーー!!!!」



名前を叫ぶ。


同時に、引き金に指を掛ける。



「――があああ!!」



その瞬間、ラプトルと戦っていた英里佳がこちらを見て、そして即座にこちらに向けて走り出す。



――来るッ!



「がぁああああ!!」



狂暴な声と共に、英里佳が僕を攻撃しようと迫ってきた。


僕はすぐに銃を捨てて両手を広げて待ち構える。



「英里佳、そうだ、こっちにこい!!」



触れた瞬間、即座にスキルを発動させる。



そう考えた僕であったが……



「があああああああああああああああああああああああ!!」



「っ」



その敵意に満ちた赤い瞳が向けられて、足が竦み上がりそうになる。


――怖い。


今、僕は英里佳に殺されるかもしれない。


本気でそう思った。


それがベルセルクとしての英里佳の危険性だ。


三上さんも、これを警戒していたから英里佳とパーティを組みたくなかったんだって、今僕は身をもって体感している。


だけど……



「それが、どうしたぁ!!」



そんなこと僕だって知っている。


怖いし、死にたくないけど、それでも英里佳は友達なんだって、友達になりたいって言ったんだ。


今更そんなことで引けるわけない。


だから僕は、震えながらも足を前へと出す。



――ドスンッ!!!!



胸部に叩き込まれるとんでもない衝撃。


体が無くなったかのような感覚がして、また意識覚醒が発動。



「――かはっ」



口からこぼれるのは吐息ではなく血反吐だった。


そして視点を少し下げれば、英里佳の細腕が僕の胸部に打ち込まれている。


痛い。


痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いイタいイタイいタイいたイいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい――――……


気絶できないことでダイレクトに頭に送られる痛みという警告が頭の中を埋め尽くす。


頭の中は真っ白で、ただ痛みに苦しむだけで何も考えられなくなって――



「は、はははは――共存共栄きょうぞんきょうえい Lev.1」



あらかじめと決めていた通りにしか体が動かせなかった。



特性共有ジョイント 発動」



僕は胸にめり込む英里佳の腕を掴みながら、新しく覚えたスキルを発動させた。

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