1-3)過程の埋め方


~過程を埋めるために~


 さてそういうわけで過程の埋め方です。対象の方が「書きたいシーンへの行程が浮かばない」という想定でお話させていただきます。こうしなければいけない、ではなくて、こういう方法があるよ、の例示ですのでその点間違えないようにお願いしますね。創作は自由で、なんでもありだと私は思っていますので。


 はてさてまずすることですが、「書きたいシーンがなにか」を明確にしてください。対象の方が恋について書きたい方だったので、「AとBがお互いの恋心に気付く瞬間」と仮に決めておきますね。ですがさすがにこれじゃあ情報が足りません。色々なパターンが浮かんでしまいます。


 とりあえず簡単に浮かんだ情報を追加してみますね。「花火大会」「祭りの最後に恋心に気付く」。うん、結構狭まりました。ここまで決まれば簡単です。

 さて、今の情報で「貴方はどこを書きたいと思いますか?」。書きたいものが恋心に気付く瞬間だったので、もちろん山場はその恋心のシーンです。ですが、そこに至るまでの道筋をどう書きたいのか。それによって切り口が変わっていきます。


 まず、肩ひじ張らずにどんなシーンがいいかな、なにがいいかなって考えてみましょう。文章の良い点は、どんな舞台でも書きやすいことですね。絵だとまず情報の設置に一苦労になると思いますが、文章なら調べれば調べた分だけ情景を書きやすいです。

 技術的な問題で言うと、ただ言葉を並べるだけではだめだとか、心理的要因や状況、見え方の違いなどを気にするべきとか色々あるかもしれませんが、それは気にしたい人だけがすればいいのです。書いてみたい、と思って、とても大好きな形にしたいシーンがある。それを叶えることは、書きだせば簡単です。まずは書いてみましょう。きっと楽しい、ですよ!


 少々切り口から脱線しかかっていますが、まず書きたいものを書けばいいを大事にしながら想像を楽しんで下さい。そうしたらきっと書くこと自体は簡単です。


 貴方が書きたい結果を決めてあった場合は、そうなる為にどうすればいいか、を考えてみてください。

 もしAとBの関係がどの段階にあるかはじまりを決めているのでしたら、とても簡単です。はじまりから結果にどうすればそうなるのか考えることができます。また、書きたいシーンが複数あるなら、その書きたいシーンを並べてつなげていく方法を考える。やりかたは色々です。


 さてそれではいくつか例をもう少し示していきますね。書き方、というよりは物語を考えるためのいくつかの質問とか、流れについてです。

 先程の道筋、書きたいシーンを例えばお祭り全部としましょうか。AとBの関係性によっては、最初そのお祭りに行く為のきっかけを考える必要も出ますね。

 もし二人が友人だったらただ単純に遊びに行こう、が出来ますね。でもそもそもこの友人関係、二人で行く親友なのか、それとも他に複数人がいて偶然はぐれてしまうのか、寧ろ意図してはぐれたのか。友人だけでもいろいろありますよね。

 もしかすると友人ではなくて、お互い苦手とか仲が悪いと考えている関係かもしれません。そうしたらお祭り自体よりも、お祭りに誘うこととか、そのきっかけを考える方が物語になるかもしれませんね。二人の関係はなんでしょうか? そうして、そんな二人が物語の行動をするためにはなにが必要でしょうか?


 こういう想像は、とにかく好きな人が強いと思っています。貴方の萌えであり燃えを詰め込めばいいだけなのだと私は言い切りますね。ネタがあるってのは、それだけで強いです。

 ただとりとめもないと大変なので、まずどこを終わりにするのか、そしてどこからはじまるのかといった時間軸だけは把握しておくと便利かもしれません。順に並べて進むとわかりやすいですね。まあこういうのは人によるのでこれはあくまで一例ですが。


 二人の関係が決まったら、どのシーンが一番書きたいかな? と考えてみてください。書きたいシーンを思いっきり書きましょう。

 お祭りに行くまでの時間を楽しむことに文字を割き祭りの中身はほとんどなく花火を一緒に見るシーンくらいにしておくってのもありですし、お祭りを全力で楽しんでいるシーンを書く中で恋心にいたるきっかけをぽこぽこフラグのように置いていくのも良いです。舞台や時間の移動が楽なのも文字の便利なところですね。

 こういった妄想さえきっちりできれば、あとは書き上げるだけです。浮かばない場合はもういっそ書きたいシーンだけ書き上げるってのもありです。最初に言ったように、全部書かなくても楽しいですよ。絵とかでも、漫画でさっくり一頁だけ描きたいシーンを描くようなことありますよね? 文字も同じようにシチュエーション切り抜きで問題ないです。その好きなシーンが形になる、だけでにやにやしますし、他人と共有できます。書かない方が勿体ない!


 もし二次創作をされる人がいるなら、特に切り抜きはおすすめします。一次創作畑なのにこういうのもあれですが、二次創作をされている場合先に話しましたスタート地点や細かいお話を公式がきちんと提示してくださってる利点があります。また共通認識事項も多く、書きたいことに文字数を割ける。「書きたい」があれば既にはじまりとおわりが出来てるようなものなので、とっかかりにはとてもやりやすいです。

 キャラが好き、な時点でキャラの妄想自体ははっきりしていると思います。二番煎じとか気にしないでください。何が好きか、何が萌えるか、という点でもって書き上げることが第一条件です。貴方のこだわりがあれば、誰かとネタが被ろうとそのこだわりが貴方のお話となっているはずですから。

 まったく同じ話を作れ、パクれという話ではありません。ただネタが被った、は、それらと違う場合が多いと考えている故の言葉です。貴方達のこだわり、好きが別のものを作り出すと思っています。

 好きを形にするとき、そんなに躊躇う必要はありません。例えばツイッター、例えばお友達との会話。そういうので、こういうのが萌える、この作品が最高だった、好き、と語ったりしたことありませんか? または語っているのを見たことがありませんか? ああいうのと同じように、そしてそれを具体的に、自分の色でもって伝えられるのがお話だと思ってください。

 きっと貴方の大好きなお話が書けると思いますよ。


(2016/12/19)

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