4.小話
つい先日、バイト終わりの23時ごろから友人の家に泊まりに行った。
はた迷惑な時間によそ様を訪れたことについてはこの際目をつむっていてほしい。
その友人というのも、幼馴染で、4歳かそこらの時にお互い兄の所属していた野球クラブの試合を応援しに行った先のグラウンドで出会った。兄の応援などそっちらけで母親が作った秋の落ち葉をスーパーの袋につめこんだふわふわとよく飛ぶなにかで遊んだ。それが出会いだった。
それから約15年ほど。この友人との付き合いは未だに続いている。
友人とぺちゃくちゃとおしゃべりした後に、ふいに、なんとなく、ふいに、怖くなった。
この友人に嫌われたら、どうだろう。
喧嘩は数え切れないほどした。中学の一年の冬から二年の夏ごろまでお互いにいがみ合っていた。相手のことを嘘つきだと思った。ただ、嫌いではなかった。
そうではなくて、本当の意味で、この友人との関係が腐っていく。じわじわと、時間を経て、嫌われていく。怖い、怖すぎる。
一人で背負い込むには重すぎた恐怖に、この話を明るく友人にしてみた。
友人に話しているうちに、こんなことに気づいた。
例えば、喧嘩をして、相手のことを嫌いになる。いつか思い出したときに、ああ、あのけんかで嫌いになったんだなと思い出す。
それよりも恐ろしいのは、まるで賞味期限のきれた牛乳が腐っていくように、じわじわと、時間を経て、積もり積もって嫌われることだと。きっかけのない嫌悪は、なかなか、どうして、拭えそうにない。時間がたてばたつほど、腐っていくように思う
そうしていつか、どうでもよくなるのだ。
小さな許せない、が積った嫌いは、いつのまにか世界からその人を消してしまうのだ。
この感覚を友人に話したところ、
「ああ、まあ、確かなきっかけで嫌われた方が納得いく」
の一言で片づけられた。
まあ、つまり、はい。そういうことです。
徒然無聊の日々 浅治 ユウ @____um_04
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